ここは芸能プロダクションSの社長室。Sのトップ女優である藤原紀華が社長と仕事の打ち合わせを終え、雑談を交わしている。
 「まっ、よろしく頼むよ!」
社長にそう言われ、紀華は一礼して部屋を後にしようとする。しかし紀華は扉の前で立ち止まると踵を返し、社長に向かって意外な言葉を発した。
 「社長、次の地下プロレスの出場はいつですか?」

 紀華は地下プロレスの旗揚げ戦と2回目の興行に出場していた。
 旗揚げ戦では格闘評論家谷山貞治扮する白覆面をKO、そして2戦目では何と元プロレスラーの吉良カーンからギブアップ勝ちを奪い、地下プロレスの初代チャンピオンとなった紀華はたちまち地下プロレスのトップスターとなった。
 しかしそのカーンとの試合の後、乱入してきた白覆面やレフェリーの山本大鉄ら4人の男達に弄ばれ、肉体的、精神的に大きなダメージを負ってしまった紀華に対し、参戦を命じた社長は罪悪感に駆られてしまう。その後、二人が地下プロレスの話題に触れる事はなくなっていた。

 「あっ、いや…」
 紀華の口から地下プロレスの名前が出た事に驚き、戸惑う社長。
 組織委員会でもいずれ紀華を出場させると約束したものの、実際紀華にその話を持ち掛けることは出来なかった。紀華のファイトをまた見てみたいという気持ちは人一倍強いものの、二度も出場させたとはいえ、これだけメジャーなタレントを再びアンダーグラウンドの世界に引きずり込む事に大きな抵抗を感じていた。その社長の気持ちは委員会の他のメンバーも十分理解しており、委員会でもいつしか紀華参戦の話題はご法度となっていた。
 そんな状況の中、まさか紀華自身から地下プロマットの話題が出るとは思ってもいなかっただけに、社長は動揺を隠す事が出来なかった。しかしそんな社長に構う事無く紀華は言葉を続けた。

 「私はチャンピオンなんでしょう!チャンピオンが試合をしなかったらチャンピオンじゃないわ!」
口調を強め、参戦を申し出る紀華だが、当然地下プロレスで起こった忌まわしい出来事を忘れている訳ではなかった。あの試合以降、紀華はその悪夢を振り払おうと仕事に没頭していたのだが、どうしても頭からその事が離れなかった。そのうち責任感の強い紀華は地下プロレスとはいえ、仕事を放棄しているような感覚に陥り、地下プロレスから、そしてあの時自分を弄んだ男達から逃げようとしている自分が許せなくなっていたのだ。
 そして紀華の地下プロレス出場に頭を悩ませていた社長も、紀華の言葉で吹っ切れ、地下プロに紀華参戦を打診。こうして紀華は再び地下プロレスに出場する事になった。
 
 紀華が社長に参戦を申し出ていた時、Oプロモーションでも同様の光景が繰り広げられていた。
 地下プロレス第3回興行に出場したBBガールズの濱野裕子が、社長に地下プロ参戦を直談判していたのだ。
 裕子も紀華同様、地下プロレスに参戦してスケベな男性レスラーの餌食となっていた。その時裕子は意識を失っていたのだが、その状況の中で自分がどういう目にあったのか察する事は容易であった。
 「お願いします。アノ男達の中の誰でもいいから試合させて下さい!」
裕子はその時対戦した白覆面、黒覆面、裏切ったパートナーの関取仮面の三人の内の一人と対戦したいと、自ら対戦相手まで指名して参戦を訴える。Oプロ社長もそんな裕子の熱意に応え、裕子の地下プロ参戦を承諾した。

 藤原紀華と濱野裕子の参戦が決まり、地下プロレス組織委員会では第5回興行に関する特別会議が行われていた。主な議題はその開催日時と会場、そして二人の対戦相手についてであった。
 「じゃあ濱野裕子対白覆面という事でよろしいですね!」
裕子の対戦相手は裕子の希望通り、前回対戦した白覆面に決定。開催日時と会場も既に決まっている為、 残るは紀華の対戦相手である。
 地下プロレスの初代チャンピオンでもある紀華は元レスラーにも勝っているだけに、普通の素人レスラーではまず相手にならない。また他からレスラーを呼んでは、という意見もあったのだが急遽開催が決定したとあってそれも難しいという事で、結局委員会のメンバーでもある関取仮面が選ばれ、第5回大会の対戦カードが決定した。
 
 地下プロレス第5回大会対戦カード
 (第一試合)濱野裕子×白覆面
 (第二試合)藤原紀華×関取仮面


 ここは都内某所、地下プロレス第5回興行の開催会場。今回藤原紀華、濱野裕子という地下プロレスの二大スターが登場するとあって大勢のファンが詰め掛けている。
 リングアナがリング上に姿を見せると、場内から大きな歓声が沸き起こる。
 「赤コーナーより、濱野裕子選手の入場です!」
リングアナのコールを受け、最初に花道に登場したのはセクシーユニットBBガールズの濱野裕子である。
 前回出場した時にはタッグ戦でパートナーだった関取仮面に裏切られ、ピンフォール負けを喫した上に、そのダイナマイトボディを思う存分弄ばれてしまった裕子。今回はその時の対戦相手の一人、白覆面とのシングルマッチという事で、裕子にとってはリベンジマッチといえる試合である。リングに上がった裕子に笑みは無く、気合十分の表情を見せている。そしてリングに上がった裕子は前回とレフェリーが違う事に気付く。
 『今日はレフェリーが違うわ。』
 前回裕子の試合を裁いたのはミスター高梨だったが、今回リング上にいるのは山本大鉄である。大鉄は裕子の姿を見るなりスケベそうな笑みを浮かべている。
 『ほう、高梨の言う通りなかなかいい女じゃないか!』
 そんな大鉄のいやらしい視線を無視して白覆面の入場を待つ裕子。そして対戦相手の白覆面の名前がコールされる。 

 「青コーナーより、白覆面の入場です!」
セコンドに黒覆面を従え、花道に登場した白覆面の姿を見て、一段と気合の入る裕子。白覆面がリングに上がると、裕子の頭の中には前回出場した時の忌まわしい記憶が蘇っていた。
 「本日の第一試合、シングルマッチ60分一本勝負を行ないます。青コーナー、215パウンド、白覆面!赤コーナー、110パウンド、濱野裕子!レフェリー山本大鉄。」
両者の紹介が終わり、裕子がバスローブを脱ぐと場内からため息混じりの歓声があがる。裕子が身に着けているのは前回反響を呼んだ豹柄のTバックマイクロビキニであった。面積の小さな水着で95、58、87のダイナマイトボディをアピールする裕子に大鉄も白覆面も目を血走らせている。
 そして大鉄が両者をリング中央に呼び寄せた瞬間、裕子が手に持ったままのバスローブを白覆面に向かって投げつける。バスローブを被せられ、視界を奪われた白覆面に裕子が先制のドロップキックを浴びせる。

 「うわあっ!」
ドロップキックを受けた白覆面が倒れると、裕子はすかさずバスローブを被せられたままの白覆面の上に跨り、バスローブ越しにパンチを連発。これを見た大鉄はすかさず止めに入り、同時に試合開始のゴングを要請する。
 「カアーン!」
ゴングが鳴った後も裕子は白覆面に攻撃を続けようとするが、大鉄が背後から抱きついて無理矢理裕子を白覆面から離れさせる。さらに大鉄はそれでも白覆面に向かっていこうとする裕子のバストを鷲づかみ、裕子の動きを封じる。
 「ちょっと離してよ!」
裕子はバストを掴んでいる大鉄に抗議するが大鉄は全く離す気配を見せない。
 「なかなかいい乳してるじゃないか!」
大鉄が激しく抵抗する裕子に構わずバストを揉み続けていると
、セコンドの黒覆面が俺にもやらせろとばかりにリング内に入ってくる。

 『!!』
裕子は黒覆面がリングに上がって来た事に気付き、何とか大鉄から逃げようとするが、元々レスラーだった大鉄の力に叶うはずも無く、好き放題に95センチのバストを揉まれている。その間に倒れていた白覆面も起き上がり、黒覆面と二人で裕子に近づいてくる。
 「こんなの卑怯よ、ねえ!」
無駄だと分かりつつも声をあげて抵抗する裕子。ここで大鉄が覆面コンビに声をかける。

 「ちょっと!濱野のボディチェックがまだ済んでないんだ!君達手伝ってくれ!」
大鉄がそう言いながら裕子を無理矢理マットに引きずり倒すと、白覆面と黒覆面が裕子の両手両足を押さえつける。そして大鉄は身動きのできなくなった裕子のバストを両手で鷲づかみにする。
 「いやああっ!」
無防備な状態でバストを揉まれ、悲鳴をあげる裕子。さらに大鉄は片手をバストから離すと、その手をボトムにこじ入れる。
 「きゃああー!」
女の秘部まで触れられ、狂ったように叫ぶ裕子。大鉄がバストと股間をいじりまわしていると、裕子を押さえていた覆面コンビも我慢できないとばかりに裕子のボディを触り始める。白覆面は裕子の唇を奪いながら空いているバストを揉み、黒覆面は裕子の太ももに舌を這わせている。三人の男が裕子のボディに群がったまま、時間だけが過ぎていく。

 しばらくしてようやく大鉄が裕子から離れ、黒覆面がリング下に降りて通常の試合の形に戻るものの、三人の男達に散々ボディをいじくりまわされた裕子は想像以上に体力を消耗している。白覆面は裕子の髪の毛を掴んで裕子を立ちあがらせると、コブラツイストの体勢に入り、その体勢のまま右手で裕子のバストを揉み始める。
 「いやっ!」
バストを掴まれたまらず声をあげる裕子。そしてコブラツイストにきめられていてどうする事も出来ない裕子に大鉄が近づき、ギブアップの確認をしながら裕子のもう一方のバストを揉み始める。
 「濱野、ギブアーップ?」
一応レフェリーの仕事をしながらも、コブラツイストにきめられた裕子のバストの感触を楽しむ大鉄。二人の男にバストを揉まれ、眉をひそめる裕子。そして白覆面がバストから手を離すと、その体勢のまま裕子の脇腹にパンチを連発する。
 「ううっ!」
脇腹にパンチを受け、苦しそうな表情をみせる裕子。白覆面がコブラツイストを解くと裕子は脇腹の痛みでそのままマットに崩れ落ちる。

 『ウェへヘヘへ!』 
白覆面はマットに崩れ落ちた裕子の肢体を舐め回すように見つめている。白覆面は裕子が立ちあがろうとするのを見るとすかさずロープに走り、裕子にタックルを浴びせると、倒れた裕子の体をうつ伏せにして上に跨り、Tバックから露出しているヒップを撫で回す。
 「いやあっ!」
ヒップを触られた裕子は悲鳴をあげるが、背中の上に100キロ近い白覆面が乗っているのでどうする事も出来ない。白覆面は散々裕子のヒップを撫で回した後、立ちあがって裕子をパワーボムの体勢で抱え上げるが、持ち上げた瞬間に裕子が白覆面の顔面に蹴りを見舞った為、顔面を蹴られた白覆面はたまらず裕子の体を離してしまう。マットに着地した裕子はすかさずロープに走り、顔を押さえている白覆面にフライングボディアタックをきめる。白覆面が何とかカウントツーで返すと裕子はすぐに立ちあがり、再度ロープに走るが、リング下で黒覆面が待ち構えていた。

 「よし、次来たら脚を掴んでやる!」
これまでの大会でも、リング下で好アシストを見せていたセコンドの黒覆面はまたも妨害をしようとするが、これを読んでいた裕子はロープに走ったように見せかけて黒覆面にスライディングキックを浴びせる。
 「うわっ!」
黒覆面は裕子のスライディングキックを受け、鉄柵に弾き飛ばされてしまう。邪魔者を退治した裕子はエプロンサイドに上がると、リング上の白覆面が裕子の姿を見失っているのを見て、コーナーポストに上がり、白覆面の背後から飛びついてダイビングフェイスクラッシャーをきめる。この一撃で白覆面は完全にダウン。裕子がカバーに入りカウントスリーが数えられる。
 「カンカンカンカン!」
試合終了のゴングが鳴り、場内アナウンスが裕子の勝利を告げる。
 『やったわ!』
念願のリベンジを果たし安堵の表情を浮かべる裕子。ダイビングフェイスクラッシャーを受けた白覆面と、鉄柵に激突した黒覆面はダメージが大きく、早々とリングを後にする。しかし覆面コンビがリングから降りたその時、裕子の因縁の相手関取仮面がリングに登場し、裕子を背後から襲った。

 『!!』
背後から関取仮面に体当たりされ、マットに倒される裕子。関取仮面はこの後、紀華との試合を控えていたが、前回そのボディを散々楽しんだ裕子の事がどうしても気になった為、花道の奥からずっと試合を観戦していて試合が終わったのを見計らって乱入したのだ。
 『またこの人…』
自分を襲ったのが関取仮面だという事に気付いた裕子。覆面コンビとレフェリーの大鉄がすでに花道を引き返した為、一対一の状況ではあるが、試合を終えたばかりの裕子の不利は明白である。倒れている裕子の髪の毛を掴んで引きずり起こし、喉輪落としの体勢に入る関取仮面。しかしここで裕子が喉輪落としを狙う関取仮面の股間に急所蹴りを見舞う。
 「ほうっ!」
急所蹴りを食らった関取仮面はうめき声をあげ、たまらず喉輪を解いてしまう。何とかピンチを逃れた裕子は前回のお返しとばかりに反撃を開始。関取仮面のヒザに低空ドロップキックを浴びせた後、ロープに走り関取仮面の背後から飛びつき、フェイスクラッシャーをきめる。
 『調子に乗らないでよね!』
裕子はダウンした関取仮面を尻目にリングを後にしようとするが、ここでリング上に今日試合の無いはずのザ・オタッキーとカメラ小僧が姿を現し、裕子に襲いかかる。

 「きゃあっ!」
予期せぬ乱入者にいきなり抱きつかれ、悲鳴をあげる裕子。オタッキーとカメラ小僧は両脇から裕子のバストを鷲づかみ、こねまわすようにしてその感触を楽しんでいる。
 「ちょっと離してよ!」
裕子は素人コンビに抗議するが当然訊き入れてもらえない。しばらくしてカメラ小僧が裕子を羽交い締めにすると、オタッキーが羽交い締めにされた裕子に向かってダッシュしラリアットを見舞う。オタッキーのラリアットを受け、マットに崩れ落ちる裕子。するとさっきまでダウンしていた関取仮面が起き上がり、素人コンビに指示を出す。それを聞いた素人コンビは倒れている裕子を抱き起こすと、二人掛かりで裕子を関取仮面の方にホイップし、待ち構えていた関取仮面が豪快に喉輪落としをきめる。
 「ううっ…」
喉輪落としを受け、ダウンしている裕子の手足を素人コンビが押さえつけると、関取仮面がロープに走りボディプレスを見舞う。そしてオタッキーとカメラ小僧も同じように入替わり立替わりボディプレスをきめ裕子は完全にノックアウト。三人はボディプレス三連発で失神状態の裕子に群がってそのダイナマイトボディをむさぼり始める。

 「カンカンカンカン!」
試合が終わってしばらく経っているにも関わらず、場内には選手退場を促すゴングが乱打されている。しかしリング上ではそんな事に構わず三人の男達が失神している裕子に群がっている。
 実はこの後試合を行なう予定の藤原紀華がまだ会場に到着しておらず、スタッフからその事を伝えられた関取仮面はまだ試合が始められない事をわかっていてリング上で素人コンビと一緒に裕子のボディを楽しんでいるのである。
 「いやあ、ホントいいオッパイしてるよ!紀華ちゃんもこんな感じなのかなあ。今から楽しみだよ!」
関取仮面は動く事の出来ない裕子の95センチのバストを揉みながら、この後対戦する紀華のダイナマイトボディに妄想を膨らませている。そしてオタッキーはもう一方のバストを、カメラ小僧はTバック水着から伸びた太ももを息を荒げながら揉み続けたり舐め回したりしている。
 そして紀華サイドから間も無く会場に到着するという連絡があり、ようやくスタッフの男達ががリング内で好き放題に裕子を弄んでいる三人を止めに入るが、裕子は相変わらず意識を失ったままで、担架に乗せられてリングを後にする。
 せっかく白覆面へのリベンジを果たしたものの、結局関取仮面達のエジキとなった裕子。このまま引き下がってしまうのか?それとも関取仮面へのリベンジを果たしに、また地下プロマットに上がるのだろうか? 
スケジュールの都合で到着が遅れ、ようやく会場入りした藤原紀華は控え室でリングコスチュームであるゴールドのブラジルビキニに着替えていた。
 濱野裕子の試合の後、かなりの時間が経っている為、スタッフの方から急いで準備するように指示を受けた紀華は着替え終わるとすぐにウォームアップを始める。
 『どういう相手なんだろう?』
紀華は体を動かしながら今日の対戦相手の事を考えていた。今回の試合で紀華はこれまでと違い、対戦相手の名前をあらかじめ知らされてはいたのだが、分かっているのは『関取仮面』という名前だけで、どういうレスラーなのかという事は全く分かってなかった。しかもたった今会場入りした紀華は、濱野裕子が試合をしていた事も、そこに紀華の相手である関取仮面が乱入し、裕子を嬲り者にしていた事も当然知らなかった。
 ウォーミングアップを終え、一息つく紀華。するとそのタイミングを見計らったかの様に控え室のドアがノックされ、スタッフの男がドア越しに紀華に声をかける。
 「藤原さん、出番です。」
出番を告げられた紀華は口を真一文字に締め、気合十分の表情で控え室を後にした。

 「赤コーナーより、チャンピオン、藤原紀華選手の入場です!」
紀華の名前がコールされると会場から割れんばかりの大歓声が沸き起こる。旗揚げ戦から参加していた大物タレントの登場を会場のファン達もずっと待ちわびていたようだ。
 大声援に迎えられ花道を進む紀華。その視線は既に入場を済ませているリング上の関取仮面に向けられている。
 『アノ人が今日の相手…』
 紀華は183センチ、130キロという巨漢の関取仮面を見ても特に驚きはしなかった。何といっても前回出場した時に元レスラーと対戦しているだけに、元力士である関取仮面に対しても気後れは感じていない様子。そしてリングに上がった紀華は前回とレフェリーが替わっている事に気付く。
 『ハゲ親父じゃないわ…』
 紀華は過去、地下プロに二度出場しているが、その時レフェリーをやっていたのは山本大鉄であった。しかし今回リング上にいるのはミスター高梨である。そして紀華がリング下に目を向けるとそこに大鉄の姿が。
 『まさかアノハゲ親父がセコンド…』
 紀華が察したように、さっきまで裕子の試合を裁いていた大鉄が関取仮面のセコンドについていた。
 紀華の実力を知る大鉄は、紀華と関取仮面の対戦が決まるとすぐ、関取仮面にセコンドにつく事を申し出る。そして前回、吹石和恵との試合で痛い目をみた関取仮面はこの大鉄の申し出を快諾。今回セコンドについてもらう事となった。
 『気をつけないと、またしゃしゃり出てくるに違いないわ!』
 大鉄の姿を見て警戒する紀華。しかしこの後、さらに深刻な事態が紀華を襲う。

 「本日行なわれるタイトルマッチに関しまして、レフェリーのミスター高梨から試合形式についての説明があります。」
 リングアナはそう言うと、ミスター高梨にマイクを手渡す。
 『説明って何?』
 リングアナの言葉に疑問を感じる紀華。今回の試合は地下プロレス初代チャンピオン、紀華の初の防衛戦である。しかし紀華自身それ以外特別な事は何も訊かされていない。そんな紀華にとって、最悪ともいえる試合形式がミスター高梨から発表される。
 「えー、今回のタイトルマッチが決定した後、重大な事実が発覚しました。それはチャンピオンの藤原紀華選手が以前、ミス日本のタイトルを獲得した事があるという事です!」
 『えっ、それと試合と何の関係があるの?』
 高梨の言葉に首をかしげる紀華。さらに高梨の説明は続く。
 「そして藤原選手はこの地下プロレスでもタイトルを獲得、いわば二冠王であります。一方、挑戦者の関取仮面はかつて角界に在籍していましたが、これといった実績もなく、廃業しております。そこで委員会ではこの二人では実力差がありすぎると判断し、今日の試合をハンディキャップマッチで行なう事に致しました!」
 この高梨の発表に場内は騒然。そして紀華も全く不条理な委員会の決定に動揺を隠せない。
 『ちょっと、そんなの無茶苦茶だわ!』
 紀華は一旦レフェリーに詰め寄ろうとするが、背後に気配を感じ、コーナーの方を振り返る。すると客席に座っていた二人の覆面姿の男が席を立ち、リング内に入ってくる。

 リング内に入ってきたのは、先程関取仮面と一緒に濱野裕子を襲ったオタッキーとカメラ小僧であった。二人はあの藤原紀華と試合できるとあって、試合前からすでに興奮している。
 『何、まさか三対一って事?』
 リングに上がってくる二人の姿を見て動揺する紀華。しかも三人の男達に取り囲まれる状態になっているので逃げ出す事も出来ない。高梨はそんな紀華に構わず試合形式についての説明を始める。
 「それでは今日のタイトルマッチの特別ルールを説明します。チャンピオンの藤原選手は挑戦者三人のうち一人を倒せば王座防衛、そして挑戦者チームが勝った場合、その時点での試合の権利者がチャンピオンとなります!」
 高梨の説明が終わり、再びリングアナの男がマイクを手にする。
 「本日のメインイベント、地下プロレス選手権試合、ハンディキャップマッチ60分一本勝負を行ないます。青コーナー、挑戦者、190パウンド、カメラー、小僧!230パウンド、ザ、オタッキー!285パウンド、関取ー仮面!赤コーナー、選手権者、115パウンド、藤原ー紀華!レフェリー…」 そしてリングアナの男が紀華をコールした瞬間、三人の男達はもう待ちきれないとばかりに一斉にバスローブ姿の紀華に襲いかかった。

 「ちょっと待っ…」
いきなり三人の男達に捕えられ、うろたえる紀華。男達は紀華が身に着けているバスローブをあっという間に剥ぎ取ってしまう。
 「うひょー!」
 「スッゲー!」
 「プリンプリンだよ!」
 目の前に現れた紀華のブラジルビキニに包まれたダイナマイトボディに挑戦者の三人は完全に自制心を失っている。三人のタダならぬ様子を見て、紀華は必死に逃げようとするが、男三人に捕まっては抵抗の仕様が無い。三人は欲望のままに紀華のダイナマイトボディに手を伸ばす。
 「いやあっ!」
 六本の手のおぞましい感触に狂ったように悲鳴をあげる紀華。そんな紀華のボディを我先にとばかりに触る三人の男達。関取仮面とオタッキーがバストを、カメラ小僧がヒップをそれぞれの手つきで揉みしだいている。ゴングがまだ鳴っていないにも関わらず、挑戦者チームに成すがままにされている紀華。そしてようやく、試合開始のゴングが鳴らされる。

 「カアーン!」
 リング上では相変わらず紀華が挑戦者チームに捕まっている。
 「ちょっと離してよ!」
 オタッキーとカメラ小僧が両脚にしがみついている為に動きの取れない紀華。そして動きを封じられたところに関取仮面のラリアートが炸裂する。
 「ううっ…」
 関取仮面のラリアートを受けダウンする紀華。さらに挑戦者チームは紀華を引きずり起こすと、まるで技の練習をするかのように三人が代わる代わる紀華をボディスラムでマットに叩きつける。そしてラリアートとボディスラム三連発でマットに大の字になっている紀華の横で挑戦者チームの三人がジャンケンを始めた。
 「ウヘヘへッ、僕の勝ちですね!」
 三人は誰が先発でいくのかをきめていたらしく、ジャンケンに勝ったオタッキーをリング内に残し、関取仮面とカメラ小僧はコーナーに下がる。オタッキーはリング中央に倒れている紀華の肢体を舐め回す様に見つめた後、おもむろに覆い被さって紀華のバストを鷲づかみ、唇を奪っていく。
 「んんっ、いやっ!」
 100キロのオタッキーにのしかかられた紀華は抵抗する事が出来ず、されるがままにされている。今がチャンスとばかりに紀華のボディを楽しむオタッキー。するとセコンドの大鉄が、レフェリーの高梨に声をかける。

 「おい、高梨!おまえまだチャンピオンのボディチェックしてないだろ!」
 高梨は大鉄の言葉に一瞬戸惑うものの、その意味を理解すると満面の笑みを浮かべ、リング下の大鉄に向かって頷く。さらに大鉄は挑戦者チームの三人にも声をかける。
 「お前達も手伝ってやれ!」
大鉄の言葉を受け、コーナーにいる関取仮面とカメラ小僧がリング内に入ると、紀華に覆い被さっていたオタッキーが起き上がり、三人掛かりで紀華の手足を押さえつける。
 「ちょっと何よ、いやっ!」
三人の男達に押さえつけられうろたえる紀華。高梨は身動きできない紀華に近づき、
 「チャンピオン、ボディチェックだ!」
といって紀華の88センチのバストをおもむろに鷲づかむ。
 「いやああっ!」
高梨にバストを掴まれた紀華は悲鳴をあげ、懸命に身を捩るが、三人掛かりで押さえつけられてはどうする事も出来ない。高梨はいやがる紀華の表情を楽しみながらバストを揉み続ける。
 『これが藤原紀華のオッパイかあ!』
初めて触れる紀華のバストの感触に至福の表情を浮かべる高梨。さらに高梨はバストを揉みながら、もう片方の手を紀華の股間を覆うボトムにこじ入れる。
 「やめてーっ!」
股間にまで触れられ、たまらず金切り声をあげる紀華。ここで高梨はセコンドの大鉄に声をかける。

 「大鉄さん!チャンピオンが何か隠してるんですよ!ちょっと確かめてもらえませんか!」
高梨によばれた大鉄は素早くリングに上がり、高梨と同じように紀華のバストを揉みながらボトムに手をこじ入れる。
 「どうだ高梨!チャンピオンの乳は素晴らしいだろ!」
 傍で訊いていると全く訳のわからない大鉄の言葉に高梨は大きく頷く。このWスケベレフェリーのセクハラボディチェックに、紀華は錯乱状態に陥る。
 「やめて!お願い!」
身動きが取れない為声をあげる事しか出来ない紀華に、手足を押さえつけている三人も欲求を押さえ切れずに手を出し始める。リング中央で五人の男達が日本を代表する美人女優に群がるその光景に、観衆も興奮を押さえきれず、冷かし半分の紀華コールが沸き起こる。
 しばらくしてようやく五人掛かりのセクハラ攻撃が終わるものの、紀華は立ち上がる事が出来ない。リングに残ったオタッキーはそんな紀華の片足を掴んで自軍コーナーに引っ張っていくと、コーナーに戻った関取仮面とタッチをかわす。

 タッチを受けた関取仮面がリングに入ってもオタッキーは下がる気配を見せず、紀華の足を掴んでいる。そしてリングインした関取仮面が紀華のもう一方の足を掴むと、そのまま左右に引っ張っていく。
 「いやあっ!」
リング上で無理矢理大股開きさせられ、悲鳴をあげる紀華。そして試合権利の無いカメラ小僧までもがリングに入り、大股開きさせられている紀華の股間を覗きこむ。
 「いやっ、見ないで!」
女性の秘部を見られ、羞恥心で顔を赤らめる紀華。オタッキーと関取仮面が紀華の両足を頭の方に引っ張っていき、エビ固めのような体勢にすると、カメラ小僧が紀華の太ももを押さえ、股間に顔をうずめていく。
 「やめてーっ!」
股間を襲うおぞましい感触に絶叫する紀華。ここまで挑戦者達のやりたい放題に試合が進んでいて、紀華は反撃のきっかけすらつかめないでいる。

 挑戦者チームは全く手を緩める気配が無く、今度は紀華の体を裏返してうつ伏せ状態にすると、オタッキーと関取仮面が紀華の両足を掴んで高々と持ち上げ、紀華の両膝をマットに叩きつけていく。
 『痛い!』
ヒザを強打した紀華は苦悶の表情を見せているが、挑戦者チームは構わずこの攻撃を繰り返す。そして四回目の時、オタッキーと関取仮面が紀華の両足を持ち上げたままの状態で止めると、カメラ小僧が紀華の両脚の間に入り、両肩に紀華の足を乗せてそのまま両手で抱え込む。
 『うわー、なんていい眺めなんだ!』
カメラ小僧の目には紀華の真っ白なヒップの割れ目が映っている。そしてオタッキーと関取仮面が前方に回って紀華の上半身を抱え上げると、オタッキーがネックハンギングの状態で支え、紀華をスーパーマンのような体勢にすると、関取仮面がその下にもぐりこんで、重力に逆らえずにたわわに実った紀華のバストを揉み始める。そしてオタッキーも不自由な体勢の紀華の唇を奪っていく。
 「んんっ、いやっ!」
ハンディキャップマッチである事をいい事に、ありとあらゆる方法で紀華のボディを弄ぶ挑戦者チームの三人。挑戦者チームはスーパーマンプレイの後、紀華を無造作にマットに落とすと、関取仮面とカメラ小僧がタッチを行ない、カメラ小僧が試合の権利者となる。
 
 挑戦者チームはカメラ小僧にスイッチしたものの、三人ともリング内に残り、倒れたままの紀華を取り囲んでいる。そして挑戦者チームの三人が倒れている紀華を立ちあがらせようとしたところ、紀華がオタッキーの股間目掛けてアッパーブローを突き上げる。
 「ほうっ!」
股間にパンチを受け、うめき声を上げるオタッキー。その声にカメラ小僧と関取仮面が気を取られたところ、紀華がすかさず立ちあがって、関取仮面とカメラ小僧に立て続けに急所蹴りを見舞う。
 「おおーっ!」
紀華の股間攻撃三連発で、挑戦者チームの三人は全員股間を押さえて体を丸めている。このスキに紀華は三人の輪から抜け出し、関取仮面の背後にまわると、関取仮面の背中にドロップキックを浴びせる。この一撃で関取仮面とその横にいたオタッキーがもつれあうようにそろってリング下に転落。これでリング内は紀華と試合の権利者、カメラ小僧の二人だけとなり、紀華は千載一遇のチャンスを迎える。

 挑戦者チームでただ一人リングに残っているカメラ小僧は股間蹴りのダメージが大きく、身動きが取れない様子。紀華はそんなカメラ小僧に近づきローキックを連発。カメラ小僧が倒れるとすかさず腕ひしぎ逆十字をきめていく。
 「痛たたた!」
カメラ小僧は激痛のあまり、すかさずタップするものの、レフェリーの高梨がエプロンに上がってきたセコンドの大鉄と揉めていてこれを見ていない。紀華は一旦腕ひしぎを解いて立ち上がると、エプロンに上がっている大鉄に向かってダッシュし、エルボーアタックをきめて大鉄を場外に落とす。
 そして紀華が再びカメラ小僧の方に向かおうと振り返ると、いつの間にかリング内に入ってきていた
オタッキーが紀華に向かって突進してくる。しかし紀華はオタッキーの突進を直前でかわし、オタッキーは勢いあまって再びリング下に転落する。この攻防の間にカメラ小僧がコーナーに戻ってきた関取仮面とタッチし、関取仮面がリング内に入ってくる。

 紀華の反撃はなおも続き、リングインした関取仮面にいきなりドロップキックをきめてぐらつかせると、すかさずロープに走り、ランニングエルボーを関取仮面の顔面にヒットさせる。しかし130キロの巨体を誇る関取仮面はよろめきながらも倒れずに踏ん張っている。
 セコンドを含め、四人の男を相手に猛攻を見せる紀華に観衆からの声援もだんだん大きくなっているが、当の紀華はかなりスタミナと神経をすり減らしている為、何としても今の一対一の状況できめたい
様子。
 さらに紀華はドロップキックとエルボーでふらついている関取仮面のヒザに低空ドロップキックをきめるが、それでも関取仮面は倒れない。ここまで反撃を続けていた紀華にも次第に疲れが見え始め、技の威力もかなり落ちてきている。
 『何とかここできめないと、もう限界だわ!』
 意を決した紀華は大技を狙い、コーナーに向かう。

 低空ドロップキックをヒザに受けた関取仮面はひざを押さえている間に紀華の姿を見失っていた。
 『あれ、紀華ちゃんどこに行った?』
リング中央でキョロキョロしながら紀華を探す関取仮面。そして関取仮面がコーナーポスト最上段に上っている紀華を見つけた瞬間、紀華は関取仮面に向かってダイビングボディアタックを狙うが、無情にも関取仮面にキャッチされてしまう。
 『そんな…』
関取仮面に抱えられ、落胆する紀華。紀華は勝負をあせるあまり、重大な判断ミスを犯していた。恐らくオタッキーやカメラ小僧なら決まっていたのだろうが、挑戦者三人の中で一番大きく、一番強い130キロの関取仮面には50キロ程度の紀華を受け止めるのはたやすいことであった。
 「ヘッヘッヘッヘッ、つーかまえた!」
関取仮面は紀華を抱きかかえたままゆっくりとリングを歩き回りながら、紀華のヒップの感触を楽しんでいる。ここでオタッキーとカメラ小僧もリングに入り、再び三対一の状況になる。関取仮面が紀華をそのままバックブリーカーの体勢に捕えると、オタッキーとカメラ小僧が紀華のボディに手を伸ばす。
 「いやああっ!」
バックブリーカーの体勢のまま体を弄ばれる紀華。オタッキーは紀華のバストを揉みくちゃにし、カメラ小僧は紀華の美脚を舐め回している。しばらくして関取仮面がバックブリーカーを解くと、オタッキーとカメラ小僧がすかさず紀華の手足を押さえつける。
 「いやっ、離して!」
二人の男に押さえられ身動きが取れない紀華に、関取仮面のボディプレスが炸裂した。
130キロのボディプレスを受けた紀華は意識を失っていた。そのままフォールに行けば間違い無くカウントスリーが入るところだが、挑戦者チームの三人は紀華のまわりを取り囲み、ヒザをついて紀華の顔を覗きこんでいる。
 「あれっ、気を失ってるのかなあ。」
 「そりゃあ関取仮面さんに潰されたら誰だってこうなりますよ!」
 「ちょっと試してみる?」
オタッキーはそういうと紀華の右のバストを鷲づかむ。
 「ん、んん…」
バストを掴まれた紀華は小さくうめき声をあげるが、意識は戻っていない様子。オタッキーがそのままバストを揉み続けていると、それにつられて関取仮面が左のバストを揉み始め、カメラ小僧がボトムに手を入れて股間をまさぐり始める。
 「うわー、ほんといいオッパイだよなあ!」
 「ずーっとこうやっていたいよね!」
 「紀華ちゃーん、起きてよ!」
紀華が気を失っているのをいい事に、挑戦者チームの三人は紀華のボディを好き放題いじりまわしている。リング上三人掛かりのセクハラ攻撃が続き、ようやく紀華が意識を取り戻す。

 「ん、うーん…?!」
自分の体におぞましい感触を覚え、意識を取り戻した紀華。紀華がゆっくりと目をあけると、目の前には自分のボディに群がる挑戦者チームの三人の姿が。
 「いやああああっ!!」
ようやく状況を把握した紀華はたまらず悲鳴をあげるが、三人の男達はそんな事に構わず、紀華の体をむさぼり続けている。やがてバストを揉んでいたオタッキーと関取仮面がバストから手を離すと、紀華の両腕をおさえつけて、一斉に両方のバストにしゃぶりついていく。そしてカメラ小僧も紀華の股間に顔をうずめていく。
 「やめてっ!いやっ!放して!」
挑戦者チームの変態攻撃に紀華は激しく首を振って抵抗するが、挑戦者チームは全く離れる気配を見せない。一度は勝機を掴みかけていた紀華だが今は試合序盤同様、完全に挑戦者チームのペースになっている。

 リング上、挑戦者チームの三人が一旦紀華から離れるものの、紀華は立ち上がる事が出来ない。そんな紀華を関取仮面が引きずり起こしてネックハンギングツリーにきめると、オタッキーとカメラ小僧が両側から紀華のヒップを鷲づかみ、太ももを舐め回す。
 「い…や…」
 もはや抵抗する事も許されずに挑戦者チームになぶり者にされている紀華。この後、関取仮面が紀華をマットに下ろすと、オタッキーが崩れ落ちそうになる紀華を羽交い締めにしてゴロンとマットに寝っ転がり、自分の両足を紀華の両足に絡めていく。まるでカメが裏返されたような体勢にされ、身動きの取れない紀華に関取仮面とカメラ小僧が近づき、無防備になった紀華のバストと股間に手を出していく。
 「卑怯よこんなの!」
 三人掛かりの攻撃を続ける挑戦者チームに抗議する紀華だが、三人は聞く耳を持たない。関取仮面はバストをこねくりまわし、カメラ小僧は開かれた股間に指を這わせている。さらにヒップの割れ目にはオタッキーの固くなったイチモツが潜り込んでくる。
 「いやっ!放して!」
 声を出す事しか出来ない紀華に、放っておけばそのままいつまでも群がっていそうな挑戦者チームの三人。ここでカメラ小僧と関取仮面が一旦コーナーに戻り、タッチをかわす。

 関取仮面がカメラ小僧にスイッチしている間も紀華はオタッキーに羽交い締めにされていた。カメラ小僧が再度リングに入ってくると、オタッキーは羽交い締めを解いて紀華を立ちあがらせ、背後からかんぬきのように紀華の両腕を抱え込む。そしてカメラ小僧が腕をぐるぐる回した後、オタッキーに捕えられた紀華目掛けてダッシュした瞬間、紀華が背後のオタッキーの股間を蹴り上げる。
 「ほうっ!」
 股間を蹴られたオタッキーが思わず腕を放してしまうと、紀華がカメラ小僧の突進を直前でかわし、ラリアートがオタッキーに誤爆。ピンチを逃れた紀華は、すかさず相手コーナーに走っていき、あわててリングに入ろうとした関取仮面にドロップキックをきめ、関取仮面を場外に転落させる。
 これでリング内は一対一の状況となり、紀華はダウンしたオタッキーを見てオロオロするカメラ小僧に歩み寄ると、カメラ小僧にグーパンチを連発。完全にビビってしまっているカメラ小僧をコーナーに追い詰め、浴びせ蹴りをきめた後、カメラ小僧の頭を掴んでコーナーに上がり、スイング式DDTをきめる。この連続攻撃でカメラ小僧は完全にグロッキー。紀華がカバーに入り、ついにカウントスリーが数えられる。

 「カンカンカンカン!」
試合終了のゴングが鳴り、場内アナウンスで紀華の勝利が告げられると、観衆から大歓声が沸き起こる。三人の男性レスラーを相手に激闘を繰り広げた紀華はさすがに立ち上がる事が出来ず、マットに手をついたまま肩で息をしている。
 『やったわ…』
試合終了と自分の勝利を確認し、安堵の表情を浮かべる紀華。そして紀華がリングを後にしようと立ちあがった瞬間、さっきまで歓声を上げていた観客が急にざわめき始める。
 『何、何なの?』
観衆のざわめきを聞き、不安を覚える紀華。前回地下プロレスに出場した時、試合終了後に襲われた悪夢が蘇る。いやな予感がする。そう思った瞬間、紀華は背後に人の気配を感じる。そして紀華が後ろを振り返ると、セカンドロープをくぐってリング内に入ってくるスキンヘッドの大男の姿が。

 リング内に姿を現したのは元プロレスラーのストロング大林であった。
 実は大林は地下プロレスで紀華と対戦した吉良カーンと交流があった。カーンから地下プロレスの話を聞き興味を持った大林は、カーンの紹介で今大会の観戦に来ていたのだ。
 「ヘッヘッヘッヘッ、チャンピオン、防衛おめでとう!今度俺と試合してくれよ!」
 リングに上がった大林はそういうとうすら笑いを浮かべて紀華に歩み寄ってくる。
 突如登場した二メートル近いスキンヘッドの大男の姿にさすがの紀華も動揺を隠す事が出来ない。大林は目を血走らせて過激なビキニに身を包んだ紀華の全身を舐め回す様に見つめている。身の危険を感じた紀華が早くリングを降りようと振り返ると、それを阻止するかのように、大鉄がリング内に入ってくる。
 「チャンピオン!挑戦者が名乗り出てるんだ!返事ぐらいしたらどうだ!」
 大鉄と大林に挟み撃ちにされてしまった紀華は二人に捕まらないようにと別方向にダッシュ。しかしそこには関取仮面が待ち構えていた。
 
 『!!』
リングから逃げ出そうとした紀華が関取仮面の姿に驚き、立ち止まったところをすかさず大鉄が背後から羽交い締めにする。
 「いやっ、放して!」
大鉄に羽交い締めにされた紀華は身を捩って抵抗するが、試合の疲れが残っているだけにどうする事も出来ない。そして大林が羽交い締めにされた紀華にゆっくり歩み寄り、無防備になった紀華の88センチのバストを両手で鷲づかみにする。
 「いやあああっ!」
悲鳴をあげる紀華のバストを、大林はグローブのような手でこねまわしている。さらに大林はバストを鷲づかみにしたまま紀華の唇を強引に奪っていく。
 「ん、んん…」
大林に成すすべなく蹂躙される紀華。しばらくして大鉄が羽交い締めを解くと、大林が紀華を軽々とネックハンギングツリーで抱え上げ、そのままマットに無造作に放り捨てる。
 「うっ…ううっ…」
マットに倒れた紀華は、もはや半グロッキーの状態。大林はそんな紀華の髪を掴んで引きずり起こし、アルゼンチンバックブリーカーにきめていく。

 『助けて…』
リング上では紀華が大林のアルゼンチンバックブリーカーに捕えられている。そして試合後ダウンしていたオタッキーとカメラ小僧も起き上がって来て、全員で大林の周りを取り囲む。周囲の男達の考えを察した大林が、アルゼンチンバックブリーカーをきめたまま、リングに片ヒザをつくと、五人の男達は目の前に現れたまな板の上の鯉状態の紀華のボディに一斉に手を伸ばす。
 『いやあああっ!』
アルゼンチンバックブリーカーにきめられたまま、10本の手で体をもみくちゃにされる紀華。バスト、股間、太ももと争うように男達の手が這いずり回り、レフェリーの高梨までもが紀華にキスしながら顔中を舐め回している。
 もはや絶体絶命の状況の紀華。ここでリング上に濱野裕子が姿を現す。

 裕子は白覆面との試合で勝利を収めた後、乱入してきた関取仮面達に散々痛めつけられた挙句、そのダイナマイトボディを弄ばれていた。リング上で失神した裕子はそのまま控え室に運ばれ、紀華が自分を痛めつけた関取仮面達と試合をしているとも知らず、控え室で眠り続けていた。そして裕子が意識を取り戻した時、控え室においてあるモニターがリング上の様子を映し出していた。
 『何だろう?』
モニターに気付いた裕子は、映し出されている画像を見て目を疑った。
 『藤原さん…?』
 モニターが映し出していたのは紀華がカメラ小僧からピンフォールを奪うシーンだった。あの藤原紀華がこのマイナーな地下プロレスのリングで試合をしている。恐らく裕子でなくとも実際にその目で見ない限り誰も信じないだろう。しかしその後、さらに信じられない光景が裕子が見るモニターに映し出される。
 『そんな…』
 モニターの中で紀華はスキンヘッドの大男と相対していた。このままでは紀華も自分と同じ目に遭わされるに違いない。そう思った裕子はダメージが残っているにも関わらず、意を決して控え室を飛び出し、リングに向かっていった。

 試合の時のままの豹柄のTバックビキニ姿でリングに登場した裕子は紀華に群がる男達の輪に駆け寄り、高梨、大鉄、オタッキーの三人に立て続けに急所蹴りをきめた後、紀華をアルゼンチンバックブリーカーで捕えている大林の背中にドロップキックを放つ。
 「うおっ!」
 裕子のドロップキックを食らった大林が前のめりにマットに倒れると、バックブリーカーに捕えられていた紀華がマットに投げ出される。
 「紀華さん、大丈夫?」
 裕子が倒れている紀華に声をかけると、紀華は小さく頷き、そのまま転がり落ちるようにリング下へエスケープする。この直後、カメラ小僧が裕子に背後から抱きついていくが、裕子が反射的に出したエルボーが顔面を直撃し、マットに崩れ落ちてしまう。
 紀華を救出するためリングに乱入し、あっという間に六人中の五人を蹴散らした裕子。残るは因縁の相手、関取仮面だけである。

 「ヘッヘッヘッヘッ!またそのオッパイ、モミモミさせてくれよ!」
 「あなたは絶対に許さないわ!」
 余裕の表情を見せる関取仮面に強気な言葉を返す裕子。しかし今リング上で倒れている他の五人が起きあがってきたら、たちまちなぶりものにされるだろう。そんな不安を感じながらも、自分を散々なぶりものにした関取仮面に何とか仕返ししたい裕子は、この危険なリング内からなかなか立ち去ることが
出来ない。そんな裕子に関取仮面がゆっくりと近づいてくる。
 『どうすれば…』
何の策も思いつかずにただ関取仮面を睨み返すだけの裕子。徐々にその距離が縮まり、裕子が動こうとした瞬間、背後から大林が裕子を羽交い締めにする。

 『!!』
 関取仮面に気を取られていた裕子は背後で大林が起きあがっていた事に全く気付いていなかった。羽交い締めにされた裕子はあわてて身を捩るが全く無駄な抵抗である。完全に動きを封じられた裕子に関取仮面がゆっくりと近づいてくる。
 『またコイツにやられるなんて…』
成す術を失い、困惑の表情を見せる裕子のバストに関取仮面が手を出そうとした瞬間、さっきまでリング下で休んでいた紀華がリングに上がり、裕子を羽交い締めにしている大林に背後から近づいて、股間を思いきり蹴り上げる。
 「ほうっ!」
股間を蹴られた大林はたまらず羽交い締めを解いてしまい、その場にうずくまる。そして関取仮面が驚いて手を止めた瞬間、羽交い締めを解かれた裕子が関取仮面の股間を蹴り上げる。
 「おうっ!」
大林に続いて関取仮面も股間蹴りでその場にうずくまる。ようやくピンチを脱したかに見えた紀華と裕子だが、裕子の目前で何者かが紀華を背後から襲った。

 「紀華さん!」
 目の前で倒された紀華に声をかける裕子。紀華に背後から体当たりしたのは裕子に敗れた白覆面だった。さらに黒覆面も姿を見せ、マットに倒された紀華に覆面コンビの二人が襲いかかろうとしているところ、それを止めようとした裕子に蘇生したオタッキーと大鉄が抱きついていく。
 「いやああっ!」
二人の男に捕まり、悲鳴をあげる裕子。それでも裕子は紀華の方に向かっていこうとするが、もはや二人の男を振り払うだけの力は残っていなかった。オタッキーに背後からバストを掴まれ、太ももにしがみついてる大鉄にヒップを撫で回される裕子。その裕子の目前では同じく抵抗する力を失った紀華に白覆面と黒覆面が群がっている。
 「紀華ちゃーん!」
白覆面は紀華のバストを揉みながら思わず名前を呼んでしまい、ついにその正体を紀華に悟られてしまう。
 「まさか…谷山さん?」
白覆面の正体が一緒に仕事をしている谷山貞治だと知りショックを受ける紀華。しかしこの状況ではもはやそれも大した問題ではなかった。
 「放しなさいよ!」
裕子は無駄だと思いつつも自分と紀華に群がる男達に抗議するが、当然男達の手は止まらない。そして
カメラ小僧と高梨も立ちあがり、カメラ小僧は裕子に、高梨は紀華にそれぞれ近づいていく。
 裕子と紀華にそれぞれ三人の男が群がる状況の中、関取仮面と大林も急所蹴りのダメージから回復し、肉食獣のような目で裕子と紀華が男達に弄られている様子を見つめていた。

 大林は裕子の方に近づくと、裕子に群がる三人の男達に声をかけ、一旦裕子から離れるように指示を出すと、解放された裕子をネックハンギングツリーで抱えあげる。
 『ううっ…』
もはやどうする事も出来ず苦悶の表情を浮かべる裕子。大林は目の前の裕子のバストを見て思わず舌なめずりする。
 一方、紀華も同じように一旦解放されたところ、関取仮面に引きずり起こされ、豪快な喉輪落としでマットに叩きつけられる。さらにここで白覆面が倒れている紀華にとどめのジャンピングボディプレスを見舞う。もはや半KO状態の紀華に再度男達が群がり、裕子から離れた三人もその輪に加わっていく。
 『紀華さん…』
大林のネックハンギングに捕えられた裕子はどうする事も出来ず、七人のハイエナに群がられている紀華を気遣っている。やがて紀華を囲む輪から大鉄が出てきて大林に指示を出す。

 「ヘッヘッヘッヘッ、待たせたな!いよいよネエチャンの番だ!」
大林がネックハンギングツリーに捕えていた裕子をマットに無造作に落とすと、すかさず大鉄に指示を受けた素人コンビが裕子の手足を押さえつける。
 「いやあっ、放して!」
身動きを封じられ悲鳴をあげる裕子。一方紀華は関取仮面に抱えあげられて、コーナーポストに逆さ吊りにされている。 そしてさっきまで紀華に群がっていた男達が今度は裕子の周りを取り囲む。
 手足を押さえつけられたままの裕子に白覆面がボディプレスをきめ、続いて大林がボディプレスをきめる。そして最後にやってきた関取仮面がとどめのボディプレスをきめ、裕子は再び意識を失った。

 「ヘッヘッヘッヘッ、こっちのネエチャンもいいおっぱいしてるじゃねえか!」
大林は下品な声をあげながら裕子の95センチのバストをグローブのような手で揉みしだいている。そして他の男達も裕子の全身に手や舌を這わせている。
 『裕子さん…』
 そしてコーナーに逆さ吊りにされた紀華は先程裕子が紀華を気遣ったように、八人の男に弄ばれている裕子の身を案じていた。逆さ吊り状態では裕子を助けたくても助けに行く事が出来ない。紀華がその事に歯がゆさを感じていると、裕子を取り囲む輪から大鉄が顔を出し、紀華の方を見て男達に声をかける。
 「おいっ、チャンピオンが独りで寂しそうだぞ!」
 大鉄の言葉を合図に裕子を取り囲む輪から大鉄、大林、白覆面、高梨の四人が抜け出し、逆さ吊りにされた紀華の方に向かってくる。
 『!!』
四人の男達が自分の方に向かってくるのを見て動揺する紀華。しかし当然逃げられるはずも無く、四人の男達にマットに下ろされると、ダイナマイトボディを男達のされるがままに弄り回される。
 「どうだ、大林!チャンピオンの乳は?」
 「ヘッヘッヘッヘッ!さっきのネエチャンも凄かったけどチャンピオンもたまんねえオッパイしてるなあ!」
 「藤原、大鉄さんと俺が念入りにボディチェックしてやるからな!」
 「嬉しいよ!紀華ちゃんとキスできるなんて!」
もはや抵抗する事の出来ない紀華に容赦無く襲いかかる男達。裕子の方にまとわりついている四人も、裕子の意識が無いのをいい事に、裕子のボディを好き放題に弄り回している。
 二大スターが揃った地下プロレス第五回大会は過去最高の盛り上がりの中幕を閉じていった。

 
 地下プロレス第五回大会試合結果

(第1試合シングルマッチ60分一本勝負)
濱野裕子(7分6秒 体固め)白覆面

(第2試合地下プロレス選手権試合ハンディキャップマッチ60分一本勝負)
(選手権者) (挑戦者)
        関取仮面
 藤原紀華 対 ザ・オタッキー
        カメラ小僧

 藤原紀華(14分46秒 体固め)カメラ小僧
  ※藤原が初防衛に成功

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