「恵、あなた一体これからどうするの?」
社長の叱責が事務所内に響いた。
「すみません・・・」
沖菜 恵はその大きな瞳に涙を溜めうつむきながら社長に頭を下げた。事実秋以降、恵のスケジュールは全くの空白となっていた。発端は全てあの写真であり清純派として長く売ってきた沖菜 恵にとってあの騒動はあまりにもダメージが大きすぎた。事務所サイドとしてはあくまで否定してきたが写真がメディアに掲載された以上この汚点は拭い去れないものとなっていた。秋からのドラマ、CMの予定は全てキャンセルされ、あまつさえオファーのあった仕事と言えばヘアヌードや暴露本のみといった有様だった。唇を噛み締め瞳を潤ませる恵に社長が一通りの叱責を終えた後、一変して静かな口調で話し掛けた。
「恵、あなたが本当にもう一度女優を本気でやりたいの?」
「え?・・・はい、もちろんです!」
「そう・・・だったら、一つだけ道があるわ・・・」
「本当ですか!あたし・・・もう一度やり直せるんだったら、どんなことでもやります!」
「その言葉にうそはないわね?本当に地獄を見てもらうことになるわよ。・・・実を言うとね、あなたにこんなオファーが来てるの。」
社長がバッグから1枚の黒い封筒を取り出し恵に手渡した。恵は怪訝な面持で差出名を見た。
「これ・・・住所が書いてない・・・ミックスファイトカフェ?何ですか、これ?」
「あたしもある人から聞いただけだけど、地下の非合法プロレス興行組織らしいわ・・・だけどここの代表フィクサーとか呼ばれてる日系人は日米のあらゆるマスコミ、ショービジネスの黒幕としての力を持っているの。そのフィクサーからあなたに次の興行に出場してくれっていうオファーがあったのよ。」
「興行って・・・、あたしがそこで何を?」
「向うの用意した相手とプロレスをするの・・・そして向うが出した条件をクリアーすればあなたに主演映画、CM、ドラマ望むだけの仕事を与えるって言うのよ。」
「えっ・・・でも、それって本当なんですか!?」
「ええ・・・確かな筋からもこのフィクサーの事は聞いてるわ。ただ条件は厳しいわよ。」
「その条件って・・・」
不安げな恵に社長が、煙草に火をつけながら言葉を繋いだ。
「条件はあなたがミックスファイトカフェの来月の興行に出場し、向うの用意した相手と試合して時間いっぱいギブアップしない事・・・だそうよ。相手、試合形式なんかは当日まで一切伏せられている。試合の経過や結果その他は一切外部に漏れる事はないけど・・・どう、やる?」
社長のあまりに現実離れした話に動揺を隠せない恵だったが、心の中に選択の余地はなかった。
(あたし・・・やっぱりあたしには女優しかない!)
「社長、あたしやります・・・絶対戦い抜いて見せます!」
恵は大きな瞳で社長にきっぱりと答えた。そして1ヵ月後の死闘に向けて沖菜 恵は完全にマスコミの前から姿を消した・・・・。

とある金曜日の夜、いよいよ沖菜 恵の再起を賭けた試合が行われることとなった。フィクサーのオファーから1ヶ月、恵は極秘に格闘技のジムに泊まり込みで特訓を続けていたのだ。基礎体力、受身から始まり、できる限りの準備をしたつもりだったが未知の戦いへの恐怖は拭い切れない。
「でも、やる・・・しかないもんね」
恵は唇をぎゅっと噛み締め、ミックスファイトカフェの行われる地下のホールの門をくぐった。
「ようこそ、沖菜 恵さん・・・よくぞ我がミックスファイトカフェへ御参戦いただきました。」
4人の屈強なボディガードに囲まれ背の高いサングラスをかけた男が恵を出迎えた。差し出された手をつい反射的に握り返す恵・・・。
「あなたが・・・フィクサー?」(結構若いんだ・・・30半ば位ってとこ・・・かしら)
「ええ、今日は頑張って下さいよ・・・あなたの未来のためにね。」
「あの、今日の試合で本当に・・・?」
「もちろん社長さんにお話した通り、あなたがギブアップすること無く戦い抜くことができればあなたには望む限りのマネージメントを提供いたしますよ。ただし生半可な事では辿り着きませんがね。」
フィクサーのサングラス越しの瞳が恵には一瞬光ったように見えた。だが、決意を固めた恵は無言で頷いた。
「さあ、質問がなければそろそろ控室へどうぞ・・・コスチュームは私共の方で御用意させて頂きましたのでそちらを御着用して下さい。きっとお似合いかと思いますよ・・・」
恵は軽く会釈しフィクサーに背を向けボディーガードの一人に案内され控室へと向かった。

「何、これ?・・・いやだ、もう!」
恵は用意されていた水着に着替えると思わず声を上げた。用意された水着は薄手の紺の競泳用で背中は大きく開き肩紐や縁取りは白・・・学校の水泳の授業で着る、俗に言うスクール水着だった。しかもサイズも小さく小柄で華奢な恵が着ても尚締め付け喰い込んでしまうシロモノだった。もう22歳になり、水着グラビアも卒業状態の恵にはある意味ヌードになるのと同じくらい恥ずかしかった。
(でも今のあたしには・・・逆らう事なんて出来ないんだ・・・)
覚悟を決めた恵は控室の鏡の前でストレッチを始めた・・・・。

「只今より本日のスペシャルマッチを開始いたします・・・赤コーナーより身長155cm、体重41kg沖菜恵選手の入場です!!」
歓声と共にリングへと続く花道に恵が姿を現した。会場は表のプロレスの大会場であるような花道とリングが繋がった形式となっていて、観客数はざっと千名といったところくらいだろうか。これから行われる残酷な結末を期待してか観客の一際高まる大歓声の中、恵がゆっくりとリングの中へと入っていった。数々のアイドルや女優達をこのリング上で見てきた常連客達も恵のシンプルなスクール水着姿から窺われる美しい肢体と、TVで観る以上に小柄で、ノーメイクの素顔の少女らしさに息を飲んだ。
「続きまして青コーナーより選手の入場です・・・」
(相手は一体誰なんだろう・・・)
恵は自分と反対側の花道をじっと見つめていた。そしてリングアナが一瞬の間を置いた後コールを続けた。
「青コーナー、身長160cm、45kg末広涼子選手、そして身長181cm、102kg大仁多厚選手の入場です!!」
(えっ!・・・何で2人なの?!おまけに1人は男じゃない、そんな・・・)
対角線上のコーナーに最近ではプッツン女優とありがたくない形容詞の付いたアイドル女優末広涼子、そして現役の邪道プロレスラーであり、最近では国会議員への出馬も表明していた大仁多厚が狼狽する恵を不敵な笑みを浮かべながら見下ろしていた。水着姿の恵とは対照的に涼子は黒のタンクトップに迷彩柄のハーフパンツ、そして編み上げの皮のブーツにやはり黒の皮手袋を両手にはめたストリートファイトスタイルに身を包んでいた。又大仁多も上半身は白のノースリーブシャツにGパンにウエスタンブーツと、完全武装していたのだった。ハンディキャップマッチに加え、相手の1人は自分よりも遥かに大きな現役のプロレスラーであり、恵は今更ながらミックスファイトカフェでの条件の厳しさを思い知らされた。
「どうして・・・末広さんが?それに何で2対1なの?!」
「ふふふ、それは今からそこにいる人が説明してくれるわ。」
涼子に促されるようにリングアナが会場に説明を始め出していた。
「この試合は沖菜 恵選手と末広涼子、大仁多厚両選手組とのハンディキャップマッチとなります。試合時間は60分間、試合終了時刻まで沖菜 選手がギブアップせずに戦い抜けば沖菜選手の芸能活動復帰が約束されます。対しまして末広、大仁多組がギブアップを奪った場合末広選手の芸能活動への全面的バックアップ、大仁多選手は国会議員の椅子が約束されます。ルールは銃器、刃物の使用以外は全て認められるデスマッチルールとなります!」
このあまりに過酷な試合形式、ルールに恵は本部席のフィクサーを睨みつけた。それにフィクサーはマイクを手に答えた。
「どうしました、沖菜さん?お嫌でしたらリングを降りていただいても結構ですよ・・・末広さんと大仁多さんの試合でもこちらは構わないんですよ?」
「や、やるわよ・・・そのかわり約束は守ってもらうわよ!」
「OK!」
カアァァァァ・・・・ン!
フィクサーの合図と共についに試合開始のゴングが鳴った。恵は慎重にコーナーから中央へと歩き出した。
(コーナーで追い詰められたら逃げ様がない・・・あたしだってこの1ヶ月怯えながら過ごしてきたわけじゃないってトコ見せてやるわ!)
「へへへ、たっぷりと可愛がってやるからのぅ!」
「あんまり早くギブアップしないでよ・・・沖菜先輩!」
2人がじりじりと距離を詰め恵を追い詰めていこうとした、その瞬間!恵は予想外の攻撃に出た!
「エェェェェェ・・・イィ!」
掛け声と共に恵は現役プロレスラーである大仁多に正面から飛び掛っていったのだ。怯えながら逃げ回ると思って油断していた大仁多は隙を突かれる形となってうろたえてしまった。
「なんじゃあぁぁ・・・!!」
恵は大仁多の古傷でありウィークポイントである膝に低空のドロップキックを打ち込んでいった。
ビシッ!
「ぐわあぁぁっ!」不意打ちで弱点である膝を攻められ、大仁多は前のめりに崩れ落ちた。
「何やってんのよ!大仁多・・・あんたそれでもプロレスラー?!」
恵は更に、膝を押さえうずくまる大仁多を叱咤する涼子を背後からジャンプしての延髄エルボーを打ち込み場外へと叩き落していった。
「くうっ!」
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・あたしだってこの試合おとなしくやられる訳にはいかないのよ!」
リング下の涼子に見得を切った恵はリング内で片膝を突き起き上がろうとする大仁多に又も飛び込んでいった。
「いけぇぇぇぇ・・・・っ!」
バキッ!「ぐわっ!」
シャイニング・ウィザード!恵は大仁多が立てた片膝に脚を掛け、その勢いで膝蹴りを大仁多の顔面に叩き込んだのだ!顔を押さえながらもんどりうって倒れ込む大仁多・・・ 鼻血がぽたぽたとマットを染めていた。恵が今日の試合の為に特訓を重ねた秘策が見事に炸裂した。恵はもう一発打ち込もうと助走の距離をとった瞬間背中に激痛が走った。
バキッ!「きゃあぁぁぁっ!・・・」
早くもリング上に復帰した末広が背後に回り、パイプ椅子で殴りつけたのだ。
「うぅぅぅ・・・・・痛ッ・・・・」
「沖菜先輩、今日の試合が2対1ってこと忘れたんですか?・・・それとも本気であたし達に、勝つつもりなのかしらねっと!!」
バキッ!「はうっ!・・・・ううぅ・・・・」
涼子のヤクザキックが恵の横っ面を容赦無く蹴りつけた。早くも口の中を切ったらしく口元から鮮血をこぼしながら四つん這いに倒れ込む恵の髪をその隙に蘇生した大仁多が鷲掴みにし、無理矢理立ち上がらせた。
「なかなかやるじゃねえかよぅ、お嬢ちゃん・・・けど、お返しは高くつくぜぇ!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・あぁん!や、やめて、きゃあぁぁぁぁ・・・・っ!!」
大仁多は恵の小さな身体を頭上高くリフトアップして見せ、観客席にアピールした。プロレスラーとしては決して大型ではない大仁多だが恵の小さな身体を持ち上げて見せるくらい訳もない。ましてや試合開始早々予想外の赤っ恥をかかされ怒りも既に燃え上がっていた。一通りリングを一周する頃には涼子が先程恵を殴りつけたパイプ椅子をリング上にセットしていた。
「さあ、たっぷりと血反吐を吐いてもらうわよ!」
「や、やめて!・・いやぁぁぁぁぁ・・・・・ッ!!」
この2人が何をしようとしているのか察した恵は懸命に首を振り身体を揺さぶって脱出しようとするが、もちろんこの戒めから逃れられるはずもなかった。大仁多は恵の身体を更に一段と高く持ち上げ、そして腹から落ちるようにパイプ椅子の背もたれの金具部分にうつ伏せに叩きつけていった。
「うっしゃあぁぁぁっ!!」
「きゃああぁぁぁぁ!・・げふぉっ!・・・んあぁぁぁぁ・・・・・・」
2mの高さから胃袋を串刺しにされ、恵は身体をくの字に折り曲げたまま、口からは呼吸さえもままならない喘ぎ声がこぼしながら倒れ込んだ。だが又しても大仁多が恵を強引に引き摺り起こし、今度は羽交い絞めに蹂躙した。
「どうした?まだ5分も経っておらんぞー?!」
「そうよ・・・まだまだ時間はたっぷりとあるんだからね・・・休憩時間は無しで愉しませてもらうわよ、先輩!」
涼子はどこから出したか、あらかじめ用意していたチェーンを右手に巻きつけ、羽交い絞めにされ無防備となった恵のボディーにパンチを打ち込んでいった。
ドスッ!「はうっ!・・・んああぁぁぁ・・・・・・がふっ!・・・」
「まだまだよっ!絶対あんたにギブアップ言わせて、もう一度登りつめて見せるわ!」
涼子は恵の鳩尾に鎖を巻きつけた拳を更に連打で打ちつけていった。硬いチェーンが恵の柔らかい腹に深々と喰い込み、その度に苦悶の呻き声がこぼれる。
「がふっ!・・はうっ!・・・げふぉ!・・・ぅぅぅ・・・」
大仁多に羽交い絞めにされたまま、涼子にいいように殴られ続ける恵・・・その足元には口元から溢れ出した赤黒い胃液が既に白いマットに水溜りを作っていた。そして恵の顔ががっくりとうな垂れたままになると、涼子はその顔を持ち上げ頬をピシャピシャと叩き語りかけていった。
「どう?まだまだこんなのは序の口よ・・・早いトコ、ギブアップしちゃってくんないかな、先輩?」
「げほっ!げほっ!ぅぅぅ・・・はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・」
腹を集中的に責められ、呼吸もままならない恵には口を聞く事も苦しい状態だった。だが、それに追い討ちを掛けるように涼子は大仁多に指示を出し更に責めたてた。
「ぐははは・・・おりゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
「あ・・ぁぁぁぁ・・・・・・」
大仁多は恵の小さな身体を抱え上げ、何と先程痛めた自分の膝に恵の背骨を思い切り叩きつけた。
バキッ!「ぐあぁ・・・・・、うぅぅ・・・」
「オリャアァァァァ・・・・!!」
大仁多は恵の先制攻撃に完全にキレたのか、自ら弱点である膝に恵をバックブリーカーで叩きつけ、そのまま責めつけていったのだ。
「うあぁぁぁぁぁ・・・・!!」
大仁多は更に片手を恵の顎に、そしてもう一方の手で恵の薄い水着に覆われた陰部に掛け背骨を責め抜くと共に、陰部を弄んだ。
「さっきはよくもやってくれたな、このヤリマン女が!!」
大仁多は背骨を責めながら、恵の陰部に中指を突っ込んでいった。
「うぅ・・・痛ぁい・・・や、やめ・・・やめて・・・・・い、痛ぁい・・・」
大仁多のバンテージの巻かれた太い指が競泳用の薄い生地を今にも押し破らんと、恵の陰部に喰い込んでいった。そして更に大仁多の膝の上で悶える恵の胸を涼子がグリグリと踵で踏み躙っていく。
「ふふふ、惨めなもんね・・・ちょっと前まで清純派でNo.1とか言われてチヤホヤされてたあんたが、こうして地下プロレスでスクール水着着て、あたし達にイイようにいたぶられてんだからね!」
勝ち誇りながら苦痛と恥辱に悶える恵を見下ろす涼子。だが、恵はバックブリーカーに蹂躙されたまま、負けん気と声を振り絞り涼子を見つめ返した。
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・な、何よ・・・・あなただって・・・決してイイ噂は聞かないわよ!・・・・ちょっとは学校行ってんの!!」
恵の抵抗に涼子は意外にも微笑を浮かべ、そして固い靴のかかと部分で恵の胸の膨らみをグリグリと踏みつけていった。そしてそれに合わせるように更に両手に力を込める大仁多・・・恵に残された悲鳴を搾り出すようにいたぶり抜いていった。
「痛あぁぁぁぁぁぁいィィィィ!!ああぁん・・・・、放して・・・痛ぁぁぁぁい!!」
恵の悲鳴がホールに響き渡った。だがその悲鳴をまるで極上のBGMを聞くかのように涼子は、笑みを浮かべながら恵の小柄な身体を大仁多の膝の上から蹴り転がしていった。
「ふふふふふ・・・まだまだ元気ね。学校行ってんのかって?!あたしは国際派女優よ・・・そしてあんたを踏み台にして国内でもトップに立ってやるわよ。・・・・絶対あんたにギブアップ言わせてやるからね!!・・・さあ、大仁多!まだまだ物足りないみたいよ!その娘をいたぶってやって!!」
「よっしゃあぁぁぁっ!!このチビにギブアップ言わせりゃあ俺も議員様じゃあ!!」
大仁多は恵の髪を鷲掴みにして無理矢理立ち上がらせると、今度は額に力任せの頭突きをブチかましていった。
「きゃああっ!」
一撃で再び膝から崩れ落ちる恵・・・しかし大仁多はそのまま倒れ込む事さえ許さず、髪を掴んだままコーナーで待ち構える涼子にハンマースルーで放り投げていった。
「ああぁぁぁぁぁ・・・・!!んぐっ!!」
涼子がいつの間にか手にしていた木刀が恵の鳩尾に深々と突き刺さった。声も出せず口をパクパクさせ脂汗を滲ませ腹を押さえうずくまる恵に涼子は気付けとばかりに水着の胸元を掴み往復ビンタを喰らわせた。
「んぁぁ・・・はうっ!げふぉっ!はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」
「どう?ギブアップする気になった?まだまだ時間はあるわよ・・・・ギブアップしちゃいなさいよ!」
咳き込みながらうな垂れる恵を大仁多に羽交い絞めにさせ涼子は屈服を迫った。
(ぅぅぅ・・い・・・でも、絶対にもう一度女優やりたい・・・ギブアップなんか・・・・)
あくまでギブアップを拒否する恵。
「ぃ・・・・ぃゃ・・・・いやぁ!絶対女優やるの!」
「そう・・・ふうん?どこまで強情が張れるか、まだまだ愉しませてもらうわ!大仁多!いくわよ!」
「うっしゃあぁぁぁ!!」
あくまでギブアップを拒否する恵を涼子と大仁多は2人がかりでマットにうつ伏せに叩きつけた。
バアァァァ・・・ン!!女の急所である胸から受身も取れない状態で叩きつけられ、うつ伏せに倒れ込みながらも必死に起き上がろうとする恵・・・・だがそれを嘲笑うかのように涼子がうつ伏せに倒れ込んだ恵の脇腹にトゥーキックを容赦無く突き刺していった。
ドスッ!!「ぐふぉっ!・・・んああぁぁぁ・・・・」
赤黒い胃液を吐きながら、口をパクパクさせながらマットを掻き毟る恵に涼子のトゥーキックが連打となって襲い掛かる。
「うっ!・・んあぁ・・はうっ!・・・うぇっ!・・・あうっ!」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・どう?もうカムバックなんて諦めてギブアップしたらどう?」
恵は虚ろな目で末広を見上げ口をパクパクとさせるが、腹を集中的に蹴られ空気が上手く吸い込めず地獄の苦しみを味わっていた。
(ぅぅぅ・・い・・・でも、絶対にもう一度女優やりたい・・・ギブアップなんか・・・・)
「ぅぅぅ・・・・ぃゃ・・・・・」
「しぶといわね!大仁多!もっと痛めつけてやって!!」
「オオゥ!・・・これでも喰らえっ!そりゃぁ!」
大仁多は恵の両足を抱え込むといとも簡単に引っくり返し、ボストンクラブ・逆エビ固めの態勢に入った。
「んあぁぁぁ・・・・!!痛ァァァァいッ!!」
絞り尽くされたかと思われた恵の悲鳴が又もホール中に響き渡った。
「どうじゃ・・あんまり痩せ我慢しとったら本当に死んでしまうぞ!!」
恵の悲痛な声がホール中に響き渡る中、しかし大仁多の責めは容赦無く恵の小さな身体を苛み、抱えられた足首は恵の後頭部にくっつかんばかりにまでへし曲げられていった。
「いやああぁぁぁぁぁ・・・・・!!痛ぁぁぁぁぁいぃぃぃぃ!!」
「しぶといチビじゃぁ!!ギブアップせえやあぁぁぁぁ!!」
「そうよ・・・・、早くギブアップしなよ!!」
「ぃ・・・ぃゃ・・・・いやぁぁぁぁ・・・・・!!」
端正な顔を涙でグシャグシャにしながらもギブアップだけは拒み続ける恵・・・そして何と全身の力を振り絞り肘を突き100kgを超える大仁多を背中に乗せたままロープへと這いずっていった。
「な、何?!このチビ!!」
大仁多は自分の半分以下の体重しかない恵に引き摺られる形で徐々にロープへと近づいていった。恵の驚異的な粘りに観客席からも驚きの声が上がる。
「うわあぁぁぁぁぁ・・・・!!」
呻き声を上げ這いずり、ようやくロープに辿り着きそのままロープを握り締めたまま荒い吐息をあげうつ伏せに倒れ込む恵・・・だが恵のこの抵抗は涼子の嗜虐心を更に燃え上がらせた。
「大仁多!何やってんのよ、そんなチビ一匹に!!」
「くそぅ!このチビが!!」
涼子の挑発に大仁多は逆上し倒れ込む恵をリング中央まで引き摺り出し、もう一度逆エビの態勢に入った。ここまでで散々いたぶられ、ただでさえ小さな恵にもはや抵抗する力は残されてはいなかった。
「うわあぁぁぁぁ・・・・・・っ!!」
悲鳴と共に再び背骨を直角近くまでへし曲げられる恵。その恵の苦悶に歪む顔の前に涼子がしゃがみ込み、嗤いながら詰め寄ってきた。
「ふふふ・・・ねえ、苦しいでしょ?痛いでしょ?ギブアップしちゃいなさいよ・・・ネエッたら!!」
恵の髪を鷲掴みにし振り回しながらギブアップを強要する涼子・・・しかし恵は思わぬ反撃に出た。眼前にあった涼子の親指に噛み付いていったのだ。
「痛、痛たたた・・・・いィィ!!」
涼子は反射的に空いている方の手で恵の頬を殴り、引き剥がすがその手には血が滲んでいた。そしてこの抵抗が涼子の悪魔の心に火を点けてしまった。恵の抵抗と涼子の悲鳴とで一瞬大仁多の力が緩んだ瞬間、恵は残された僅かな力を振り絞り腕を立て再びロープへの脱出を試みた。
「・・・うぅ・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
恵が這いずるようにマットから胸元が浮き上がった時、その空間に急に冷たい異物が差し込まれていった。
「えっ?!・・・な、何?」
逆エビを極められたまま腕を立て脱出しようとする恵の胸とマットの間に涼子がリング下から持ち込んだ直管の蛍光灯を差し込んでいったのだ。
「よくもやってくれたわね・・・アンタが一瞬でも力を緩めたら蛍光灯が割れてアンタの自慢の胸がズタズタになるって訳よ!素直にギブアップしとけばよかったのにね・・・・バーカ!」
「くっ!・・・うぅ・・・ひどい・・・・うぅぅ・・・・」
懸命に背骨の激痛と体力の限界と戦う恵だが、それを嘲笑うかのように大仁多の逆エビ固めは更に力を込め恵の小さな身体を押し潰そうとしていた。
「どうじゃあぁぁぁぁ!!ウリャアァァァァァ・・・・!!」
「ああぁぁん!・・・うわあぁぁぁぁぁぁ・・・・・!!!」
シャチホコ状態にまで曲げられ、恵は肘で大仁多の責めから胸を守っていたが、もはや胸は蛍光灯に触れ、あと僅かな圧力で割れようとしていた。
「へえぇ・・・結構頑張るじゃない・・・清純派の沖菜 恵さん!!」
涼子は逆エビで無防備となった恵の恥部を爪先でグリグリと踏みつけていった。
「ああぁぁぁん・・・や、やめ・・・て・・・・あああぁぁぁぁぁ・・・・・!!」
「ふん!ヤリマンのくせに・・・しぶといんだよ!!」
ゲシッ!!涼子の渾身のトゥーキックが恵の恥骨に深々と突き刺さった。
「きゃあぁぁぁ・・・・・・・!!!」
脳天まで突き抜ける激痛に悲鳴をあげる恵・・・そしてそれと共に恵の全体重と恵がそれまで支えてきた大仁多の体重が一気に恵の胸元に集中してかかり蛍光灯はいとも簡単に砕け散った。
パァァァァン!!「アァン!!痛ぁいィィィ!・・・・うぅぅ・・・・」
破片は水着を切り裂き恵の柔らかく豊かな乳房も切り裂いていった。これまで経験、いや想像さえもしたことのない激痛が恵の小さな身体を苛んだ。だが涼子と大仁多はうつ伏せに倒れこんだ恵を更に追い討ちとばかりにストンピングで踏みつけていった。
「きゃああぁぁぁ・・・!!痛い!・・やめ、ああぁん!・・・はうっ!・・・」
マットに散らばった無数の蛍光灯の破片が恵の身体に喰い込んでいき薄い水着を透して鮮血が白いマットを染めていった。水着も所々裂けてちぎれ、胸以外の太腿、腕、腹と全身を切り裂いていった。さすがに女優の命・顔だけは必死に庇ったが、それによりがら空きとなったボディーに大仁多と涼子のストンピングやキックが面白いように突き刺さっていく。
「うぅ・・・・げふっ!ああぁ・・・はうっ!・・・痛ッ!・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
うつ伏せに倒れ込んだ恵の脇腹に末広のトゥーキックが、蛍光灯の破片の上で剥き出しとなった太腿に大仁多のキックが容赦無く突き刺さっていった。大きな血管を切ったのか出血も徐々に夥しいものとなり、先程までヒートアップしていた観客からも歓声がざわめきへと変わっていった。
「おい・・・あれ、ヤバイんじゃぁ・・・」
「ああ、死んじゃったら・・・ちょっとなぁ・・・」
そしてその状況の中フィクサーがリングサイドに合図し、遂にゴングを要請した。
カァァァァン!!カァァァン!カァァァァン!
慌しく鳴らされる金属音と共に救護団とスタッフ陣がリング上の3者を掻き分け、気を失いながらもうわ言を繰り返す恵を抱え上げ救護室へと運び出した。
「あ・・・あたし・・・ギ、ブアップしてない・・・わ・・・」
救護団に連れ出される恵を追ってリングを降りようとする涼子と大仁多をスタッフ陣が懸命に押し止める。
「冗談じゃないわよ!まだ時間あるじゃない?!」
「そうじゃぁぁぁっ!国会議員になるんじゃぁ!」
フィクサーは本部席から立ち上がり、興奮冷めやらないリング上の涼子と大仁多、そして観客に語り掛けた。
「今回沖菜選手出血多量による試合続行不能のため、タイムアップ前ではございますが試合終了とする事を主催者としてお詫びさせていただきます。尚、末広・大仁多両選手が沖菜選手よりギブアップを奪うには至りませんでしたが、3選手には再度の出場を条件にそれぞれ報酬を差し上げようと考えますが、いかがでしょうか、皆さん?」
末広、大仁多に不満があるはずも無く、観客も又、沖菜の生贄マッチが観られるものと歓声で応えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数ヵ月後、末広のドラマ、映画の主演、大仁多の国会議員当選が報じられた。そして沖菜 恵は未だ病院で治療を受けていたが、退院し次第映画での主演が決まっていた。・・・・ただしミックスファイトカフェからの再びの誘いも間もなくであるが・・・。

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