プロダクションバトルその10 −最終章−





ついにえりと栄子の顔合わせとなり、会場のボルテージは最高潮。波乱のプロダクションバトルの雌雄を決するのはやはりこの二人だという事か。


えりがロープをくぐってリングインすると、それまでコーナーポストにもたれて休んでいた栄子が力強い足取りでえりに向かってくる。
リング中央でがっちりと組み合うかと思いきや、栄子がいきなりえりの顔面を張っていく。
 場内に「パアーン」という乾いた音が響き渡り、観客から大きなどよめきが起こるが、えりは全くひるむ事無く逆に栄子の顔面を張り返していく。


この最初の一撃でお互いの導火線に一気に火が点き、二人は強烈なビンタ合戦を繰り広げる。
 感情をむき出しにして互いの顔面を張り合うえりと栄子。しかしラフファイトに慣れている栄子は一瞬のスキをついてえりの腹部をトーキックで蹴りあげて動きをとめると、髪をつかんで強烈なヘッドバットを浴びせる。


「あうっ・・・」


 栄子の強烈な頭突きを受け、たまらずマットにひざまづくえり。
 ここで栄子がロープに走り、片ひざをついているえりの顔面にケンカキックを浴びせていく。
 えりはのけぞりながらもマットに手をついて倒れる事を拒否し、栄子をにらみ返す。


 このえりの態度に怒った栄子は再度ロープに走り、えりに二発目のケンカキックを見舞っていくが、えりは倒れずにふんばり、よろめきながらも立ち上がっていく。


 「上等だこの野郎!!」


 栄子は大声で叫ぶともう一度ロープに走り、ふらりと立ち上がったえりの喉元に豪腕ラリアットを叩きこみ、えりをマットになぎ倒す。


 「フォールだあ!!」


 栄子は大声でアピールしながらカバーに入るが、えりがかろうじてカウント2で肩をあげると、会場から大きな歓声が沸き上がる。


 栄子はそれならばと倒れているえりの髪をつかんで引きずり起こし、ブレーンバスターの体勢に入る。
 しばらくブレーンバスターの体勢でのこう着状態が続き、息を整えた栄子が気合いを入れるかけ声とともにえりを持ち上げるが、えりが足をばたつかせた為、栄子は投げきる事ができずにえりの体を一旦マットに下ろす。


 元の体勢に戻り、再び栄子が雄叫びをあげてえりの体をひっこぬくようにして一気に持ち上げていくが、またもえりが足をばたつかせてこらえ、マットに着地すると逆にフロント・ネック・ロックをきめていく。


 さらにえりはDDTをきめるような感じでマットに倒れこみ、栄子の胴体に足を絡めていこうとするが、栄子もひざまづかないようにマットに手を着き、四つんばいのような状態でふんばってこれを阻止している。


 まるでこの試合の前に行なわれた「えり対はるみ」戦のリプレイのような光景に、場内の歓声も一際大きくなる。
 しかしここで場外に落とされていた友美がリング内に入ってきて、技をきめているえりに蹴りを入れていく。


 本来この試合はタッグマッチなのでカットプレーは常套手段のはずなのだが、リング上はもはやえりと栄子のシングルマッチのような雰囲気になっているだけに、場内から大ブーイングが沸き起こる。
 しかし友美は構う事無く、なかなか技を解かないえりに執拗にキックを見舞っていく。


 しばらくしてえりがようやく技を外したものの、友美はコーナーに下がろうとせず、倒れているえりにストンピングし続けている。
 どうやら試合前のマイクアピールで、えりが友美の名前を知らなかった事が、友美の怒りとなっている様子。


 友美はストンピングをやめると、えりが立ち上がろうとしているのを見てロープに走り、ふらりと立ち上がったえりの顔面にビッグブーツを見舞う。
 しかしえりはよろめきながらも倒れずにふんばり、友美が足を下ろした瞬間を見計らって、栄子顔負けの強烈なラリアットを友美の喉元に叩きこむ。


 この一撃でマットに叩きつけられた友美はそのまま転がり落ちるようにして場外にエスケープするが、ダメージはかなり大きいようで、リング下で大の字になったまま動こうとしない。
 これで両軍でファイトできるのはえりと栄子だけとなり、リング上は完全に一騎打ち状態となる。


 何とか邪魔者の友美を蹴散らしたえりだったが、その背後で栄子が立ち上がっている事に気付いていなかった。


 「オラどっち見てんだあ!!!」


 栄子の声に反応してえりが振り返ると、猛然とダッシュしてきた栄子がえりの喉元に豪腕ラリアットを見舞う。
 今度のラリアットは全く無警戒だっただけに、そのダメージはかなり大きい。


 「終わりだー!!!」


 そう叫んだ栄子はカバーにはいかずに、倒れているえりを引きずり起こしていくと、先程きめる事ができなかったブレーンバスターの体勢に入る。


 「うおらあああー!!」


 栄子は雄叫びをあげながら、今度は間髪入れずにえりを一気に持ち上げると、背中から思い切りキャンバスに叩きつけていく。

栄子がゆっくりとカバーに入り、レフェリーがカウントを数え始めると、観客も一斉にカウントを開始する。


 「えりーっ!!」


 えりに届けとばかりに涼子達が名前を叫ぶと、それに答えるかのように、カウントスリー寸前でえりが肩をあげる。
 返された栄子は「マジかよ・・・」とつぶやきながら、両手を腰に当て、天井を仰いでいる。
 フォールを返したえりも、少しでも体力を回復しようとマットに倒れたまま起き上がろうとしない。


 「栄子さん!」

 「えりーっ!」


 リング上で動こうとしないえりと栄子に、両陣営から二人を後押しする声が飛びかっている。
 えりと栄子はその声を聞いて、勝負が自分達に委ねられている事を、改めて認識していた。

 
 「このヤロウ・・・」


 栄子はそうつぶやきながら、倒れているえりの髪の毛をつかんでひきずり起こしていく。
 しかしそれまでのような機敏な動きではなく、さすがの栄子も疲労を隠せない様子。
 そしてえりの方も、栄子以上にダメージを負っていて、ひきずり起こされている時も足元がおぼつかない。



 栄子がえりをコーナーにふると、えりはよろよろしながらコーナーマットに激突する。
 栄子は反対コーナーまでいくと、コーナーマットにもたれかかっているえりに向かってダッシュした。


 「キョークヤマー!!」
 

 栄子はえりの名前をさけびながら対角線上を走っていくと、コーナーのえりに串刺し式のジャンピングニーアタックを見舞う。
 勢いのついた栄子のヒザがえりの顔面を直撃した為、その衝撃的な光景に観客からも大きなどよめきが起こる。


 「えりー!!!」


 えりを心配し、大声で叫ぶ涼子。
 リング上のえりは今の攻撃で切ったのか、口から血を流しながら朦朧とした表情でコーナーにもたれかかっている。
 しかし栄子には全く容赦する様子はなく、今にも崩れ落ちそうなえりを捕まえ、今度は反対コーナーへ同じようにホイップする。


 コーナーマットに激突し、ぐったりしているえりに向かって再びダッシュする栄子。涼子達の悲痛な声がリングに響き渡る・・・




 “そういえば、何で私リングに上がってるんだろう。”


 意識が朦朧とする中、えりは自問自答していた。


 涼子達が応援する声が聞こえてくる。

 だから頑張らなければいけないのは分かっている。

 でもダメージで体中が悲鳴をあげている。

 それなのになぜ自分はまだ立っているのか?

 倒れてしまえば楽なのに・・・

 何でそこまでして自分は頑張っているのか・・・



 “いやあああっ!!”


 悲鳴が聞こえる。

 弘美の声だ。

 弘美は水着を脱がされ、栄子に顔を踏み付けられ、目に涙を浮かべていた。

栄子からビデオレターを届けられた時、えりは途中から画面を見る事が出来なかった。

 あの時見ていなかったはずのシーンが、えりの頭の中に浮かんでくる。


 弘美ちゃん・・・




 「バキッ!!」


 リング上では2発目の串刺し式ジャンピングニーアタックが炸裂していた。
 全体重をのせた栄子のヒザがえりの顔面を直撃し、頬の辺りにめりこんでいる。


 そして次の瞬間・・・えりがキレた。



 「うわああああーっ!!!」


 えりはいきなり会場中に響き渡るような叫び声をあげると、自分の顔の上にのっかっている栄子を両腕で押し退けるようにようにして突き飛ばしていく。
 単純な動きだがそのパワーはすさまじく、栄子はリング中央あたりまで吹っ飛ばされてしまう。


 『えっ・・・?!』


 キャンバスに投げ出された栄子は何が起こったのか全く把握できていなかった。
 ニーアタックは手応え十分で、下手をすると顔の骨が折れたのでは、と思う程の衝撃があった。しかしえりは全く効いていないかのように自分を軽々と弾き飛ばしたのである。


 そして半パニック状態のまま栄子が不用意に立ち上がると、コーナーで待ち構えていたえりが栄子に向かってダッシュしていく。


 「おおいけえーっ!!!」


 大声で名前を叫びながら栄子の喉元に豪腕ラリアットを叩きこむえり。
 その破壊力はすさまじく、栄子が後頭部からマットに叩きつけられ、そのまま回転するようにしてうつ伏せに崩れ落ちていく。



 『おい何だよ今の・・・』

 あまりに強烈なえりのラリアットにざわめく観客達。その声は驚嘆やどよめきが混じった異様なものとなっている。
 えりは、うつ伏せにダウンしている栄子にまたがり、栄子のウエスト辺りに手を回すと、重量上げのように力任せに栄子を持ち上げようとする。


 「そりゃ無理だろう?」という感じで観客がざわめきだした途端、栄子の体が浮き上がり、ざわめきが驚嘆の声に変わっていく。
考えられないような体勢で栄子を持ち上げたえりは、そのまま一気に自分の体を反り返らせる。


 「んあああああーっ!!」


 えりはハンマー投げの選手のような声をあげると、ジャーマンスープレックスで栄子を投げていく。マットに叩き付けられた栄子は勢いで一回転し、自分の意志に関係なく立ち上がってしまう。


 「※☆@♪%&#?」


 立ち上がった栄子はマットに叩きつけられた衝撃からか、目の焦点があわずに、酔っ払いのような足取りでよたよたとリング内を歩き始める。しかしえりはそんな栄子にも全く容赦する様子がなく、バックから捕まえると、再びジャーマンスープレックスで栄子をマットに叩きつける。


 そしてまたも栄子が一回転して立ち上がり、さっきと同じようによろよろしながら歩きだすと、えりも同じようにバックから栄子を捕まえ、三回目のジャーマンスープレックスで栄子を放り投げていく。


 さっきまでのグロッキー状態は何だったのかと思わせるような猛反撃を見せるえり。はるみらブルーキャブのセコンド達は、えりのその豹変ぶりに恐怖を感じ、言葉を失っていた。


 そしてえりを応援しているはずの大須賀のメンバー達でさえも、ネジが一本飛んでしまったようなえりのファイトぶりに、声援を送るどころか心配そうな表情を浮かべている。


 リング上では、豪腕ラリアットとジャーマン3連発でほぼKO状態の栄子を、えりが無理矢理立たせようとしている。
 髪の毛を捕まれ、引きずり起こされる栄子の目は大きく開いているが、まるで視点があっていない。


「きょくやまあ、もうやめろよー!!」


 栄子が危険な状態なのを見て、リング下からあの強気なはるみが今にも泣きだしそうな声でえりに向かって懇願するが、もはや「栄子を叩き潰す事」しか考えていない処刑マシーンと化したえりの耳に入るはずも無かった。
えりはようやく栄子を立ち上がらせると、左手で栄子の髪の毛を掴み、視点の定まらない栄子をじっとにらみつける。


 「おおおいけえええーっ!!!」


 えりは大声で栄子の名前を叫ぶと、栄子の喉元めがけて右腕を居合い抜きのように振りぬいた。


 強烈なショートレンジの豪腕ラリアットが炸裂し、栄子が後頭部からキャンバスに叩きつけられる。
 そしてえりもラリアットを放った瞬間、糸の切れた操り人形のように、栄子の上に覆いかぶさるようにしてマットに崩れ落ちる。


あまりに強烈なラリアットに、レフェリーも一瞬唖然としたものの、えりが栄子の上にかぶさっていて、ちょうどカバーの体勢になっている事に気付き、あわててカウントを始める。


 レフェリーに合わせて観客達も一斉にカウントを始め、ついに激戦に終止符を打つカウントスリーが入った。


試合終了のゴングが打ち鳴らされ、会場から大きな歓声が沸き起こる中、涼子ら大須賀のメンバーが次々にリングに上がっていく。
一方ブルーキャブのメンバー達は「エース大池栄子の敗戦」という結末をまだ事実として受け入れられず、皆リング上をじっと見つめたまま、その場から一歩も動こうとしない。


 リング上すでに勝負はついていたものの、えりと栄子はキャンバスに折り重なって倒れたままである。


 「えりっ!!!」


リングに上がった涼子が声をかけると、ようやくえりが反応して上体を起こしていく。


 「みんな・・・?」


起き上がったえりは、きょとんとした顔で周りに集まった涼子達を見ていた。その表情には試合中に見せた処刑マシーンの面影は無く、仲間達の知るいつものえりに戻っていた。


「あっ、試合・・・」


どうやらえりは試合に勝った事をまだ理解してないらしく、戸惑った様子でリング上を見回している。


 「勝ったんですよ、えりさん!」

 「えっ・・・」

 「凄いよえりさん!綾びっくりしちゃった!」


冴香と綾が嬉しそうな顔でえりに語りかけてくるのだが、えりには相変わらず実感が沸いてこない。
すると突然ダウンしていた栄子がうめき声をあげる。


「ぐっ・・・」


栄子の声を聞いてえりが振り返ると、何と涼子が栄子の顔を踏み付けていた。
その涼子の顔は冷酷そのもので、周りのメンバー達も声をかける事ができない。
この非常事態を見て、さっきまでリング下で静観していたブルーキャブのメンバー達から抗議の声があがり、江利子、友美、はるみ、の三人がエプロンに上がってくる。


「米蔵さん何やってるんですか?!!」


江利子がエプロンから涼子に声をかけるが、涼子は栄子の顔を踏みつけたまま、何の反応も見せない。


「勝ったんだからもういいだろ?!!」

「おい、栄子ちゃんから足どけろよ!!」


江利子に続いて友美とはるみもエプロンから涼子に抗議するが、三人共リング内には入ろうとしない。

本当はすぐにでもリング内に入って栄子を助けたいのだが、目の前で栄子を踏み付けている涼子の持つ圧倒的な存在感がそれを許さなかった。

 そしてリング下のキャブのメンバー達も、栄子のピンチという事態にもかかわらず、リング上の米蔵涼子のオーラに圧倒され、誰もリングに上がろうとしない。

 会場が騒然とする中、涼子は栄子の顔を踏みつけたまま、マイクを手にする。


 「オイ・・・何甘えた事言ってんだよ・・・お前等だって今までこのリングで散々好き勝手な事やってきたんだろうが!目ん玉開けたまま寝言いってんじゃねえぞ!!」


この涼子のマイクアピールに喝采を贈る観客達。さらにこのアピールを受けて観客達から一斉に「脱がせ」コールが沸き起こる。


『涼子さん知ってたんだ・・・』


涼子のマイクアピールを聞いて呆然とするえり。
そして会場が「脱がせ」コールに包まれる中、涼子が今度はマイクを使わずに足元に倒れている栄子に声をかける。



「大池、わかってんだろうな・・・弘美がどんな思いをしたか・・・今から味わうんだな・・・」


『!!!』


えりは涼子が弘美の名前を口にした瞬間、確信した。


 “涼子は全て知っている”


そしてこの涼子の言葉に対し、半グロッキー状態の栄子が口を開いた。



「・・・好きに・・・しろよ・・・」


涼子に踏み付けられたまま、かすかに聞こえるような声で栄子がつぶやく。
「栄子の降伏」ともいえるこの光景に、リングをとりまくブルーキャブのメンバーが皆、今にも泣きだしそうな表情になっていた。
しかしそれとは対照的に、リング上の栄子は顔を踏みつけられた屈辱的な状況にもかかわらず、「ワタシが女王だ」という、威厳を持った表情を崩してなかった。


 「さあ・・・えり。」


会場の「脱がせ」コールに答えろとばかりに、涼子がえりに声をかける。弘美の無念を晴らすのはえりの役目だと、涼子も考えているようである。
しかしえりは涼子の呼び掛けに反応しようとしない。


「えり?・・・」




 “えりちゃんは・・・優しい子だから・・・”

えりは弘美の言葉を思い出していた。

この地下プロレスのマットで耐えがたい屈辱を受けた弘美。
しかしここで自分が栄子を同じ目に遭わせる事を、弘美は果たして望んでいるのだろうか?




 「弘美ちゃん・・・」


そうつぶやくえりの目に涙が浮かんでいる事に、涼子は気付いた。
 しかし観衆はそんなえりの気持ちなど知る由もなく、「脱がせ」コールを続けている。


「うるせええ!!!」


涼子が一喝した瞬間、それまで無責任な「脱がせ」コールを続けていた観客達が急に静かになった。
えりの気持ちを察した涼子は、えりの肩をポンと叩いた。


「・・・よし!じゃあ帰るとするか!」


涼子の言葉に他のメンバー達が頷き、リングを後にしようとすると、立ち上がろうとしたえりがよろめいてキャンバスにひざまづいてしまう。
 どうやら試合のダメージが一気に噴き出したらしく、立つ事のできないえりを見て涼子と怜が歩み寄っていく。

 大須賀プロモーションのツートップに両脇から抱き抱えられて、ようやく立ち上がったこの日の主役に、場内から勝利を讃える暖かい拍手が送られる。


「えりっ、アンタにだよ!」


涼子にそう言われ、拍手が自分へのものだと気付いたえりは、「大丈夫です」と言って両腕を抱えている涼子と怜を離れさせると、戸惑いながらも観客に向かって一礼してこれに答える。


大須賀のメンバーが次々とリングから降りた後、ブルーキャブのタレント達の苦々しい視線を浴びながら最後にえりがリングから降りようとすると、場内の拍手が「局山」コールに変わっていく。


『えっ、ちょっとやめてよ・・・』


満場の「局山」コールに恥ずかしくなったえりは思わずうつむいてしまい、リング下で待っていた大須賀のメンバー達が笑顔でそんなえりに冷やかしの声をかける。


 うつむいたまま他のメンバーに囲まれるようにして花道を引き返すえり。そんなえりに対する満場の局山コールは大きくなる一方で、全く収まる様子が無い。

 
 「ほら〜えり〜、手ぐらい振ったら〜!」

 涼子がにやにやしながらうつむいたままのえりを冷やかしていると、えりと一緒に戦った冴香と綾もこれに続く。
 

 「えりさん、みんなが呼んでますよ!」

 「えりさんカッコいい!!」
 

 さらに怜がふざけて会場の局山コールを真似し始めると、涼子達もそれに続いていく。

 仲間達の祝福にえりはようやく笑顔を見せたものの、恥ずかしさでうつむいたまま、最後まで顔を上げようとしなかった。

 


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