試合を明日に控え、4人の少女たちにサングラス男が言った。

「これがお前らのコスチュームだ。」

 男が少女たちの前に放り投げた小さな布きれのようなもの、それは4人分のビキニであ
った。

「い、いや、こんなんじゃできないよ・・・」

 明日の試合を控えた未央が薄水色のビキニを手にして広げながらいった。それは乳房と
いうより乳首と性器とお尻の一部を辛うじて隠す程度のわずかの布きれの他は単なる紐だ
けであった。

「うるさい! つべこべ言うな!」

 男は言い放つと、残る3つ、黄色のビキニを香織に、ピンクを紀子に、白を恵にそれぞ
れ放り投げると立ち去った。

「いやあ、こんなのヌードショーじゃないの、いいかげんに解放してよ・・・」

 恵がつぶやく。

「それよりも・・・明日・・・」

「大丈夫。やるだけやったんだから、頑張ろうよ。」

 不安げな表情の未央を慰める香織。しかし香織自身不安の色は隠せなかった。


   ☆第1戦「森川未央vsノワール松川」

「レディース・アンド・ジェントルメン、ただいまより特別イベント、美少女格闘技戦、
森川未央対ノワール松川の無制限一本勝負を行います。」

 放送が響きわたる。リングを囲む観客がざわめく。一筋のスポットライトが会場の隅を
照らし出す。そして派手な音楽が鳴り響くと共にスポットライトに照らされた扉が開き、
森川未央が押し出されるかの様に入場してきた。小さな薄水色のビキニだけを身につけた
未央は、口を真一文字に閉じた硬い表情で、中央のリングへ向かっていった。ほとんど裸
に近い美少女の登場に、観客席が沸き上がる。

「どんな相手かしら・・・」

 リングに上がった未央は、もう一方の隅の扉をじっと見つめる。そしてバロック調の荘
厳な音楽に変わると、扉が開き、ノワール松川が入場してきた。長い髪に眼だけを覆う黒
いマスク、黒い羽を手に黒いレザー調のコスチュームと膝まであるブーツで全身を包み、
まさに名前の通り黒尽くめのノワールは、しかし身体の大きさは未央とさほど変わらず、
むしろ太股など未央のほうが健康的にむっちりとしているくらいだった。

 ノワールはリングに上がるとマスクを取った。派手ぎみだが整った美しい顔に観客が再
び湧く。二人の美少女はリング上でにらみ合った。

 突然観客の間に歓声がわき起こった。思わず眼を向けると見覚えのある金髪のがっちり
した女が通路を歩いてくる。圧倒的威圧感。元オールジャパン女子プロレスのヒール役で
一世を風靡し、未央もかつてはあこがれたこともあるバッファロー斉藤が入場し、リング
正面に陣取った。

「あのバッファローさんが相手チームに付いていたなんて・・・」

 未央が呆然となった瞬間、ゴングが鳴り響き、一瞬の虚を突いてノワールが飛びかかっ
てきた。

「きゃああ!」

 ノワールは未央の腕を取るとロープへ振り、跳ね返ってきた未央の胸元にキックを浴び
せた。

「うっ、けほっ」

 一瞬息を詰まらせるも、何とか身につけた受け身をとってすぐに立ち上がった。ノワー
ルは続けて未央の腕を取りロープへ振ろうとするが、いかんせん彼女の方もプロレスに関
しては全くの新人で隙だらけ、未央はかわすと逆に足を掛けてノワールをマットに倒した。
未央は必死にノワールの腕をとり極めようとする。しかしこれも十分とはいえず、簡単に
はずされてしまった。

 しばらくは技の応酬、というよりまだまだ一人前の試合とはほど遠い状態で二人の美少
女が汗まみれになって絡み合っているといった方が良い状況が続いた。

 10分もたった頃だろうか、二人の美少女が息を切らしながらリング中央でにらみ合って
いるところに大きな声が響いた。

「こら松川! いつまでそんな普通のプロレスやってるんだ!!」

 バッファロー斉藤のドスの利いた声だった。その瞬間ノワールの目つきが変わった。気
合いの入った声を上げると未央の腕を取りに入った。ロープへ振られると予測し次の動き
が未央の頭をかすめた瞬間、未央は腹に予想外の激しい衝撃を感じた。ノワールの膝蹴り
が未央の腹に命中したのだった。ひるんだところへさらに2発、3発と未央のむき出しの
腹を襲う。そして膝から崩れ落ちた未央の腹に、とどめのキックが命中した。

「ううう、うあああっ」

 仰向けにマットに横たわった未央の腹を勢い良く踏みつける。そしてノワールはコーナ
ーポストに登ると、未央の臍をめがけて飛び込んだ。

「いやあああああ!」

 ノワールの全体重が足の裏に集中して未央の腹に突き刺さる。未央は血反吐を吐きなが
ら腹を押さえてのたうち回った。ノワールは未央の髪の毛を掴んで引き起こすと、コーナ
ーに寄り掛からせ、さらに腹をめがけて膝蹴りを連発する。そして逆のコーナーから走り
込んでのドロップキック、ノワールの足が再び未央の腹にめり込んだ。

「うぐぅ、ううう」

 ぐったりとロープにしなだれかかる未央。ノワールは再び逆コーナーから走り込むと、
ドロップキックを今度は未央の胸へ浴びせかけた。未央の柔らかい乳房が潰れひしゃげる。

「いやああああっ・・」

 ぐったりとマットに崩れ落ちる未央の髪を掴んでリング中央まで引きずり出す。

「あん、あううっ、ああああん・・」

 膝蹴りの3連発が未央の裸の腹に突き刺さる。

「あん、うぐっ、ぐうう・・」

 さらに拳が未央の臍をめがけて打ち込まれる。ふらつくところへもう一発。そのまま合
計5発の拳が腹をめがけて打ち込まれると、ノワールは腹を押さえてうずくまる未央の背
後に回り首絞めに入った。

「あああ、い、痛い・・・」

 息苦しさに未央は激しく悶える。ノワールは片手を突き上げて雄叫びを上げ、観衆を盛
り上げる。歓声が最高潮に達したところでノワールは未央の胸のビキニに手を掛けると、
すごい勢いで引きちぎった。未央の白く美しい乳房が観衆の目に晒される。

「いやあああ」

 息苦しさに恥ずかしさも加わって更に激しく悶える未央。ノワールは未央の乳房を鷲掴
みにして捻り上げた。

「い、いやあああああ、ああん、痛い!」

 爪をくい込ませてさらに捻り上げる。未央の柔らかい乳房がひしゃげる。さらにノワー
ルは未央をロープへ振り、はねかえってくる未央の胸へのチョップ、腹へのグーパンチ、
膝蹴り、再び乳房への掌打と容赦なく責め続ける。激しい打撃技に未央の乳房が赤くなっ
ていく。

 ノワールは乳房と腹への集中打撃で意識朦朧の未央の腕をとるとトップロープに絡ませ
る。そしてもう一方の腕も絡ませ、未央をT字型に縛り付けた状態にした。ノワールはリ
ングを回りながら観客をあおり立てる。観客が盛り上がってきたところで投げ込まれた黒
い手袋のようなものを右の手にはめた。それはちょうど小型の熊手のようなものが取り付
けられ、その先端は鋭い鉄爪になっており、鈍い銀色に輝いていた。

「い、いや、お、お願い、や、やめて・・・」

 脅えた顔で哀願するようにノワールを見つめる未央。しかしノワールはかまわず鉄爪を
つけた右手を大きく振りかぶると、未央の乳房をめがけてたたきつけた。

「いやああああああああああっっ!」

 未央の悲鳴が響きわたる。鉄爪は未央の左の乳房の上部にくい込むと、そのまま右下の
腹に向けて柔肌を切り裂いていった。その跡には3本の真っ赤なラインが刻まれ、数カ所
から鮮血が滴り、未央の胸から腹の上を流れ落ちていった。

「いや、いや、いや、いやあああああ!!!」

 今度は未央の右の乳房の上から振り下ろす。同じように3本の赤いラインが右の乳房の
上から下へ向けて縦に刻まれる。再び左の乳房を今度は横から切り裂く。次は右の乳房を
斜めに・・・・・・。ノワールは何度も何度も未央の乳房をめがけて鉄爪をたたきつけ、
未央の乳房は何本もの真っ赤なラインで埋め尽くされ、滴る鮮血が幾条ものラインとなっ
て未央の腹から太股へ流れていった。

 ノワールは鉄爪を未央の下腹部に向けて振り下ろした。未央の腹を切り裂いた鉄爪はそ
のまま下のビキニも引っかけ、唯一未央の身体をガードしていたわずかな布きれを簡単に
剥ぎ取っていった。未央の恥ずかしい部分が観客の面前に晒される。

「ああああん、あん・・」

 ノワールが腕のロープをほどくと、未央はマットに倒れ込んだ。しかしゴングはまだな
らない。ノワールは未央の身体を何度も容赦なく蹴りつける。

「あああああああ、あん、ああああ、あん・・・」

 血と汗にまみれ、悲鳴を上げながらのたうち回る全裸の美少女。そしてその少女を情け
容赦なく痛めつける美少女。残酷で官能的な光景に観客は酔いしれている。

 いよいよ未央の悲鳴も小さくなってくると、ノワールは投げ込まれた棒状のものを頭上
高く突き上げた。それはこの団体のフィニッシュのルールになっているバイブレーターで
はなかった。その棍棒はバイブレーターの倍の太さはあり、しかも先端から10cmていどの
ところまで、一面に鋲のような突起がつけられていた。

 観客の盛り上がりは最高潮に達する。ノワールはその棍棒を未央の股間にあてがうと、
無理矢理こじ開けるかのように未央の性器に突き刺していった。そして捻り回しながら奥
へ奥へと差し込んでいく。突起によって膣壁が傷つけられ、血が流れ出してくる。

「いやああああああああああああああああああっっっっ!!!!」

 断末魔の悲鳴が会場中に響きわたり、そのまま未央は意識を失った。その瞬間ゴングが
鳴り響いていた。

 ノワールは美少女らしい笑顔にもどると、黒い羽とマスクを手にし、手を振り愛嬌を振
りまきながら沸き立つ観客の中を出場していった。一方未央は棍棒を突き刺されたままし
ばらく放置され、リング周りにあつまった観客達の視線に晒されていたが、やがてサング
ラス男が2人リングに上がると、かつぎ上げられて会場外へと出されていった。



 ノワールの控え室にバッファロー斉藤が現れた。

「松川、最初はなんだい。ありゃないよ。でも後半はよかったよ。」

「ありがとうございます。」

 うれしそうに応えるノワール。

「お前もなかなかやるねえ。腹にこだわったりして。」

「あの臍が気に入らなかったんですよ。自慢するかのように見せつけやがって。」

「そうか、お前ちょっとでべそ気味だもんな。」

 ノワールは舌を出しながら照れ笑いをしていた。

                     (続く)

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