『タプレンジャーvs.朝娘。−2』
 
「よっすぃー、行くぞ」
「OK、待ってました!」
指名されたのは芳澤 ひとみであった。
裕子はここで大きな賭けに出た。
今回のメンバーではエースとも言えるひとみをここで起用したのである。
ひとみは石皮 梨華や籠 亜依,辻野 希美と同期の所謂4期メンバーである。
ヒットを連発し人気者となっていたグループへの参加であったが、彼女達4人の際立った個性はグループを
更に飛躍させる大きな起爆剤となったのであった。
ひとみ自身はオーディションではむしろ美少女振りを買われていたのだが、その明るく大らかな性格と頭の
回転の早さはバラエティ向きで、いつしかバラエティ班のエースとなり、グループのムードメーカー的な
存在ともなっていた。
また、163cmと歴代でも圭織に次ぐ長身であり、リングで闘うためにアイドルとは思えぬ位までウェイトアップ
するという根性も持ち合わせており、地下リングでも過去数試合闘って戦績も悪くなかった。
現在はリングに上がる事が無くなった事で若干ウェイトを落としてはいたが、ファイトが出来なくなった事を
最も、或いは唯一残念がっていたメンバーでもあった。
裕子も対戦相手が初登場の桜怜や乃南であれば、ひとみには充分に勝機が有ると見ていた。
ここで、ひとみが一勝すれば朝娘。側に流れが傾く事は充分に考えられたが、反面、彼女がここで負ければ
雪崩をうっての10連敗も有り得るだけに、大きな賭けと言わざるを得なかった。
「よっすぃー、頑張って!」
「よしこちゃん、お願いね!」
メンバーの声援に、
「任しとけって。」
と、手を振ってリングに上がるひとみ。
鮮やかなオレンジ色の水着に身を包んだひとみは、リング上でも周囲の観客に手を振ってアピールし、
朝娘。への更なる声援を煽っていた。
むしろ対する乃南の方に初登場の緊張感と、ひとみに対する声援の大きさによる動揺が感じられた。
同い年の二人で有ったが、芸能界,リング双方でのキャリアの長さと経験の差からか、ひとみの方に明らかに
余裕が有った。
「のなみん、落ち着いて。練習通りやれば、勝てるから。」
その雰囲気を感じた早織が乃南に声を掛けるが、乃南には聞こえていない様であった。
 
「第三試合、多喜沢 乃南対芳澤 ひとみを行ないます。」
 "カーン"
ゴングと共にリング中央でガッチリと組合う二人。
ひとみの163cmに対し、乃南は155cmと一回り小柄ではあるが、横幅では若干ダイエットしたとは言え流石に
上回っていた。
上から体重を掛け、押し込もうとするひとみであったが、乃南も一歩も引かない。
逆に下から押上げる形でひとみの重心を浮かせると、コーナーへ押込む。
 "ドーン!"
ひとみの背中がコーナーポストに叩き付けられた。
 "パシーーン!"
乃南の水平チョップがひとみの胸元に炸裂する。
 "バーン!"  
しかし、ひとみも怯むことなく、袈裟切り気味のチョップを返す。
この一撃でバランスを崩す乃南。
それを見たひとみは膝蹴りを乃南のボディに入れ、ダウンさせる。
ダウンした乃南に襲い掛かろうとしたひとみであったが、さほどのダメージを受けていない乃南は素早く
立上がり、態勢を整える。
一旦睨み合った両者は今度は手四つの態勢となる。
お互いのパワーを確かめ合う形となったが、流石にパワーでは乃南が上回った。
この態勢は不利と見たひとみは、トーキックを乃南のボディに打込む。
「グッ!」
この一撃で乃南の手から力が抜けたが、ひとみはその手を離さず更にキックを連発する。
手を離したひとみはロープへ飛び、立ち膝状態となった乃南の顔面にケンカキックを叩き込む。
この一撃にはたまらず、もんどりうって倒れる乃南。
ひとみは片手を上げて、観客にアピールする。湧き上がる大喚声と「よっすぃー」コール。
そのコールの中、更なる攻撃を加えようと乃南を引きずり起こしたひとみであったが、立上がった乃南も
ひとみのボディにパンチを叩き込む。
この一撃に身体をくの字に折ったひとみに対し、乃南は膝蹴りをボディに一発いれると、ひとみの首を持ち、
ネックブリーカードロップでリングに叩き付ける。
ここまでの攻防で、乃南の緊張も解けた様であった。
乃南はひとみの上に乗ると、アームロックを狙う。
そうはさせまいと暴れまくるひとみに、乃南はアームロックを諦め顔面へのパンチを狙うが、これもひとみが
上手くガードする。
攻め手が無くなった乃南は立上がると、ひとみを引きずり起こしコーナーへ叩き付ける。
 "ドーン!"
コーナーで尻餅をついた形のひとみに、乃南がヒッププッシュを狙って後ろ向きに飛込む。、
 "ドカーーン!"
しかし、寸前ひとみが避けた為、乃南のヒップはコーナーを直撃することとなった。
「あ、イタッ!」
今度は乃南がコーナーで尻餅をついた形となった。
その胸元にキックを連発するひとみ。更に喉元を踏み付けるとロープも上手く使って、体重を掛ける。
この辺のテクニックには流石にリング経験を感じさせた。
レフリーのロープブレイクまで踏み付けたひとみは、乃南を起こすとロープに両手を掛け固定した。
丁度、前の試合で真里がやられた態勢である。
 "バシーン,バシーン!”"
無防備となった乃南の胸元に水平チョップを連発するひとみ。
更にボディにミドルキックを入れたひとみは、乃南を固定したコーナーポストへと上る。
ポスト最上段に上がったひとみは乃南の髪の毛を掴むと、後頭部に膝を押し当てた。
手を上げて観客にアピールしたひとみは、そのまま膝に体重を掛け、勢い良く前へ倒れ込んだ。
それにより、ひとみの体重毎乃南の顔面がリングに叩き付けられた。
大技、カーフ・ブランディングである。
ダウンした乃南に素早く覆い被さるひとみ。
レフリーのカウントが入る。
「ワン・ツー・ス…」
スリー直前に乃南の肩が上がった。
悔しがるひとみは、ロープへ飛ぶとエルボードロップをダウンしたままの乃南の首筋に落とし、再度フォールを
狙うが、これも乃南はスリー直前に返す。
ひとみは乃南を起こしてロープへ振ろうとするが、乃南が上手く身体を入れ替え、逆にひとみをロープに振る。
ロープに振られたひとみと待ち構える乃南の激突は、勢いの付いたひとみが勝ち乃南がダウンする。
ひとみは、もう一発狙って自らロープへ飛ぶ。
しかし、今度は態勢を低くした乃南のパンチが待っていた。
 "ボスッ!"
乃南のパンチがひとみのボディにカウンターで入った。
身体を折ってお腹を押さえるひとみに対し、乃南はロープへ飛んで反動を利用すると、ラリアットをひとみの
後頭部に叩き込む。
前のめりにダウンするひとみ。
乃南はさっきとお返しとばかりに、ひとみの背中にキックを連発すると、そのまま背中に乗りキャメル
クラッチの態勢を狙う。
ひとみの顎に手を掛け力を込めた乃南であったが、態勢が不充分で崩れ、ひとみに逃げられる。
そのまま場外までエスケープしたひとみは大きく深呼吸して、気持ちを落ち着ける。
リング内の乃南も深呼吸して、荒れた呼吸を整える。
リングに上がったひとみが乃南と向かい合った。
ここで先手を取ったのは乃南であった。
ローキックを当てて、ひとみの意識を下半身に持って行かせると左右のパンチを顔面に叩き込んだ。
これによる後退するひとみ。
そこへ飛込んだ乃南はひとみの身体を持ち上げるとボディスラムで叩き付け、素早くエルボーを落とす。
ここで再度アームロックを狙う乃南であったが、ひとみは足をロープへ伸ばす。
レフリーのブレイクで素早く立上がった乃南は、ひとみの両足を取ると身体を反転させ逆エビの態勢とする。
そのまま腰を落とし、力を込める乃南。
「オラー、ギブアップしろー!」
叫ぶ乃南に
「ノー、ノー!」
と首を横に振るひとみは、両腕の力でゆっくりとロープににじり寄っていく。
場内からの「よっすぃー」コールに押される様にロープへ辿りつき、レフリーがブレイクする。
ここがチャンスと見た乃南は、ひとみの背中にキックを連発で叩きこむ。
更にひとみを引きずり起こした乃南はコーナーにひとみを叩き付けると、先程とは逆にその両腕をロープに
掛け、身体をコーナーに固定した。
リング中央に戻った乃南は右手を上げて観客にアピールする。
観客から喚声とブーイングが半々に起こる中、その右腕で固定されたひとみにラリアットを叩き込む。
 "ダァーン!"
「ウプッ!」
苦しむひとみに対し、乃南はリング中央に戻ると
「とどめだー!」
 と、アピールしながら二発目のラリアットを狙い、ひとみへ突っ込む。
だが、その間にひとみは両腕をロープから外していた。
突っ込んできた乃南のラリアットを両腕でガードしたひとみは、その乃南の右腕を自らの左腕で抱え込むと、
右腕で乃南にラリアットを打ちながら、大外刈りの要領で乃南をリングに叩きつけた。
暴走王小川のSTOならぬ、STY(スペース・トルネード・よっすぃー)であった。
 "ドカーーーーン!"
リングが揺れ、この一撃で乃南の意識が飛んだ。
ひとみは乃南を起こすと、更にもう一発STYを決める。
 "ドカーーーーン!"
再度リングが揺れ、受身を取れなかった乃南は完全に失神状態となった。
そこを押さえ込むひとみ。
「ワン、ツー、スリー」
 "カーン"
レフリーの3カウントと共に、終了のゴングが鳴った。
「只今の試合は、フォールで芳澤 ひとみ選手が勝ちました。続いての選手、リングに上がって下さい。」
 
ここで、朝娘。側が一勝を上げた。
観客の大声援の中、肩で息をしながらも観客に手を振り誇らしげにリングを降りるひとみ。
逆に乃南が担架で運ばれたタプレンジャー側には焦りの色が見え、リングに上がった黄色い水着の明日香は
レフリーに早く相手を上げる様アピールしていた。
その反対コーナーでは、若いメンバー達が完全に勢い付き、登場を口々にアピールし始めていた。
その中で裕子は甕井 絵里を指名した。
絵里は最初の試合で秒殺されたさゆみと同じ最新の6期メンバーであるが、マイペースなさゆみ,リング下に
控えるヤンチャな田仲 れいなより一つ年上という事もあり、お姉さん的な存在となっていた。
アイドルというより、どこにでもいそうな親しみ易いルックスと落ち着いた雰囲気の持ち主で、多人数の
中では目立ち難い面も有ったが、それが逆にファンを惹き付ける魅力でもあった。
そして、彼女にはもう一つの特徴が有った。
16歳という若さに似合わぬ醒めた目で、場を読む能力に長けているのであった。
この段階で彼女は明日香の焦りを感じており、それを活かそうと思い始めていた。
 
綺麗な水色の水着に身を包んだ絵里が、観客にアピールしながらゆっくりとリングに上がる。
リング上では明日香がイライラした表情でそれを見ていた。
リングに上がった絵里は、そのまま反対コーナーの明日香へ向かっていった。
怪訝そうにそれを見る明日香を無視して彼女の横までやってきた絵里は、その手を明日香の胸に伸ばした。
「キャッ!」
あまりに唐突で意外な絵里の行動に驚く明日香。
「お姉さんのバスト、凄〜い。エリ、羨ましい。」
更に絵里はその手を、明日香のビキニからはみ出したお腹に伸ばした。
「ウワッ!お姉さんのお腹も凄〜い。こんなお腹に潰されたら、エリ、死んじゃうかも〜
 だからお姉さん、お手柔らかにねっ。」
呆然とする明日香を尻目に、自コーナーへ去っていく絵里。
コーナーまで戻ると四方に手を振り、更にお得意の「エリザベス」ポーズで愛嬌を振り撒く。
湧き上がる大喚声。
徐々に我に帰ってきた明日香は、イライラが頂点に達していた。
 "一体、何なんだ、あいつは? お望み通り、押し潰してやろうじゃないか!"
 
「第四試合、塁家 明日香対甕井 絵里を行ないます。」
 "カーン"
ゴングと共に飛び出し、絵里に襲い掛かろうとする明日香であったが、絵里は素早く横へ逃げる。
「キャー、怖〜い。」
165cmで横幅も有る明日香に対して、155cmと小柄でスリムな絵里であったが、その分スピードでは
上回っており、明日香は捕まえる事が出来ない。
何とかコーナーへ追い詰めようとする明日香であるが、絵里は右へ左へと動きそれを避ける。
またパンチやキックも動き回る絵里に狙いを定めることが出来ず、空を切り続ける。
それでも何とか一旦はコーナーに追い詰めた明日香であったが、勢い込んで襲いかかった瞬間、絵里は
明日香の股の下をすり抜け、後ろへ回り込む。
観客からは笑い声と拍手が起き、明日香を更にイラつかせる。
ここまで絵里からの攻撃は一切無かったが、明日香は無駄な動きでスタミナを徐々に奪われていた。
「逃げてばっかりいないで、掛かって来い!」
荒い呼吸と共に叫ぶ明日香であったが、
「だって、お姉さん、怖いんだも〜ん。」
と、全く意に介さぬ絵里。
再び「エリザベス」ポーズで観客に愛嬌を振り撒く。
「ふざけるなー!」
右腕を振り上げ、ラリアットを狙う明日香であったが、これも絵里はしゃがみ込んで交わす。
勢い余ってコーナーまで転げ込む明日香。
しかし、そこでも絵里は攻撃を加えず、リング中央でじっと明日香の姿を見ているだけだった。
その目は全く冷静さを失っていなかった。
 "まずい"
リング下の早織が状況の悪さに気付いた。
このままでは、例え明日香が勝ったとしてもスタミナを相当ロスさせられてしまう事になる。
それどころか、この試合の勝利さえ危うくなりかかっている。
明日香へのアドバイスに向かう早織であったが、既に明日香は立上がり絵里へ襲い掛かろうとしていた。
しかし、状況は変わらなかった。
明日香が振り回す大振りのパンチは、相変わらず素早く動き回る絵里を捕らえる事が出来なかった。
徐々に明日香の息が上がり、パンチのスピードもフットワークも落ちてきた。
 "ピシーン" 
そこへ初めて絵里の攻撃が加えられた。
横へ周りながらのローキックが明日香の太ももを捕らえたのである。
しかし、絵里は深追いはしない。
一発蹴ると、再度動き回り明日香を翻弄する。
そうして、タイミングを見ては単発的にローキックを叩き込む。
決して威力の有るキックでは無かったが、明日香を更にイラ立たせるには充分であった。
「ウワーーー!」
大声を上げながら絵里にタックルを仕掛ける明日香であったが、これも簡単に交わされ明日香はそのまま場外へ
転落した。
観客席からは絵里に対する声援と共に、明日香に対する笑いが起こる。
「クソー!」
急いで立上がり、リングに戻ろうとする明日香に早織が近寄った。
だが、それにさえ気付かぬ明日香。
その水着を引っ張って明日香を振り向かせる早織。
 "パシーン!"
早織の張り手が明日香の頬にヒットした。
「何するのよ!サオ!」
「落ち着きなさい、ルイ!何、焦ってるの!」
「エッ!」
その声に、ふと我に帰る明日香。
頭に上っていた血が収まってきた様であった。
「分かった。」
冷静さを取り戻した明日香は目を瞑り大きな深呼吸を数回すると、ゆっくりリングへ上がった。
リング上には相変わらずにこやかな表情で、しかし冷静な目をした絵里がいた。
 "あせるな、落ち着け!"
再び深呼吸しながら、自分に言い聞かす明日香。
一方の絵里は
「お姉さ〜ん、そんな怖い顔しちゃ、ダメ。だってアイドルでしょ。」
とか言いながら、アイドルらしいポーズで四方へ愛嬌を振り撒く。
だが、今度はそれを冷静に見る事が出来た明日香は、絵里の目が笑っておらず醒めている事に気付いた。
そうなると、これらの行動が総て自分をイラつかせる為のものだと解かってきた。
手を広げ、ゆっくりと絵里へ近付く明日香。
明日香の様子がこれまでとは明らかに違う事に絵里も気付いた。
横へのステップで逃げようとする絵里だが、明日香はそれに翻弄されず徐々に距離を詰めようとする。
気付いた時には絵里はコーナーをしょっていた。
明日香はここで飛込みのフェイントを掛けた。
それに釣られて、先程同様明日香の股の下を抜けて逃げようとする絵里。
しかし待っていたのは、明日香のキックであった。
 "ガツーン!"
そのキックが顔面にヒットし、そのまま絵里はコーナーへ押し戻された。
「やっと、捕まえた。」
絵里の両二の腕を掴んだ明日香はニッコリ笑いながらそう言うと、絵里を強引に立たせそのボディにパンチを
叩きこんだ。
「グウッ!」
その一発で絵里の表情が変わった。
更に数発のパンチを打込んだ後、明日香は絵里の身体を軽々と持ち上げ、リング中央へ叩き付ける。
そして、そのボディに膝を落とすと、たまらず絵里の胃液が逆流する。
その辛さに涙目となった絵理の顔面が明日香に掴まれた。
そのまま体重を掛けながら、十八番のアイアンクローで絵里の顔面を締め上げる明日香。
「アーーーーーーー!」
頭が割れるような痛さに苦しむ絵里は手を無茶苦茶に振り回し、明日香のお腹あたりにパンチを入れるが、
明日香は全く動じず、更に手に力を込める。
「そう言えば、アンタ、私のお腹がどうのこうのって言ってたわね。」
明日香はアイアンクローを自ら解くと、グロッギー状態の絵里を引きずり起こし肩の上に持ち上げると
コーナー近くへ移動した。
そして、反対コーナーに向けて助走を取ると、アバランシュ・ホールドで叩き付けた。
 "ドッカーーーン!"
明日香の全体重も一緒に受けた形となった絵里はほぼ失神状態となったが、更に明日香は柔道の上四方固めの
様に自分のお腹を絵里の顔面に乗せる形で押さえ込んだ。
明日香のお腹により鼻も口も塞がれた状態となった絵里は、全く呼吸が出来なってしまった。
ピクリとも動かぬ絵里。
その状態でレフリーのカウントが入る。
「ワン、ツー、スリー」
 "カーン"
「只今の試合は、フォールで塁家 明日香選手が勝ちました。続いての選手、リングに上がって下さい。」
 
試合終了のゴングで明日香が絵里の上から立上がったが、暫く窒息状態とさせられた絵里は完全に意識を
失っていた。
絵里もまた、担架に乗せられて医務室へと連れて行かれた。
両手を上げてアピールしてからリングを降りる明日香。
しかしその呼吸は荒く、表情にも生彩を欠いており、予定外の苦戦に大きくスタミナを奪われた事は明らかで
あった。
試合に敗れたとは言え絵里は明日香に、そしてタプレンジャーに大きなダメージを与える事には成功していた。
inserted by FC2 system