前回の闘いから一週間が経った。
彩は、いつものように道場で練習をしていた。
「!?」
彩が入り口に目をやるとそこには由美とカズキの姿があった。
カズキは彩との闘いで肉体的にも精神的にも大ダメージを受けたが、奇跡的な回復力で一週間という短期間で完治した。
「あら?カズキさん、随分早いお帰りね・・・ところで由美!あなた一週間の間どこに行ってたの?道場にも来ないで!」
「あたしは、一週間ずっとカズキさんと一緒に居たわ・・・正確には彼の看病をしていたんだけど」
由美の意外な言葉に
「どういう事?何であなたがこの男の看病をしてたの?この男はあたしの敵なのよ!」
彩は由美に激しく問い詰める。
由美は黙って彩を見つめている。
「何とか言いなさいよ!」
彩は由美の言動に我慢できなくなり、大声で怒鳴った。
「もう・・・あたしは彩に付いて行けなくなったわ・・・」
由美は悲しそうな目で彩に語った。
「どういう意味?あたしに付いて行けないって?」
彩は由美の言葉が理解できず、戸惑っている。
「由美!あたしに分かるように説明して!」
「この前のカズキさんとの闘い・・・あなたの残酷さを見て、幻滅したわ・・・プロレス素人のカズキさんに対してあなたは何を
した?」
「何って・・・あれはどちらかが、戦闘不能になるまで闘うってルールだったし、わざとあたしの体に触れたり、水着を剥ぎ取ったり、先にひどい事をしたのは、この男の方よ!あれくらいの罰は当然だわ!」
彩は自分は悪くない、悪いのはカズキの方だと由美に訴える。
「だから?だからあんな酷い事したって言うの?男の人の下着を剥ぎ取って、急所を攻撃して、勝負は着いていたのに必要
以上の攻撃をして、半失神状態で戦闘意欲が無く、ギブアップしてた彼にトドメを刺したって言うの?彩はプロ失格よ!あたし
は認めないし、許せない!」
「ちょっと待ちなさいよ!実際に闘ってない由美にそんな事言われる筋合いは無いわ!」
彩も言い返す。
「あたしは決めたの・・・カズキさんが彩にリベンジする為に、あたしがカズキさんにプロレスを教える!彩を倒す為にね!
一から教える訳だから今すぐに彩と闘う事はできないわ!その代わり・・・」
「その代わり・・・何よ!」
「あたしが彩と闘うわ!あたしが彩を倒す!!」
由美は彩を睨み付けて言った。
「本気なの?本気であたしと闘うっていうの?」
「本気よ!彩とのタッグも今日で解散するわ。」
最強のパートナーであり、良き理解者でもあった親友の由美にここまで言われて、我慢できなくなった彩は
「上等じゃない!二人ともぶっ潰してやるわよ!!」
彩と由美は激しく睨み合っている・・・そこへ。
「これは、これは・・・面白そうな展開になってきたわね。」
彩と由美の側に三人の女性が近づいてきた。
一人は黒のビキニに身を包み、手にはオープンフィンガーグローブ、足にはレガースを身に付けた、スレンダーではあるが、
パンチや蹴りなど打撃系の技に関しては彩をも圧倒する彼女の名前は沢村ひかる。
一人は145cmと小柄ながらも、その体系を生かしたスピードと空中技では圧倒的な強さを誇る、鮮やかなグリーンの
ビキニに身を包む彼女の名前は佐伯希。
一人はゴールドのビキニに身を包みスタイルは彩よりも上か?バストは完全に彩より上のスリーサイズ107・59・98という人間離れした究極のボディ!彼女の名前は竹金洋子、得意分野はその圧倒的なパワー!175cmの長身から繰り出されるライガーボムやノーザンライトボムの破壊力は凄まじく、彩や由美も何度も失神KОされている。
「あたし達五人の中で一回も闘ったことが無いのは彩VS由美だけよね?
そう言ったのはひかるだった。
「二人の間に色々あった見たいだし、今回が良い機会なんじゃない?」
嬉しそうに希が言う。
「確かに良い機会ね!そうだわ!この機会にあたし達五人で総当り戦をして最強を決めるのはどう?今のところ彩が最強
って事になってるみたいだけど、あたしは納得してないし、ひかるや希もそうなんじゃないの?もちろん・・・由美もね・・・」
少し興奮気味で話す洋子。
「ま、待ってよ!あたしは彩と決着を付けたいだけで、最強の称号なんて興味無いわ!」
由美は話がどんどん先走っていくのに戸惑いながら話す。
「そんな良い子ぶらないの!由美だって本当は自分が最強だって思ってるんでしょ?正直になりなさいよ!」
すかさず由美に問い掛ける洋子。
ひかると希は目を合わせ頷く。
「あたし達は受けて立つわよ。」
ひかると希は同時に言った。
「勝手に決めないでよ!あたしはカズキさんにプロレスを教える事になってるんだから!」
「由美さん・・・俺の事は構わないから・・・闘ってよ!正直になってよ!」
カズキは由美に闘うように説得する。
関係の無い三人が割り込んできて勝手に話が進み、目の前には話の発端のカズキが居て、イライラが限界に達した彩は
「あんたはうるさいんだよ!黙ってなさい!」
そう言ってカズキに張り手を食らわせた。
彩の張り手にしゃがみこむカズキ。
「な、何してんのよ!」
カズキの側に寄り彩を睨み付ける由美。
「いいわよ!こうなったら全員相手になるわ!あたしが最強だって事を教えてあげるわ!」
彩も闘いに賛同した。
「あとはあなただけよ・・・どうするの由美?」
希が由美に問い掛ける。
「わかったわ・・・あたしも闘うわ!」
ついに由美も闘いを決意した。
「その代わり、全てのルールはあたしに決めさせてもらうわ!それでいいかしら?」
全員が由美の意見に賛成した。
「時間は無制限、場外戦はあり、凶器はОK、攻撃は顔面・急所どこでもОK、カウントはダウンでの10カウントのみ、
ロープブレイクあり、ギブアップ・失神で終了、レフリーはあたし達で交代でする・・・こんな所かしら?ウチの医療チームには
完全な設備、世界屈指のドクターチームが居るから、大怪我をしてもすぐ回復できるし・・・」
由美の決めたルールで全員納得した。
「由美さん・・・みんなそれぞれ得意な分野がありそうだし、強そうだけど大丈夫?」
カズキは心配そうな顔で由美に問い掛けた。
「心配してくれるの?ありがとう・・・でも、大丈夫よ!確かにみんな強いわ・・・彩は投げ技のスペシャリストで多くの種類の
技を使えるバランスがとれてるし、後の子も打撃系・パワー系・スピード空中技を極めてるし・・・ね!あたしの専門は関節技!
関節こそ最強の格闘技だと思ってる・・・相手にどんなにスタミナがあろうと、どんなにパワーがあろうと関係無い!決まれば
一瞬で勝負が決まるわ・・・例え相手が彩でもあたしの関節が決まればその瞬間にギブアップが取れる!何か総当たり戦
だなんて話が大きくなっちゃったけど、彩は必ずあたしが倒すわ!だから安心して。」
由美はカズキに優しく微笑んで話した。
こうして最強の女王を決める激しい闘いが始まった!!
果たして彩は由美を倒し、最強の座を手にする事はできるのだろうか・・・
最強女王決定総当たり戦 第一試合 如月彩VS沢村ひかる レフリー佐伯希
「ひかる、誰が最強なのかこの闘いで教えてあげるわ・・・次の闘いに出れなくなっても知らないわよ!」
「彩こそあたしの蹴りでそのかわいい顔を元に戻らない位にボコボコにしてあげる・・・自慢の胸も蹴り潰してあげるわ!」
カァーン!闘いのゴングが鳴った!!
彩はひかるを捕まえようとジリジリ間合いを詰め、ひかるは彩の間合いの一歩外で隙を覗っている。
お互い中々動き出せないで居たが、彩がひかるの膝目掛けてタックルに行った!
「バキィッ」
鈍い音と共にひかるのミドルキックが彩の顔面を捉えていた。
まるで鞭の様にしなりレガースも付けて破壊力倍増のひかるの蹴りを、彩はタックルに行った為にがら空きになった顔面に
モロに食らってしまった!
「ぐはぁぁっ!」
彩はそのままうつ伏せでダウンしてしまった。
続いてストンピングしようとするひかるに
「ダウンよ!カウントを取るわ!」
レフリーの希がひかるを止める。
ワン!ツウー!スリー!・・・セブン!彩は何とか立ち上がろうとするが、蹴りの威力が強すぎるせいか、膝がいう事を聞かず、腰から崩れてしまう。
「彩・・・もう終わり?あなたの顔と胸を破壊したいのに・・・もっと蹴らせて欲しいわ!」
腕を組みながら彩を見下ろすひかる。
ナイン!彩はコーナーポストに寄りかかりながらも何とか立ち上がった。
しかし、目の焦点はあわず、呼吸は乱れている。
「彩・・・よく立てたじゃない、まぁ今の蹴りは30%の威力だから、あんなのでKОされちゃっても困っちゃうわ!」
「あ、あれで30%?う、嘘よ!」
彩は言い返す。
「嘘じゃないわよ!あたしの100%の蹴りをまともに食らったら、彩の首は折れちゃうわよ!でも、安心してまずはその
自慢の胸に100%の蹴りを入れてあげるから・・・顔への蹴りはフィニッシュに取っといてあげるから・・・」
余裕の表情で爪先をトントンとマットに突きながら彩を見つめる。
「100%はもちろん、もう一回さっきのひかるの蹴りを食らったら・・・絶対に立てない・・・失神しちゃう・・・あの蹴りを何とか、
何とかしないと。」
「何考え込んでるの?そんな余裕ないでしょ?」
ひかるは彩の側頭部めがけてハイキックを放つ。
「今だっ!」
彩はひかるの蹴り足を掴みドラゴンスクリューで切り替えした。
「グッ!」
彩は倒れこんだひかるの隙を逃さず足4の字を決める。
「きゃあぁぁ!い、痛いっ!」
ひかるの顔が苦痛に歪む。
「痛いんでしょ?ギブしたらどう?」
「だ、誰がこんな技でギブなんて・・・」
ひかるも必死に耐える。
「あらそう・・・なら!」
彩はひかるの足を更に締め付ける。
「ぎゃあぁぁ!」
あまりの苦痛にひかるは叫び出した。
「あ、あと少し、あと少しでロープ・・・」
ひかるは何とかロープに逃れようと必死にもがく。
彩VSひかるの闘いを真剣な眼差しで観戦している由美に
「ひかるの足だいぶ痛めつけられてるわね・・・」
洋子が話しかけてきた。
「えぇ・・・ひかるの蹴りに影響が出なければいいけど・・・」
由美が答える。
「由美はこの闘い、どっちが勝つと見てるの?」
洋子の問いに由美は
「強い方が勝つわ、偶然も有り得ない・・・偶然で勝ちが拾えるほどこの二人の力は甘くない・・・」
由美の答えに洋子は
「なるほどね・・・まぁ、どちらが勝つか黙って見届けますか・・・次はあたし達の闘いね、お手柔らかに・・・」
「こんなものかしら、さぁ立ちなさい。」
彩は足4の字を自ら外し、ひかるを立たせる。
足をかなり痛めつけられたひかるは中腰のまま、痛みに耐えている。
「それっ、行くわよっ!」
彩はひかるをロープに振り、戻ってくるひかるの胸板にドロップキックを撃つ。
突き飛ばされながらも起き上がるひかるに、その都度ドロップキックを撃ちつづける。
2発、3発・・・
立て続けにドロップキックを受けたひかるの動きが止まる。
それを見た彩はすかさずトップロープに登り出した。
トップロープに立ち上がった彩は
「ひかるー!起きろー!」
ひかるはフラフラになりながら起き上がる。
「行くわよ!!」
フラフラのひかるの顔面に彩の両足が綺麗に揃ったドロップキックが炸裂する!!
ひかるは口を切ったらしく出血し、リング中央で大の字になっている。
彩はひかるに馬乗りになり顔面を殴りつけた。
「ひかる!どう?自分が得意としてる打撃で逆にやられる感想は?」
「ふ、ふん!あんたの気の抜けたパンチなんて蚊が止まってるみたいよ」
ひかるの言葉に彩は
「な、なんですって!ならこれならどう?」
彩はひかるの胸を殴り始めた。
「きゃあぁぁぁ!い、痛い!何するのよ!」
「あたしのパンチなんて蚊が止まってるものなんでしょ?」
大きくはないものの鍛え上げられたひかるの胸が悲鳴をあげる。
「今度はこっちよ!」
彩はひかるの股間に殴りかかった。
「ぎゃぁぁぁ!そ、そこだけは・・・お願い・・・やめて・・」
ひかるの股間からはかすかに出血し、涙目になりながら彩に懇願する。
「やめて欲しかったら、ギブしなさいよ!使い物にならなくなってもいいのかしら?下の水着取っちゃおうかなぁ・・・」
彩はひかるの下の水着に手をかける。
「こ、こんな辛い思いするくらいなら・・・ギ、ギブアッ・・・」
「ひかる!ここで終わってもいいの?こんな卑怯な事する彩に屈していいの?」
「!?」
声の主は何と二人の闘いを見ていた由美だった。
「ゆ、由美・・・」
ひかるは由美を見つめる。
「あたしは負けないっ!」
ひかるは彩にマウントを取られながらも、渾身の右足の蹴りを彩の後頭部に打ち込む。
不意の攻撃に彩は頭を抱えながらしゃがみ込む。
ひかるは彩に凄まじい連続蹴りを叩き込む。
頭、背中、後頭部、ひかるの蹴りの前にはガードは殆ど役に立たない。
ありとあらゆる箇所に重く鋭い蹴りを入れ、完全にグロッキー状態の彩は両手をマットに付け、ノーガードになってしまった。
「行くわよ!あたしの本気の蹴りを見せてあげる!!」
ひかるの渾身のミドルキックが彩の豊満な胸に襲い掛かる。
「ぐはぁぁぁっ!!」
何とひかるの蹴りを食らった彩の胸がめり込んでしまい、一瞬まっ平らになった。
「あぁ、あたしの、あたしの胸が・・・」
彩の自慢の胸は内出血し、ドス黒いあざができている。
「どう?急所を攻撃された相手の痛みが少しは理解できた?」
ひかるの問いに彩は胸を抑えてうずくまってるだけだった。
「これで終わりにしてあげる・・・」
ひかるはレガースをしっかり付け直して、蹴りの素振りをしている。
「悪いけど、顔面一撃で終わらせてもらうわ・・・」
ひかるの本気の蹴りは本当に彩を一撃でKОできる破壊力があり、当たり所が悪ければ死んでしまう可能性も充分ある。
ひかるが蹴りを出したその瞬間!
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!」
何と彩は隠し持っていたメリケンサックをはめた右手で、ひかるが蹴りを出した為に無防備になった股間に叩き込んだ。
成す術も無く倒れこんだひかるの股間を容赦無く殴り付ける。
「ブシュッ!」
ひかるは格闘技に全てを注いでいて男性経験が無い。
この鈍い音はひかるの処女膜が破られた音だった。
ひかるの股間からは信じられない程の激しい出血。
想像を絶する激痛にひかるは失禁し、更には白目を剥いて失神してしまった。
「ひかるちゃん?失神しちゃったのかな?おまけにおしっこまでもらして・・・年頃の女の子なのに・・・お嫁に行けなくなっちゃう
わよ!」
彩は自分のビキニを外し胸を出して
「あたしの胸をこんなにしたんだから当然の報いよね!」と
ピクリとも動かないひかるの胸を踏みながら言った。
今度はひかるの顔を踏みにじりながら
「ほら、何とか言ってみなさいよ!!」
当然、ひかるからの返答は無い。
「当たり前でしょう!話せる訳ないじゃない!早くひかるから離れなさい!」
レフリーの希が、ひかるを抱きかかえて彩から離す
「あたしの勝ちでいいのよね?」
彩は当たり前のことを希に問い掛ける
「そうよ、あんたの勝ちよ・・・早くリングから降りなさい!」
希の言葉に彩は
「次は希の番よ!ぶっ潰してあげるから、楽しみにしてなさいよ!」
そう言うと彩はリングを降り、控え室に消えていった。
希に介抱されているひかるのその瞳からは涙が流れ落ちていた。
闘いの前、ひかるは彩をボコボコにするとのKО宣言をしたが、無残にもKОされたのはひかるの方だった。
しかもこんな屈辱的な敗北で・・・
「彩も酷い事するわね・・・ひかる、まだ処女だったのに・・・あんな形で破られて・・・ねぇ、由美?」
彩とひかるの闘い後、洋子が由美に話し掛けた。
しかし由美はリングを見つめ黙り込んでいる。
「彩・・・絶対に許さない・・・彩には最も恐ろしい恐怖をあたしが味あわせてあげる!」
心の中でそう呟きながら由美は次の自分の闘いの為、リングに向かい歩きだした。
格闘美女伝説 如月彩 Vol.2
作者名 かずぅ