『これより第1試合を始めます。
青コーナー・・・芝咲コウ〜!』
アナウンスを受けたコウはコーナーに寄りかかって景子を睨み付ける。
『赤コーナー・・・北河景子〜!』
赤コーナーの景子もコウのことを睨み付け視線を一切そらさない。
『両者、前へ!!』
互いに目線を逸らさないまま先に景子が口を開いた。
「先輩はもう若くないんだから無理しないでくださいね」
赤いビキニを着た景子は早くもコウを挑発していく。
「挑発ってのは弱い子のする事よ。覚えておきなさい。」
対して黒いビキニを着たコウは余裕そうに笑みを浮かべている。
「絶対に負けないから!」
コウの言葉にイラっときた景子は闘志をむき出しにしていく。
事務所の先輩、後輩の関係の2人は互いに絶対負けたくないという気持ちで、身長は2人揃って160cmと体格はまったくの五分である。

『カーンッ!』
ゴングが鳴ると先ほどとは違い、お互い冷静に様子を見ながら前に出だした。
コウが右手を伸ばして力比べを誘うと景子はそれに応じて左手を伸ばす。
「くっ・・・」
「どうしたのこの程度で?」
力はコウの方が上で景子の膝が地面についてしまう。
「力が強いからって勝った気にならないで」
「そう。じゃあこれはどう?」
強気な発言を続ける景子に対してコウはガラ空きの左脇腹を蹴る。
バシッ!
「あう・・」
景子の左手を押さえてるため蹴り続けるコウ。
「あ・・あぁ・・」
景子は苦しみながらも右手でコウの足をキャッチし、左足を払ってコウを倒す。
「きゃっ」
完全に油断していたコウは何の抵抗も出来ずに倒れてしまい、その拍子で掴んでいた景子の手を放す。
「さっきの痛かったんだからね。同じ目にあわせてあげる」
景子はコウの足を持ったまま立ち上がり左手に持ち替え、コウの左太ももを何発も蹴る。バシッ!バシッ!
「あう・・痛い!あんっ!」
「こんなんじゃ済まさないからね!」
蹴るのをやめた景子はコウの右足にヒールホールドをかける。
「きゃぁぁぁ」
足をガッチリ決められたコウは何度をマットをたたき苦痛にもだえる
「痛いでしょ?さっさとギブしちゃいなよ」
言葉で責め続ける景子に対してコウは苦しみながら
「ノッ…ノー!絶対にギブしない」
「仕方ないわね…」
コウがなかなかギブしないからと景子は技を解き、ストンピングを放った後に馬乗りになってビンタを見舞う
ビシッ!バシッ!ビシッ!
「うっ‥いや…」
「ほら、抵抗できないでしょ?さっさとギブしなさいよ」
バシーン!
「うぅ…」
景子のビンタの勢いも強くなってきてコウがギブするのも時間の問題かと思われた瞬間、コウは景子のビキニに手を掛ける
「ちょっと、何してんの?」
取られまいとビキニを手で押さえる景子。
その一瞬を見逃さず体をひねって景子のバランスを崩し脱出して立ち上がるコウ。
「武器の使用以外は何でもありのはずよ。油断したあなたが悪いのよ」
景子がずれたビキニを直している間にコウはボディへのフックやローキックなど打撃でラッシュをかける。
「痛っ!うぐ…あぁ…」
「さっきまでの威勢はどうしたの?」
ガードしながら後ろにさがる景子をコーナーまで追い詰めてもコウは打撃をやめず景子をサンドバック状態にしていく。
「とどめよ!」
勝利を確信したコウは右ストレートを景子の顔面めがけて思いっきり打つ
バキィィィ!
誰もがコウの勝利を確信していたが、リングに倒れていたのはコウだった。
なんと景子がコウのストレートに合わせてカウンターのフックを放ち、それが見事に決まったのである。
大の字になって半失神状態で天井を見つめるコウ。
景子はチャンスとばかりにコウの両足を掴んで引っくり返し逆エビ固めをかける。
「きゃぁぁぁ!!」
コウに反撃する力はなく、ただマットを叩いて叫ぶことしか出来ない
「もう限界でしょ?ギブしちゃえば楽になれるよ」
「ノ‥ノー!」
「ふーん。頑張るじゃない。じゃあ、もっとキツくしてあげる」
景子は深く腰を落としコウをCの字になるようにする
「いやぁぁぁ!!ギ、ギブ…」
「え、何?聞こえないんだけど。」
力なくギブと口にするコウが気に入らず、わざと聞こえないふりをして痛め続ける景子。「ギブアップー!!もうやめてー!!!!!」
『カンカンカンカン!!』
泣きながら叫んだコウの声とゴングの音を聞いて景子は技を解く。
うつ伏せで泣いているコウを踏みつけながら右手をレフェリーに上げられ非常に満足げな様子。
『勝者、北河景子!!』
高々と手を上げられた景子は泣き続けるコウの脇腹を蹴ってリングを後にし、第2試合の【荒垣結衣vs上都彩】の勝者との戦いに備えるのであった。

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