『キャリー西野のアイドル虎の穴 キャリー西野vs草風純』
1章 運命の出合
TVのバラエテー番組「キャリー西野のアイドル虎の穴」で幾多の激闘を繰りひろ
げ、多くのアイドルの大半を打ち負かしてきた西野。今回、元祖クビレクイーン草風
純を特設リングに迎えた。
 いつものスタイルで青コーナーよりリングインする西野。
 一方、赤コーナーより純白のバスタオルに166cmの長身を包み、颯爽と草風が
リングイン。バスタオル上からもスタイルの良さが垣間見え、観客からは大歓声。
 「青コーナー、キャリー西野」。「赤コーナー、バスト95、ウエスト52、ヒッ
プ85、草風純」。コールと同時にさっとバスタオルを場外へほうり投げる純。
 ピンクのハイレグワンピース(かつてレースクイーン一号、二号が着用して西野に敗
れた水着に似ていた)に包まれたナイスバディーが曝されると、一段と高まる大歓
声。
 写真で見た事があり、うわさにも聞いてはいたが、バストとの差43cmのウエス
トのくびれに思わず生唾を飲む西野。
 過去にTV番組でウエスト測定の経験もある草風。偽り無しの細さを目前にした西
野、今日は腰攻め一本でいこう。どうせまともに勝負すれば俺の楽勝、シナリオでも
俺が勝つことになっているんだ、これで行こうと。
 シナリオなんかクソクラエ。
 試合開始のゴングが鳴り両者リング中央へ、先ずは力比べ。草風は西野の敵でな
く、あっさりと肘をマットについてしまいます。先ずは逆えび固め。適当に痛めつけ
ると、今度は純に攻めさせる西野。
 次はさそり固めで腰攻撃。純の悲鳴が響きます。この攻勢も適度に切り上げ、又も
純に攻めさせる西野。純の攻め疲れが目立ちだすと、純を突き離します。
 ここまでは技の相違こそあれ、ほぼシナリオどうりの進行。さあこれできめるぞ
と、胴締め開始。西野の太股が美しくくびれた純のウエストにまとわりつき、グイグ
イと締め付けます。たまらず、苦痛の悲鳴をあげる純。
 この締めで決着させようと決めている西野。更に締め付けを強め
 、太股で純の腰を揺さぶります。顔に苦悶の表情が浮かび、のたうつ純。時折、苦
痛の悲鳴をあげつつも、喘ぎながら耐え続ける純。シナリオと違う展開に意地になる
純。締め付けが始まって3分以上たってもギブアップしないくびれ腰の頑張りに、ゴ
ウを煮やした西野、手加減一切無しの渾身の力で締め付けます。
 それでも意地の純、懸命に頑張るものの、美しくくびれたウエストが軋み、ついに
タップ。4分を越える締め付けに耐えた自慢のくびれ腰も無念の敗北。
 その時、突如ハプニング勃発。タップの直後、西野の太股に激痛が走り立てなく
なってしまい、もがく西野。どうしても1人で立てず、リングで勝利者の振る舞いが
できなかった西野。試合に勝った西野でしたが、大の男2人に支えられての退場とな
り惨めな姿を晒した。
 一方の純、腰周りの激痛でしばらくは立てません。ようやくよろよろと立ち上が
り、苦悶するウエストをさすりながらリングを去ろうとすると、リングサイドで西野
と鉢合わせ。俺が勝つシナリオになっているのに、よくもこんな無様な格好にしてく
れたと言わんばかりに、再戦を要求。条件も一気にまくし立てた。
 これを聞いた純、貴方こそ何よ、シナリオどうりやってくれないじゃないの。激高
していたせいか、条件など考える余裕も無くその場で受諾。そしてウエストをさすり
ながら控え室へ消えました。
 西野もそのまますぐに控え室へ。 次に2人が会うのは再戦の日、マットだけの特
別リング上で通常どうり開催された「キャリー西野のアイドル虎の穴 キャリー西野
vs草風純 PART2」であった。
 この日(PART1の日)、この再戦が2人及び主催者の思惑を越え、知る人ぞ知
るアイドル地下プロレスを凌ぐかのような凄惨な試合になることを予想する者は、当
事者を含め皆無であった。

この日西野がまくし立てた条件、西野の攻撃は太股による腰への締め付けのみ、草風
はこの締め付けの受けのみ。これでやってくれ。
 勿論、試合当日のルールは互角の勝負を考慮したものであり、TV放送の公開一般
録画と言うことも視野に入れた常識的なものであった。
 
                          次回 2章 「思惑」


2章 「思惑」
その場の成り行きで、主催者の承諾無しに決まってしまった再試合。この条件では試
合にならず、西野の一方的ドミネーションになってしまうと困惑する主催者。両人に
は内緒で内部討議を重ね、試合ルールを提案した。
 ルール
 1 60分1本勝負 延長、引分無し 耐え切れば草風の勝。
 2 ギブアップ、戦意喪失、反則3回で1本
 3 太股及びウエストは共に完全露出とし、ウエストの露出幅は20cm以上
 4 太股が着衣に接触すれば反則1回
 5 試合中の着衣の移動は可、反則等で試合中断の時20cm以上にする。
記載されなかったが、殴る蹴るなどは論外で、レフリーしだいでは反則1回ですまな
いのは自明であった。前回は西野勝のシナリオだったので、今度は純の勝にしようと
いう意図が読み取れる文面で、しかも「反則等」の運用次第で反則前に試合中断可で
あった。主催者の意向を受けたレフリーが、自由に試合を演出しようという思惑で
あった。
 提案後3日以内で2人とも、それぞれの思惑をこめて了承。試合は3ヶ月後と決定し
た。
提案を見た西野、俺を反則負けにさせようとする露骨な意図は感じたが、試合の実施
の担保を優先して受諾した。マネキンに衣服を着けていろいろやってみた結果、着衣
が動かなければ、必ず勝てるし、相手は締め付けを受けるだけなので試合の演出も俺
次第。ある秘策をもって試合に備えた。秘策が認められれば、逃げられない純を相手
に楽勝だし、万一ダメでも意気洋々と退場だ。着衣に3回触れての反則負けはお断
り。
 西野はこうして、特に特訓等もやらずに試合日を迎えた。
 一方の純。提案を一読してその場で受諾した。ゆるいTシャツを折り曲げたり、上
下どちらかに紐等つけておけば試合にならないし、番組収録にも困るだろうし、第一
反則勝では面白くない。ルールはどうみても私の勝になっているし、今度は順番から
いっても純の勝つ番。西野もわかっているはず。TVの公開録画だし西野も無茶はでき
まい。反則勝にならない着衣でいこう。どうせショーなんだし。
 こう決心する純。心配は前の試合での西野のシナリオ破り。同じ事をやられても耐
えられるよう腹筋を鍛えておこう。体力強化をしておこう。どうしても勝ちたい思い
が強い純。連日の猛特訓を始めたのであった。 
 試合前日、実際の試合の着衣で全身を鏡に写す純。腹筋が割れ出る兆候こそ無い
が、腹部はたくましさを増し、究極のくびれを誇るウエストは更にシェープアップさ
れ引き締まっていた。自慢のウエストに思わず見とれる純。明日は西野式太股コル
セットでもうちょっと引き締めてもらおうかな。やるだけのことは全てやった。勝ち
たい思いがつのるばかりであった。明日の過酷過ぎるウエストの行方など、まだ知ら
ぬ純であった。
 純もこうして試合日を迎えた。

 次回 3章 「むき出しのウエスト」

3章 「むき出しのウエスト」

「キャリー西野のアイドル虎の穴 キャリー西野vs草風純PART2 太股vsくびれ
腰」。大きな看板が掲げられた会場は熱気に包まれていた。リングサイドの一角に
website2424の草風応援団が陣取り、西野にも大勢のファンが詰めかけていた。特別ルー
ルの試合なので、この日はロープと鉄柱がはずされマットだけのリングであった。
 先ず、真っ赤なガウンを羽織った西野が手に袋を持って颯爽と登場。ガウンを翻し
リングイン。この時手に握られていた袋に留意する者は皆無で、純の入場時に、西野
は自分のコーナーにそっと袋を置いた。純もバックミュージックに乗って純白の大き
なバスローブに166cmの身を包んで、颯爽と登場そしてリングイン。バスローブ
の隙間から長い足が見え隠れし、着衣に対する期待は一気に高まった。
 「これより本日の特別試合、60分1本勝負、特別ルール、キャリー西野対草風純
を行ないます。」そして発表済みの試合ルールが読み上げられた。
 「青コーナー キャリー西野」。真っ赤なガウンを場外へほうり投げると、競泳用
ビキニパンツ一丁の西野の全身が現れた。リング中央でガッツポーズの西野。
 「赤コーナー バスト95 ウエスト52 ヒップ85 草風純」。アナウンスが
終わるのを待って、純がこれまで身を包んでいたバスローブの帯をゆっくりと解き始
めた。純白のバスローブがすっとマットに落ちると、会場は異様などよめきに包まれ
た。
 純の着衣は、会場の度肝を抜くウエストを大きく開けた純白の超超ビキニの水着。
 ブラはアンダーバストラインを最大限上にし、背中は結び目の無い最細の紐。下の
パンツは西野より小さく、ローレグでウエストラインはへそ下15cm以上かと思え
る際どさ、両サイドは結び目の無い最細の紐1本だけ。背中はTバッグでは無い普通
の形態ではあるが、ビキニがあまりにも小さくお尻の割れ目が僅かではあるが見えか
けていた。
 これを見た西野、勿論驚いた。これなら俺のシナリオどうりできる。秘策など必要
なかったと。袋の中には紐が2本入っていた。反則2回取られたら、この紐で上下の
着衣を動かぬように縛るつもりであった。純に勝は譲るから反則だけは勘弁してくれ
と、レフリーに「うそ」を言っても縛ってしまう。どうしても認めぬなら、試合放棄
だ。番組製作上、たぶん認めざるを得まい、最悪でも意気洋洋と引きあげるまで。
 純は着衣による意志表示をした。最大露出、20cmの倍近くはありそうな上下の
間隔。このウエストをむき出しにした超超ビキニで、反則無用、反則勝はお断りと。
 美しくくびれたウエスト、見事な曲線美を披露した純。この時、西野の「勝」への
こだわりにまだ気づいていなかった。

 次回 4章 「シナリオ無き攻防」


4章 「シナリオ無き攻防」
 そして形だけのボディチェック。ビキニがあまりにも大胆すぎて、純の着衣の間隔
測定は省き、両者一旦コーナーへ。その時、西野はさっと袋をリング下に落とした。
「両者定位置へ」
 すると突然、純がリング中央へ進み出てブリッジを披露。ほんの申しわけ程度の面
積の超超ビキニだけが張り付く見事な肢体を曝した。20秒弱のブリッジではあった
が、会場を充分に魅了。眼前で見せ付けられた西野、せいぜい今のうちにパフォーマ
ンスをやっておれ、目の保養が出来て何よりだ。時間はかけるが、今日はカッコ良く
勝つからな。惨めな退場だけはごめんだからな。
 純がお腹を上にして寝転がり、西野の太股がウエストを挟もうとすると両手を頭上
にやり「超くびれ」を見せ付ける純。西野が足首をフックさせると、ついに太股とウ
エストが接触。3ヶ月前は着衣を介しての攻防であったが、今回は両者の皮膚と皮
膚、生肌と生肌がじかに触れ合った。緊張の一瞬であるが、両者無言。
 「レディー ゴー」
 ゴングが鳴った。
試合方法も決着方法も前回とは全く違う事を西野も純も良く理解していた。
 開始早早、挨拶代わりに数秒全力で締めた後は、純の様子をうかがいつつ、純のス
タミナ消耗を狙ってネチネチ15分攻めた。時折、純の巨乳を揺らして「見所」を演出
する事も。余裕の西野。
 純の方は西野の動きに合わせるしかなく、いきなりの「挨拶」に悲鳴をあげたもの
の、じっと無言で耐え続けた。時折りのボイン(死語ですね)をボインボインと揺ら
す西野の攻勢にも、体の動きをそれに合わせて「揺れ」を大きくするパフォーマン
ス。
 純にも余裕があった。

「15分経過」
会場にアナウンスが流れると締め付けを強め、純の腰を揺さぶった。この攻勢にこれ
までほとんど声が出なかった純だったが、時折り苦痛の声が出始めた。約15分間の
緩急織り交ぜた攻勢で、純のウエスト回りにはまだ目立たなかったが、汗が出始めて
いた。苦悶し耐え続ける純。
 一方の西野、この時点では時々揺れる巨乳や苦悶の顔の表情を楽しんだ。
 29分頃には、疲れた振りをして純が勝ちそうな場面も作って見せた。
ここまで両者、いわゆる口攻撃は一切無かった。
 「30分経過」
更に締め付けを強めつつあった西野。33分、ついに純の口から喘ぎが漏れ出た。こ
の一瞬を聞きのがさなかった西野。演技では無いと見抜き、全力に近い力で2分間締
め上げる西野。
 たまらず、のたうつ純。苦痛の悲鳴、苦悶の表情、喘ぎが常態化し、噴き出る汗が
美しくくびれたウエストを濡らした。
 ここまでよく耐えてきた純。35分に亘る締め付けが続いた。猛特訓で鍛えていた
が、かなり消耗していた。西野も着衣のルールに気を取られトレーニング無しで試合
に臨んだため、知らず知らずに疲労が蓄積していた。
 「35分経過」
一旦締め付けを緩め、体力回復を図りつつ、次の攻勢で決着させる決断をする西野。
 これで良し、純もそれなりにパフォーマンスしたし、TV番組の録画編集も問題無か
ろう。主催者への義理立ても済んだ。純のこの極大露出のビキニ、本人の意志か主催
者の意志か不明だが、シナリオがないんだから後は好きにやらせてもらう。この事実
上の休憩中も戦意喪失と判定されないように時折り締め付けた。
 一方の純、攻勢がぱったり途絶えて次は勝負を賭けてくる。ここまできたんだ、ど
うしても勝ちたい。絶対にタップはしない、負けるのは失神のみ、そう決心した純。
辛かった3ヶ月に亘る特訓、この日に勝つために耐えてきたのだ。自慢のウエストを
信じるのみ。開きなおって西野の攻勢を待つ純。
 38分間シナリオ無き攻防が続いてきたが、事実上シナリオがあったような内容で
着衣の思惑違いでどうなることかと危惧した主催者もやれやれといったところであっ
た。後は純がギブアップするか、西野がウエストを蹴るなどして反則負けになってく
れれば「全て良し」であった。
 試合開始38分、最後の攻防が始まろうとしていた。
この時点では、もう揺れる巨乳や苦悶の表情を楽しむ気はさらさら無い西野。頭を
マットに付け、腕を頭上に伸ばし大の字状態。
 競泳用のビキニパンツ、片や、ルールの20cmの倍近くはあろうかの間隔でウエ
スト部分をむき出しにした超超ビキニ。全裸に近い両者のあまりに張り詰めた気迫
に、レフリーは一抹の不安を感じた。

 次回 5章 「男の吐く息、女の喘ぎ」


第5章 「男の吐く息、女の喘ぎ」
38分、「いくぞ」の声で攻勢開始。この全力締め付けに、10秒もしないうちに純の苦
痛の悲鳴が会場に響き、来るべき時がきたと静まりかえる会場。
 1分も経たないのに、口から喘ぎが漏れ出て苦悶の純。渾身の全力締め付けが続
き、会場は純の絶叫、苦悶、喘ぎだけ。この間「40分経過」のアナウンスも全く両者
の耳に届かず、必死の攻防。
 自分の体力の限界が近いと感じた西野、純のギブアップも時間の問題と、これで終
わりだと、これまで出したこともない万力をも上回るかの渾身の力で「これでもか、
まいったか」。絶叫する西野。
 純のひときわ大きい天井も突き破らんかの絶叫が響き、ついで開けっぱなしになっ
た口からひときわ大きい喘ぎが漏れ続きます。そして、ついに断末魔のような喘ぎ
が。断末魔が20秒継続し、「勝負あった」誰もがそう思い、レフリーもこれ以上の
試合続行は無理と判断し、ゴングを要請しようとした時。
 突然、西野のスタミナが切れ、太股に力が入らなくなってしまい、足首のフックも
外れて太股をウエストの上に乗せたまま大の字状態の西野。
43分45秒。「カンカンカンカンカン」
試合終了のゴングが鳴り響くが、一瞬判断を躊躇するレフリー。
 西野の勝でゴングを要請しようとしたが、ゴングが鳴る前に攻勢を中止してしまっ
たようだし、断末魔状態ではあるが、純がタップしたようにも見えなかったし。
 観衆にはレフリーの指示等により西野の攻勢終了のように見えて、大半が純の負け
と思ったのである。会場に響くのは男の吐く荒い息と女の喘ぎのみであった。
 勝者をコールする時期を逸してしまったレフリー。しかしあまりのものすごい幕切
れに野次ひとつ無く、静寂が包む観客席。
 ゴングが鳴り終わって2分。リング中央で大の字で動けない西野、純もほとんど動
ける状態では無かった。ゴングの音は聞こえたが、あまりの苦痛に無意識にタップし
てしまったのかと観念していたが、執念が純の体を動かした。お腹の上の太股を払い
除け、起き上がれないまま這って行って太股の上に倒れ込んだ。
 上から見ると人間十字架が出現したかの様であった。てっぺんに西野の足首、クロ
ス部分が太股とウエスト、付け根が西野の頭である。ピクリとも動かなくなってし
まった2人。しかし、クロス部分の下に西野の太股、上に純のウエストという状態
が、この死闘の勝敗を明瞭に暗示していた。
 実はこの時初めて、純のビキニのウエストラインが西野の太股にほんの少し触れた
のであるが、もうどうでも良い問題であった。十字架状態が3分以上続き、男の吐く
息と女の喘ぎのみであったが、その響きも少しずつ小さくなっていた。
 ついに意を決したレフリーが動いた。

 次回 6章 「栄光の中に潜む残酷」

第6章 「栄光の中に潜む残酷」
 
 レフリーが促すと、ふらつきながらも一人で立ち上がろうとする純。レフリーの助
けでやっと立ち上がった純。
 「勝者、 草風 純」。両手を結んで頭上に上げる純。拍手はまばらで、リングサ
イドに陣取るwebsite2424の熱狂的応援団の拍手も数える程。
 再度、観客の前に現れたウエスト。会場の大画面には美しくくびれたウエストが
アップで写っていたが、あまりの痛々しさに拍手できなかったのであった。
 43分以上に及び、最後の5分余は文字どうり死闘の跡が、美しいくびれを保つウ
エストに残されていた。全面が噴き出た汗で濡れ、へそを中心に変色した帯状の太い
ラインがくっきりと付いていた。背中は背骨がある関係でびっしりでは無かったが、
へそのある腹部は帯であった。
 観衆の多くは、色を失っていた。
リングから立ち上がれない敗者、このような変貌したウエストを晒す勝者。勝者の
ポーズを5秒と続けられず、またすわりこんでしまった純。
 これが試合のまぎれもない結末であった。
まだ残るウエストの激痛だったが、手では触れずにやっとの事でロープの無いリング
から降り、控え室へ向かう純。万雷の拍手が起きたのはこの時で、西野のファンもこ
の激戦に勝った純に拍手を送った。拍手に手を上げて答える余裕は無かったが、ウエ
ストに手を近ずけようとはしなかった。
 惨めな退場状態が西野の再戦要求の原因だった為、絶対に弱音は見せないという純
の意地であった。
 ようやく控え室に辿り着き、一人になれた純。他人の視線から解放され仰向けに
ベッドに倒れこんだ。
 いまなお苦悶し、変色し汗で濡れたウエストを両手でさすった。
この時である、「勝ったんだ、本当に勝ったんだ」という嬉しさ、感慨が脳裏をよ
ぎった。辛かった3ヶ月に及ぶ特訓、今の試合の失神寸前の苦戦が脳裏をよぎった。
 純の眼から一筋の涙がこぼれた。
控え室の裸電球だけが、闘い終わったむき出しのウエストを照らし続けていた。
 この時純は気ずいていなかったが、ウエストの破壊は内臓にも深く及んでいた。
純が勝利の代償の全貌を知るには、時間が必要であった。
 

 エピローグ 「新たなる伝説」

 1ヶ月後、地上波の全国ネットでこの試合が通常どうりゴールデンアワーで放送さ
れた。勿論、編集されていて「これでもか、まいったか」の直後に試合終了になって
いた。純の断末魔の喘ぎが茶の間に響くことは無かったが、迫力は充分すぎる程で
あった。
 この放送を見つめるひとつの眼があった。
アイドル地下プロレスの主催者の一人が、偶然この放送を見ていた。
 「新たなる伝説」が始まろうとしていた。

 次回 エピローグ2 「不滅の伝説」


エピローグ2 「不滅の伝説」

草風純のアイドル地下プロレスのデビュー戦、会場はいつもどうり満員の盛況であっ
た。しかし客筋はアイドル虎の穴とは、明らかに違っていた。対戦相手は、なんと
キャリー西野。驚く両者であったが、大観衆の手前、今更後ヘは引けなかった。
 プロレス技が使い放題とあっては、純は西野の敵では無かった。地下プロレスの常
道どうり、血だるま、汚物まみれでマットに沈んだ純。こうでもしないと客が納得し
ないのを、経験者の西野は知り尽くしていた。地下プロレスではタブーではあった
が、主催者や観客に悟られない範囲で手加減した。以前の虎の穴の試合が原因で純が
この場に引っ張りだされたと思ったからである。
 そして始まった「くびれ対決シリーズ」、最初の3人はウエストの細い弱キャラで
あった。純も果敢に闘うものの、、全てマットに沈んだ純。
運命のシリーズ第4戦、地下プロレスの実力者の一人になっていた左藤寛子が相手
であった。
 89cmの巨乳と55cmの細いウエストの左藤であるが、純が相手では引き立て役
になってしまい、嫉妬心に火がついた左藤。実力差が大き過ぎ、勝負になるはずも無
かったが、左藤の攻撃は残虐を極めた。短時間では試合を終わらせず、長時間に亘っ
ていたぶり続けた。30分以上弄り殺しされる状態にリング下から乱入者が出現、左
藤をめった打ちにした。レフリー一人では制止できず黒服数人が押さえ込んだ時に
は、左藤はKOされていた。この乱入者が西野であった。
 この「事件」後、西野は純にプロレス技を教えた。純は止めようかと考えていた地
下プロレスを続けた。「くびれ対決シリーズリベンジ編」が開始。純は以前負けた3
人をマスターしたプロレス技で打ち破った。そしてあの左藤寛子戦を迎えた。
 太股vsくびれ腰戦で着用したあの純白の超超ビキニで挑む純。左藤も黒の超超ビ
キニ。左藤のくびれも見事であったが、ウエストをむき出しにした純のくびれに霞ん
だ。白が黒を圧した。両者の火花が散った。ゴングが鳴った。
 実力者が相手とあって、純は押されぎみであった。アイドル地下プロレス史に残る
凄惨を極めた試合となり、両者の小さい4つの着衣も場外あるいはマット上に転がっ
ていた。苦戦が続いていた純、一瞬の隙を突いてこの日のためにと西野が特訓した必
殺技を左藤に極めた。鎌固めである。純の美しくくびれたウエストが天空に向かって
反り上がった。残された最後の力を振り絞る純、ついに左藤は、失神してマットに沈
んだ。
 くびれの芸術ともいう技で勝利した純。実力者の一人と認められた。
 純は闘い続け、地下プロレスは足かけ6年に及んだ。短期間ではあったが、頂点を
も極めた。B95,W52,H85のプロポーションを保ったまま、リングを去った。後を追
うかのように、西野もリングから消えた。
 以来、幾星霜。
 アイドル地下プロレスが始まって二百数十年。、多くの伝説が生まれ、そして忘却
の彼方へと消えていった。
 そうした中にあって二百年以上に亘って語り続けられてきた「不滅の伝説」があっ
た。『純の物語』という伝説であった。

           完

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