第1話

僕にその電話があったのは不況で就職出来ず
体力も無く頭も悪いので、アルバイトさえ首になったあるひだった。
「たっちゃん私みゆきだけどたっちゃんの事だからまだ就職して無いでしょ。
ちょっとあアルバイトのあてが有るから、一緒に面接受けにいかない?」
「それは助かる。ぜひ行かせてくれよ」
「それじゃー小田急の改札で」
おさななじみのさやかと待ち合わせて、歌舞伎町に有る寂れたビル案内された。
「みゆきちゃん、どんな仕事なの」
肝心な事を聞いて無かったのにきがついた。
「実はミックスボクシングなのよ」
「でも僕は体力も無いし、ボクシングは子供のころ遊びでやっただけだよ」
「私だってそうよ。格闘技経験が有る人はこの仕事は出来ないのよ。
たっちゃん昔私とボクシングごっこした時もかなりむきになってやってたじゃん。
男の子同士のときは遊びって感じだったのに」
「たしかにね。こんな事女の子で有るみゆきちゃんにゆったら差別っておこりそうだけど
やっぱり男同士だと別に悔しく無いけど、女の子にはぜったい負けたくないて
いけないとは思いながらついつい思ってしまって。
それに女性の地位があがって侵食されるようで
ていうドメスティックバイオレンス的な思いもあったかもしれないな。
てこれってすごく失礼だよね。」
「そんな事ないわ。私も男の子に昔いじめられていたから男の子にどうしても勝ちたくって
2人で対戦した時はごっこじゃ無くなってたよね。
でもたっちゃんは弱いものいじめはやってなかったよね」
「そりゃ戦意をもって無い相手は攻撃出来ないよ」
「だからこそ、大好きだし、お互いの記念すべきデビュー戦で戦いたいのよ。」
「じゃあこの仕事はお金をもらって僕とみゆきちゃんでボクシングをするって事?」
「そう女の子相手でも遠慮無く戦ってくれる相手でないと困るしね」
「ちょっとまってよ。みゆきちゃんはすでにたっぷり練習つんでるとかじゃ無いの?」
「そうなら、たっちゃんをさそったりいないわよ。私もからっきし弱いのよ」
「でもどうしてこんなバイトをしったの。」
「私も仕事が無くって。でも風俗とかは絶対やだし。お願い戦って。もしたっちゃんが勝ったらお嫁さんになってあげるよ」
「ほんと。前からみゆきちゃんが好きだったんだ。でもますます練習を積んでるような気がする」
「心配しないで。これは格闘技素人の男女を試合させる地下ボクシング協会だから、あまり技術が有ると
除名させちゃうから」
といって契約書を渡された。たしかにそのような条文も書いて有る。
「やろう」僕はサインをした。
「有難う。じゃ着替えて30分後にね。」
といってみゆきに控え室に案内された。
「すぐ試合なの?」
「そうよ。30分後」
控え室には青いトランクスと青いグローブと青いシューズがあった。
とにかくトランクスに履き替えシューズも履き替えグローブを付けた。
紐が無く引っ張るだけで付けられるものだった。
しばらくするとみゆきがやってきた。
とんとん「入るわよ」
みゆきは赤いブラに赤いトランクス、赤いシューズだった。
「たっちゃんかっこいいわよ。惚れ直しちゃう」
「みゆきちゃんもかっこいいよ」
「控え室を出て右がリングだから先にいってね。後から私もいくから」
リングに向かい始めると音楽がなりだした。
僕の好きなとある宇宙SFアニメのオープニングだった。
僕がリングに入ると音楽が変わった。
美少女戦士のアニメの音楽だった。
みゆきがでてきてリングに上がった。
リングアナがお互いの名前とパウンドをいって良いよ試合である。
「良い試合にしましょう」
みゆきが言った。
ゴングが鳴った。
僕には作戦があった。とにかくガードを固めてみゆきが疲れるのをまつつもりだって。
みゆきは意地になってパンチを連打。ガードの上からでも結構痛い。
みゆきの息が切れてきたチャンスだ。顔面はガードしているのでまずボディボブローをみぞ下に打ち込んだ。
「うっ」みゆきがくるしそうにうめいて手でお腹をおさえた。
チャンスだ。顎にかするパンチがヒットみゆきは倒れて泡をふいた。
だがカウント9で立ち上がってきた。
だが目の焦点がすでにあってないようだ。ロープを背にしてなんとか立っているのがやっとのようだ。
ロープでダウンさせないようにし右左を連打前のめりに倒れようとしたのでとどめのアッパーで仰向けに寝かす。
カウント7で立ち上がろうとしたが崩れおちた。
1分19秒達也選手のKO勝ちです。
KO勝利の快感に酔いしれていてが、少したつとみゆきの事が気になった。
トロフィーをもらった後みゆきの控え室にいってみる。
「大丈夫又むきになってしまった。ごめんね」
「有難う。もう平気よ。たっちゃんのパンチ強烈だったよ。又戦おうね。今度は傷つき倒れたたっちゃんを開放してあげるわ。
明日から他の女の子との試合が有るけど私とやるまで負けないでね」
「なるべくがんばるよ。」こうして僕とみゆきのデビュウー戦はおわった。



第2話 トラウマ克服

デビュー戦に勝利して、約束どうりみゆきと結婚した。

その後改めてミックスボクシング協会の規約を見たが

驚く事ばかりだった。

登録料とコスチュームグローブ等合わせて20万円先払い

控え室には本人が気がつかない間に筋力を測る設備が有り僕らがいる最弱クラスは、

一定以上の筋力があったら試合に出れず、

つまり試合に出れたという事は筋力が無いということになる。

この基準は男女同じではあるが、やはり女子で超えるものより

男子で超えるもののほうが圧倒的に多い。

つまり僕はかなり弱いぶるいの男であると再認識させられた。

あまりに体が弱いとやはり参加出来ないのではあるが。

後女子に限り妊娠中は参加出来ない。

これも控え室にいる時に知らずにチェックされている。

試合に出るにはさらに10万円払わなければならないが、

KO勝ちすれば100万円貰える。

男子選手は青いとランクスに青いグローブさらに青いリングシューズで

女子選手は赤いトランクスに赤いブラさらに赤いシューズに赤いグローブ

で男女対戦のみ行う。

後で判ったのいだが前回の試合ではみゆきがすべて立替ていたのだ。

男女とも勝った方が夜の付き合いを望めば負けた方受けなければ登録料がパー

になる。15ラウンド戦って引き分けの場合は双方の参加料がパーになり

勝ちはKO勝ちのみが認められる。

メディカルルームには最新の医療設備が有り顔がはれたり、

死人すら時間がたって無ければリングに上がる前の状態にもどせる。

当然みゆきも僕との試合で顔ははれアザだらけだったが、

帰る時には何事も

前回の試合の後に言っていた僕をかいほうするとは心理的ダメージ

を癒すということのようだ。

会場となっているのはバブルが弾けて工事が中止された地下鉄の駅予定地であった。

この協会の収益は入場料の他どちらが勝つかあるいは引き分けるか

賭けさせる。あと試合中及び試合後の肉体及び精神状態を

触らずに調べる機械があり、医療や体感ゲームなどのデータを取ること。

後弱い男女が真剣に戦うのが好きなとある国の王が資金を提供し

日本の無利子国債を購入する条件ともしており

日本政府も黙認している。後ルールは取った賞金は相手に分ける事が禁止

などなどである。

(ピンポン)規約書を見ていたら家に客が来た。

「げ」僕が規約書を隠そうとすると

「わざわざ出しておいたのにしまわないでよ」

みゆきが言った。

そしてみゆきがドアをあけると、みゆきの親友で僕とも顔みしりのみゆきと

愛がいた。

「いらっっしゃい。愛ちゃん」

僕とみゆきが声を合わせていった。

どうやら愛に見せる為だったようだ。

「達也さん私と試合して下さい。」

いきなり愛がいった。

「達也さんなんて水くさいなっ・・・て試合?」

話によると少し前強姦に襲われたらしい

その後僕とみゆきの試合にみゆきが呼んでいたらしい。

そして、ダウンしながら1度は立ち上がったみゆきと、

女の子相手でもなめずに(なめている余裕などなかったが)全力で戦った僕のすがた

を見たそうだ。

「相手の男はへらへら笑いながら体をいじったのに自分はなにも出来ずに

震えていたのが悔しくて。勝てないまでもなぜまったく抵抗できなかったのかって

自分で自分がいやになっていた時にお二人の試合に呼んでもらって、

「他の男の人と試合しても怖くて何も出来ないと思うんです。

でも気心のしれてるでもたっちゃん、いや達也さんとなら勇気をもって戦えるかも。

そうすればたとえ負けても自分はこんなにすばらしい男の人を相手に最後まで

戦う事が出来た。てなれば自分を卑下しないで生きられるような気がして。」

「ちょっとまって。昔みたいにたっちゃんて呼んでよ」

いえもうみゆきちゃんの旦那さんなんだからそんなふうによぶのは」

「そんなこと無いわよ。べつにたっちゃんが嫌いじゃないけど、私は約束だから結婚して

 あげただけよ。たっちゃんさえよければ、私と別れて愛ちゃんと一緒になっても

 どこまでも祝福するわよ。どうたっちゃん?」

「2人ともとってもかわいいから2人とも僕のものにしたい」

「まったくしょうがないな。じゃ愛ちゃん2号さんでも良い」

「はい但し、私に勝ったらですけど」

「それじゃ試合するしか無いな」

かくして僕は愛と試合する事になった。

みゆきは白状にも愛のセコンドについている。

「なんで僕に付いてくれないの」

「たっちゃん規約最後まで見てないの。女子選手は女子選手のセコンドにしかつけないのよ」

そうなのだ。この協会の試合はあくまで男女対抗で男子選手は男子選手女子選手は女子選手のセコンドにしかつけない。セコンドも試合と同じ格好をする。もっともグローブは付けて無いが。

よいよ試合開始だ。ゴングが鳴った

愛はやはり怖いらしく振るえながら、ガードしている。

だがいつ攻撃に転じるかわからないので、ガードを固めながらガードの隙をついてボディにパンチをいれる。「いたい」闘争心剥き出しだったみゆきとちがい、目が涙ぐんでいるが、

手加減する余裕は無い。愛がくるしそうにガードを下げる。今だ。得意の顎にかするパンチをはなった。だがしっかりガードされた。

こちらもガードしながらその隙をついてうつ。

だがガードされこちらの隙をついて打ってきた。

「くう。」

みゆきのやつ色々作戦を授けたようだ。次私とやるまで負けないでなんていってたくせに。

とにかくこっちにも作戦は有る。

わざとガードを空ける。

案の定うってきた。すかさずガードしつつカウンターだ。

みごとに決まってよろけている。チャンスだ。左右連打を放った。

愛が倒れてきた所にすかさずアッパーをはなった。

みごとにヒットしたが愛もボディブローをはなっていた。

愛は後ろ向きに倒れたが僕もひざまずいてしまった。

僕はすぐに立ち上がる。

だが愛もカウント7で立ち上がってきた。

愛がふらふらしながらガードを下げた。

チャンス、いやまて。カウンタ-ねらいに違いない。パンチを放つふりをすると

案の定ガードをあげつつうってきた。

だがこちらも逆にクロスカウンターだ。

みごとにきまった。愛は前のめりにたおれた。

こちらもかなりきている。また愛が立ち上がってきたら次こそやばい。

だが愛はロープをつかんで立ち上がろうとしたが。再び崩れた。

苦しいながらも勝つことができた。

「こらクロスカウンターなんてやりすぎだぞ」

みゆきはどなって僕をにらみつけた。

そして愛に付き添いながら控え室にもどっていった。

なんとか勝ってホットすると僕もリングの中で崩れていった。

気が付くと愛とみゆきがいた。

ここはメディカルルームだ。

「よかった気が付いて。有難う全力で戦ってくれて。」

どうやら愛が先に治療されたようだった。

「さっきは御免ね。あの後愛ちゃんに怒られちゃった。」

どうやら全力で戦った事に感謝していたのに、やりすぎといったので怒ったらしい。

「それにしてもさっき戦ったのが嘘みたいに痛みが無いな。ここの設備はすごいな」

「そうね愛ちゃんも傷ひとつなくなっているしね。」

みゆきが笑いながらいった。

「これで可愛い愛人が出来たわけだ。しかも嫁さん公認の。」

「はいはい。これからは仲良く3人で暮らしましょう。但しリベンジはするからね」

愛も笑いながらいった。とにかくこれで2戦2勝2KOだ。

後日談だが、味をしめたレイプ魔が再び愛を襲ったらしいが、パンチを一発はなったら、

鼻血を出しながら逃げていったらしい。トラウマは完全に克服したのは良いとして

、僕は時々二人にKO負けする夢を見るようになった。

正直次の試合は怖い。でも第3話の構想が有るらしい。

僕はいつ終わるとも知れない戦いを続けなければならないようだ。


ミックスボクサー 第3話

 

お嬢様の挑戦

 

ミックスボクサーになってから賞金が入るので、たまっていた家賃や借金を順調に返せてはいたが、まだまだ生活費をかせがかければならない。

仕事も相変わらず無いので次の試合をやらなければならない状況であった。

だがリベンジに燃えるみゆきと愛とはしばらく試合が出来ない。

弱小クラスに登録されている全女子ボクサーと試合をするまで駄目な規約なのだ。

正直2人とはやりたくない。こちらの作戦もすっかりばれているし。

次の対戦相手を登録選手から選ぼうと事務所にむかった。

事務所で登録選手で、試合希望の女子選手をパソコンで探そうとすると、

「川上 達也さんですね?」後ろから女が声をかけてきた。

「私叶 さやかと申します。試合を申し込みたいのですが?」

叶 さやかといえば叶グループ会長の孫で、女子プロボクサーじゃないか。

冗談じゃないこっちは弱小クラスだぞ。

「あの申し訳ありませんが、叶さんはプロだから弱小クラスの僕との試合は組めないはずですよ」

「いえ非公式な試合を受けて欲しいんです。私に勝てば3億円上げますよ」

「たとえ3億が10億でも勝算が無い以上受けても意味がありません。」

「話は最後まで聞いて下さい。試合を受けるだけで負けても3千万円出しますよ」

「つまり3千万円でやられ役をやれっておっしゃるのですね。まあぼこぼこにされてもメティカルルームなら直るし良いですよ」

「でも川上さんには勝つのを諦めてもらっては困るのですよ」

「無理言わないで下さい。自分の能力ぐらいわかりますよ。」

「ですからハンデをあげますよ。まず川上さんとの試合の前に女子日本タイトルマッチに挑戦者として出ます。これで疲労とダメージを受けた状態で川上さんとの試合をします。」

「それは意味が無いですね。ここのメディカルルームなら疲労もダメージも残らないでしょうから」

「ご心配無く。メディカルルームにはよらずに試合にでます。無論ハンデはそれだけでは有りません。川上さんはヘッドギアをつけて下さい。後グローブも私は16オンスで結構です。」

「それなら多少は勝算も出てきますね。ところでなんで僕と自腹で3千万円も出して試合したいのですか?」

「それは、川上さんが女性の敵だからです」

「ちょっとまって下さい。たしかに結婚しているのに愛人がいるのは問題ですが

2人ともその事は承知してるんですよ」

「それだけでは有りません。2人を殴り倒してものにした」

「それだって僕から言い出して試合を行ったわけでは有りません」

「わかってますよ。本当に川上さんが憎かったら3千万円なんて出しませんよ」

「え、それじゃ?」

「たんなる私のわがままです。女子ボクシング新チャンピョン、ハンデを者ともせず

女の敵を退治てことでかっこつけたいだけです」

なるほど。まあやられ役は好きでは無いが3千万円の為だ。

「わかりました。お手柔らかによろしく御願いします」

「いえいえこちらこそ」

そして試合当日。

女子ボクシングは表の試合(地下では無い)ので行われている会場も違うので

自分の試合の前に控え室のテレビで観戦していた。

試合結果は3叶さやかの3ラウンドKO勝ちだった。

試合後ミックスボクシング協会の会場までタクシーで5分ほどでついたらしい。

よいよ試合を行わなければならない。試合を見る限り僕にまったく勝算が無い。

とにかくガードを固めていくしか無い。試合開始である。予定どうりガードを固めた。

とても16オンスの威力とは思えない。凄まじいパンチが雨のように飛んでくる。

ガードをしているこっちが息があがってしまている。

さやかはまったく疲れを知らないようにみえた。

やはり勝てないか。とにかく3億円は諦めて3千万円をなるべく痛くなく貰おうと思ったそのとき「キャー」最前列の客席から悲鳴が上がった。するとさやかもなぜか悲鳴を上げてガードもせず震えている。今しかない。顎にかするパンチボディーブロー左右のストレートそしてアッパーとにかく渾身の力をこめてなぐった。殴られたダメージと精神的ダメージで立ち上がれないようだ。10カウント入りタンカーで運ばれていった。

しばらくたって僕控え室にさやかがやってきた。

「約束の3億円ゴキブリのおかげとはいえあなたの勝ちよ。」

これで謎がとけた。ゴキブリが客席にいたらしい。そしてそれをみたために動けなくなったようだ。「川上さんに御願いがあるの。私がゴキブリ恐怖症を克服出来たらもう1度試合してほしいんだけど。こんどは川上さんが勝ったら十億負けても3億出すから」

よほど悔しいのだろう。それにしてもこの人の家にはいったいいくら有るのか。

判りました。とにかく挨拶をしてわかれた。もう1度さやかと試合してぼこぼこにされるまで試合はやめようとおもったが、「あの達也さんですね。さっきの叶さやかさんとの試合で、プロに少しも臆する事無く向かっていった姿に感動しました。ぜひ次は私と試合して下さい。」そういわれると受けざるおえないのが僕の性分だ。まだ今後も戦い続けるさだめのようだ。まだまだ僕の戦いは続くのだった。


ミックスボクサー第4話

 

双子女子高生との対戦

 

さやかとの試合で感動したという女の子の話を聞く事にした。

「私とある女子高校の生徒で川島 亜美といいます。」

「女子高生?ご両親に知れるとまずいんじゃないの?」

「いえ、とある事情で私のやりたい事は好きにやって良いとの許可はもらってます」

ミックスボクシング協会は16歳以上は参加出来る事になっているが

 未成年は親権者の許可がいることになっている。

こんな協会に入る事をゆるす親っていったいどんな親だろう。

「亜美ちゃんだめだよ」

かけてきたのは亜美そっくり、恐らく双子であろう少女だった。

「いくらお姉ちゃんでも、私のやる事に口出す権利は無いよ」

「でも」少女はそう言われて涙ぐみながら僕に

「御願いします。こんな試合受けないで下さい。妹の亜美は末期癌で

 とても試合にたえられる体ではないんです。医者からも後半年の命と言われてます。あ、私姉の由美といいます」

「ちょっとまって僕は用事を思い出したから受けるかどうかはあとで決めるよ。」

とにかく僕はメディカルルームに向かった。

彼女達もついてきた。さすがに中には入らなかったが。

しばらくして僕がメディカルルームから出てくると2人とも待っていた。

「やはり挑戦された以上受るよ」

亜美は微笑んで、「どうも有難うございます。」と礼をいった。由美は僕をにらみつけて

亜美と一緒に帰っていった。

少し経つと僕の携帯に電話がかかってきた。

「私由美です。」

「なんで僕の番号しってるの?」

「私もミックスボクシング協会に登録させてもらったので」

なるほど。

「八百長を御願いするのは気が引けるのですが、亜美に負けてあげてもらえませんか。

それが駄目ならせめてボディブローだけでもやめてもらえませんか」

「どうしてボディブローが駄目なんだい?」

「亜美の癌は胃がんなんです。いくら末期でも後半年は生きられるはずなのに死にかねないんです」

「それは貴重な情報どうも有難う」

「まさか!わかりました。なら亜美との試合の翌日に私との試合も受けて下さい」

「いいよ。じゃそういう事で」

この試合を受けた事でみゆきも愛もかなり怒っていて亜美のセコンドについてしまった。

 

『カーン』第一ラウンドがはじまった。

僕は普段はガードをしっかり固めてというところだが今回はわざとガードをがら空きにして打ってきたところをかわしながらカウンターでボディブローを打ち込んだ。

「うっ」

さらにボディーブローを打ち込みながらコーナーに追い込む。さらにひたすらボディーブローを打ち込んだ。普段ならアッパーや顎にかするパンチでトドメを刺しにいったり、

反撃を防ぐためガードしたりするのだが、今回はひたすらボディブローを打ち込む事に専念した。当然かなり反撃をくらったがコーナーで倒れないようにボディーブローを打ち込んだ。たがてレフリーが止めにはいった。初めてのTKO勝ちで有る。

だが今回はこちらももろに反撃をくらったので立っているのがやっとである。

「たっちゃん今回おかしいよ。もった楽に勝てるのに。」

思わずみゆきが叫ぶ。

「癌てのは最後は散々苦しみながら死んでいくんだ。ここで死ねた方がよっぽど楽だと思うけど」

僕の一言に由美もみゆきも愛も固まってしまった。

とにかく翌日由美との試合である。憎しみと殺意のみが見える。予定どうりだ。

『カーン』試合開始だ。

今回は亜美との試合と違いひたすらガードを固める。だがプロチャンピョンのさやかをも凌駕する威力のパンチだ。これでは長くはもたない。

だが「お姉ちゃん」亜美が客席に入ってきたことで、由美はびっくりしながら亜美の方を見ている。今だ。僕はボディ、顎にかするパンチそして左右ストレート、とどめのアッパ−を打ち込んだ。由美は崩れおちた。10カウントはいった。だが自分の体より亜美の事が気になるらしくて、ふらふらしながら立ち上がり亜美の方をめざした。

「ご免ね。試合中に声かけて。でも私直ったんだよ」

みゆきも愛も由美も状況を理解していないようだ。

僕が説明する。「ここのメディカルルームは他で直せない病気ですら治せる設備がある。

ところが、試合にかんする怪我とその影響が有る範囲しかけして直さないんだ。

話を聞いてメディカルルームにいって散々交渉して、さやかお嬢様からもらったおかね

を払うといっても相手にしてもらえなかたんだ。

まったくとんでもないよ。だから亜美ちゃんとの今回の試合は

負けても良いから、亜美のボディーにダメージを与えて、治療の対象にさせるのが

目的だったんだ。でも下手をすれば亜美ちゃんを殺す結果になりかねない。だから昨日は

ああいったんだ。」

それを聞いて由美、愛、みゆきは泣き出してしまった。

「ごめんね。たっちゃんのこと誤解してた」

みゆきが言った。

「どうして教えてくれなかったんですか。私亜美の命の恩人になら一方的に殴られて負けてあげてもよかったんですよ」

亜美が聞いてきた。

「それだと八百長で追放になりかねないじゃないか。

由美ちゃんには悪いけど亜美ちゃんが順調に回復していて由美ちゃんとの試合中に

気が付くとの情報をもらってたんだ。亜美ちゃんとの試合と違い由美ちゃんには

必勝の作戦だったんだ。かなり汚いけど、基本的に相手の命がやばいか大金がもらえる場合以外どんな事をしても勝ちたいものでご免ね。」

「もしよろしければ亜美を達也さんの愛人にして下さい。」

「由美も御願いします。亜美の命の恩人に一生つくしたいんです」

「それはみゆきちゃんと愛ちゃんがやきもちをやかなければかまわないけど」

「私達は亜美ちゃんも由美ちゃんも歓迎するわよ。ただしちゃんと高校を卒業してからね」

「念のため聞いておくけど由美ちゃんも亜美ちゃんも僕にリベンジをねらって無いよね?」

すると亜美は

「リベンジなんてとんでもないです。胸を借りるつもりでもう1度挑戦したいだけです」

「それってあまりさやかや愛と変わらないんだけど」

「違うわよ。私達は必ず勝つつもりでいるんだから」

「おー怖。由美ちゃんは?」

「私は亜美と達也さんの試合以外は達也さんを応援したい。もし又試合する機会があっても負けてあげたいし、セコンドについて勝利に貢献してあげたい。ただ亜美と達也さんの試合だけは亜美のセコンドで亜美の見方になるけど。ごめんなさいね」

「由美ちゃんは妹思いの優しいお姉さんだね。でも女子選手が男子選手のセコンドには規約上付けないんだけど。あくまで男女対抗なんだよねこの協会」

「そうなんですか。なら対戦相手のセコンドについてスパイしてあげます。達也さんは卑怯な手を使っても勝ちたいんでしょ?私自身に盗聴器を付けて達也さんに受信してもらいますよ」

そうか盗聴器を付けられた事に由美が気が付かなかった事にするば、この協会では反則ですら無いのだ。

「たすかるよ。これで今後の試合は大分楽になりそうだ」

「まったくずるいんだから。悪いけど私達とたっちゃんとの試合には由美ちゃんはセコンドに付けないからね」

みゆきが笑いながら言った。とにかく、みゆき、愛、亜美以外との試合には心強い見方が出来たわけだ。それなら早速次ぎの試合を申し込みに行こう。


ミックスボクサー第5話 

恐怖の覆面ボクサー

ミックスボクシング協会に入っていらい強い相手こそ恐ろしいと思っていたが、今回の試合でそうでは無い事を思い知らされた。由美というスパイを得て次の試合の相手がいるか協会に確認しに行った。ところが受け付けで、「いけませんね。ミックスボクシング協会はあくまで男女対抗男子選手が女子選手の力を借りてはいけないのです。」「何のことかしら」由美がとぼけた。知らないうちに騙してつけるならOKですが、由美さんは盗聴器の事をご存知だと解っています。」「なぜ解ったんですか?」「ふふふわれわれの情報網を舐めてもらっては困ります」この協会は底知れぬ恐ろしい協会だ。でもだとすると、あらたな謎が出来た。とにかくその謎を解明してやろう。とその時は思ったがその後の恐ろしい相手と会ってすっかり忘れていた。次の相手は覆面をかぶっている。

でもその事が恐ろしいのでは無い。殺気に満ちた目、そう前回の、試合の由美の目だ。前回の試合は怨まれる覚えもあったし、その後憎しみがとける事がわかっていたから

まだ良かった。それでも恐ろしい殺気であった。だが今回は。「あんた川上達也だね」

いきなり呼び捨てにされた。「はいそうですが」と答えたがとてつもない殺気を感じた。

呼び捨てにされた事で僕では無く付いてきた由美の方が怒ってしまった。

「いきなり呼び捨てはないでしょう」「おいおい対戦相手に挑発ぐらいはしてくるさ」

由美のおかげで我を取り戻す事が出来た。怒りではなく恐怖から。

「私との試合を受けなさい」「良いでしょう。但し覆面を外して素顔での対戦なら」

とにかく恐怖の原因が覆面に有るなら外させないと。

「それは出来ないわ。そのかわり

あんたに、ハンデをやろう」

「ならこっちだけヘッドキア有りこっちは6オンス貴女は16オンスでどうです」

我ながらむちゃくちゃな条件だがこれでさすがに覆面を外すだろうと思った。

が「良いわ。それでやりましょう」

16オンスのグローブにヘットギアこの条件でKO出来る力を持った選手は弱小クラスにはいられない。もはや100%勝ちだ。それでもとてつも無い不安は拭えない。

「もはや勝利確定おめでとう」由美は能天気に言う。

「由美ちゃんなにも感じなかったの?」「え?」

「そう前に由美ちゃんと試合をした時と同じ殺気に満ちた目を」

「だってあの時は亜美の事で殺意さえもっていたけどあの人にそんな理由は無いでしょ」「以前由美ちゃんと戦ったからわかるんだ。でもしあの時亜美ちゃんが僕のせいで死んで、そして僕が勝っていたら由美ちゃんどうした。」「え?ちょっと答えずらいな」

「解るよ。ご免ね。でもその意見によって対策を立てないと僕の身が危ないかもしれない」「そんな事は無いと思うけど。まあ言いにくいんだけどナイフを用意して後ろから襲うつもりだった。今考えるとこんな良い人を殺そうとしていたなんてぞっとするけど」「有難う。これでこちらも対策を立てようが有るよ」

いけない由美がおちこんでる。由美ちゃんには笑顔が一番だよ。今後の事を考えると今回は作り笑いに過ぎないが。由美も笑ってくれて少しほっとした。

とにかく試合の日が来た。準備は万端だ。と思ったら会場入り口で、

「凶器の類を持ち込まれては困りますね」「これは護身用と・・・今回は必要なもの

」「とにかく帰りまで預からせてもらいます。」

準備は無駄になったが、「私が付いているから大丈夫ですよ」由美が心配してさやかお嬢様を

よんでくれていた。「どうもわざわざすいません」「リベンジする前に死なれたら困るからね。」

これで帰りまでは手が出せないだろう。覆面ボクサーもこの会場に凶器は持ち込め無いはずだし。

カーン。試合開始だ。取りあえず、いつものようにガードを固めてカウンター狙いだ。

今だ。いきなりカウンターで強烈なストレートをおみまいしてやった。かなり利いているはずなのにまったく衰えずに打ってくる。が予想どうり僕のパンチのみが一方的に当たる展開になった。

やがて崩れ落ちる覆面ボクサー。もろにパンチが当たりまくっているはずなのに恐るべき殺気をはなち立ち上がってくる。最初は余裕だったがゾンビのように何度も立ち上がってくる。

パンチを当てているのは僕の方だ。しかし恐怖を感じているのも僕の方である。

さやかお嬢様と戦った時でさえ感じなかったとてつもない恐怖を。

今までの試合で感じなかった恐怖を。やがてレフリーが止めに入った。覆面ボクサーは血まみれで試合続行不可能と判断したのだろう。僕のTKO勝ちだ。多分このまま続けていたら覆面ボクサーは死ぬまで立ち上がって来て。僕は最終的に、覆面ボクサーを殺していただろう。

勝ったと言うのに少しも気持ちが晴れない。覆面ボクサーは多分僕を帰り際で襲って来るにちがい無い。控え室に戻る途中も何か殺気を感じていた。まあさやか嬢が付いていてくれれば問題ないだろう。ところが「キアー」ゴキブリで有る。僕が靴でひっぱたいて殺した瞬間に殺気が走る。覆面ボクサーがナイフを持って突進してきた。あのナイフは。由美が割って入った。由美の白いTシャツが赤く染まった。「何て事するんだ。」切れたのはさやか嬢だった。ボディーに一撃

「ぐしゃ」内臓が破裂する音だった。これがさやか嬢の本当の実力だった。1激で相手を殺せる実力で有る。普段はプロの試合でさえ(僕との試合ではかなり)手加減しているのがわかる。

「ちょっとやりすぎだよさやかさん」「由美ちゃんを殺されたのに良く冷静でいられるわね」

「あのナイフじゃ傷一つづけられないよ」「え」「そうこれは僕が用意していたナイフで刺すと刃か引っ込み赤い液体が流れる。しばらくすると綺麗に消えるもので没収されたものだよ」

なぜこのナイフが覆面ボクサーに渡ったかは後で突き止めるとしてとりあえずメディカルルームに運ばなきゃ。「由美もいつまでも固まってないで運ぶ手伝って」

「さやかさんもお願いします」

メディカルルームでは覆面ボクサーの蘇生が行われる。僕との試合の後でまだふらふらしながら襲ってきたのが幸いだった。試合の怪我が含まれ無ければメディカルルームは使えない。

さて覆面ボクサーは助かりそうだから僕はもう一つやることが有る。

「どうしたの?怖い顔して」由美が心配そうに聞いた。

「さやかさんとの試合のゴキブリから今回のゴキブリとナイフまでこの協会がかかわってるはずだ。聴き出せないかもしれないが真相を確かめる。事務局に乗り込んでやる。」

第6話でこの続きは話たいと思う。

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