「AC−1 GP」〜プロローグ〜
2月のある昼下がり,都内のとある会議場に各テレビ局の編成担当者が集まっていた。占いでしか視聴率を稼ぐことが出来なくなりつつある民放と,年末の歌番組に大物歌手を持ってきたものの,過去に類を見ないほど視聴率の悪かった公共放送が打開策として意見交換の場を設けたのだ。
何とかして視聴者を引き込みたいMHK・人気アナが次々と退社していく日ノ本テレビ
アイドルアナの本家本元である富士テレビ・外部の人間を呼んでも数字が取れないSBS
スキャンダルが耐えないテレビ旭日・数字争いに加わりたいテレビTokio
話し合っていても解決策が見つからず,それぞれがピックアップしてきた番組を見ていたとき
SBSの担当者がつぶやいた。
「この番組のアイデア使えませんかね?」
その番組とは富士テレビのバラエティー番組で,アイドル同士がプロレスをするコーナーがあるというものだ。SBSがあげたアイデアは放送史上,過去に例を見ない大掛かりなものでそのコーナーを独立させて
「各局のアナウンサーもしくはフリーのキャスター同志を闘わせる・ネット局全てで放映する」
というものだった。
各局に人気のある女性アナ・キャスターがいるためプランとしては申し分のないものだったが,自局のアナはともかくフリーキャスターをどうやって説得するか・放映日時および時間はどうするか等,問題は山積みだった。しかし各局共に編成の全権を委任されていたため,ものは試しという事で放映に向けての協議に入った。最初の協議で決定したのは以下の通り。
・ 生放送ではなく,収録放送
・ 放送予定日は2ヵ月後の日曜日
・ 放映時間は9時〜11時(予定)
・ 8人参加のトーナメント式
参加選手が決定したあと,更に詰めの協議に入ることとなった。
懸念されていた「アナウンサー・キャスターの説得」は,思ったよりも参加希望人数が多く,
大会事務局にとっては嬉しい誤算だった。
その中から8人をピックアップし,最初の会議から1週間後に記者会見が行われた。
対戦カードは放映で確認とのことだが
高木千佳子・古田恵・斎藤洋子・柴口倫世・振瀬絵理・高嶋彩・内多恭子・山口玲奈
と新旧おりまぜたラインナップになっているが,目玉はやはり先ごろ日ノ本を退職した柴口の参戦だろう。
元はバラエティー番組だが,今回はそれを一切排除したものになるということも合わせて発表された。さぁ・・・一体,どんな闘いが見られるのだろう。