スターレスラー、藤原紀華が出場しなかったにも関わらず、3度目の大会を成功させた地下プロレス。組織委員会では次の興行に関する会議を行なっていた。
 前回登場した大野愛、濱野裕子がスケジュールの調整がつかず、参戦出来ないという事で委員会は新たな女性レスラーを探していた。
 今回この会議には、組織委員の他に第3回大会にレスラー、セコンドとして登場したザ・オタッキー、カメラ小僧も参加していた。二人がこの会議に呼ばれたのは、委員達にはない、ファンの視点、対戦相手の視点で、女子レスラー選考に当たっての意見を出してもらうのが目的で、委員達もこの二人の発言に注目を寄せていた。

 地下プロレスでは会場やインターネットで、「地下プロレスに登場して欲しいレスラー」というアンケートをとっていた。藤原紀華が登場したこともあって、中には『出る訳ないだろう』というような人気タレントの名もあったのだが、多くのファンは意外に冷静で、これから売り出し中のタレントや、TVよりも雑誌グラビア等でお馴染みのタレントの名が多くを占めていた。その中でも目立っていたのが、ポスト伊川遥といわれている売出し中のレースクイーン吉岡美穂子であった。

 「やはり吉岡美穂子は無理ですか…。」
会議の話題は、アンケートで上位に挙がった吉岡美穂子の地下プロレス参戦であった。しかし、現在グラビア等でひっぱりだこの吉岡は、とてもじゃないがスケジュールの調整がつかないという。恐らくはグラビア活動をステップに、今後タレント展開していくであろう吉岡は今の時期、地下プロに参戦する可能性は低いのでは、というのが委員会の見解であった。

 「吉岡が無理というのであれば、同じレースクイーンの中で誰かいませんかね?」
 吉岡の参戦が見送りとなったところで、一人の委員が思いついたように口を開く。
 「目の付け所としてレースクイーンというのはいいと思うんですよ。普段から露出している分、下手をするとテレビに出てる子よりスタイルはよかったりしますし…」
 「レースクイーンというのであれば、彼に聞くのが一番じゃないですか。」
委員達の会話の流れで話をふられたカメラ小僧はしばらく考えた後、思いついたように一人のレースクイーンの名前を挙げた。

 「守下千里?」
 カメラ小僧が推薦したのは、人気レースクイーンの守下千里であった。しかしまだレースクイーン、キャンギャル以外に主だった活動のない守下の名を殆どの委員は知らなかった。
 「ああ、確かにアンケートの中にも名前はありますね。ねえ、写真とかはないの?」
 委員達に尋ねられたカメラ小僧は、自分が撮りためた写真やレースクイーンの雑誌を出して委員達に見せる。
 「ほーう、可愛いじゃない!」
 「スタイルもいいねえ。レースクイーンらしくスレンダーで。」
 「それでいて胸も大きい、と。」
 「ポスト吉岡美穂子、か。なるほどねえ!」
千里の写真を見た委員達の反応は上々で、カメラ小僧も得意満面の表情を見せている。
 「特に格闘技の経験はナシ、か。まあその辺はいいだろう。」
「男性レスラーにも喜ばれるんじゃないですか。」
「特に素人さんにはね!」
「今まで出たタレントさんは結構強かったからね!中にはこういう子もいてもいいと思いますよ。」
こうして、地下プロ初のレースクイーンレスラーが誕生し、推薦者のカメラ小僧がそのデビュー戦の相手をする事になった。

 カメラ小僧にとっては、願ったり叶ったりの守下千里の参戦が決まった後、委員会はもう一人のレスラーの選考に入っていた。守下にレスリングを望めない分、前回登場した大野愛のような格闘系のレスラーを選ぼうという事になり、もう一人の素人レスラー、ザ・オタッキーが吹石和恵の名前を挙げた。
 「空手初段、凄いねえ!」
「ビジュアル的にもいいよね。」
「ただ、素人さんが相手だとちょっとキツイんじゃあないですか?」
一人の委員がそう言いながら、オタッキーの方を見ると、オタッキーは返す言葉も無いといった様子で首をすくめる。吹石の名を出しては見たものの、前回大野愛に秒殺されてしまっているだけに仕方の無いところだろう。しかも打撃系の攻撃が中心となるだけに大野よりも感じる恐怖感は強いに違いない。
 結局吹石の出場は決定したものの、オタッキーは相手に選ばれず、組織委員会のメンバーでもある関取仮面が吹石の対戦相手に選ばれた。


 地下プロレス第四回大会会場。これまでの大会と同じように、会場には多くのファンが詰め掛けている。
 「赤コーナーより、守下千里選手の入場です!」
リングアナにコールされ、守下千里が姿を現すと、会場から大きな歓声が沸き上がる。今回千里が参戦するという事で、会場には沢山のレースクイーンマニアが集まっていた。
 リングに上がった千里にはサーキット場で見せるような笑みを浮かべる事は無く、厳しい表情を見せている。普段サーキット場やイベントブースでの仕事が多い千里は、沢山の素人の視線に晒される事には慣れている筈なのだが、それでもこの地下プロレス会場の異様な雰囲気に馴染む事が出来ない様子。

 「青コーナーより、カメラ小僧の入場です!」
千里の対戦相手であるカメラ小僧がコールを受け、セコンドにザ・オタッキーを従えて花道に姿を現す。花道を進むカメラ小僧はリング上に守下千里の姿を確認するとその場に立ち止まり、バスローブ姿の千里をしげしげと見つめている。
 『うわあ、本物の千里ちゃんだ…』
憧れのレースクイーンと対戦できるとあって、はやる気持ちを押さえる事が出来ないカメラ小僧はなかなかリングに上がろうとせず、深呼吸しながら必死にリラックスしようとしている。そんなカメラ小僧の気持ちを察してか、セコンドのオタッキーも黙ってその背後からリング上の千里の姿を見つめている。
 『うわあ、ホントに可愛いや!いいなあ。』
オタッキーも、リング上の人気レースクイーン、守下千里の姿を見て、言葉を失っていた。今日試合の無いオタッキーは千里と対戦できるカメラ小僧が羨ましいに違いない。
 そしてなかなかリングに上がろうとしないカメラ小僧にレフェリーが声をかけ、ようやくカメラ小僧がリングに上がる。

 「本日の第一試合、シングルマッチ60分一本勝負を行ないます。青コーナー、190パウンド、カメラ小僧!赤コーナー、105パウンド、守下千里!レフェリーミスター高梨。」
 両者の紹介が終わったところで千里がバスローブを脱ぐと、観衆から大きな歓声があがる。豹柄のビキニに身を包んだ千里は166センチ、88、56、88のボディを思う存分にアピールしている。
 レフェリーの高梨が両者をリング中央に呼び寄せ、まずはカメラ小僧のボディーチェックを始める。そしてカメラ小僧のボディチェックが終わると高梨は嬉しさを隠せない様子で千里のボディチェックを始める。ボディチェックを受ける千里は、目の前にいるカメラ小僧の動向が気になって仕方が無い様子。
 
 『この人ナンカ怖い…』
落ち着きの無いカメラ小僧の姿を見て警戒心を覚える千里。千里がカメラ小僧に気を取られていると、レフェリーの高梨が千里のバストを鷲づかみにする。
 「イヤッ!」
 高梨にバストを触られた千里は思わず声をあげて後ずさり、高梨を睨みつけるが、当の高梨は
 「いや、失敬。」
と平謝りしながらもさほど悪びれた様子も無く、スケベな笑みを浮かべている。そして千里の視線が高梨の方に向いているのを見て、カメラ小僧が千里の脚に抱き着いていく。

 「きゃああっ!」
千里がカメラ小僧に脚を掴まれマットに倒されると同時に、高梨が試合開始のゴングを要請する。
 「カアーン!」
 試合開始早々、カメラ小僧は千里をマットに押し倒すと、千里のヒップを両手で抱え込んでその股間に顔をうずめる。
 「いやああっ!」
股間にカメラ小僧の荒い息を感じ、強い拒否反応を示す千里。しかしカメラ小僧は千里の美脚に夢中になっていて、千里のいやがる声も耳に入っていない様子。千里は懸命に脚にしがみ付いているカメラ小僧の頭をポカポカ叩いて抵抗するものの、全く効き目が無い。やがてカメラ小僧が顔をあげると、いきなり千里の唇を奪っていく。
 「ん、んんっ!」
カメラ小僧にキスされ、顔をしかめる千里。さらにカメラ小僧は千里の88センチのバストを鷲づかみにしていく。
 「やめてよ、もおーっ!」
カメラ小僧の下で懸命にもがく千里。しかしカメラ小僧はそんな千里に構う事無くバストを揉みながら千里の顔をベロベロと舐め回す。
 「もういやああっ!」
カメラ小僧の変態攻撃に耐え切れなくなった千里は、これしかないとばかりにカメラ小僧の股間にヒザを入れた。

 「ほうっ!」
股間にひざ蹴りを食らったカメラ小僧はうめき声をあげながら千里から離れる。やっとカメラ小僧の攻撃から逃れた千里は立ちあがるなり、股間を押さえて悶絶しているカメラ小僧の背中にサッカーボールキックを連発する。千里のキックの威力自体は対したこと無いのだが、カメラ小僧は体を鍛えていない上に、全く無防備の状態で蹴られている為、思った以上にダメージを負っている様子。千里はカメラ小僧が動けなくなっているのを見て、カメラ小僧の顔面にニードロップを落とす。
 「ぐああっ!」
顔面にヒザを受け、苦しみもがくカメラ小僧。しかし千里の方もプロレス知識がほとんど無く、勢いだけで決めていった為、自分のヒザも痛めてしまう。
 『いったーい…。』
ヒザの痛みに顔をしかめながらも、千里はその事をカメラ小僧に悟られまいと、とりあえずカバーに入るが、カメラ小僧はカウントツーで肩を上げる。カメラ小僧がダメージを負っているだけにあわよくばと思った千里だが、さすがに早過ぎた様子。
 カメラ小僧は相変わらず起き上がる事が出来ず、本来ならば千里のチャンスの筈なのだが、思った以上に脚の痛みがひどく、攻撃に行くことが出来ない。
 『どうしよう、このままじゃ…』
ヒザを痛めた千里は、それならばカメラ小僧が倒れている間にダメージを回復させようと考えるが、そうはさせるかとばかりにセコンドのオタッキーがリング内に上がり、千里に近づいてくる。

 『!!』
突然リングに上がってきたオタッキーの姿を見てうろたえる千里。
 『そんな…。』
千里は救いを求めるかのように、レフェリーの高梨を見るが、高梨はオタッキーに一応注意はするものの、オタッキーを止める素振りを見せない。千里は脚を引きずるようにしてオタッキーから逃げようとするが、オタッキーに抱きつかれ、そのまま押し倒されてしまう。
 「いやあああっ!」
オタッキーに押さえ込まれ、悲鳴をあげる千里。オタッキーはここぞとばかりに千里のバストを揉み始める。
 「はあっ、はあっ、はあっ!」
興奮した様子で千里のバストを楽しむオタッキー。千里も必死に抵抗を見せるが、100キロあるオタッキーにのしかかられてしまってはどうする事も出来ない。しかもヒザを痛めてしまっているので先程見せた急所蹴りも使えない。
 息を荒げながら、延々と千里のバストを揉み続けるオタッキー。その間にカメラ小僧も蘇生し、二人に近づいてくる。

 カメラ小僧に気付いたオタッキーは、立ちあがって千里を無理矢理引きずり起こすと、カメラ小僧と二人で千里をコーナーに連れて行く。そしてカメラ小僧がエプロンに出て、千里の両肩を掴んでコーナーに釘付けにすると、オタッキーが距離をとってコーナーの千里に向かってダッシュし、豪快なボディスプラッシュを見舞う。
 「ううっ…」
オタッキーのボディスプラッシュをまともに受けた千里はそのままコーナーポストの前に崩れ落ちてしまう。さらにオタッキーとカメラ小僧は倒れている千里をリング中央に引っ張って行き、千里の両脚を掴んで大股開きさせる。
 「いやああっ。」
リング中央で大股開きさせられた千里はたまらず悲鳴をあげるが、それまでのダメージが大きく、大きな声を出すことが出来ない。もはやどうすることも出来ない千里に対し、今度はオタッキーが千里を逆エビ固めにきめる。
 「お願い、助けて…」
消え入りそうな声で救いを求める千里。しかしそんな千里に構う事無くオタッキーは千里の体を思いっきり反らせ、カメラ小僧は逆エビにきめられた千里の太ももをこじ開けるようにして股間を覗きこんでいる。
 もはや公開リンチの様相を呈してきたリング上。するとリング上にこの後試合を行なう吹石和恵が姿を現す。

 Tシャツにジーンズという姿でリングに上がった和恵は、一目散に千里を責めている二人に駆け寄り、千里の股間を覗きこんでいるカメラ小僧にハイキックを見舞うと、逆エビをきめているオタッキーの顔面にグーパンチを見舞う。
 いきなりの和恵の乱入に驚く観衆。会場に到着した和恵は控え室で出番を待つように指示されたものの、すでに試合が行われていることを知り、着替える前にちょっとだけ見てみようと興味本位でリングに来た所この状況に出くわし、千里を救う為に乱入したのだ。
 この和恵の乱入をみて高梨は試合終了のゴングを要請。ノーコンテストの裁定が場内にアナウンスされるが、会場は騒然としたまま落ち着く気配も無い。
 和恵に蹴散らされたカメラ小僧とオタッキーは逃げるように花道を後にし、リング内には千里を介抱する和恵の姿があった。

その2

 リングに乱入し、千里を助けた和恵は自分の試合に備える為、控え室に戻っていた。
 『ひどいわ、あんなの!』
千里が男性レスラー二人にやられる姿を見て、怒り心頭の和恵は控え室に戻ってもその怒りを押さえることが出来なかった。和恵はリングコスチュームとして用意された白いビキニに着替えると、イライラする気持ちを静めようとウォームアップを始める。 
 「ふうーっ!」
ウォームアップを終えた和恵が一息ついた瞬間、控え室のドアがノックされ、スタッフの男がドア越しに和恵の出番を告げる。
 「吹石さん、出番です!」
スタッフの声を聞いた和恵はガウン代わりのバスローブを羽織り、大きく深呼吸をした後、
 「よし!」
と自分に言い聞かせるように声を出し、控え室を出た。

 「赤コーナーより、吹石和恵選手の入場です!」
花道に姿を現した和恵は、観客の冷かし混じりの歓声を訊きながらも、厳しい表情を浮かべたままリングに向かう。和恵はリングに上がっても口を真一文字にしめ、眼光を鋭く光らせながら対戦相手の入場を待つ。

 「青コーナーより、関取仮面の入場です!」
和恵の対戦相手として登場したのは、前回の大会でパートナーの濱野裕子を裏切り、対戦相手だった白覆面、黒覆面とグルになって裕子をいたぶった関取仮面だった。
 「えっ、あんな大きい人が相手?」
183センチ、130キロという巨漢の関取仮面を見て驚く和恵。168センチ、49キロと女性としては大きい方の和恵だが、関取仮面に比べればはるかに小さい。関取仮面がリングに上がるとその差は一目瞭然で、いくら空手をやっているとはいえ、和恵にとって厳しい戦いになることは目に見えている。
 『うわー、可愛いコだなあ!』
目の前にいる和恵を見て、関取仮面は覆面の中でいやらしい笑みを浮かべている。そんな関取仮面に対し、和恵は不安を悟られまいとばかりに関取仮面を睨み返す。

 「本日のメインエベント、シングルマッチ60分一本勝負を行ないます。青コーナー285パウンド、関取仮面!赤コーナー、110パウンド、吹石和恵!レフェリーミスター高梨。」
 両者のコールの後、ボディチェックが行なわれるが、高梨は和恵の乱入劇を目の当たりにして警戒したのか、得意のセクハラ行為はせず、普通にボディチェックを済ませる。
 ボディチェックが終わり、両者が一旦コーナーに下がったところで試合開始のゴングが鳴らされる。

 「カアーン!」
 ゴングが鳴り、リング中央に歩み寄る両者。関取仮面はまるで値踏みするかのように、ビキニ姿の和恵を見つめている。
 一方の和恵は、巨漢の関取仮面を警戒してか、立ち止まる事無く関取仮面の周りを円を描くように歩き、関取仮面の出方をうかがっている。
 『捕まったらアウトだわ!』
和恵はとにかく距離を保って戦おうと考え、関取仮面にむやみに近づこうとはしない。関取仮面も逃げられると思ってか、和恵を追い掛け回すような事はせず、自分の周りを回る和恵に合わせてその場で回っている。
 「ファイッ!」
なかなか戦闘体制に入らない両者に高梨は声を出してファイトを促すが、二人の距離は一向に縮まらない。この状況を見かねた高梨は和恵に近づくと、和恵の腕を掴んで強引に立ち止まらせる。
 
 『!!』
いきなり高梨に腕を捕まれ驚く和恵。慌ててその手を振り払おうとするが、高梨は和恵を逃がすまいと掴んだ腕を引っ張っている。
 「吹石、ファイッ!」
 腕を捕まれた和恵が必死に抵抗していると、関取仮面がやってきて和恵の空いた方の腕を掴む。
 「ちょっと離してよ!」
高梨と関取仮面に両腕を掴まれ抗議する和恵。和恵を捕まえた二人は一斉に和恵のバストを掴む。
 「いやあっ!」
二人の男にバストを揉まれ、悲鳴をあげる和恵。この状況では得意の空手を使う事も出来ない。高梨と関取仮面はここぞとばかりに和恵の88センチのバストを楽しんでいる。
 しばらくして高梨が和恵から離れ、レフェリングを再開するが、和恵は相変わらず関取仮面に捕まっている。関取仮面は和恵のバストを散々楽しんだ後、和恵を抱えあげてボディスラムでマットに叩きつける。
 「ううっ。」
マットに背中を打ちつけ、苦悶の表情を見せる和恵。関取仮面は倒れている和恵の肢体を舐め回すように見つめている。
 『ヘッヘッヘッ!それにしてもいいカラダしてるぜ!』
関取仮面は覆面の下で舌なめずりした後、倒れている和恵に覆い被さっていこうとするが、その瞬間和恵が上体を起こし、関取仮面の顔にグーパンチを浴びせる。

 「ぐおっ!」
和恵のグーパンチをまともに受け、たまらず顔面を押さえる関取仮面。和恵は関取仮面の動きが止まったのを見て素早く立ちあがり、距離をとって関取仮面の様子を伺う。完全に油断していた関取仮面は思った以上にダメージを負っている様子。和恵はチャンスとばかりに関取仮面に近づき、ローキックを連発。このローキックで関取仮面は動きを止められてしまう。
 「よし!今だわ!」
和恵は関取仮面が足を押さえて頭を下げるのを見て正面にまわり、関取仮面の顔面にハイキックを放つ。この一撃がジャストミートし、関取仮面がマットに崩れ落ちる。この関取仮面のノックダウンシーンに観衆も騒然となる。
 和恵がダウンした関取仮面に近づこうとすると、レフェリーの高梨がそれを制し、ノックダウンカウントを数える。関取仮面はマットにうずくまったまま動く気配を見せない。このままきまってしまうのかと誰もが思った瞬間、リング下に先程試合を終えたザ・オタッキーとカメラ小僧が姿を現す。


 千里との試合で乱入してきた和恵にやられたオタッキーとカメラ小僧は控え室である相談をしていた。
 「ちぇっ、せっかくいいところだったのに…」
千里を二人掛かりでいたぶっていたオタッキーとカメラ小僧はこれからというところで試合が終わってしまった事を残念がっていた。特にデビュー戦を消化不良の形で終えたカメラ小僧は、邪魔に入った和恵を逆恨みしていた。そんなカメラ小僧はオタッキーに次の試合への乱入を提案する。
 「なあ、次の試合に乱入しない?」
 「ええっ?」
カメラ小僧はまともにやったら和恵には叶わないが、試合中の疲れている所だったら大丈夫だといって、渋るオタッキーを説得。オタッキーも元々和恵を地下プロに推薦した張本人だけに内心びびりながらもカメラ小僧の提案に賛成し、再びリングに向かったのだ。


 「うわっ、関取仮面さんやられてるよ!」
リング下に姿を見せたカメラ小僧とオタッキーはリング上の状況に愕然としている。しかし幸いな事に和恵は自分達に背を向けていて、全くその存在に気付いていない。オタッキーとカメラ小僧は意を決してリングに入り、背後から和恵に襲いかかる。
 「きゃあっ!」
背後から奇襲を受け、和恵がつんのめるようにしてマットに倒れると、オタッキーとカメラ小僧が倒れた和恵に襲いかかっていく。
 「いやあっ!」
マットに倒された和恵はバストをオタッキーに掴まれ、太ももをカメラ小僧に掴まれてしまい、たまらず悲鳴をあげるが、無我夢中で足元のカメラ小僧を蹴り飛ばすと、オタッキーにも平手打ちを浴びせ、何とか難を逃れる。しかしこの間に倒れていた関取仮面が蘇生し、和恵の立ちあがり様に体当たりを浴びせる。
無防備のまま体当たりされ、マットに崩れ落ちる和恵。ここでオタッキーとカメラ小僧が和恵の両手両足を押さえつけると、関取仮面がロープに走りボディプレスを見舞う。130キロの衝撃を受けた和恵は完全にノックアウト。関取仮面が片エビにきめ、カウントスリーが数えられる。

 「カンカンカンカン!」
試合終了のゴングが鳴らされ、関取仮面が勝ち名乗りを受けていると、オタッキーとカメラ小僧がダウンしている和恵のバストと脚にまとわりついていく。
 「和恵ちゃんのオッパイだあ!」
 「きれいな脚してるよなあ!」
全く抵抗できない和恵を触りまくるオタッキーとカメラ小僧に、関取仮面が声をかける。
 「なあ、俺も混ぜてくれよ!」
関取仮面はそういうといきなり和恵の唇に吸い付いていく。大野愛に続く格闘技アイドル和恵のデビュー戦は無残な形で幕を閉じた。

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