「もうあそこはいいです!」事務所でマネージャーに言い切るのはアクションタレントもこなしたことがあった左藤珠緒だった。
珠緒のスピードとテクニックは地下リングでも充分に通用するレベルであった。
珠緒はレギュラー司会を努めるなど売れ行きも悪くはなかった。珠緒は地下リングで痛い思いをする必要はないと思っていた。
「しかしなあ・・」事務所の社長から珠緒を地下リングに出場させるよう言い渡されたマネージャーは困り果てていた。
そこへ社長が直々にやってきた。
「珠緒は地下リングに出ろ。嫌なら、ここをやめるんだな」一方的な通告であったが、今の地位をなくしたくない珠緒は断ることができなかった。
『赤コーナー、T156B83W57H84〜、左藤〜珠緒〜』出場するからには負けないことを誓って白いビキニを着た珠緒がコールされた。
『青コーナー、T153B83W58H83〜、渋谷系ギャルファイトからの出場〜、香崎〜えみ〜』表のキャットファイターである拳法着姿のえみがコールされた。
「な〜に?地下リングだって着てみればこんな素人のおばさんとするわけ?」えみが珠緒を見て口を開いた。
「おばさんですって?」みえより年上ではあるもののまだおばさん呼ばわりされる歳でもない珠緒。
「そんなたるんだ身体でよくやろうと思うわ」呆れるえみ。
「たるんでなんかないっ!」
「その垂れ下がったおっぱいが言ってるよ。おばさんのくせにビキニなんか着て、頭おかしいんじゃないの?」
「なによっ!あんたこそ、地下リングでそんなもの着て卑怯よっ!」
「別に下に着ているから脱いだっていいけどさ。ま、悔しかったら脱がせてみなよ」
「にくったらしいっ!」珠緒から仕掛けていった。スピードも”タレント”の中では申し分ないものであった。
「せいやっ!」珠緒が飛び込んでくるタイミングに合わせてみえも動く。
バキイイイっ「ぎゃうっ」みえのハイキックが珠緒の顔を捉えるとヨロヨロと後ずさりする珠緒。
「とっろいわねー。やるきあるの?」
「たまたまカウンターを当てたくらいでいい気にならないでっ!」
「ふ〜ん・・たまたま・・ねえ・・」横目で珠緒を見るみえ。
「”たまたま”かどうかもう一度試してみたら?おばさん」ノーガードで珠緒に顔を差し出すようにするみえ。
「おばさんってねっ!いい加減にしてよねっ」みえの顔に殴りかかる珠緒。
バキイイイっ・・「うぎゃ・・」1回目と同じようにみえのハイキックが珠緒を襲った。
「今度は1発じゃ終わらせないけど大丈夫?おばさん」みえは繰り出した足で踏み込むと中段突きを珠緒のお腹に叩きこんでいった。
プロレススタイルを得意とする珠緒であったが、少林寺拳法、極真、柔術をこなすみえの相手ではなかった。
ズゴ・・ズブ・・「ぐえ・・がはっ・・」みえの重い突きに身体をくの字にする珠緒。
「いつまで耐えられますか?おばさん」中段突きを続けるみえ。
ズゴ・・ズブ・・「ぐ・・ぐへ・・」容赦なく襲ってくる突きに一歩づつさがった珠緒はコーナーを背にした。
「逃げ場がなくなりましたよ。おばさん」珠緒のお腹をサンドバックにするみえ。
ズゴ・・ズブ・・「うぐ・・うっ・・」珠緒は反吐しそうになったがなんとか口で止めた。
「せやっ!」みえは気合と共に珠緒のお腹に正拳突きを突き刺した。
ビチャビチャ・・「げぇぇぇ・・」珠緒は堪えきれずに反吐してしまう。
「きったないなあ。おばさん」珠緒の嘔吐物から素早く逃げるみえ。
「再開する前に口のまわりについているその汚いのどうにかして下さいね。げろおばさん」珠緒を指差すみえ。
「さっきから、おばさん、おばさんって生意気っ!」腕で口を拭った珠緒がタックルを極めに行った。
「ちゃんと拭いてから来てって言ったでしょ、げろおばさんっ!」くるりと一回転して玉雄のタックルをかわすと、回転の勢いを使って裏拳を珠緒の後頭部に叩きこんだみえ。
ガツン!「きゃ」ヘッドスラディングのようにして前に転ぶ珠緒。
「世話の焼けるおばさんだなあ」みえは珠緒のビキニブラの紐を解いて取り上げると珠緒の口のまわりを拭いた。
「きゃっ、なにするのよっ!」いきなりブラを取り上げられた珠緒は咄嗟に乳房を隠した。
「なにするも、自分の汚物を片付けないからですよ。げろおばさん」珠緒のブラを持って呆れたポーズを取るみえ。
「ちょっと、それ返しなさいよっ!」片手で乳房を隠して、片手を差し伸べる珠緒。
「それにしても、見事な垂れ下がり。おばさんになってもそれだけは絶対にいや」ブラをクルクルと振り回しながら話すみえ。
「おばさんだとか、垂れ下がってるだとか・・あんたはどうなのよっ!」みえの胸座を掴もうとした珠緒であったが、あっさりとかわされてしまう。
「私の見たいの?ほら」胸元を開いて自分の乳房を珠緒に見せるみえ。白いビキニに包まれたみえの乳房はおわん型で張りもあった。
「おばさんと違って垂れ下がってないでしょ」自信漫々に言うみえ。
「たいして大きくなくせに・・」珠緒は返す言葉に苦しむと適当なことを言った。
「大きくない?おばさんだって同じサイズでしょっ!なんならおばさんのも見せなさいよっ!」みえは珠緒に襲いかかった。
「きゃっ、止めてよっ!ちょっと・・」みえはあっさりと珠緒のバックを取ると後ろ手に珠緒を固めた。
『珠緒ちゃんのおっぱいだぜ』観客から珠緒の乳房に歓声があがる。
「やだっ放して、見られてる」顔を赤らめる珠緒。
「垂れて大きそうに見えるだけじゃん。垂れ乳おばさん」珠緒の乳房を四方の観客に見せるように動くみえ。
『みえちゃん〜っ!どうせならヌードにしてやれば』
「え?いいのぉ?」
『地下リングならOK』
「りょ〜かい〜」
観客と会話を交わすみえ。
「お客さんがおばさんのヌードが見たいって」みえは珠緒の腕を放すと、一気に珠緒のビキニショーツを掴んで擦り下げた。
「きゃああああっ!」ヘアも露わにされた珠緒はしゃがみこもうとするが、みえにバックから捕われてしまう。
『珠緒ちゃんってあんまり毛深くないんだなあ』
「いや・・大事なとこが見られてるう・・」珠緒の目に涙が浮かぶ。
「うんしょっ・・ご開帳〜ぉ」珠緒の膝の裏を持ち、珠緒の足を開きながら抱え上げるみえ。
「あっ。いや、やだっ・・ちょっとぉ・・』珠緒はいきなりのことに声しか上がらなかった。
『珠緒ちゃんのオマンコが全開だあ』観客の視線が珠緒の股間に集中する。
珠緒は必死に暴れるが、みえによってこどもをオシッコさせる態勢にさせられてしまう。
「お願い・・放して・・」顔を真っ赤にする珠緒。
「みんな見たあ?これからおばさんをグチャグチャにしたいんだけど〜?」みえは観客に確認すると珠緒を放り投げた。
「ったく・・重いんだから。このおばさんは・・」腕を回して体を解すみえ。
「やだ・・なにするの・・?」乳房を両手で隠しながらみえに尋ねる珠緒。
「なにって、ここってリングの上でしょう?試合を決めるんだよ。ぼけた?おばさん」みえはきょとんと答えた。
「ちょっと、私は裸よ」
「だから?」
座り込んでいる珠緒に鋭い蹴りを浴びせるみえ。
バッチーン!「きゃっ」みえの蹴りの威力で仰向けに倒れる珠緒。
「徹底的にやっていいって言われてるからね・・」みえはマウントポジションを取ると珠緒にコブを落としていった。
ガツン・・バキ・・「きゃっ・・がっ・・」みえの拳が雨のようになって珠緒の顔を襲う。
ガツン・・バキ・・「がふ・・ぎゅえ・・」珠緒の顔がみるみるうちに色を変え、腫れ上がっていく。
「や・・」ガツン・・「め・・」バキ・・「てよぉ・・」ガシュ・・。珠緒の声が弱々しくなっていく。
ガツン・・バキ・・ガシュ・・。珠緒の口から悲鳴もうめき声も上がらなくなってきた。
ガツン・・バキ・・ガシュ・・。拳が落とされるたびに身体を跳ね上げるだけの珠緒。
ガツン・・バキ・・ガシュ・・。珠緒の顔は変形し、顔を見ただけでは珠緒と判別することが難しくなってきた。
『いやあ、左藤珠緒には悪いとは思っていますがこれでみえもデビューできました』VIPルームで渋谷系ギャルファイトのプロデューサが握手を求めていた。
『いえいえ、こちらこそ。最近、珠緒も天狗だったんでいい薬になるでしょう』握手の咲いては珠緒の所属事務所の社長であった。
『みえも素人ではないので大丈夫だとは思いますが、左藤珠緒は大丈夫ですかねえ?』
『まあ、治るまでは休暇としますから大丈夫ですよ』
握手をしながら笑う二人であった。
「なんかつまんな〜い」珠緒の顔を潰し飽きると、珠緒の上からバックに回って胴締めスリーパーで極めはじめた。
すっかり顔を変えられた珠緒は抵抗することもなく、ただ自分が落ちるときを待っていた。
「もう勝負はついているでしょっ!」リングに飛び込んできたのは河村ひかるであった。
ひかるは珠緒と死闘を演じたこともあったが、いまではすっかり仲がよくなっていた。
そのひかるが珠緒を応援に来ることになっていたが、スケジュールの都合で遅れて到着したリングの上には変わり果てた姿の珠緒がいた。
「な〜に、あなた?」胸の中でぐったりとする珠緒を放し、ひかると対峙するみえ。
「な〜に・・じゃないわ。そこまでする必要があったの?」みえを睨みながら珠緒の側に行き、黒服に医務室へ運ぶよう指示をするひかる。
「そのおばさんが弱いからついね」ひかるの真剣な表情とは対照的に余裕の表情のみえ。
「おばさんって・・人を馬鹿にして楽しいの?」
「おばさんはおばさんじゃん」
「許せない・・」拳を固く握るひかる。
「もしかして、次の相手はあなたがしてくれるの?さっきのおばさんじゃつまらなくてね」うれしそうなみえ。
地下リング側は予想外のひかるの乱入に戸惑ったが、みえの状態からひかるとの対戦を行うことにした。
ひかるは試合が決まると、一度控え室に戻り地下リングが用意した水着に着替えた。
『これより特別試合を行います』
『赤コーナー、T150B83W54H77〜、河村〜ひかる〜』
『青コーナー、T153B83W58H83〜、香崎〜えみ〜』
約束のようにコールを行う場内アナウンス。
黒のビキニブラにホットパンツのひかるが手にオープンフィンガーのグローブをつけてみえを睨みつけていた。
カーン!試合が開始されるとリングの中央で対峙するみえとひかる。
「へえ・・胸はさっきのおばさんと同じぐらいだけどウエストが細いんだねぇ」珠緒より小柄のひかると対峙して既に勝ちを確信したみえ。
パシッ・・「ぶひ・・」ノーガードのみえの顔にひかるのジャブが当たった。
「いきなり、なにすんのよっ!」顔を押さえるみえ。
「とっくに試合ははじまっていんだけど」ボクシングスタイルのひかるが呟くように言った。
「どうせすぐに終わっちゃうくせに」構えを取るみえ。
パシッ・・パシッ・・「ぐ・・」ひかるのジャブがおもしろいほどにみえにヒットする。
「(こんなはずじゃあ?)」ひかるのジャブに対応しきれないみえは焦った。
ひかるは珠緒を完膚なきまで叩きのめしたみえを警戒し、ヒットアンドアウェイでジャブを繰り出していた。
パシッ・・パシッ・・。ひかるのジャブがみえの顔を捉えていく。
「なにそのパンチ。蚊が刺してるの?」
パシッ・・パシッ・・。みえの言葉を無視してジャブを繰り出すひかる。
「そんなパンチ効かないって言っているでしょうっ!」
「ああんっもうっ!うざったいっ!」
威力のないジャブに苛立ったみえがグラウンドに持ち込もうとタックルを仕掛けるが、ひかるに軽くかわされて前のめりに転んでしまう。
みえがひかるを捕まえるには二人の距離が遠すぎたのであった。
「なに一人で踊ってるの?」四つん這いのみえの頭を足の裏で蹴るひかる。
「(こんなはずじゃあ・・)」ひかるにペースを握られたみえも真剣になった。
みえは仰向けになりひかるをグラウンドに誘うとする。
ひかるも簡単には攻撃しなかった。柔術の得意とする誘い方だとわかっていたのである。
「どうしたの?攻めてこないの?」みえはひかるを誘う。
「そうね・・このままじゃ、埒が明かないもんね」ひかるはポーンと飛ぶとみえの上に着地した。
「ぐえ・・」思いもよらない攻撃に対処しきれなかったみえはお腹を押さえてうずくまる。
バシッ・・バシッ・・。うずくまるみえにストンピングを落とすひかる。
「くっ・・」ひかるのストンピングを受けながらもひかるの足に抱きつくみえ。
「きゃっ」足を刈られたようにして倒れるひかる。
「捕まえたっ!」みえはひかるからマウントポジションを取ろうとしたが、ひかるはみえのウエストに足で挟んで防御した。
「そんなことで私から逃れられるとでも思ってるの?」ひかるのお腹に拳を落とすみえ。
「ぐはっ・・ぐえ・・。このっ!」ひかるは足に力を入れてみえのお腹を締め上げた。
「ぐぅぅぅ・・」苦悶の表情を浮かべるみえ。みえはひかるの膝に肘を当てつけていった。
「あうっ!」膝に激痛が走りボディシザースを緩めたひかるであったが、腹筋を使って状態を起こすとみえの顔にパンチを叩きこんだ。
グチャ・・「ぎゃふ・・」みえは一瞬顎を上げた後、身体をひかるに密着させた。
「ホントに細いウエスト・・」54センチのひかるのウエストに腕を回してベアハッグで締めつけた。
「あぐう・・」苦痛に歪むひかるの表情。
「このまま背骨でも折ろうかっ」ひかるの身体を撓らせるようにして締め上げていくみえ。
「うぐぅぅぅ・・。こ、このぉ・・」みえの顎に手を掛け、剥がそうとするひかる。
「そりゃああっ!」みえはひかるを抱きしめたまま立ち上がった。
「ああんっ・・背骨があ・・」みえのベアハッグに苦しむひかる。
バッシーン!みえはベアハッグの状態からひかるをリングに叩きつけた。
「くはっ」ひかるは受身が取れずに背中と後頭部をリングに打ちつけてしまう。
「さっきのおばさんと同じようになるのねっ!」ひかるの上に飛び乗り、マウントポジションを取ったみえ。
「なめるなあっ!」殴られる前に、みえの拳法着の襟を掴みみえのバランスを崩すひかる。「ちっ」みえは舌打ちしたたと、襟を掴むかひかるの腕を取り腕ひしぎの態勢になった。
「ぎゃああああっ!」腕を極められ、足をばたつかせ藻掻くひかる。
「この腕貰ったあっ!・・ぎゃっ・・」ひかるの腕を折るつもりで極めようとしたみえであったが、突き放すようにしてひかるから離れた。
「足を噛むなんて卑怯者っ!」
「ペッ・・ふん、噛まれたくらいで技を解くなんてね」
二人がほぼ同時に立ち上がる。
「ぶっ殺してやる!」
「その言葉、そっくり返してやるわ」
みえの繰り出した正拳突きをかわし、カウンターでストレートを叩きこむひかる。
バキっ・・「くはっ・・」よろめくみえ。
「覚悟しなっ!」チャンスと思ったひかるは一気にラッシュをかけていく。
バシュ・・ボシュ・・「あぐ・・ぐはっ・・」少林寺拳法や極真の受けではひかるのボクシングテクニックをかわしきれずに顔やボディにパンチを食らっていくみえ。
「ぐ・・」ひかるの体重が軽いこととみえの鍛えられてきた身体のため、大きなダメージにはならなかった。
「所詮、アイドル・・」みえはパンチを食らいながらもひかるの水着に手を伸ばして掴んだ。
「きゃあああっ・・とでも言うと思ったの?」がら空きとなったみえの顎にストレートを打ち込むひかる。
グシャー「ぎゃう・・」顎をあげたみえであったが、踏ん張って倒れなかった。
「がは・・あんたのパンチなんか蚊に刺された程度だっていったでしょ」ボタボタと鼻血を垂らしながら凄むみえ。
「なら、もうひとつっ」
「調子に乗るなあっ!」ひかるのビキニを胸座を掴むようにしてひかるの身体を引き寄せると膝でお腹を蹴り上げたみえ。
ズボォ・・「ぐえ・・」
「苦しい?苦しいよねえ」両手でひかるのビキニを掴んで持ち上げるみえ。ひかるの乳房がみえの目の前に露わになった。
ズボォォォ・・「うっ・・」ひかるを引きずり込むようにして勢いをつけてからひかるのお腹を膝で蹴り上げるみえ。
「さっきのおばさんみたいにこんなとこでゲロ吐かないでよね」みえの膝の上でぐったりとするひかるのビキニを持ち上げ顔を上げさせるみえ。
「パンチってのはこうするんだよっ!」ビキニを掴んだままひかるを殴りはじめるみえ。
ガツン・・バキ・・「あう・・あんっ・・」ひかるの顔が左右に振られる。
ひかるの乳房が小刻みに揺れ動く。
ガツン・・バキ・・「きゃっ・・あんっ・・」ひかるは口の中を切り、口元から血を流す。
グシャ・・グシャ・・グシャ・・。パンチグボールのようにひかるの顔を殴るみえ。
「うう〜ん・・」ひかるは顎をあげてぐったりする。
「さっきのおばさんより手応えはあったけどまだまだだね」ひかるをコーナーに立たせるとビキニを放すみえが距離を取る。
「そりゃっ!」コーナーに立ちすくむひかるの脳天にみえの踵が落とされた。
ガツン・・「がは・・」ひかるはコーナーで崩れるようにして膝を開いて座り込んだ。
「大事なところが丸見えなんだよっ!」ホットパンツだけで守られているひかるの股間につま先蹴りを打ちこむみえ。
バッシーン・・「ひいっ」股間を押さえてうずくまるひかる。
「あんたから売った喧嘩だよ。こんなんで許されるとは思わないことね」髪を掴んでひかるの顔をあげるみえ。
「女の子の大事なとこまでえっ!」ひかるは股間の激痛に耐えながら膝を突いたままみえの腰に抱きついた。
「死に損ないがしつこいんだよっ!」ひかるを引き剥がそうとするみえ。
「あんたも女の子なんでしょっ」ひかるはみえの拳法着を擦り降ろす。
観客はみえの股間に期待したが、白いビキニショーツだとわかるとがっかりした。
「残念ね。ちゃんと穿いているのよっ」
「さいしょっからあんたをヌードにするつもりなんかない」
拳法着は伸びない素材であったため、膝まで下ろされて足の自由が奪われていたのだった。
「あっ」バランスを崩したみえは尻餅をついた。
「ちょっと待って」慌てて拳法着を脱ぎ、立ち上がるみえ。
「待つわけないでしょう!格好つけてそんなもの着てる方が悪い!」ひかるは掴みやすいえみの拳法着に手を伸ばした。
「きゃっ」拳法着を掴むと同時にひかるは小さく悲鳴をあげ、土下座をするように膝をついた。
「ホント甘い人」小手返しでひかるを押さえこんだえみは、ひかるの手を固めはじめた。
「いたいいっ!」手首を極められ動きできないひかる。えみはひかるをリングに伏せさせようと手首を固めていくが、ひかるは涙を浮かべながら耐える。
「いつまでがんばれる?」体重をかけていくえみ。必死で耐えるひかる。
「その、勝ち誇った顔が気に食わないのっ!」ひかるは極められている痛みを振り払うように声をあげると、渾身の力でえみの股間にアッパーを叩きこんだ。
ゴキ・・(ポキ・・)「ぎゃう・・」渋谷系ギャルファイトでも経験したことのない痛さにひかるの手を放し内股で股間を押さえるみえ。
「ああ・・なんてことを・・」身体を振るわせているえみ。
「どんなに鍛えようとも、そこだけは無理だったみたいね」みえの股間を襲ったひかるの手があっというまに色を変えて腫れ上がっていく。
ひかるは自分の拳を引き換えにえみの動きを止めたのである。
「卑怯なことしかできなの・・」足をガクガクと大きく振るわせるみえ。
「卑怯でもなんでも好きなだけ言ってなっ!」股間を押さえる手の上から再びみえの股間を蹴るひかる。
バッシーン「あんっ」前かがみになるみえ。
「あんたがボコボコになるまで許さないないからっ!」えみの拳法着を掴んでぐるぐると回しはじめるひかる。拳法着がめくり上がり前かがみのまま回されるみえ。
スル・・「きゃっ」拳法着が脱げると遠心力で飛ばされるみえ。
白いビキニに黒い帯びという姿が観客の目には新鮮に映っていた。
「なんてメチャクチャなことするのっ!」尻餅をついた姿勢のえみ。
「これ、返すわ」バサっとえみの顔を覆うように拳法着を投げるひかる。
「あっ・・」自分の拳法着でひかるを見失うえみ。
「どこに当たるかわからないけどね」拳法着を被ったえみの頭にストンピングを落としていくひかる。
ドガ・・ドガ・・「ぎゃ・・あが・・」さすがのえみも相手の攻撃が見えないため防御さえもできないでいた。
カンカンカンカン!試合終了のゴングがならされた。
「えっ!?なんでよっ!まだ終わってないでしょう!」いきなりのゴングに疑問を持ち、怒り出すひかる。
『ただいまの試合、河村ひかる選手の反則として香崎えみ選手の勝ちとします』
「なっ・・なんでっ!」ひかるの理解を超えた判定に不満をぶつけるひかる。
観客もひかると同じであった。
「あんたの負けなのよっ!卑怯者っ!」頭から拳法着を取ったえみがひかるを突き飛ばしてからリングを降りていった。
「ちょっと待ちなさいよっ!まだ勝負はついてないでしょっ!」えみの後を追うひかるであったが、黒服に捕らえられてしまう。
数分後、落ちつきを取り戻したひかるは自分の乳房が露わになっていることに改めて気付くと、顔を赤くしてビキニを着なおしてからリングを後にした。
地下リングでは別の大きな力が働き出していた。

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