「悪夢」


「ちょっと着てみよう!」

 買い物から帰った麻里子は、一息つく間もなく、買ってきたばかりの袋を開いた。

 麻里子は26歳のOL、現在はワンルームマンションに一人暮らし。二重の大きな瞳は印象的だ
が、小柄で華奢な身体に控えめで真面目な性格も災いして、この年代のOLとしてはどちらかとい
うと地味な印象であった。

 そんな彼女であったが、会社の友人と沖縄に旅行することになり、友人の熱心な勧めもあって、
一大決心をして今回ビキニの水着を購入したのだった。

「ちょっと派手だったかしら・・・・」

 袋の中から取り出したビキニを眺めながらつぶやく。布地の部分が薄ピンクからローズ色のグラ
デーションになっている可愛らしいものであったが、何しろ肝心の布地が思った以上に小さい、ほ
とんど紐でできているといってもいいようなものであった。店では友人の言葉に乗せられてつい思
い切ってしまったが、改めて見るとかなり刺激的なものに違いなかった。

 麻里子はちょっとどぎまぎしながらも、着ていた服を脱ぎそのビキニを着け、鏡の前に立ってみ
た。胸もそれほど大きくないし凹凸が大きいわけでもなく、これまで自分がセクシーだなんて一度
も思ったことのない麻里子であったが、思ったよりも胸の谷間も強調され、極小の布地以外露出し
た姿は、もともと可愛い顔だったこともあいまって、我ながらかなり魅力的な女性になれたような
気分になってきた。

「もう少しこのままでいよう」

 麻里子はしばらく鏡の前でポーズを取ったりしていたが、しばらくしてビキニ姿のままベッドに
横になった。折からの陽気と買い物で散々歩き回ったこともあり、麻里子はやがてウトウトし始め
た。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 気付くと麻里子はどこか見覚えのある体育館の中にいた。目の前にある大きな鏡に映る自分の姿、
身につけているものこそ買ったばかりの小さなピンク色のビキニであったが、ショートカットの髪
に可愛いながらも化粧気のない幼い顔、発育途中の胸の膨らみに骨ばった身体、それは中学2年、
14歳当時の自分であった。そして何よりも驚いたのは、14歳当時には思いもよらなかった恥ず
かしいビキニ姿のまま、両手首と両足首を縛られ大の字になるように拘束されていることであった。

「い、いやあ! 何!? 放して!!」

 叫びながら暴れる麻里子の前に現れたのは、当時麻里子が所属していた新体操部の顧問であった
教師の山本と、当時3年生の先輩たちであった。皆ジャージ姿で麻里子を睨みつけている。

「や、山本先生・・・それに・・・先輩・・・・」

 当時のキャプテンであった雅恵が新体操で使うボールを手に一歩前に歩み寄る。

「てめえ生意気なんだよ! ちょっと可愛いかなんか知らないけどチヤホヤされやがって!」

 後ろに並ぶ先輩たちからも声があがる。

「だいだい目障りなんだよ!」
「そんな格好で男をたらしこもうとしてんのかい! この淫乱女!」

 雅恵が叫ぶ

「チームの和を乱した罰だよ! やっちまいな!」

 雅恵は持っていたボールを振り上げると、思い切り麻里子に向かって投げつけてきた。

「い・・・いやあっ!!」
・・・・・バスッ!!

 ボールはうなりを上げながら、麻里子の無防備なお腹に突き刺さった。それほど硬くない新体操
用のボールとはいえ、あまり強く鍛えているとはいえない麻里子の細いお腹にはかなりの衝撃であ
った。

「おらおら! まだまだだよ!!」

ビュッ!・・・・・ドスッ!!!

「いやああっっ!!!」

 次の先輩がボールを投げる。麻里子のお腹に命中する。衝撃が体中に伝わり、一瞬息が詰まる。

「いやっ! お願い! 止めてください!!」

「うるせえんだよ!!」

 入れ替わり立ち代り、先輩たちは麻里子のお腹をめがけてボールを投げつける。全てのボールが
計ったかのように、麻里子のお腹の中心、丁度おへその上のあたりに命中し、柔らかいお腹にめり
込んでいく。

バシッ! ドスッ! バスッ! バシィッ!!

「いやっ! ああん! あうっ! ああん!」

 麻里子の大きな瞳から涙がこぼれ出す。

「い・・いや・・・山本先生・・・お願い・・・先生・・助けてください」

 それまでじっと後ろから見ていた山本が近寄ってくる。

「大会に向けて力を合わせていかなければいけない時期に・・・こんな結果に終わったのはお前の
せいだぞ!!」

「えっ・・・せ・先生・・・」

 山本は新体操の棍棒で数回麻里子のお腹を突くと、ぐっと後ろに腕を引き素早い動作で当身を喰
らわした。棍棒の先端が柔らかい麻里子のお腹深くに突き刺さる。

「うぐうっっ!!!・・・・あああ・・・・」

 麻里子は目を大きく見開き、口から涎を流す。そしてその瞬間目に入ったのは、バスケットのボ
ールを持ち大きく振りかぶった山本の姿であった。

「教育的指導なんだよ!!!」

 叫び声と共に大きなバスケットのボールが飛び込んでくる。

バシイイッッッイイイン!!

 バスケットボールが麻里子の裸のお腹に命中する。激しい衝撃が麻里子を襲う。

「ああああ・・・・・・・」

 麻里子はそのまま気を失った。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 気がつくと麻里子は広いグラウンドの上にいた。斜め前に大きな鏡、そこに映っている姿はやは
り身につけているものは例の小さなビキニのみであったが、相変わらず化粧気はないながらもかな
り大人びてきた顔に背中まで伸びてポニーテールにした髪、だいぶ発育し丸く膨らんだ胸に丸みを
帯びてきた身体、17歳、高校2年生の頃の姿であった。そして相変わらずビキニ姿のまま、グラ
ウンドから立てられた柱に後ろ手に拘束されていたのであった。

「い・・・いやあ!・・・」

 良く見ると麻里子が縛られている柱は野球のホームベースの後ろに立てられている。マウンド周
りには白いユニフォームを着た野球部員たちが集まり、中心のマウンド上にいたのは野球部のエー
ス、そして女子生徒の憧れの的であり当時麻里子も憧れていた3年生の榊原であった。

「さ・・榊原先輩・・・・」

 榊原は表情もかえず麻里子をじっと睨みつけている。やがて1年生部員がボールのはいった籠を
ゴロゴロとマウンドに押してくると、榊原はボールを取り出し、麻里子に向かってニヤリと笑みを
浮かべる。

「え・・・そんな・・・・い・・・いや・・・・」

 榊原はボールをストレートの握りで握ると、ワインドアップモーションで大きく振りかぶる。

「いや・・・やめて・・・いやあああ!!!」

 激しい恐怖が麻里子を襲い、顔を引きつらせながら必死になって逃れようと暴れる。

「やめてえええっっ!!」

 大きく足をあげ、踏み出す。長身から振り下ろされる腕、白球がうなりを上げながら麻里子に近
づいてくる。

「いやあああああああっっ!!!」
バスゥッッッ!!!!

 白球が麻里子のお腹の中心部深くにめり込む。柔らかいお腹が大きく変形する。

「ブゥッ・・・・ウグッ・・・ウウウ・・・・」

 目を見開き一瞬静止したかと思うと、麻里子の口から痰が噴出す。

「うう・・・・あ・・・い・・いや・・・・」

 しかり榊原は無言で第2球のモーションに入る。振りかぶり、足を高く上げ、腕を振り下ろす。
うなりを上げた白球が数寸違わず麻里子のお腹に命中する。

ドスゥッッッッ!!!

「あうう・・・・・ううぐう・・・」

 柔らかい麻里子のお腹にめり込み、一瞬静止してボロッと地面に落ちるボール。

「いやあああっっ!! やめてくださいっ!!!」

 涙を流し、頭を振り乱して哀願する麻里子。しかし榊原は相変わらず無表情のままモーションに
入る。同じく無表情のままじっと見つめる部員たち。

ドシィッッッッッッ!!!!!

 激しくお腹にめり込み、落ちるボール。麻里子の柔らかい白いお腹の中心は紫色に変色し、ボー
ルの縫い目の跡が刻み込まれる。

「あ・・ああ・・・や・・・あ・・」

 涎を流しながら言葉にならない麻里子。榊原は4球目のモーションに入る。渾身の一球がこれま
でにない唸りを上げて麻里子のお腹に突き刺さっていく。

バスッッッッッッッッッッッゥ!!!!!!!

「うぐう・・・・ぐ・・ぐぇっ・・・えええ・・・・ううう・・」

 一瞬の間の後、麻里子の口から激しく反吐が噴出し、そのままガクンと気を失った。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 気がつくとジムのトレーニング室にいた。この間初めて会社の友人に連れて行ってもらったトレ
ーニングジム。壁の全面に張られた鏡に映っている姿はやはり例の紐ビキニ姿、しかし今度は薄く
化粧した顔、軽く茶色にして再びショートにした髪、26歳、現在の姿であった。そして今度は何
も拘束されていなかった。

「え・・何?・・」

 きょろきょろしながら見回す麻里子。そのとき突然後ろからものすごい力で羽交い絞めにされた。

「いやあ!! やめて!! 放して!!!」

 必死に暴れるがびくともしない。やがて麻里子の目の前に大きな外国人の男たちが集まってくる。
白人が一人と黒人が二人、いずれもプロレスラーのような巨漢ボディビルダー達で、腕の太さだけ
でも麻里子のウエストより太いくらいであった。

「いや・・いや・・・いやあああ・・・やめてえええ・・・!!!」

 黒人の一人が指を鳴らしながら一歩前に歩み寄る。そして右腕を後ろに大きく引き、そしてその
大きな拳が麻里子のお腹に激しく突き刺さる。激しい衝撃が麻里子を襲うが苦しむ間もなく、左の
拳が連発で麻里子のお腹に突き刺さる。

「あああ・・・あうう・・・・ぐううう・・・・」

 麻里子の口から血混じりの痰が噴出す。そして今度は白人の男が麻里子の正面に立つと、空手の
正拳突きの連打が麻里子のお腹を襲う。目にもとまらぬスピードで大きな拳が何発も何発も麻里子
のお腹に突き刺さる。

「あああああ・ああ・あ・あ・ああ・ああああうう・あああああう・ああう・・・あうう・・・」

 ぶ・・ぶぉっっっ!!・・・

 反吐が麻里子の口から溢れ出す。うつろな瞳でぐったりとする麻里子、大きな瞳から涙が流れ落
ちる。

 二人目の黒人が麻里子の前に立ち、左右の脇腹にフックの連打を浴びせ掛ける。そしてお腹の中
心へストレートを決めると寄りざまに麻里子のおへそをめがけて膝蹴りを入れる。

「あう・・・・うううう・・・・・」

 半分白目の状態になりながらぐったりとする麻里子。男は麻里子のビキニブラを掴むと思い切り
引き千切り、露になった麻里子の乳房を左手で鷲掴みにして身体を浮かせたところに、再度お腹を
めがけて激しいストレートパンチを叩き込む。

「あ・・・・ああ・・・・」

 涎を流しながら言葉にならない麻里子。続いて変わった白人男は空手チョップを麻里子の乳房、
そしてお腹をめがけて何度も何度も叩き込む。麻里子の白い身体、乳房とお腹が赤く、そしてだん
だんと紫色に変色していく。

「・・・・・」

 そして最初の黒人に代わる。黒人が麻里子の髪を掴むと羽交い絞めにしていた男が手を放す。そ
の瞬間黒人は麻里子のお腹に激しいアッパーパンチを叩き込み、同時に髪の毛を放す。麻里子の小
さな身体が浮かび上がり、そのまま2mほども後ろまで吹っ飛び背中から床に叩きつけられる。

ドサッッ!!
「あう・・・・・・」

 ぐったりと倒れたままの麻里子。虚ろな瞳は焦点が定まらない。黒人は再び麻里子の髪を掴んで
引き起こすと、もう一発、さらに鋭く重く激しい一発を麻里子のお腹の中央に打ち込む。

バスッッッッッッ!!!!

 麻里子の身体は宙を飛び、半回転して今度はうつ伏せに床に叩きつけられる。男たちが歩み寄る。
麻里子は倒れたままピクリとも動かなくなった。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 そして麻里子は目を覚ました。びっしょりと汗をかき・・・・見渡すとそこは見慣れた部屋であ
った。もちろんビキニ姿のまま、しかし拘束もされず周りには誰もいない。ふうと一息ついて上半
身を起こした瞬間、ビキニブラがはらりと解け落ちた。瞬間的に胸を手で隠しながら麻里子は恐る
恐る自分のお腹を見ると・・・・・・お腹の中央部、ちょうどおへその上のあたりだけ、白いはず
の肌が鈍い紫色に変色していたのだった。

inserted by FC2 system