第1話 『女子プロレス部設立?』

「ねぇ、最近の女子プロレスって活気がないよねぇ・・・」
「たしかに、私もプロレス好きだけど、雑誌とかも少ないしね・・・」
セーラー服姿でプロレス話をしているのは、都内にある私立女子高の1年生の涼子と浩子だった。
この2人は、プロレスが好きで格闘技などの雑誌などを読んでは女の子には珍しく、そういう話で盛り上がっていた。
そんな2人に、思ってもいない話が転がってきた。
「えっ・・・新しいクラブの設立・・・」
学校でまた新たなクラブを作ろうと言う話があるらしく、その話を聞いた涼子は考えた。
(だったら・・・プロレス研究部なんて・・・ダメかな?)
だが、ダメで元々と言う事で涼子は浩子を誘って設立への動きを開始していった。
しかし、以外にもこの話は学校側にも認められていった。
まぁ、まさかプロレスをする訳でもなかろうと学校側は考えていたようだが、涼子と浩子は違っていた。
「涼子・・・まさか・・・リングとかも・・・」
「そうよ、当然。・・・でも、まずは部活として認めてもらってからね。」
その2人の思惑を知らない学校側は、取りあえずはプロレス研究部を認める方向で予算と部室などの割り当てをしてくれていた。
「うわ〜、本当にできちゃったね・・・プロレス研究部・・・」
部室として与えられた部屋で驚く2人。
「ねぇ、浩子さぁ・・・私達もプロレスみたいな事してみない?」
「えっ・・プロレスって・・・水着になってリングで?」
「当然、私達だってカワイイと思うし、ウケると思うよ・・・だって、女子高だから水着姿になっても恥ずかしくないじゃん!」
「そうだけど・・・そうね、やってみようか・・・」
以外と言えば以外な展開でプロレス研究部が設立されたが、それから2人はプロレスの基本である受け身から徹底して練習していった。
体育館で他の運動部に混じり、マットの上でジャージ姿で受け身をしている2人。
だが、当然の事ながら2人だけで部活動が出来る筈もなく、顧問の先生を捜すこととなった。
だが、なかなかプロレスの好きな先生も見つからず、男の先生たちもなかなかイエスとは言ってくれなかった。
しかし、そんな先生の中でも、学校の中でも有名な美人で名高い藤田紀香と言う教師が名乗りを上げてくれた。
「せ、先生・・・プロレス好きなんですか?」
紀香の以外な名乗りに驚く涼子と浩子。
「好きじゃいけないかしら?・・・私も見た目とギャップがあるって言われるけど、身体を動かすのも好きだしね・・・」
こうして、顧問も決まってプロレス研究部がスタートしていった。
それから二ヶ月、涼子と浩子、そして顧問の紀香も練習に参加していたが、ここで紀香から以外な言葉が出ていった。
「貴方たち、本当は自分たちがプロレスしたいんじゃないの?」
その言葉に驚く2人。
「どうなのよ?」
更に紀香が聞き出すと、涼子が切り出した。
「実は・・・見ているだけじゃと思って・・・」
浩子も続けた。
「私も・・・どうせなら、私たちもって思って・・・」
その2人の言葉に、紀香が答えていった。
「だったら、プロレス研究部なんて名前やめちゃって、思い切って女子プロレス部にでもしたら?」
紀香の以外な言葉に唖然とする2人。
しかし、紀香の提案に2人は頷くと、設立二ヶ月で女子プロレス部へとなっていくのであった。
時に、季節が春から夏になりかけていた時期であった・・・。

藤田紀香(27歳・教師)
身長168p、B88W58H87
格闘技に興味をもつ美人教師。実は自らもリングに立ちたいと思っている。

佐々木涼子(16歳・高校1年生)
身長156p、B83W56H84
プロレス好き美少女。自らは学園祭でプロレスをしたいと思っている。

須之内浩子(16歳・高校1年生)
身長158p、B80W54H83
涼子の同級生で友人。スレンダーながらプロレス好き。空手の経験をもつ。



第2話 『初めてのスパーリング』

それから季節が過ぎて夏になる頃、もう2人は受け身の練習などもこなしていたが、まだスパーリングまではやっていなかった。
そしてこの日も、顧問の藤田の見守る中、涼子と浩子は学校で水泳の時間に使う競泳水着の上にTシャツ姿で練習をしていた。
「ねぇ、そろそろ私たちもプロレスしてみない?」
「そうね・・・一応受け身も練習してきたしね!」
涼子と浩子がスパーリングをしたいと申し出ると、以外にも藤田もその提案に賛成した。
「いいわよ。ただね、まだ慣れてないんだから危険な投げ技、特に頭から落とすような技はダメよ・・・。関節技と打撃は顔面はダメだから、それならいいわよ!」
藤田が一応は注意を促すと、涼子と浩子は初めてのスパーリングに笑顔を浮かべていった。
「負けないわよ、涼子ちゃん!」
「こちらこそ、ギブアップを奪ってあげるわ!」
お互いがスパーリングに意欲を燃やすと、藤田が体育館のマットを引き出していった。
「それじゃ始める?・・・準備してね、Tシャツを脱いで準備運動は出来てるわね?」
その藤田の言葉に2人はレスリングシューズの紐を結び直すと、マットの上で腕などを伸ばしていた。
「いい、スパーリングだけど、ギブアップを奪うかスリーカウントねっ・・いい?」
藤田がルールを言うと2人に確認を取っていった。
そして涼子と浩子が頷くと、そのまま手を叩いてゴングの代わりとした。
パシッ・・・
「始めっ!」
その藤田の声と共に、黒い競泳水着姿の涼子と浩子が距離を取って睨み合っていった。
高校一年と言っても、涼子はDカップ、浩子もCカップはあるバストの膨らみが目立ったが、ここは女だけでの練習なので誰も気にしなかった。
そしていきなり組み合うと、力比べのように押し合っていった。
まずは互角のようで2人とも押し合うが、夏が近く気温も高いので額からは早くも汗が流れ出していた。
そして次の瞬間、浩子が一瞬力を抜いた所を涼子は逃さなかった。
「もらった!」
いきなりヒザ蹴りを浩子のお腹へ炸裂させると、初めて受けるヒザの威力に苦悶の表情を浮かべていく浩子。
グシュ・・
「ぐふっ・・・く、苦しい・・・」
思わずヒザをつく浩子だが、涼子は続けて髪を掴むとそのままマットに浩子の顔面を叩き付けるフェイスクラッシャーを炸裂させた。
バシィィィ・・・
「ぎゃああぁぁぁ・・・・顔が痛いよぉぉぉ・・・」
堪らず両足をジタバタして悲鳴をあげる浩子。
たしかに、初めてのスパーリングで顔への攻撃は浩子にとって辛いものだったが、涼子も夢中になっていたのだった。
「どんどんいくわよ、浩子っ!」
更に倒れた浩子の背中に座ると、涼子がキャメルクラッチを仕掛けていった。
グイッ・・・
「んあっ・・・んんんっ・・・・」
背中への激痛に苦悶の表情を浮かべる浩子。
「それそれ、ギブする?・・・どうするの?」
余裕の表情になってプロレスを楽しんでいるような涼子。
しかし、藻掻き苦しみながらもギブアップせずに浩子も抵抗していた。
「須之内っ、ギブアップする?」
苦しむ様子の浩子に向かって藤田がギブアップの確認をするが、浩子は手を振ってノーの意思表示をしていった。
「浩子、結構根性あるのね・・・」
浩子が耐えると、涼子は技を解くと髪と肩口を掴んで起こしていった。
「ううっ・・・腰が痛いっ・・・」
立たされながら腰を押さえる浩子。だが、涼子は距離を取るとローキックで浩子の足を攻め立てた。
バシッ・・バシッ・・
「あうっ・・・あんっ・・・痛いっ・・・」
ローキックに悶える浩子。しかし浩子も何かを狙っているようだった。
「どうしたのよ、遠慮はいらないわよ!」
しかしそんな浩子の様子に気が付かず、涼子がミドルキックを放っていった。
しかし・・・。
「待ってたわ・・・もらった!」
そう、空手の経験のある浩子からすれば、見よう見まねの涼子の蹴りは見切れるもので、逆にお返しとばかりに蹴り足をキャッチすると、一気に捻りながら倒れていった。
グィッ・・
「ぎゃああぁぁぁぁぁ・・・・・」
いきなり悲鳴をあげるのは涼子で、浩子がそのままアキレス腱固めを極めていった。
だが初めての実戦形式のスパーリングの為に、浩子のアキレス腱固めも完全とは言えなかったが、涼子は藻掻き苦しんでいた。
「佐々木っ、ギブする?」
今度は藤田が涼子にギブアップか聞くが、涼子も両手でマットを叩きながら耐えていた。
たしかに、まだリングもないプロレス部では逃げる為のロープもなかったが、藤田もあまり意地になって耐えてケガでもされたらと思って困っていた。
「須之内っ、ストップ・・いったん技を解いて・・・」
突然技を解くように浩子に言い出す藤田。
「な、何でですか、先生っ?」
たしかに技を解くが納得のいかない様な表情の浩子。
「先生っ、私まだ出来ます!」
逆に苦しんでいた涼子も足を押さえながらも藤田に続行を言い出した。
しかし、藤田もいくら何でもケガをさせてはと思って2人に言って聞かせた。
「いい、いくら何でも最初のスパーリングからケガでもしたらどうするの?」
その藤田の言葉に涼子も浩子も黙った。
「す、すいませんでした・・・夢中になってしまって・・・」
藤田の言葉に素直に謝る涼子と浩子。
「いいのよ、分かれば・・・。それより、ロープがあるリングが欲しいわね・・・」
今度はリングの事まで言い出す藤田。
「えっ・・・でもリングなんて高いし・・・置き場所も・・・・」
「そうですよ、いくら何でもリングまで・・・」
リングの話が出て、2人も無理だと言い出すが、藤田が以外な事を言いだした。
「そうね、でも部活動として認められたし、予算を何とか頼んでみるわ・・・」
しかし、顧問の藤田はリングが欲しいと思ったのか、その数日後に学校側にリングを設置してほしいと言い出すのであった・・・。
そうとは知らず、涼子と浩子はそれから技の入り方などを研究するため、相変わらずマットの上で水着姿で練習していくのであった。
そんな2人の前に、意外な申し出をしてくる者がいた・・・。
「あ、あのう・・・・」
そう、いつの間にか練習している2人の前に、小柄な女生徒が立っていた。
「えっ・・何?・・・私たちに何か用?」
練習を一旦止めると、汗で所々変色している水着姿で言葉を返す涼子。
「実は・・・私もこっそりと練習を見てて、プロレス部に入りたいと思って・・・」
「えっ、入部希望?・・・いいけど、プロレスなんていいの?」
涼子は喜ぶが、浩子はその女子生徒に問いかけた。
「だけど、ケガとかするかも知れないけどいいの?」
その問いかけに、以外な言葉を返した。
「はい。私ってプロレス好きで女子プロレスを見ていくんですけど、自分もリングに立ってみたいと思って・・・。私、遅れましたが1年C組の佐藤恵って言います!」
その恵の姿に、2人は顧問でもある藤田が来るのを待つが、恵はやる気があっても身長が150あるか無いかで、2人は心配したが恵はもうやる気十分であった。
「どうしたの?・・・あら、佐藤さん?」
そこへ藤田が3人の前に来ると、さすがに教師だけあって恵の事を知っているようだった。
「はい、実は私もプロレス部に入りたくて・・・」
恵が藤田に言い出すと、藤田は笑みを浮かべて恵のプロレス部入りを了解していった。
早くも新入部員が入った女子プロレス部。
次の目標は部のリングの獲得であった・・・。

佐藤 恵(16歳・高校1年生)
身長145p、B78W57H83
小柄ながら、プロレスへの情熱のある新入部員。基礎体力は自ら練習してきたようである。


第3話 『紀香のバイト』

新入部員が加入したと言っても、まだリングもない女子プロレス部。
基礎的な練習をしても、秋の文化祭でプロレスをすると言う目標も危ない感じになってきた。
そんな状態に、資金集めさえすればと紀香も思っていた。
だが、学校側から出る部費もリングを買えるほどではなく、涼子も浩子、それに恵までもバイトで貯めていくが、なかなかリングを買うまでには至らなかった。
そして時季は夏となっていた・・・。
スクール水着でプロレスの練習をしていく3人。マットの上で絡み合う身体に、暑さからか汗が流れ出してオイルレスリングのようにも見えていた。
「オイル・・・そうねっ・・・夏なら・・・」
その光景に、紀香が何かを考えたようであった。
そして練習が終わると、紀香は繁華街に消えていくのであった。
一方、涼子や浩子、そして恵は一路家路につくのであった。
それから一週間が経とうとしていたが、リングを買うための資金も大分貯まってきたようであった。
「どうしてこんなに貯まってきたんだろう?」
涼子も不思議に思っているようだった。
「そうよね・・・私たちのバイト代じゃ・・・」
浩子も恵と共に首を捻った。
「でも、先生だってそんなに給料多くないと思うし・・・」
そんな疑問を持つ3人は、まぁいいかと言う感じであった。
そんなある日・・・・。
「あれっ・・あれ・・・先生じゃないの?」
浩子が帰り道、涼子に紀香の姿に気が付いて合図する。
「あれっ、何でこんな所に?」
何やら肩からスポーツバックを下げて繁華街に消えていった。
「まさか・・・先生・・・風俗でも?」
「でも、先生だったら綺麗だしねっ・・・冗談よっ・・・」
紀香の姿に、涼子と浩子が追いかけていった。
そして紀香が入っていったのはあるビルの入り口であった。
『ビアガーデン・・・特別泥んこプロレスショー!』
「ど・・泥レスって・・・あの泥の中でやるやつでしょ・・・」
涼子と浩子が驚くと、その紀香の上がっていった階段を上がっていった。
周りに見つからないように屋上に出ると、そこには沢山のテーブルに囲まれた泥のプールとも言える泥レス用のリングが用意されていた。
そして、そのテーブルには会社帰りのサラリーマンであろうか、ビールの注がれているジョッキ片手に歓声が上がっていた。
その歓声の中、泥レスの選手であろうか泥のリングに向かう女性の姿があった。
「!!」
「せ、先生っ・・・」
そう、2人が驚くのも無理はない。そのリングに向かっていく1人は、あの藤田紀香だった。
見事な均整のとれた身体を白いビキニに包んで泥に足を入れていった。
「でも・・先生のビキニ姿って綺麗っ・・・」
そう、涼子たちから見ても紀香のビキニ姿は見事で、その揺れるバストや胸の谷間に、観客たちも歓喜の声をあげていた。
そして対する女性も、筋肉質っぽい身体の綺麗な女性であった。
『カァーン!』
いきなりゴングが鳴らされると、2人は泥の中にヒザを落としていった。
『さぁ〜始まりました!・・・美女同士のセクシー泥んこプロレスっ!』
『デビュー戦から3連勝の驚異の新人の紀香と、謎の泥んこレスラーの対決だぁぁ・・』
係の男がマイクで叫ぶと、観客たちも騒ぎ出した。
だがお互いの髪を掴んで倒し合うと、泥の中でくんずほぐれずの取っ組み合いを始めていく紀香と相手の女。
「先生って以外と強いじゃん・・・」
浩子が感心して見ていると、いきなり紀香が悲鳴をあげた。
「きゃあぁぁ・・・何するのよ!」
そう、相手の女が苦し紛れに紀香のビキニを剥ぎ取ったのだった。
見事な88センチのバストが白く露わになると、歓声が上がった。
紀香が両腕でバストを隠すと、女が構わず張り手を入れていった。
堪らず泥の中に倒れ込む紀香。
グシュ・・・
「なに可愛い子ぶってるんだよ・・・おらっ!」
しかし倒れて胸を隠す紀香の肩とビキニショーツを女が掴むと、強烈なヒザ蹴りを紀香の脇腹に炸裂させた。
「ぐふっ・・・うううっ・・・・」
これには苦悶の表情を浮かべて動きが鈍る紀香。
更に、女が紀香の背中に座り出すと、一気にキャメルクラッチで攻めだした。
グイグイッ・・・
「あああっ・・・・イヤッ・・・痛いっ・・・・」
そう、ただのキャメルクラッチではなく、髪を掴んで上半身を反らされている紀香は悲鳴をあげていた。
泥だらけの紀香の顔が苦痛に歪む。そしてその光景に観客たちが歓声をあげていた。
『おっと、早くも紀香が悲鳴をあげているが大丈夫か?』
アナウンスが盛り上げると、歓声が更に大きくなっていく。
しかし泥のリングでは紀香が両足をバタバタして藻掻いていた。
すると、女が紀香の髪を放して逆に泥の中に紀香の顔面を叩き付けると、そのまま後頭部にヒップを乗せて押しつぶしていった。
バシャバシャ・・・
泥の中へ顔を入れられ、呼吸が出来ない紀香が必死に藻掻いているが、女は上手く押さえて付けていた。
「せ、先生死んじゃうよ・・・」
「大丈夫よ、どうせショーなんだから・・・」
涼子と浩子が心配そうにする中、紀香は遂にギブアップの意思表示のように泥のマットを叩いてギブアップをした。
しかし、女が紀香のギブアップに気が付くと、レフリーに気が付かれる前にチョークスリーパーに移行して一気に締め上げた。
『おっと、ここで紀香の喉元に腕が食い込んでいく!』
これには更に紀香がギブアップの意思表示をするが、レフリーが気が付かないようであった。
そしてレフリーが確認したのか、やっと紀香のギブアップを確認して女に技を解くように指示していった。
「ハァ・・ハァ・・・うぐっ・・」
技を解かれて立ち上がろうとする紀香に、女は後頭部を踏み付けていった。
「ふふふっ・・・この程度で泥レスで連勝中なんて笑わせてくれるわねぇ・・・」
そう言い放つと、顔から泥を拭っていく女。
そう、この女こそお色気ショーのはずの泥レスの中で、相手を潰すときに出てくる泥レスラーだった。
その光景を見ていた涼子と浩子は、紀香がリングの為に頑張っている姿に涙を浮かべるのであった。
そして紀香は、半失神状態で係に運ばれていくのであった。
そして控え室では、意識をハッキリさせた紀香が着替えていた。
ガチャ・・・
「今夜もお疲れさん・・・これはファイトマネーだ。」
そう、ビアガーデンの支配人が紀香に封筒に入ったギャラを渡していった。
そして封筒を受け取ると、紀香は黙って控え室を出ていくのであった。


第4話 『女子大生との練習』

紀香の泥レスの話の事は、誰も話す者が居なかったが、それからしばらく、女子プロレス部にある連絡が入った。
それはネットでプロレス部の宣伝をしていたのだが、そこへメールが送られてきた。
「浩子・・・大変・・・ネットに出したヤツにメールが来てる!」
涼子が浩子に言い出すと、浩子もメールに目を通した。
なんとそこには、近くの大学のプロレス研究部で、女子部もあるとの事だったがマッチメークがなかなか上手くいかず、出来れば交流戦がしたいとの事であった。
そこで、涼子と浩子はその大学のプロレス研究部の見学に行くことにしたのだった。
その大学に行くと、プロレス研究部があった。
そして、リングがあるのに気が付くと、早くも練習試合が始まっていた。
競泳水着姿で闘う女子大生2人。汗だくで闘っていたが、共に大学1年らしく、プロレス好きが興じてプロレス研究部でアマチュアプロレスみたいにしているとの事だった。
だが、2人とも真剣な表情で試合をしていて、時折見せる打撃技などは当たった瞬間に汗が飛び散る程の迫力であった。
そして、倒れ込んだ瞬間に一気に腕拉ぎが決まると、そこでギブアップとなって試合は終わっていった。
その光景を見て、涼子と浩子が話しかけた・・・。
「す、すいません・・・メールで連絡頂いた者ですが・・・」
その言葉に、試合を終えた2人が水着姿のままリングから降りて涼子と浩子の前に現れた。
「はじめまして・・・高校生でプロレス部って聞いて、私たちと是非ともと思って・・・」
「こ、こちらこそ光栄です・・・それに、リングの上で練習した事ないから・・・是非お願いします・・・」
そうして、話は進んでいき、一週間後の金曜日の夜に、合同練習をしようと言う話になって解散となっていった。
その帰り道、涼子と浩子は初めてリングの上で試合形式の練習が出来ると楽しみにしていた。
次の日からスパーリングを中心に、涼子と浩子、そして恵はトレーニングしていくと、プロレス研究部から連絡が入った。
連絡によると、軽いスパーリングの試合みたいな事をしようとの事であった。
その連絡に、涼子たちは気合いを入れるのであった・・・。
「リングで試合が出来る・・・頑張らなくちゃ・・・」

そして一週間が過ぎると、その日の夜に相手の大学の部室に向かう3人。
そこに現れたのは、大学のプロレス研究部の女子部員だった。
「こんばんわ・・・今夜はよろしくね・・・」
そう笑顔で握手を求めてきたのは、女子部員の中でもリーダー格の秋本美穂だった。
T167B87W54H86とまるでモデルのような体格、そしてビジュアル的にもタレントとしても通用するような美穂に驚いていた。
そして、他の部員も姿を現すと挨拶を始めていった・・・。
「今夜はよろしくね・・・」
そう言うのは、T160B85W59H88のガッチリした体格の佐藤美奈子だった。
元は高校時代に水泳をしていたと言う事で、筋肉の付き方は見事なものであった。
「今日はこの2人しかいなくてごめんなさいね・・・」
突然に美穂が言い出すと、取りあえずはあまり時間が遅くなってもと言う事で、タッグ戦で試合をしてみようと言う事になっていった。
取りあえず更衣室に行って着替えていく涼子たちだが、今夜は涼子はレフリー役と言う事で、水着の上にTシャツを着ていた。
そして、今夜試合をする浩子と恵は、女子高生らしく競泳水着を着て、足はレスリングシューズを履いていた。
対する美穂と美奈子は、胸元の開いたワンピース水着を着て、更に美穂は足にレガースをつけていた。
(あの人・・・打撃するんだ・・・)
美穂のレガースを見て涼子が驚いていた。
「一応試合って事なんだから・・・ルールはプロレスのルールねっ・・・凶器は使わないって事で・・・」
美穂が浩子に言い出すと、浩子も返した。
「お願いします・・・。ただ、試合って言う事なので、真面目にやっていいですか?」
その言葉に美穂が応えた。
「ケガをしない程度にねっ・・・」
そう言うと、両コーナーに別れていった。
そしてゴングもなしに試合が始められていった。
まずは浩子と美奈子からのスタートだったが、プロレスらしく2人とも距離を取ると、いきなり手四つの体制でリング中央で組み出した。
グッ・・・
「うっ・・・・」
浩子が呻き声みたいなものを出すのも仕方ない。美奈子の以外な力に苦悶の表情を浮かべていったのだった。
仕方なく、いきなり蹴りを美奈子に叩き込むと、美奈子が怯んだ隙にドロップキックを叩き込んでいった。
バシッ・・・
堪らず倒れる美奈子。すかさず浩子のエルボードロップが美奈子の胸に決まると、美奈子が両足をジタバタして苦しんでいった。
その様子に浩子が恵に早くもタッチすると、恵がリングインした。
しかし小柄な恵は、素早く走り込むと起きあがった美奈子に打点が低いため、ドロップキックを叩き込むがお腹に決まっていった。
バシィィィ・・・
「うぐっ・・・・くっ・・・」
お腹に蹴りが入って苦しむ美奈子。しかし何処か余裕のようでもあった。
更に、恵は起こすとヘッドロックで締め上げるが、美奈子は抵抗を見せなかった。
すると・・・。
バシィィィィィ・・・・・
「きゃああぁぁぁぁぁ・・・・」
そう、恵の悲鳴と共に、美奈子のバックドロップが炸裂していった・・・。
この一撃に恵は意識を朦朧とさせているのか、グロッキー状態になってしまった。
「何よ、これで終わりって訳?」
美奈子が起きれ顔で言い出すと、恵の髪を掴んで起こすと、コーナーの浩子の所へ振っていった。
バシィィィ・・・・
コーナーに叩き付けられて恵が倒れ込むと、浩子がタッチした。
「恵っ・・タッチ・・・タッチ!」
恵の様子に驚く涼子と浩子。しかし涼子はレフリーであり、浩子は試合の最中であった。
恵の様子を気にしながらも、浩子がリングインしていった。
一方、美奈子も美穂とタッチすると、美穂も腕を振りながらリングインした。
すると、距離を置く浩子に対して、いきなり美穂がローキックを叩き込むと、音を立てて決まっていく浩子への蹴り。
バキッ・・・
苦悶の表情を浮かべるが、打撃に対して浩子は空手の経験からも2発目からはガードすると、今度は蹴りに対してタックルで飛びかかっていった。
しかし体格の差からか、ロープに押し込んでいくが決定打も出なかった。
「ブレークっ・・・」
ここでレフリー役の涼子がブレークを命ずると、またも距離を置いていく2人。
しかし、今度は美穂が掌打の連打で押していくと、ガードする浩子のボディへヒザ蹴りを入れてダウンを奪っていった。
「うううっ・・・・苦しいっ・・・」
堪らずお腹を押さえて苦しむ浩子。
「立ちなさいよ・・・試合中でしょ・・・」
しかし容赦せずに髪を掴んで起こしていく美穂。
だが、浩子も意地になって組み付くと、身長差を逆に利用してのフロントスープレックスで投げていった。
バシィィィ・・・・
「イタぁぁぁ・・・・」
思わず痛がる美穂。
更に腕を取っての腕拉ぎ逆十字固めを極めていく浩子。
グイッ・・・
「どう・・・ギブする?・・・・ギブアップ?」
浩子がギブアップを促すが、美穂は冷静に近くのロープに長い脚を伸ばしていった。
またもブレークとなると、浩子がフラつきながらコーナーの恵を見た。
すると、恵はコーナーで試合を見つめていたので、お腹への痛みもあるからとタッチしていった。
その時、美穂は部室の壁に掛けられた時計を見た。
(あんまり遅くまでしたらマズイし・・・この娘たちにプロレスの厳しさを教えてあげるか・・・)
美穂が考えていると、バックドロップのダメージを何とか回復してきた恵がリングに立っていた。
167pと145pの2人が向き合うと、恵にとって不利なのは仕方ない事だが、美穂の足にあるレガースが不気味であった。
すると、恵が美穂の蹴りを警戒してアップライトに構えていくと、美穂も感心していた・・・。
(ふん・・・やるわね・・・でも真似だけじゃあね・・・・)
美穂が一瞬の間を置くと、いきなり喧嘩キックを恵のお腹へ入れると、怯む恵の首をロックして一気にDDTを炸裂させていった。
これには恵が大の字になるが、美穂は続けて髪を掴むとコーナーへ連れて行くと、顔面へエルボースマッシュを叩き込む美穂。
レフリー役の涼子も心配するが、試合は始まっているので口は挟めない・・・。
恵がフラフラしていると、反対コーナーでは浩子が叫んでいた。
「恵っ・・タッチ・・・タッチっ・・・」
そう、美穂のDDTの威力を心配してタッチを求めていた。
だが、美穂が勝負を決めようと考えたのか、身長差から打撃を狙っているのは明らかだった。
「手は抜かないからね・・・これで・・・」
美穂が恵にそう言うと、強烈な蹴りを恵の顔面目掛けて放っていった・・・。が・・・。
ガシッ・・・
「待ってましたぁぁぁ・・・・」
「何っ・・・」
そう、恵は美穂の打撃を待っていたようで、いきなり顔面を狙うハイキックをキャッチすると、ドラゴンスクリューで倒していった。
「イタタタッ・・・・痛いっ・・・」
美穂が捻られた足を持ちながら苦しむと、恵もフラつきながらも立ち上がっていった。
更に、恵が美穂の痛めた方の足を掴むと、一気にヒールロックで踵を極めて、一気に勝負をかけていった。
グイッ・・・
「イタタタタタタタタッ・・・・・痛いっ・・・・イタタタッ・・・・」
美穂が必死にロープに手を伸ばすが、今回はロープが遠くて届かなかった。
「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
恵もこれで勝負とばかり絶叫しながら極めていくと、ここで美穂の手がマットを叩いていった・・・。
「ストップ・・・恵っ・・・ストップっ・・・」
そう、涼子が試合を止めたのは、美穂がギブアップしたからだった。
以外な結末だったが、練習試合と言う事もあり、まして美穂は予想外のドラゴンスクリューに足を痛めたようであった。
「やるわね・・・あの技は以外だったわ・・・」
敗れた美穂が恵の肩を叩きながら褒めていた。
「あ・・ありがとうございます・・・」
褒められた恵も、練習はしていたが以外な展開に自分自身も驚いているようであった。
「次はもう少し早い時間からやりましょう・・・。今度は別の部員も呼んでくるから、シングル戦でもいいしね・・・。」
美穂が二コッと笑みを浮かべると、涼子たちは挨拶を済ませて部室を後にしていった。



第5話 『異種格闘技戦』

「最近の格闘技の流れでも、総合って言われる試合形式が人気みたいね・・・」
「私たちも、今までのやり方意外での他流試合も必要かも・・・」
ある学校の一室。
この話をしていたのは、涼子たちと同じ学校の空手部内での話し合いで、最近の格闘技全般から空手意外の流派とも交流しようと考えているようだった。
そこでターゲットとなったのは、プロレス研究部と言う事となったのだった。
その話は数日中にプロレス部に届くこととなった。

「・・・・と言う訳なんだけど、どうするの。」
早速顧問である紀香から話が出ると、即答に近い形で涼子が答えた。
「面白そうですね。同じ学校内の格闘系なら異種格闘技戦方式でやってみたいです・・・」
その涼子の言葉に、浩子も続けた。
「でも、空手の打撃は一撃必殺って言うか、ルール面とか揉めるんじゃないの?」
それからプロレス研究部の中でも話し合いが続け蹴られると、取りあえずは交流戦をやってみようと言う方向になっていった。

〜つづく〜

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