結城真緒美にとって恰好のリベンジのチャンスが巡ってきた。
今でこそ高学歴グラドルとして「エロ賢い」というキャッチフレーズを武器に活躍しているが、
卒業直後は夢破れて不遇の時代を味わっていた。
国立大学の教員養成学部を卒業した真緒美はアナウンサー志望で在京キー局の入社試験を受けた。
いくつかの局で最終選考まで残ったが、どこからも内定をもらえない。
途方に暮れていた真緒美を救ったのは受験勉強のために通っていた今の事務所。
デビュー直後はぱっとしなかったが、卒業から3年かけて、
仕事の幅をフリーアナウンサーから歌手、グラドルと広げていくごとに人気を得るようになってきた。
その間に真緒美とともに受験し見事入社を勝ち取った女子アナたちは1年目から会社に重宝がられ、
「女子アナ黄金世代」とまで呼ばれた。真緒美はテレビで彼女たちをほぞをかむ思いでみていたという。
今回のリングでは真緒美一人が女子アナ3人と続けてシングルマッチを行う。
1人当たりの制限時間は15分で、レフェリーストップ、3カウントかギブアップさせることで勝負が終わる。
時間切れの場合は真緒美の負け。真緒美が負けたら、女子アナ3人の指令に従わなければならない。
黒いビキニで青コーナーに1人で待つ真緒美の目前に最初の対戦相手が現れた。
宮嵜宣子、おばかアナとして人気を集める二本テレビの女子アナだ。
宣子はアイドルが着るようなピンクのストライプが入ったビキニを着てリングイン。観客から失笑が漏れてきた。
宣子はタレント願望が学生時代からあり、
母校のミスキャンパスやレースクイーンなど多くのオーディションを受験していた。
そのオーディションの水着審査で使ったビキニを着ていたという。
いざ、ゴング!
ゴングがなりやまないうちに宣子の腿のあたりに真緒美はタックルを食らわす。
宣子はすぐに尻餅をついた。真緒美はこのあと2人と相手にしないといけない。間合いを取る時間さえ惜しい。
だから早々にラッシュをかけようとしたわけだ。すぐに真緒美は立ち上がり、宣子の髪を引っ張りあげる。
そしてロープへふって跳ね返ったところで薄っぺらな宣子の腹にミドルキックを一発!
「うっ、痛いっ!」
宣子は苦痛に顔をゆがめ倒れ込む。真緒美は倒れたままの宣子を数秒見ながらどうしとめようかを考えた。
そして、
「これはバラエティじゃないの。もっと痛くしないとわからないのかしら? おバカアナの宮嵜さん・・・」
こう話しながらもわき腹にエルボーを入れていく。
「リングの上でもおバカなんていわないでよ!」
おバカの一言でぶち切れた宣子は渾身の力で真緒美をロープにふって、
自分が受けたようなミドルキックを真緒美の腹に食らわそうとしたが、宣子の足が届かずに空振り。
逆に背後から真緒美に空手チョップをもらってしまい、また倒れた。
空振りして逆襲を食らった宣子にまた客席から失笑が漏れる。
ここで真緒美はこの日のために覚えた大業を繰り出した。
あっさりと宣子は持ち上げられ、背中をマットに打ちつけられた。
きれいに決まった! ジャーマンスープレックス!
「1・2・3!」
試合時間2分14秒、宣子の反撃はわずかで真緒美の圧勝だった。
宣子はぐったりしたまま立ち上がれず、担架で運びされた。
会場のタイマーは15分に戻され、次の相手がリングに姿を現した。