第3話

『君も頑張れば、それ位の額の借金だったら返済できるだろう・・・ただし・・・』

控え室で黒服が呟く。その相手は、あの木内奈々の友人であり、多額の借金から返済の為、結局連れてこられた奥田恵美だった。ただしと言う言葉に、内心は驚いていたが、風俗ではなく性的な身体を売る事ではないと言われ、少し安心する恵美。
しかし、その後の言葉に驚きを隠せなかった。

『君にやってもらうのは、プロレスみたいなショーで、1試合あたりのファイトマネーも大きいから・・・』

目の前に出される契約書。細かい字に勢いでサインすると、黒服の男は笑みを浮かべて控え室を去った。
そして恵美を部屋へ案内していった・・・。

〜数日後〜

恵美の試合が決まって、恵美はリングに立つことになっていった。
リングコスチュームが数点用意されたが、結局は白いビキニが手渡させれたのだった。

「ビ、ビキニ・・・・こんな水着で人前に・・・・」

恵美はまだ、この時はプロレスと言っても、水着姿で適当にやってファイトマネーが貰えるものと勘違いしていた。

『それじゃあ時間だ・・・』

そして恵美がリングに向かわされると、そこには薄暗い会場内の中央に、リングだけが明るく照らされていた。
無理矢理に近い形だがリングインさせられると、コーナーに寄りかかって相手を待った。

『今夜の挑戦者は、身長が158p、上から89、60、87の奥田恵美っ!』

突然コールされると、恵美が驚く中でリングの周りからは大歓声が起きていく。
その恵美を更に驚かせたのが、対戦相手だった。

「う、うそっ・・・お、男の人とプロレス・・・・」

そう、反対コーナーに姿を現したのは、覆面をした身長が185位で、筋肉が盛り上がったボディビルダーみたいな男だった。
早くも反対コーナーでボディビルのポージングを取ったりして恵美を威嚇していた。

『カァーン』

恵美が驚いているうちに、ゴングが鳴らされていく。
同時に、奈々のいる部屋のテレビ画面にこの試合の模様が流されていった・・・。

「試合っ・・・・誰だろう・・・・えっ・・・め、恵美っ!?」

部屋では奈々が驚いているが、リング上では地獄の時間が始まろうとしていた。
覆面男が少しずつ恵美との距離を詰めるが、いきなり走り込むとロープで助走をつけていく。恵美に襲いかかる訳でもなく、まるで威嚇しているようにも見えていた。
恵美も素人ながら構えると、覆面男は飛びかかる振りをして、目の前で止まっては挑発していた。
その様子に観客達から笑い声も飛び出すと、恵美が蹴りを出していく。

バシッ・・・
「おうっ・・・・」

覆面男が変な声をあげてフラフラしていく。同時に、恵美は効いたのかと思い、更に蹴りこんでいく。

バシッ・・・バシッ・・・
ビキニに包んだ胸を揺らしながら攻め込む恵美。覆面男が膝をついて苦しむ素振りを見せていた。
しかし恵美もプロレス技など練習した事もなく、テレビで見たプロレスなどの見よう見まねだったので、覆面男の覆面を掴んで倒すと、馬乗り状態になっていった。

パシッ・・・パシッ・・・・
「このっ・・・このっ・・・」

必死に覆面男の顔面に張り手を叩き込んでいく恵美。
叩き込まれるたびに、覆面男が両足をバタバタさせて苦しんでいるように動いた。
しかし、覆面男が突然動きを止めると、強烈なブリッジで恵美を跳ね飛ばした。

「いやあぁぁぁぁ・・・・・」

いきなり飛ばされてリングに転げる恵美。その横では、覆面男が立ち上がってから、恵美の髪を掴んでから起こすと、そのままロープへ押しつけていく。

グイッ・・・・
「なっ・・何するのよ・・・」

恵美が叫ぶ。しかし、覆面男は拳を握りしめると、恵美の生腹目掛けてパンチを叩き込んでいった。

バシッ・・バシッ・・・
「うげっ・・・うううっ・・・・ほ、本当に殴るなんて・・・・」

容赦ないお腹へのパンチ攻撃に、このプロレスはヤラセではないと悟る恵美。当然だが観客達が盛り上がっていく。
恵美が両手でお腹を押さえ込もうとすると、覆面男は恵美の両腕をロープに絡めていって、無防備なお腹へパンチを叩き込んでいった。

バシッ・・バシッ・・・バシッ・・・
「痛いっ・・・ああっ・・・・ぐぶっ・・・・」

リングコスチュームがビキニの為、白いお腹が少しずつ変色していく。恵美も口から涎を垂れ流す程だった。
しばらく殴っていると、覆面男はアピールするように恵美をロープから放すと、今度はボディリフトで持ち上げていく。

「や、やめて・・・・」

高々と持ち上げられて、恵美が怯えているが、覆面男はロープ近くに歩き出すと、一気に俯せ状態の恵美を落としていく。
ただ、その落とす時に恵美の喉元がトップーロープに当たるように・・・。

バシィィィィ・・・
「んあぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・ああああっ・・・・・・」

喉元にロープを当てられ、そしてリングに叩き付けられた恵美。そのまま喉元を押さえ込むと、ジタバタ藻掻き苦しみながらリング下に転がり落ちていく。
そのリング下に落ちた恵美が仰向けになると、覆面男がアピールしてから、エプロンサイドからの強烈なフットスタンプを叩き込む。

グシュ・・・
「ぐっ・・・オエェェェェェェェ・・・・・・」

完全に油断していた恵美の柔らかいお腹へ、強烈な圧力が加わる事によって、恵美の内臓が圧迫されて同時に、口から激しく反吐が噴き上がっていく。
身体をヒクヒクさせるようにして、お腹を押さえて苦しむ恵美。すると、リングサイドの黒服がペットボトルで水をかけたりして、吐き出した反吐を処理していく。同時に、恵美にペットボトルが差し出されると、口などうがいをさせられていた。
覆面男はしばらくガッツポーズを作ったりしていると、恵美をリング上に無理矢理に上げていく。

「ううっ・・・く、苦しいっ・・・・」

お腹を押さえて苦しむ恵美。初めて受ける、それもエプロンサイドからの強烈なフットスタンプは、確実に恵美の身体にダメージを与えていた。
リングに上げても恵美が立ち上がらないからと、覆面男は髪を掴んで起こしていくと、そのままロープに押しつけていくと、両腕をロープに絡ませていった。

「もっ・・もう・・・ゆ、許して・・・・ください・・・・」

口から涎を垂れ流しながら覆面男に哀願する恵美。
しかし覆面男は、拳を握りしめると一気に恵美のお腹へパンチを叩き込んでいった。

バシッ・・・バシッ・・・ボシュ・・・
「あうっ・・・いやあぁぁぁぁ・・・・・痛いぃぃぃ・・・・・オエッ・・・・・うげっ・・・・ああん・・・・・」

まるでサンドバック状態で殴られていく恵美。あまりの苦しさに藻掻き苦しむように足を出していく恵美。
すると・・・

バシッ・・・・
『うっ・・・ううううっ・・・・』

一言も漏らさない覆面男が呻き声をあげて座り込む。そう、恵美の膝が偶然にも覆面男の股間を直撃したのだった。
恵美のこの展開に驚いていたが、身体を揺らして腕をロープから外すと、何と覆面男の背中に蹴りを入れていった。

バシッ・・・バシッ・・・
「わ、私だって・・・・お返しよっ・・・」

しかし、この少しの反撃が更なる悲劇を呼ぶことになっていった・・・。
覆面男が蹴られながらも立ち上がると、恵美も懸命にパンチなどで抵抗していく。もう痛めつけられるならと思ったのか、恵美の必死の反撃に観客達から失笑も漏れていた。

『覚悟しろよ・・・クソ女っ・・・』

覆面男が初めて口を開く。すると、パンチを放つ恵美の喉元に地獄突きを叩き込むと、続けてコーナーに押し込んでいく。

「こほっ・・こほっ・・・」

喉元を押さえる恵美に、更にダウンする所で顔面を踏み付けていく覆面男。
容赦ない責めに対して、恵美の目には涙が浮かんでいた。
コーナーでグッタリする恵美に、覆面男はいったんリング下に降りると、何かを手にして戻ってきた。

「なっ・・・何するの・・・やめて・・・・」

そう、恵美が怯えるのも無理はない。実際のプロレス団体で使用されているのと同じ、有刺鉄線竹刀が握られていた。
覆面男は竹刀を振り回しながらリングに上がると、まずは竹刀を置いてから、恵美をコーナーに貼り付けにしていく。
両腕をロープに絡ませて、両脚もM字開脚のようにセカンドロープに掛けていくと、完全に動けなくしていった。
この光景に観客席が一気に盛り上がっていく。このリング上で初めて使用される凶器が、あまりに残酷な有刺鉄線竹刀。

グサッ・・・
「うぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」

そして恵美が激しく悲鳴をあげていく。そう、覆面男がビキニに包まれた乳房に有刺鉄線竹刀を押しつけていったのだった。
水平状態で押しつけて、一気に両胸が傷つけられていくと、白いビキニに赤い斑点が浮かび上がる。
布地を突き抜けて、恵美の白い乳房を有刺鉄線の棘が傷つけると、その傷口から血が滲み出てきたのだった。
更に押しつけていく覆面男。

「痛いぃぃぃぃぃぃ・・・・やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・お願いぃぃぃぃぃ・・・・ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ・・・・」

逃げることもできずに、恵美はただ絶叫して泣き叫ぶだけだった。

グイッ・・・
「あああっ・・・・」

更にビキニブラジャーを剥ぎ取っていく覆面男。ビキニが剥ぎ取られると、傷つけられた乳房が露わになっていく。
その乳房に対して、一気に覆面男の激しいパンチ攻撃が炸裂していく。

グニュ・・・グシュ・・・グニュ・・・
「ああんっ・・・んあっ・・・はあんっ・・・・」

傷つけられた乳房が、殴られる度に上下左右に激しく揺れていく。89pの大きな胸が余計に痛々しく観客には見えていた。
しばらく胸を殴られ続けると、もう恵美は激痛にグッタリして俯いていた。

グイッ・・・
「あうっ・・・・」

その俯く恵美の髪を掴むと、覆面男が観客の方を向かせていく。
すると、またも有刺鉄線竹刀を握りしめると、片手で髪を掴みながら、片手では竹刀を掴んで脳天に擦り付けていく。

グサグサッ・・・
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」

またも恵美の絶叫する声が響き渡る。
同時に恵美の脳天から赤い筋が何本が落ちて、そして恵美の顔面を赤く染めていく。

『カンカンカンカン・・・』
このあまりに残酷な試合展開に、急遽ゴングが鳴らされていった・・・・。
そう、実は有刺鉄線竹刀はまだ使う予定ではなく、今夜登場の覆面男が急所攻撃に怒って、流れで使ってしまったものだった。
黒服などが急いで覆面男をリングから降ろしていくと、同時に恵美もロープから解放されると、急いで医務室に運ばれるのであった。
同時に、この試合の模様を見ていた奈々は言葉を失った・・・。

「プ、プロレス・・・それも女性の大事な・・・胸にあんな事を・・・・」

その言葉に、黒服の1人が奈々の横に立つと呟いた。

『ふふふっ・・・驚いた様子だな・・・。実は、この凶器は今夜使われるはずじゃあ無かったんだ。売れないタレントやAV女優にお仕置きの意味などで使う予定だったのに・・・・君の友人か、あの女っ・・・。可哀相になっ・・・。でも擦り付けなかったから大した怪我にはならなかったろう・・・』

そう言い残すと、黒服は姿を消した。

そしてその夜、恵美は治療を受けてから黒服に問いかけた・・・。

「・・・・こんな責めを受けて・・・私、今夜の給料は・・・・」

その言葉に、黒服は黙ってファイトマネーの明細を差し出した。

「・・・・出演料・・・50万円・・・・治療費・・・45万円・・・えっ・・これじゃあ今夜の手取りは・・・5万円・・・」

しかし黒服は黙って去ると、恵美はあまりのショックに病室のベッドで涙を流すのであった。
既に、恵美が借りた金融会社には組織から手が回り、借金の額は1000万円に手が届く勢いだった。当然、恵美は地獄の試合に出される事になるだろう・・・・。

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