「はぁ、はぁ、はぁ・・・・絶対リベンジしてやるんだ・・・・」
都内某所の地下にある格闘技ジムで一人の小柄な女性が自分の身体を苛め抜きトレーニングに励んでいた。少しウェーブのかかった長い髪は無雑作に後ろに束ね、白のフード付きのトレーナーに青のショートスパッツといった出で立ちで、顔立ちこそフードで覆われよく見えないが、その小柄な体躯に似合わないEカップの胸が汗で濡れたTシャツに張りつき、一種艶かしい美しさを醸し出していた。そしてこの女性が一通りのメニューをこなし、汗を拭こうとフードを自ら払いその顔を現した。そう彼女は、数ヶ月前に行われた地下プロレスで北王戦で重傷を負い、その後ブッチー、アントレに親友珠緒と共に嬲り殺しの目にあったグラビアアイドルの河村ひかるであった。ペットボトルのスポーツドリンクで乾いた喉を潤わせた後、ひかるは唇を噛み締めた。
「あたしのせいで珠緒さんまで・・・けど・・・・あいつには、あたしのボクシングだけじゃ通用しない・・・でも絶対に許せない!」
そうして思い悩むひかるをよそに、突如ジムがざわめいた。黒覆面の男が2,3人の若者と共に入ってきたのだ。
「おい、あ、あれ・・・」
「うん、みちおくプロレスのグレート・タスケじゃん・・・」
ジム内の中で口々に囁きあう人々・・・・そう、日本人最高の空中殺法の使い手グレート・タスケがトレーニングにやって来たのだ。ひかるも名前だけは知っていたが、本物に会うのは今日が始めてだった。
「あれが、グレート・タスケ!?あんまり大きくないんだ・・・」
150cmのひかると比べれば、もちろん上背で首一つ程も高いが、それでも170cmそこそこといったところ(公称は180cmなのだが)で、連れて来た若手レスラーの方が大きいくらいだ。しかしマットに上がりスパーリングに入るとその動きは若手2人を相手にしても尚圧倒していた。驚異的なスピードと跳躍力に加え相手の動きを先読みするインサイドワーク・・・・ひかるはつい見とれてしまっていた。
「人って、こんな動きが出来るんだ・・・・あたしにもこの動きが出来れば・・・・。」
そう思ったひかるはタスケ達のトレーニングの終了を待った。そしてロッカールームから出るタスケに駆け寄った。
「あの・・・突然すみません・・・あたしにタスケさんの技を教えて下さい!」
「はあ?えぇと、君は確かタレントの河村さんじゃあ・・・。何だ、急に、バラエティの企画か何かかい?」
「いえ・・・実は・・・・・・」
ひかるはこれまでの一部始終をタスケに打ち明けた。
「そういうことか・・・そんな地下プロレスがあるって噂では聞いていたが、そこまで非道とはな・・・だが相手が悪過ぎる。悪い事は言わない、もう君は関わらない方が身の為だ。君のその小さな身体では帰り討ちに会うのは目に見えている。」
「いえ、許せないんです・・・タスケさんが力を貸してくれなくとも、戦います・・・たとえ負けるとわかってても!それともタスケさんなら相手が250kgの相手なら逃げるんですか?」
ひかるの悲痛な決意の前にたじろぐタスケ、そして彼も腹をくくった。
「・・・わかった!今日からうちの道場に来い!俺が徹底的にしごき抜いてやるからな、覚悟しろ!」
「はい!お願いします!」
深々と頭を下げるひかる・・・・この日からタレント河村ひかるは数ヶ月間姿を消し、そして表向きは病気療養中と発表された。

「おい、北王!又地下プロレスからオファーが来てるぞ。」
鬱憤を持て余すようにサンドバッグを蹴る北王の元にマネージャーが話し掛けた。
「ああ?可愛い女相手じゃないと受けないぜ。ヤリ過ぎだってんでここの所試合が組まれてなくてイライラしてんだ!」
「今度はミックスファイトカフェっていう組織らしいが・・・相手は聞いて驚くなよ・・・・河村ひかるだってよ。もっとも今回はタッグマッチらしいがな。」
「へえ、あのチビ、まだやられ足らないのか。それでパートナーは?」
「みちおくプロレスのグレート・タスケだ。こっちはお前に任せると言って来たが・・・」
「ふふふ、いい度胸だ。そんなにやられ足らないなら、こっちも最高のパートナーを用意してやる。あと、最高の演出もな。ふはははは!」

・ ・・・いよいよ、明日又あの北王と戦うんだわ。あたしに出来る事はすべてやったわ。絶対に負けたくない・・・
ミックスファイトカフェでの大一番を明日に控え、ひかるは眠れぬ夜を過ごしていた。1日の半分以上をトレーニングに費やし、何度も気を失っては水を掛けられて起こされ、そして又気を失うまで自分の身体を苛め抜いた数ヶ月・・・華奢な体つきは変わらないが明らかにスピードと全身のバネは強化されていた。作戦も既に組み上がっており、後はリングに上がるのみであった。ひかるは火照る自分の身体を押さえるようにベッドの上に膝を抱えて朝を待った。

「ここがミックスファイトカフェ、か。思ったよりも、でけえな。」
ひかるよりも先に到着したタスケが初めての地下プロレスの一種異様なムードを観察しながら、通用口から入っていった。
「ようこそ、Mrグレート・タスケ。よくぞ我がミックスファイトカフェへ御参戦いただき誠にありがとうございます。」
慇懃な挨拶と共に黒服のガードマン数名に囲まれたフィクサーと名乗る日系人に出迎えられ、控室へと案内された。
「ああ、今日は俺も楽しみにしていたんだ。悪名高き地下プロレスって奴に殴り込めるってんでな。」
「ふふふ、今回は随分あの娘に肩入れしてらっしゃるようですが・・・・まあ、健闘を期待していますよ。」
「ああ、勝算はあるつもりなんでな・・・さあ、一人にしてくれないか。」
「ええ、それでは後ほど・・・」
日本のJrヘビーのトップランカーとして数々の修羅場をくぐってきたタスケだが、この明らかに異なる雰囲気に身を置き控室での精神集中を図っていたが・・・。
コン、コン、コン!
十数分後、控室の扉をノックする音が響いた・・・。

女性という事で用意された特別控室でひかるも既に戦闘モードに入っていた。足には水色のレガース付きのレスリングシューズにオープンフィンガーのグラブ、そして青の競泳タイプの水着をそのしなやかな肢体にまとい、黙々とストレッチをこなしながら精神を集中させていた。
「たとえ、刺し違えてでも北王を潰してやる・・・今日はタスケさんもいるから、この間のチェーンみたいな小細工もできないはず・・・」
入念なウォームアップでうっすらと汗が肌に浮かび始めた頃、控室の扉をノックする音が響いた。
「さあ、行くわ!」

「只今より本日のスペシャルタッグマッチを行います。」
スポットライトに照らされたリングアナがよく通る声でコールを始めた。
「赤コーナーより、身長150cm、体重41kg、河村ひかる選手、そして身長173cm、体重84kgグレート・タスケ選手の入場です!!」
大音量の入場曲と客席の歓声が爆音のように鳴り響く中、ひかるとタスケが入場していった。
「続きまして青コーナーより、身長200cm、体重170kg北王光司選手、そして身長223cm・・・」
この北王をも遥かに凌ぐ身長に客席からどよめきが巻き起こった。そしてそのどよめきが高まるのを待つように間をとった後、リングアナがひかる達にとっての、もう一人の敵をコールした。
「体重240kg、アントレ・ザ・ジャイアント選手の入場です!!」
コールと共に花道から北王を先頭にし、アントレがゆっくりと入場してきた。2mある北王がまるで子供に見えるほどの巨体は、満員の客席を驚愕させた。それに対し、Jrヘビーのタスケと、更に150cmしかないひかるとでは体格差はあまりにも歴然としていた。が、ひかるは予想外に落ち着き払っていた。
(やっぱり、アントレを連れて来たわね・・・あいつだって珠緒さんの仇、必ず勝ってやる・・・)
臆することなく凛とした瞳で待ち受けるひかるをよそに北王・アントレ組は薄笑いを浮かべリングへと上がってきた。そして北王がひかるをまるで小さな生贄を見るかのように見下ろし、髪を鷲掴みにしようとした、その刹那ひかるの左ジャブが北王の巨大な掌を払いのけた。
「痛てぇ!!・・・・へへへ、鼻っ柱の強い女は嫌いじゃないぜ。けどもな、そんな女がボロボロになって許しを請うのは、もっと好きなんだよ!!」
「ふん、この前の借りは10倍にして返してやるわ!」
過去の因縁から早くも火花を散らすひかると北王・・・それぞれのパートナーのタスケとアントレはその傍らで高ぶる2人の気を押さえていた。そして、レフリーの形ばかりのボディチェックが終わり、いよいよゴングが鳴らされた。
カアァァァァ・・・・・ン!!乾いた金属音と共に先発として出てきたのは、やはりひかると北王だった。
「ふふふふ、徹底的にいたぶってやるからな、覚悟するんだな!!」
威嚇する北王に怯む様子もなくじりじりと距離を詰めてゆくひかる・・・接近すると二人の体格差はあまりにも歴然としていた。200cmの北王に対し150cmのひかる、ひかるの身長は北王の実に4分の3しかない・・・これを一般的な170cmの人に当てはめると130cm足らずの小学生低学年との身長差に等しい。(体重差に至っては4倍以上!)しかし、ひかるは尚も距離を詰めていく。この異様な戦いに思わず息を飲む観客席・・・だが、ここでひかるがついに北王の懐に飛び込んでいった。ひかるは飛び上がるように北王の正面に飛び込み、いきなりその眼前で自らの両掌を叩いた。
パアァァァン!!
ひかるは何と元横綱北王に対し相撲の攻め手である猫だましを使ってきた。思わぬ奇襲に虚を突かれひかるを一瞬見失う北王。その隙を見逃さずひかるは北王の背後に廻り、タスケ直伝のドロップキックをお見舞いしていった。
「エエェェイッ!!」ビシッ!!
ひかるの低空ドロップキックが北王の背後から膝の裏側に見事に命中した。
「ぐわっ!・・・・こ、このチビ・・・・」
ちょうど子供の遊びである膝カックンのような状態となり、バランスを崩し膝を突く北王。ひかるは北王に反撃に出る間も与えず、助走をつけ渾身の力を込めた右ストレートがきりもみ状に北王の顎を打ち抜いた。
ビシィィィッ!!コークスクリューブロー!ひかるはレベンジヘの執念からボクシングの最大の秘技を会得していた。膝を突いていてもひかるよりも大きな北王の巨体が、脳を揺さぶられ倒れ込んでいった。
「ぐぅ・・・・・こ、このアマぁ・・・」
北王の巨体はそれでも完全に倒れ込む事を拒み、四つん這いの状態でダメージの回復を図っていた。しかしひかるもこの速攻に全てを賭けていたのだ。北王が背にしていたコーナーポストに上りタイミングを計っていた。
(そう・・・あと、もうちょっと・・・よし、今だ!)
北王がうな垂れた首を上げた瞬間、ひかるが自らの身体を極限までひねりながらコーナーから飛んだ。
「エエェェェェ・・・・・・・・イィッ!!いっけぇー!!」
掛け声と共にひかるはコーナーからの落下の勢いと自らの身体のバネを生かして北王に延髄斬りを打ち込んだ。しかも最も硬く、当たる面積が最小になる爪先で鍛え様のない後頭部に打ち込んだのだ。これにはさすがの北王も、まるで落雷に打たれた巨木のように崩れ落ちていった。
「ぐわあぁぁぁ!!」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・やったわ!・・・・さあ、北王!この間の借り返させてもらうわ!」
ひかるはうつ伏せに倒れ込んだ北王の右腕を取り、アームロックに極めていった。
「あんたの腕、一本頂くわよ、ええぇいっ!!」
「う、い、痛ってぇえぇぇぇぇ!!」
ひかるがテコの原理で北王の肩を支点に思いっきり締め上げると、北王から苦悶の声が漏れた。北王もパワーで弾き返そうとするが後頭部への痛烈な一撃で全身が痺れ、軽量のひかるのサブミッションを返すことが出来ずにいた。
「さあ・・・・あと、ほんの少しで、あんたの腕、・・・・?!タスケさん!アントレを抑えて!!」
いよいよひかるが北王の腕をあと少しのところまで極めていた時、コーナーのアントレがカットに入ろうとしていた。ひかるの声に応えタスケもコーナーを出て、アントレへと向かっていった。スピードで上回るタスケがカットに入ろうとしたアントレを抑えた、と思われた瞬間、信じられない展開がリング上に繰り広げられた。
「えっ、タスケさん!?・・・・きゃあぁっ!」
何と味方であるはずのタスケが技を極めていたひかるを背後からキックで叩きのめしたのだ。ひかるは完全に虚を突かれ、無防備なままタスケのキックを背中に受け、もんどりうって倒れ込んだ。
「ど、どうして・・・・タスケさん!・・・キャアァァッ!!」
信じられないといった目でタスケを見つめるひかるをアントレが背後から捉え、高々と抱え上げバックドロップで叩きつけていった。
「はうっ!・・・・うぅ、どうして・・・タスケさん!!」
後頭部を急角度で痛打し朦朧としながらも、ひかるは尚もタスケの突然の裏切りを信じられずに、救いを求めていった。這いずりながらタスケにすがりつくひかるだったがタスケは無言のまま、その髪を掴み、ボディーに強烈なパンチを突き刺した。
「うぅ・・・・んあぁぁ・・・・くっ、どうして・・・」
「ふははは・・・」
信頼していたパートナーであったタスケに裏切られ、まだ心の整理ができないひかるに、攻められていた腕をさすりながら北王が近づいてきた。
「何がおかしいのよ!!」
錯乱状態のひかるが北王の勝ち誇ったような笑いにキレてしまい、再びパンチで襲い掛かっていった。だが北王との距離を詰めようとした瞬間、タスケがひかるの足を払った。
「あうっ・・・うぅ・・・・・」
リング中央でうずくまるひかるをアントレ、北王、そしてタスケが取り囲んだ。そして北王がタスケの覆面の紐をほどき始めたのだ。あまりにも意外な展開に息を飲むひかると観客達・・・紐がほどかれ、覆面が脱がされたその素顔に皆が驚きの声を上げた。「あ、あなた・・・・・?!」
そこに現れたのは、大女優二田佳子の息子であり、最近地下プロレスでその残忍性を如何なく発揮し、グラビアアイドル乙羽を血の海に沈めた高梁裕也であった。
「そうさ、俺だよ!本物のタスケの方は試合前にヤクで眠らせて拉致らせてもらったぜ・・・・あいつがいたんじゃ、ちょっとばかり邪魔なんでな。」
「さあ、これからが本番だぜ、お嬢ちゃん!!」
「グフフフフ、タップリト愉シマセテモラウゼ、ベイビー!!」
うつ伏せに倒れ込むひかるの足首を北王とアントレが一本づつ掴み、高々と頭上高く持ち上げていった。
「きゃあぁぁぁぁぁ・・・・・!!放して、放してよ!」
「ふん、まだ元気なようだな・・・・まずはチョコマカ動き回れないように足から潰させてもらうぜ・・・・そうりゃっ!!」
北王とアントレが掛け声と共に2m以上の高さから勢いをつけてひかるの膝をマットに叩きつけていった。
グシャアァァァ!!「ぎゃあぁぁぁ・・・・・・痛ぁぁぁい!!・・・・ひ、膝がぁぁぁぁ・・・・・!!」
ひかるの悲鳴と共に、その両膝の半月板が砕ける鈍い音が観客達の耳を衝いた。超ヘビー級2人がかりで、生命線であるスピードを支える脚を潰され、のた打ち回るひかる・・負けん気の強い彼女があまりの激痛に涙で顔をグシャグシャにしていた。だが、この凄惨な責めもこの3人にとってはまだほんの下拵えに過ぎなかった。タスケのコスチュームを着た裕也がリング下から何やら小さな光る物を受け取っていた。そして北王とアントレに指示しひかるをうつ伏せに押さえつけさせた。
「へへへ、じっとしてるんだぜ。今から二田の坊ちゃんがいいものをくれるからな!」
「ぅぅぅ・・・・や、やめてよぅ・・・・」
弱々しくもがくひかるに裕也が受け取ったモノを手に近づいてきた。そのモノは・・・注射器であった!
「ぅぅ、何、それ麻薬?・・・放して、やめてぇぇ!!」
「そんなに騒ぐなよ・・・これは麻薬じゃあない。もっといいモノさ。」
「・・・・えっ?!」
注射器を弄びながら裕也がひかるの顎を持ち上げ、語りかけていった。
「単純な薬さ・・・これを注射するとね、どんなに苦しくても気を失う事が出来ないってだけのね。だから僕達3人がたっぷりと楽しめる。」
そう裕也が用意させた薬とはあらゆる苦痛からの最後の逃げ場である失神さえも奪い去る、正に悪魔の薬であった。これから自分の受け続ける地獄の責め苦に怯え必死にあがくひかるだがもちろん北王、アントレ二人がかりで捩じ伏せられ身動き一つ出来るはずもなかった。裕也は慣れた手つきでひかるの二の腕あたりに針を突き刺し悪魔の薬物を注入していった。
「ああぁぁぁん・・・・」
「さあ、たっぷりと愉しませてもらうよ!」
もはや自力で立ち上がる事も出来ないひかるをアントレが羽交い絞めに捉えた。150cmのひかるの小柄な身体は完全に浮き上がり、その両足は空しく宙を蹴るばかりだった。そして無防備となったひかるの腹、脇腹、そして胸に北王と裕也の二人がかりの拳が次々と襲い掛かっていった。
「くっ・・・・卑怯よ!放し、はうっ!げほっ!はぁ、はぁ、あうっ!・・・んあぁぁっ!・・・げふぉっ!・・・・・・」
大巨人アントレに蹂躙され逃れ様の無いひかるの細い引き締まったボディーに2人の悪鬼の責めが容赦無く襲い掛かった。ひかるの端正な顔に苦痛の脂汗が滲み、口元からは呻き声とともに、血の混じった吐瀉物がマットを赤黒く染めていった。
「おいおい、汚ねえな、まだまだこれからなんだからな、ゲロくらい我慢しろや!」
「・・・んうぅ・・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」
激痛の中北王を睨み返すひかる・・・だが、ひかるの小さな身体に巨大な拳が容赦無く襲い掛かり、マットを紅く染めていった。
「うぅっ!・・はうっ!・・・げほっ!げほっ!・・うえっ!・・はぁ、はぁ、はぁ、・・・あうっ!」
「グハハハ、スグニハ死ナセネエカラナ・・・ソウラ、コッチヘ来ナ!!」
血を吐きながら悶えるひかるをアントレがその髪を掴み、ロープ際へと引き摺っていった。
「ぅぅぅ・・・・」
髪を掴んだままアントレはひかるの目をトップロープに押し付け、リングの一辺9mの端から端まで力任せに擦りつけていったのだ。
「ギャアアァァァァッァァ!!」
ひかるは咄嗟に目をつぶったが、アントレの怪力に押し潰され、一瞬にして瞼は切れ両目が鮮血に染まり視力を失ってしまった。
「いたぁぁい・・・目が、目がぁぁぁぁぁ!!」
目を押さえうずくまるひかるに裕也が背後から迫りいつの間にか手にしていたチェーンをひかるの細い首に巻きつけ絞め上げていった。
「んあああぁぁぁぁ・・・・・・・・」
暗闇の中窒息の苦しみと恐怖に蹂躙されるひかる・・・だが、更にアントレが悶えるひかるの肢体をベアハッグに捉えていった。アントレの巨体に埋もれるように背骨を締め上げられるひかる。しかも背後からは裕也にチェーンで首を絞められ、口からは紅い泡が溢れ出した。
「んぐっ!・・・・んあぁぁぁ・・・・・・・・・・ぁ、ぁ・・・」
普通ならば、もはや気を失ってもおかしくない程の責めを受けながら、裕也のうった薬により、正に死ぬまで苦しみ続けるしかなかった。もちろんこの3人も殺してしまうつもりは毛頭無く時間いっぱいひかるをいたぶり抜くつもりなのだ。ひかるの絶命する刹那、裕也はチェーンを緩め、アントレもベアハッグを解き、北王に向かって放り投げていった。
「さあ、まだまだ時間はたっぷりとあるんだ・・・さっきはよくもやってくれたな、結構痛かったぜ!!」
北王はひかるの頭と腿の辺りを掴んで仰向けのまま高々と持ち上げ、思いっきりその腰を自分の頭に叩きつけた。
バキッ!!「うわあぁぁぁぁぁ・・・・・・・!!」
ひかるの腰が不自然なまでの角度に反り返り、断末魔が場内に響き渡った。そのまま北王はひかるを自分の頭頂部に串刺しにしたまま、掌を顎と陰部に掛け、ギシギシと絞り上げていった。先程までアントレにベアハッグで痛めつけられた背骨が北王の怪力バックブリーカーで又しても悲鳴を上げた。
「ああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・ッ!!」
ひかるの悲鳴に気を良くしたか北王はそのまま大きくジャンプし、尻餅を突くように着地していった。
「うあぁぁぁぁぁぁ・・・・・!!」
着地の衝撃はひかるの責められた腰一点に襲い掛かった。身体を砕かれるかのような激痛に悲鳴と共に泡を吹くひかる・・・しかしひかるの身体はまだ北王の頭上に蹂躙されたままとなっていた。そう、北王が座り込むことによりひかるの身体は再び裕也の掌の届くところとなったのだ。そして裕也はこのときを待ち侘びていたかのように又手に何かを持って構えていた。又アントレが裕也のためにお膳立てをするかのようにひかるの競泳用水着を胸元から一気に臍の辺りまで裂いていった。ひかるの形のよい乳房が仰向けのまま剥き出しとなり客席から歓声が沸き起こった。
「ああぁぁぁん・・・・・うぅ・・・」
目が見えず状況のわからないまま、今まさに処刑されようとするひかるに裕也が耳元で呟いた。
「ふふふ・・・だいぶ堪えたみたいだね。だけどクスリあげたから、意識はハッキリしてるはずだよね?まだ今日のスペシャル凶器試してないんだ・・・この間の乙羽のときは画鋲だったけども、今日はこいつでいたぶってやるよ!」
裕也が手に持っていたのは事務所などにあるホッチキスだった。そして今、そのホッチキスを開いて針をひかるの剥き出しの乳房に押し付けた。冷たい感触に怯え硬直するひかる。それを愉しみ舌なめずりをし、裕也は一気にホッチキスの針をひかるの乳頭に刺し込んでいった。
「ぎゃああぁぁぁぁぁ・・・・・む、胸がぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・!!!」
突如襲った女の急所への激痛に気丈なひかるも子供のように泣きじゃくり、悲鳴を上げた。だが裕也はアントレにも自分の用意してきたホッチキスを渡し、更に二人がかりで両乳房にホッチキスの針を次々に埋め込んでいった。
バチッ!・・・「ぎゃあっ!」・・・バチッ!・・「ああぁん!」・・・バチッ!・・・「あうっ!」・・・
ひかるは針を抜こうとグラブを外そうとするが、もちろんこの3人がそれを許す筈も無く、腕を押さえつけ針を使い切るまで約100本をひかるの乳房に突き刺していった。そしてこの処刑の終わりと共に北王がようやく頭上からひかるを放り捨てた。
「ウワアァァァァ・・・・・ン!!痛いよぅ・・・・・!!」
子供のように泣きじゃくりながらグラブを外そうとするひかるを裕也が背後から腕を捻じり上げ、北王に合図しリング下に用意していた有刺鉄線で身体をグルグル巻きにしていった。ひかるの白い肌に有刺鉄線が喰い込み、たちまち紅い筋が無数に描かれていった。腕にも幾重にも巻かれ胸の針を抜く事も出来ないままアントレ、北王、裕也の3人の前に転がされる格好となったひかるに、まず北王が針の刺さったままの乳房をぐりぐりと踏みつけていった。
「どうだ・・・痛てぇか?・・・・ええ、このチビが!!」
目から血を流し気を失う事も出来ないまま3対1でいたぶられるひかる・・・
「はうっ!・・・・げふぉっ!・・・うぅ・・・・」
目も見えず、両膝を潰され立ち上がれずに有刺鉄線に巻かれたまま倒れ込むひかるの脇腹をアントレがその巨大な爪先で蹴りつけてゆく。
ドスッ!「はうっ!・・・・げふぉっ!・・・うぅ・・・・」
ひかるの小さな身体が、まるでボロ人形のようにマットを転がされていった。しかし転がっていった先には待ち受けていた北王が更に容赦無くひかるの腹を蹴り上げていく。
「はうっ!・・・うぅ・・・・・・」
北王の力任せの蹴りでひかるの身体は1m程も浮き上がって、そしてマットに叩きつけられた。更に裕也が自分の目の前でバウンドし転がってきたひかるの潰された膝をぐりぐりと踏みつけてゆく。
「あぁぁぁぁ・・・痛ッ・・・いたぁぃ・・・・・・・あぁぁぁぁ・・・・・!」
「へへへ、たまんねぇな・・・まだまだいたぶってやるからな!」
裕也は足元で呻き声を上げるひかるを又も北王へと蹴り転がしていった。ひかるの華奢な肢体が3人がかりで弄ばれ、休む間もなく蹴り転がされてゆく・・・・もはやリング上には試合は存在しなかった。リング上に繰り広げられているのは傷ついた身体の小さな美女がたった1人で3人の地獄のリンチを受け続ける、凄惨な処刑の様であった。意識を失う事も出来ない中、ひかるはこの地獄の責め苦に喘ぎ続けるしかなかった。今のひかるに残されているのは敗北者としての絶望と永遠とも言える苦痛だけであった。
「うっ!・・・はうっ!・・・ぁあぁぁぁぁぁっ!」
(痛い・・・いったい、いつまであたしを痛めつけたら気が済むの?・・・・あたし、死んじゃうのかな・・・もう、・・・・)
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ、はぁ、はぁ・・・もう、そろそろ限界かな、こいつも・・・・」
虫の息となったひかるを踏みつけながら裕也が北王、アントレに話し掛けた。
「ああ、殺しちゃう訳にはいかねえからな・・・」
「じゃあ、アントレさん最後に決めて下さいよ!」
「オー、OK、ボーイ!」
アントレがひかるの両足を片手で掴み、ジャイアントスイングの要領でひかるの身体を振り回し始めた。3回、5回、・・・10回と加速が付きひかるの小さな身体が斜め上に角度を上げた瞬間、アントレは手を離しひかるはトップロープの数m上を飛び越えリングの外、約15m先に叩きつけられていった。固い床に猛スピードで叩きつけられ、呻き声を上げながら痙攣を起こすひかるの姿にさすがのミックスファイトカフェのスタッフも慌ててゴングを鳴らし救護班を向かわせた。しかし、これほどの衝撃を受けながらひかるの意識は未だ途切れる事無く激痛に苛まれていた。
リング上では北王、アントレに自慢気に語りかける裕也の姿があった。
「ふふふ・・・あの娘、ホントに苦しむのはこれからだよ。だってあのクスリで2日間は麻酔も鎮静剤も効かないんだからね。・・・ふふふ、地獄だよね・・・」

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