僕は若松堂雄一とある元女子高の生徒です。

元といっても現在も自分以外に男子生徒はいないのです。

なぜ女子高に入る事になったかを含めてお話していきましょう。

話は中3の2学期の終業式の日に遡ります。

当時の家族構成は父と母と姉と自分の4人でした。

「なんなのこの成績は。これじゃ高校にいけないでしょ。

今日から温泉旅行のはずだったけど雄一は一人で家で勉強していなさい」

「そんな。」

母のあまりに理不尽な言葉にショックをうけていた。

「日ごろから私をプロレスでいじめてたから罰だよ」

とんでもない姉である。小さいころさんざんプロレスでいじめていたのは

姉の方で最近になって力がついて復習していただけなのに。

結局翌日僕をおいて3人で出かけてしまった。

「馬鹿やろう。交通事故で3人とも死んじゃえ。」

まさかこの言葉が現実になるとはおもいもしなかった。

数時間後電話がかかってきて「こちら箱根町警察署ですがご両親とお姉さんが事故でなくなりました。」とにかくショックではあるが翌日警察署にいった。

追突事故で崖からおちたそうだ。加害者の男は二階堂茂といい政財界の大物でまたカーマニアとしても有名な人物だった。

「きみにはどんな償いをしても償いきれないが私に出来るだけの事はするつもりだ。

で良かったら二階堂の養子にならないか?」

「何を考えているのですか?まあ良いでしょう。あなたなら僕に負い目を感じているから大抵のわがままはとおるでしょう。大きなお屋敷に住んでみたかったし。」

「そうすれば出来る限りの償いもしてあげられるから」

かくして二階堂家の養子になった。正式な養子では無いが。二階堂という人物の計算高さをあとで知る事になる。

二階堂家は夫婦及び僕と同い年の娘の3人だった。

二階堂の娘若菜は、ケイキや料理を作って僕の歓迎パーティの準備をしていてくれた。

「これ若菜ちゃんが作ったの?」

「そう、お口に合うか判らないけど」

「とってもおいしいよ。それに僕の為にこんな準備をしていてくれて嬉しいな」

「え?」若菜が不思議そうに僕をみた。

「どうしたの。若菜ちゃん」

「だって私の父が雄一さんの両親とお姉さんを殺したのよ。料理をひっくりかえしてあばれる位は想像してたのよ。それでもゆっくり時間をかけながらわかってもらおうと思っていたのよ。」

「ははは、二階堂のお父さんにわだかまりが無いと言ったら嘘になるが、若菜ちゃんには無いよ。それに僕は所詮宿木だよ。学校の成績からも自分一人の力で世の中を、わったていけるとは思えないよ。だからこそ二階堂家の養子にしてもらったんだよ。宿木というのは他の木に寄生して生きるんだ。寄生している宿主が倒れれば一緒に倒れるしかないんだよ。

二階堂のお父さんを恨んでいられる状況じゃ無いさ。今の成績じゃ高校も無理だし。」

「雄一さんって本当に優しいのね。そうだ雄一さんのわがままなら大抵通ると思うから

御願いが2つ有るんだけど。まず1つは私立芸能女子高校に私と一緒に行きたいっていってほしいの。雄一君も可愛い芸能人の卵の女の子と一緒に高校生活を送れればラッキーでしょ?」

「あの芸能関係の女の子だけが通う学校?。僕は男で芸能人じゃないよ」

「父があの学校にもかなり出資しているから」

「まあ駄目もとでいってみるよ」

正確には芸能高校で男子部と女子部が有るがスキャンダルをさけるため

かなりはなれた場所にある。

「ところで雄一さんプロレス好き?」

「昔は姉にプロレスでいじめられてたけどつい最近は逆だったよ」

「じゃ女の子とプロレスするのもいやじゃないわよね?」

「まあね。ただそういうとらうま、が有るので、男同士の時よりかなりむきになるから

 とても手加減は出来ないと思うよ。」

「それならば芸能女子高校にプロレス部をつくるようにたのんで欲しいの。

 父は雄一さんの言う事は大抵聞くと思うから、プロレス部設立の許可とリング等の設備

の購入をたのんでよしいの」

この二つの条件はむちゃくちゃで有るが少し二階堂の父を困らしてやろうとの考えもあった。そのくらいの復習は許されるだろう。

「OK聞いてみるよ。それから僕の事はお兄ちゃんてよんでくれない。もう家族なんだから」

「わかったはお兄ちゃん。私もそういってくれるとうれしいわ。」

「若菜ちゃんみたいな天使のように可愛い子にお兄ちゃんて言われるとうれしいよ」

「やだお兄ちゃんたら。あお父さんお帰り」

「話は聞いたよ。まあ若菜が言うだけなら断るが、雄一君が若菜と仲良くしてくれるなら

私としてもありがたい。特別に許可しよう。それにしても雄一君が感情に流されずちゃんとした計算が出来る男のようで助かるよ。」

「パラサイトの話を聞いてたんですか?怨んでばかりいてもなにも進みませんから。

とにかく有難うございます。お父さん」

「いやこちらこそ今後も若菜と仲良くしてやってくれ。それでもしよかったら二人を将来結婚させるつもりだ」

「お父さんずるいよ。損害賠償の請求を雄一さんいやお兄ちゃんにさせて、家の全財産を請求金額にさせて、そう上で私と結婚させて、最後にお兄ちゃんを順禁治産者して、

私を後見人にすれば相続税0で事実上相続させられるからって。私はそんな事の為に司法試験を目指してるわけじゃないよ」

「そうだったのか。どうりで正式な養子にしないわけだ。まあ良いよ若菜ちゃん。僕若菜ちゃんのこと好きだし。それに僕は宿木として一生パラサイトしていくから税金なんて取られないにこした事ないから。それにこれだけの財産があったら僕なんかが管理していたら危険だから準禁治産者にするのは間違ってないと思うよ。ただ若菜ちゃんが僕との結婚がやだったら別だけど。」

「そんなのと無いよ。お兄ちゃん優しいし。お兄ちゃんさえ良ければそれで良いよ。

でも順禁治産者の意味解っているの?」

「僕もあの事故の後多少法律をかじってたからね。順禁治産者とは浪費家などで自由に

財産を処分出来ないように裁判所に申したてられた人の事で後見人の同意が無いと財産

を処分出来ない立場でしょ。パラサイトにはそれで十分だよ。まあ二階堂のお父さんなら

僕を浪費家と裁判所に認めさせるのは簡単だろうし。形だけとはいえ僕が二階堂の全財産を握れるし。それに女子部に男子を入れたりプロレス部を作ったりすることで、社会的に多少なりとも批判を受けるわけだから僕の復讐心もうせるってもんさ」

というわけでプロレス部が設立された。僕を事実上の養子にしたのは相続税を払わないという魂胆があった事がわかったがそんな事はどうでもよかった。

だが実際にはそれ以外にも魂胆があったのだ。

とにかく入学できた。出資者には逆らえないらしく一般男子を入れるテストケースとして入学できた。そしてプロレス部設立である。

プロレス部には若菜の他に可愛い子ばかり6人はいってきた。

正確にはこの学校には可愛い子しかいないのであるが。

「ゆき、まどか、はるか、裕子、しずか、ともみ」

の6人である。

リングも特殊素材のマットも客席にテレビ中継の設備さらにさらに学校の隣りに病院まで

設置された。マットは普段はしずみ込まないが強い衝撃が加わると柔らかくなるものだった。病院は学校専用では無く一般の病院では有るが。

僕は本名では無くセクハラマスクなる唯一の悪役である。まあ身長が160しかないのに体重が100kgもあれば当然ではあるが。

この部の恐ろしいところはろくに練習もしないで毎回試合をするところだ。

いくらプロレス好きといっても安全の為打撃技及び飛びわざ禁止では女の子達には

僕に勝つ要素など無かった。だいたいパターンとしては力で押し倒しお腹の上で体重で

押しつぶしほとんど抵抗出来なくしてから間接技で苦しめた後ホールで終わり、これで一方的にせめて終っていた。

テレビ中継やビデオ販売まで行っていたので、学校にかなり抗議が有ったようだが

それを黙らすのに僕の家族の事故の話を使っていたのだ。

ようするにこうだ。僕は家族を殺されたにもかかわらず普段は普段は優しい兄で有り

息子で有る。どうしても割り切れない思いをどこかで発散させなければならない。それを知っているので妹とその友人はやられ役をあえてやっている。で仕上げがこうだ。あなたは家族を殺された事が有りますか。

私は戦争でアメリカ人に殺されそのアメリカ人から仕事を奪う為必死に働いて今の地位

を築いた。そんな自分が車を走らせるという喜びを見つけてその恨みからようやく開放

されたやさきにこんな事故をおこした。なのに雄一君は普段は私や娘にとても優しい。

だからせめて私が世間からどんな批判をうけようと彼のやりたい事をさせたい。

これで抗議や批判がすぐに消えさっていった。

しかも実は今回のテレビ中継やビデオ販売で父は莫大な利益を上げていたのだ。

宿木になるつもりが売上に貢献していたのだ。交通事故を逆に利用して僕を養子に

する事で逆に世間から好印象を勝ち取りプロレス部までもその一躍を持たせつつ

利益を上げて、さらに相続税0で遺産を娘に相続させる。恐ろしい人物だ。

まあプロレスごっこで事実上美味しい思いをしてそれでも世間は割りと同情的だったりするので良しとしよう。

それよりも試合でいつも一人で美味しい思いをしているので終った後控え室であやまっていたが、別にうらまれてはいなかった。

「テレビで受けてるしこれでお仕事(芸能活動)も増えてるから全然OKよ。

むしろ、感謝してるぐらい。これからも宜しくね」

てなかんじで控え室ではきがねなく僕に着替えを見せてくれたりすらした。

もっとも僕も見られたが。

全員を僕が倒した日「じゃ明日はバトルロイヤルにしましゅう」

まどかがいった。

僕への復習戦というわけだ。僕一人が散々たのしんだのだからしょうがない。

でもみんなが、「ごめんね。こん回だけはいじめみたいになっちゃうけど後でみんなで

優しく介抱してあげるからゆるしてね。」

「いつもみんなに酷い事してるのに優しくしてくれてるから今回恩返し出来ると思うと

 ちょっと怖いけど嬉しいよ」

「雄ちゃん(僕の事)て優しいね」

「さすが若菜ちゃんのお兄さん。男の中の男」

「ははは」

とにかくはでにやられようと思った。

よいよバトルロイヤルの日である。

いつものように観客(入場料を取っているのがとんでもない)にテレビカメラで撮影もされていた。若菜は体調が悪いと言ってこの試合には参加していないが。

「カーン」

試合開始である。やはり予想どうり両手両足を捕まえて見動きがとれない。

今日は派手にやられるつもりだったから良いのであるが。そして一人ずつ順番に

ヒップアタック攻撃を顔面にしてきた。基本的には飛び技は禁止であるが

危険性が少ないのでこれは良しだろう。顔面にくらって痛きもち良くは有るが。

その後一人づつコーナーでヒップを押しつける技、(アメリカのプロレスで良く使う技

らしいが僕は名前をしらない)をしてきた。やっぱり客受けをねらっているのは

さすが芸能高校である。このままみっともなくやられるのか、と諦めていたら突然

両手両足が自由になった。何がおこったのかと思ったら覆面をした少女レスラー

お邪魔ガールと名乗っていたが場外に6人を柔道の技で投げてしまったらしい。

さあ1対1で勝負よ。と僕に勝負をいどんできた。なげ技で場外に出されてはひとたまり

もない。足を掴みにいったらあっさり掴めてたおせた。もう体重で押しつぶして

ホールするしか無い。でもあっさりホール出来てしまった。

後で控え室にいって見るとお邪魔ガールが覆面を取った。

若菜である。僕を勝たせる為に後から乱入してきたのだ。それにしても若菜が柔道

をやっているのは知らなかった。「若菜うまくいったね。」なんて事は無い。プロレス

部の女の子達が僕に内緒で仕組んだ事だった。

「雄一君の誕生日に美しき兄妹愛。事故の話も有名だし覆面レスラーが若菜だってばれてるからかなり大衆受けすると思うよ」

この試合はみんなが僕へのプレゼントだったのだ。

「みんな有難う」

そしてその夜二階堂のお父さんに御願いをした。

「僕は卒業後も今のプロレス部を残したいし、他の小中高にプロレス部を作りたいって

ところには援助したい。小中高プロレス部支援連絡会を作って他の学校からも申し出

があったら支援して欲しいんだけど。」

「高校を卒業したら芸能高校の理事長と連絡会の会長をやれば良い」

それまでは私が連絡会の会長をやるから」

「お父さん有難う。」

うまくすれば又商売になるし批判は僕の事故の話で又回避できると思ったのだろう。

とにかく3年間はプロレス部を楽しんで、その後はその後はプロレスをやりたい小中高生

を支援するという目標ができた。がんばっていこう。

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