青コーナー!上から85、63、84!地下プロレス戦績1戦1敗!菊池麗子!

リングアナからコールされリングに上がる麗子。前回と同じくエナメルのホットパンツにスポーツブラのコスチューム。肩にはチャンピオンベルトを掛けている。鳴り物入りで参戦もデビュー戦で惨敗。今度こそキャットファイト女王の意地を見せようと気合いの入った表情だ。対戦相手はまだ知らされてはいない。

赤コーナー!上から90、65、89!地下プロレス初参戦、桜葉あつこ!


麗子の対戦相手は総合格闘技経験もある桜葉あつこ。地下プロレスのオファーを快諾し参戦してきた。
キャットファイト女王対総合格闘家の対戦カードに会場も盛り上がる。

「桜葉あつこ…確か総合格闘技ね。得意の打撃で…」

桜葉あつこの登場に驚くもすぐに作戦を考えた麗子。一方桜葉あつこは場慣れしてるのか観客席にポーズを決めるサービス。麗子のことなど眼中にない。

「桜葉あつこ!どこ見てんのよ!相手は私よ!」

「ごめんなさい♪オーラが無くて気が付かなかったのよ」
「なっ!?この女!?」

「今回のルールはオンリーギブアップマッチ。顔面へのパンチ、凶器攻撃は反則負け。時間無制限の一本勝負!尚現キャットファイトマンティコア女王の菊池麗子選手ですがこの試合で敗れた場合ベルトの剥奪、王座陥落となります。」
カーーン!!!

ルール説明が終わるとゴングが鳴る。麗子がベルトを持ってきたのは敗れた場合ベルトを返上するため。キャットファイト団体から通達があったのだ。
先に仕掛けたのは麗子、怒りに任せた高速の低空タックルで正面からあつこの足を取りに行く。
あつこは難無くサイドに切って逃れると勢いで四つん這いになった麗子に覆いかぶさる。

「遅いわ!」

「しまった…捕まえたと思ったのにっ!!」

麗子を捕らえたあつこ。すぐに麗子の首に腕を絡ませるとそのまま仰向けになりスリーパーを極める。スタミナに自信のあるあつこは麗子の体力をじっくりと削りとる作戦だ。
一方前回の試合でスタミナ不足を露呈した麗子、得意の打撃で攻めたかったがあつこの挑発に乗せられ不用意に突っ込んだことが災いした。
抜けだそうともがけばもがくほどスタミナを消費。あつこはそんな麗子を楽しそうに絞めている。

「さてっ♪次いくわ!立てよ!!!」

楽しんだあつこはスリーパーを解くと麗子を立たせてロープへ振る。跳ね返ってきたらまた腕を取り反対側へ振り、何度も麗子を走らせさらにスタミナを奪い取る。途中スタミナが切れたのかロープへもたれかかる麗子だがあつこは腕をひっぱり伴走する形で麗子を何往復もさせる。完全に息のあがった麗子を見ると足を引っ掛け投げ飛ばす。

「はぁっ…はぁっ…はっ…い、息が苦しい…やられた」

リング中央で大の字になって倒れている麗子。口を大きく開け観客席まで聞こえるくらいの荒い呼吸をしている。

「もうスタミナ切れ?思ったより早かったわね。トレーニング不足じゃない?」

麗子のスタミナ切れは誰の目にも明らかだった。抱き起こすあつこの耳元で苦しそうに息をする麗子。

「ぜぇっ…はぁっ…はぁっ…」

麗子はすでに汗だく。コスチュームからも汗が滴り落ちるくらいだ。

ドスドスッ!!!

麗子はボディブローを打ち込まれるとたまらず呻き声を上げ落ちてしまう。

「うぐぅっっ…げほぉっ……」

「菊池!ギブアップか?」

立ち上がれない麗子にレフリーが呆れたようにギブアップか問いかける。麗子は返事をすることもできず首を左右に振ってアピールするのが精一杯。

(苦しい…痛い…でもギブアップしたらベルトが!応援してくれるファンの為にも!!ここからどうやって桜葉を…)

麗子の表情は苦痛に歪みかなり辛そうだが女王としてのプライドでギブアップは拒否したが打開策がみつからない。

ゴキッ!!!バァン!!!

麗子がギブアップを拒否した直後、鈍い音とともにあつこのひざ蹴りが麗子の顔面を打ちぬいた。膝サポーターの上からとはいえかなりの衝撃。さらに後頭部をマットに打ち付けてしまった。ダメージで立ち上がれない麗子。この試合はオンリーギブアップマッチ。どちらかがギブアップしない限り決着は着かない。大の字に伸びている麗子を尻目に桜葉はレフリーにマイクを要求。そしてマイクパフォーマンスを始めた。

「みんな!地下プロレス初参戦の桜葉あつこです!そこに寝ている女王様のファンがいたらコールして!」

菊池…菊池…

桜葉の呼びかけに起こるまばらな菊池コール。

「ありがと(笑)じゃあ私を応援してくれる人はー?」

あつこ!あつこ!!あつこ!!

大声援のあつこコール。試合前はベルトを持った麗子の応援がほとんどだったがそこは場慣れしているあつこ。うまくアピールし、麗子の不甲斐なさを引き立てる攻撃で観客も奪い取った。

「これがキャットファイト女王の声援(笑)ショボイわね」

(そんな…みんなあんなに入場のとき励ましてくれたのに…)

スタミナ切れ、蓄積されたダメージ、そして支えのファンを失った麗子。完全に孤立した麗子に形勢逆転する力は無かった。

「勝ったわね。菊池、覚悟しなさい!!みんないくよ、桜葉スペシャルコンボ!」

立ち上がらせると必殺技を宣言するあつこ。あつこコールに乗ってまずはハイキック。麗子は避けられずダウン、さらに麗子をコーナーへ座らせると雪崩式のブレーンバスターで脳天を打ち付ける。麗子は頭を押さえて転がるも声すら出せなかった。

「これで終わり!ギブアップしな!」

うつ伏せで転がる麗子に跨るとキャメルクラッチをかけるあつこ。場内はあつこコールの大歓声が響く。

「うわぁぁぁぁぁっ!!!!いやぁぁっ!!」

キャメルクラッチが決まると絶叫する麗子。

(負けたくない…私は女王よ…ファンの他にベルトまで奪われたくない!)

「残念ね…もう一段回あるの…よっ!!!」

「ぎゃぁぁっ!」

あつこは必死に耐える麗子に絶望を与えるように耳元で囁くとさらに角度を上げて反らせる。

(まだこんなパワーがっ…負けたくない、負けたくない…嫌っ…ベルトが…)

それでも少しの間耐えた麗子だったが高角度のキャメルクラッチをキープされてしまっては限界だった。

(ダメだ…これが地下プロレス…相手が皆強い…みくびってたもうダメ!)

バンバンバンバン!!!!

キャメルクラッチに耐えられずマットを叩いてタップしてしまった麗子。この瞬間キャットファイト女王の座から陥落となった。

7分30秒、菊池麗子ギブアップにより勝者!桜葉あつこ!!!

キャットファイト女王対総合格闘家の注目の一戦は麗子の弱点につけ込んだあつこの圧勝。麗子に何もさせないパーフェクトな勝利だった。
一方完敗の麗子。ファンにも見放されベルトを失い転落の一途をたどってしまった。
「規定により菊池麗子のベルトは剥奪となります。そしてキャットファイト女王ではなく地下レスラーとしての試合に参加となります。」

「どういうこと!?」

「デビュー戦、2戦目はオープン参加という形で行われました。2戦の試合内容、結果を判断し菊池選手のランクを決定。菊池選手は現在Dランク。最下位ランクとなります。」
「最下位…そんな…」
「最下位ランクのレスラーは試合相手を選ぶことはできません。主に上位ランカーからの指名で試合決定となります。」
「上位って…勝ち目無いじゃない…」
「指名は拒否できません。また指名されないと戦うこともできませんのでトレーニングで自信を付けて上位ランカーに売り込むことが試合の近道です。」

地下プロレス最下位ランクの麗子。強者達に勝ち這い上がることはできるのか?

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