『タプレンジャーvs.朝娘。−4』

グリーン水着の綾乃に対して、一方の朝娘。側からは緒川 麻琴が同様のグリーンの水着に身を包んで登場した。
それと同時に、観客席から先程の里沙以上のブーイングと更には野次が飛び始めた。
「マコト、コーナー間違ってるぞ!」
「タプレンジャーの仲間割れか!」
「どっちが、どっちか分からないぞ!」
麻琴は里沙と同期の5期メンバーであり、年は里沙より一つ上の17歳。奇しくも対戦相手の綾乃と同い年である。
オーディション前から地元でモデル等をやっていたことも有って、当初から堂々としたステージ態度であり、歌や
ダンスも先輩顔負けの実力、また頑張り屋の一面を持っている事も認められていた。
その為、オーディションでの評価も高く、同期ではトップ合格扱いで将来を期待されていた。
しかし、デビュー直後に腰を痛めた事で総てが狂ってしまった。
身体を動かせない事に加えて、そのストレスによる過食で体型が大きく変化,簡単に言えば肥満してしまったのだ。
その後は番組でも完全にギャグ要員であり、ファンからも攻撃,嘲笑の対象とされていた。
またその影響も有るのか、ルックス的にもオーディション時より明らかに後退していた。
まさに低迷の象徴その物であった。
その後も人気が上昇する事は無く、メンバー中最後にようやく出したソロ写真集が殆ど話題にもならず、その画像が
掲示板でも出回っていないのが今の彼女の立場を表わしていた。
しかし、彼女も里沙同様朝娘。を愛していた。
愛する朝娘。の為、この試合は勝ちたかった。

「第七試合、芳川 綾乃対緒川 麻琴を行ないます。」
"カーン"
激しいブーイングと野次という異様な状況の中、ゴングが鳴った。
まずはがっちりと組合う二人。162cmの綾乃に対して麻琴は156cmと一回り小柄であったが、横幅は殆ど五分で
水着の色が同じ事もあり、確かに見分けがつき難くなっていた。
麻琴は運動神経も悪くなく、パワーもメンバーの中では有る方ではあったが、綾乃が相手では流石に分が悪かった。
徐々にコーナーへ押し込まれると、そのまま力任せにポストへ叩き付けられる。
"ドォーーン!"
"ピシーン!"
腰を押さえる麻琴の顔面に、綾乃は一発張り手を入れるとニヤっと笑ってリング中央へと戻る。
「クソー!」
麻琴が綾乃に飛び掛っていき、再び両者がリング中央で組合う。
飛び掛かった勢いを利用して、何とか押し込もうと身体に力を込める麻琴であったが、綾乃も腰を落として全身に
力を込め、一歩も下がらない。
暫く膠着状態が続いたが、やはりパワーでは綾乃が一枚上回る。
再び、徐々に麻琴をコーナーに押し込むと、先程同様ポストに叩きつけた。
"ドォーーン!"
そして、再び麻琴の顔面に張り手を叩き込む。
"パシーン!"
更にもう一発。
"パシーン"
この往復ビンタに、会場からは何とブーイングよりも歓声が大きく上がる。
次に綾乃は、水平チョップを麻琴の胸元へ叩き込む。
"バシーン!"
小気味の良い音が会場に響き渡る。
更にもう一発、今度は首筋にチョップが炸裂した。
"パッシーン!"
"ドスーン!"
たまらず、コーナーを背に尻餅を付く麻琴。
そこへ綾乃がストンピングを連発するが、会場からはそのストンピングに合わせ、歓声と掛け声が起こる。
更に、綾乃は麻琴の顔面を踏み付けるとロープを使って全体重を掛ける。
痛さと、苦しさに足をバタバタさせる麻琴であったが、そこでも観客からは麻琴に対しては声援よりも笑い声が
起こっており、歓声は綾乃に対して多かった。
その状況には裕子,圭織や朝娘。のメンバーも怒りを露わに観客席を睨んでいたが、観客に変化は無かった。
レフリーのロープブレイクにより、ようやく逃れられた麻琴は場外へエスケープするが、観客達は容赦無かった。
「踏まれて、少しは顔が小さくなったか〜」
「ビンタで前より可愛くなったぞ〜」
「顔がでかいから、ビンタしやすいよな〜」
「さっさと、やられろ〜」
「ちゃんと、闘えよ〜」
「これで、痩せられるぞ〜」等々
『私には、味方がいないの…』
麻琴はこの観客の反応に、先程顔を張り手された上に踏まれた痛さも加わり、だんだん悲しくなり涙がこぼれそうに
なっているのに気付いた。
それでも何とか顔を上げると、涙で一杯になった大きな目でまずは観客を一睨みした。
一瞬静かになった観客席であったが、次の瞬間には更に大きな野次とブーイングとなっただけであった。
「早く、リングに上がれ!『タプレンジャーは逃げない』んだろ〜」
には、会場が大爆笑となった。
耐え切れなくなった麻琴はメンバーのいるコーナーを見る。
変わらずに応援してくれているメンバー、特に先程一勝した大好きな先輩であるひとみの顔を見て自分の気持ちが
少し穏やかになった事にも気付いた。
「ヨシッ!」
気合いを入れ直してリングインする麻琴。リング上では綾乃が既に臨戦態勢であった。
今度は正面を避け、何とか横へ廻ろうとする麻琴であったが、綾乃の動きも素早かった。
上手く正対すると、パンチを繰り出す麻琴に対し同じくパンチで応酬する。
こうなるとやはり綾乃がここでも一枚上手である。
上手く麻琴のパンチをガードしながら、ボディやバストに数発のパンチをクリーンヒットさせる。
更に飛び込んだ綾乃は、麻琴の顔面にまたまた張り手を叩き込んだ。
観客からはまたも大歓声が起こる。
すっかり調子に乗った綾乃は、更に張り手を連発すると、麻琴の顔が徐々に赤く腫上がってきた。
半泣きになりながら、それでも殴り掛かろうとする麻琴であったが、綾乃は余裕を持ってそれを交わすと、
麻琴の太ももに、ローキックが炸裂させた。
「痛いっ!」
思わず、足を押さえる麻琴。そのガラ空きのボディに綾乃のミドルキックが叩き込まれた。
"ボスッ!"
鈍い音と共に、崩れ落ちる麻琴。
その口からは逆流した胃液が溢れ出て、その辛さについに目からは涙がこぼれ落ちた。
「マコト、頑張れ!」
「マコッチャーン!起きてー!」
必死のメンバーの声援も、観客の野次で掻き消される。
スタミナに不安を残す綾乃は、とどめを刺しに行った。
麻琴を引き摺り起こすとコーナーへ連れて行き、両腕をロープに掛けて固定した。
そして対角コーナーまで行くと、観客に右腕を上げてアピールするとグッと身体を低くした。
そして、大歓声を背にそのまま走り込み、ラリアットを狙う。
コーナーに固定された麻琴は、このシーンは何処かで見た、と思い出していた。
そう、これは先程ひとみが乃南に逆転勝ちしたシーンと全く同じであった。
"ひとみさん、私だって!"
麻琴は先程のひとみの動きを思い出し、なぞった。
まず両腕をロープから外すと、突っ込んできた綾乃のラリアットを両腕でガードした。
そして麻琴は、その綾乃の右腕を自らの左腕で抱え込むと、右腕で綾乃にラリアットを打ちながら、大外刈りの
要領で綾乃をリングに叩きつけた。
麻琴はこれまでのトレーニングで、ひとみのSTYの練習台となる事が多く、何時の間にか技のタイミングや
コツを盗んでいたのであった。
これは文字通りのSTO(スペース・トルネード・オガワ)であった。
"ドッカーーーン!"
叩き付けられ、リング上で大の字となる綾乃。
静まり返る観客とタプレンジャー達。
あまりの技の威力に麻琴自身も驚いていた。
"次は、どうしよう?"
悩んだ麻琴であったが、何とコーナーポストに上り始めた。
最上段まで上ると、大の字で動かない綾乃との距離を測る。
そして、そのままフライングボディプレスを狙った。
"ドォーーーン!"
リングが激しく揺れた。
しかし、一か八かの大技を仕掛けた麻琴の下には綾乃はいなかった。
技までに時間が掛かり過ぎ、意識を回復していた綾乃に余裕を持って交わされたのであった。
胸を撫で下ろすタプレンジャーサイドと、頭を抱える朝娘。サイド。
ボディプレスの自爆でお腹を打ちつけ、うつぶせで苦しむ麻琴に綾乃が襲い掛かった。
ジャンプするとギロチンドロップを腰の辺りに叩き付ける。
"ドカーーン!"
「グアッ!」
そのショックに、思わず変な声を出してしまう麻琴。
その声に対しても観客からの野次が飛ぶ。
綾乃は麻琴の腰へのストンピングを連発すると、動けなくなった麻琴の背中に腰を下ろし、首筋に手を掛けキャメル・
クラッチの態勢を取った。
そして、グッと力を入れて麻琴の身体を弓なりに反らす。
「グガッ…」
本来は柔軟な身体を持つ麻琴であったが、コーナー最上段からの自爆と先程からの攻撃で腰の古傷が痛み出しており、
技のダメージが大きかった。
「ガ………」
あまりの痛みに悲鳴すら上げられぬ麻琴。
余裕の出た綾乃は、片手の指を麻琴の鼻の穴に入れ、力を込めて引き上げる。
このブタ鼻キャメルに観客は大ウケであったが、朝娘。達の怒りは頂点に達していた。
腰と鼻の痛み,そして技の恥ずかしさに耐え切れなくなった麻琴が遂にここでタップした。
"カーン"
「只今の試合は、ギブアップで芳川 綾乃選手が勝ちました。続いての選手、リングに上がって下さい。」

リング上で腰と顔を押さえ動けない麻琴に、真っ先に駆け寄ったのはひとみであった。
「ひとみさん… 力になれなくて、ゴメンナサイ…」
涙を流しながら弱々しく謝る麻琴を抱きしめたひとみは、その傍らで麻琴を見下ろす綾乃に対し、鋭い視線を
向ける。
「アンタ、女の子に対してなんて事するの! 絶対、許さないからね!」
いつも慕ってくれる可愛い後輩の無残な姿に、流石のひとみも怒りを露わにする。
「甘い事、言ってんじゃないわよ! ここはリングよ! やるか、やられるかなんだからね!」
言い返す綾乃。
暫くひとみと睨み合った後、リングを降りるが、綾乃の興奮状態は治まっていなかった。
しかしその息は荒く、課題のスタミナを相当ロスしている事は明らかであった。

ここで、ついに残り人数は4対4と同人数となった。
そして、流れはタプレンジャー側に再度傾いたかと思われた。

そのタプレンジャー側は明日香がリングに上がる。
前の試合では絵里の頭脳作戦によって、大きくスタミナをロスさせられていたが、表情や動きを見ると休憩の
間に体力を大分戻した様子であった。

一方の朝娘。側は紺埜 あさ美がその名の通り紺色の、まるでスクール水着の様な姿でリングに上がった。
ここでは、声援はあさ美が圧倒していた。
あさ美は麻琴や里沙と同じ五期メンバーであるが、愛も含めた他の3人がオーデイション前からモデル等の仕事や
色々なレッスンをこなしていたのに対し、唯一全くの素人であった。
その為、最終オーデイションでも歌,ダンス共他の候補者からは大きく劣っていたが、プロデューサーつんたの
「補欠合格」との言葉で、最後の一人にかろうじて滑り込んだのであった。
とは言え、メンバー入りしてからもその状況が変わった訳では無かった。
唯一、食いしん坊というキャラクターが定着してはいたが、お披露目前にケガをしたり、歌,ダンス,トークと
どれを取っても一人前とは言えず、他のメンバーに追い付くことはなかった。
しかし皮肉な事に、その劣等性振りが元々オーディションの落選組を集めたグループであった朝娘。の原点を
感じさせる、とファンにはかえって好かれる要因になり、人気は高かった。
とは言え、今回も彼女に対する期待は低かった。
トレーニングでも時間に遅れてくる事が度々有り、圭織からきつく怒られている姿も見られていた。
体格的にも、165cmで横幅も有る明日香に比べると156cmと小柄で細く、裕子もあさ美には明日香のスタミナを
なるべく奪ってくれる事だけを期待していた。

しかし…

「第八試合、塁家 明日香対紺埜 あさ美を行ないます。」
"カーン"
「キェーーーーー!」
ゴングと共に気合いの入った声を出したのは、何とあさ美の方であった。
普段のTVやステージでも見られない気合いの入った声に、明日香だけでなく朝娘。のメンバーも驚いた。
そして、リング中央まで進んだ明日香に対して、コーナーから一歩踏み込んだあさ美はグッと腰を落とし、
空手で言う騎馬立ちの構えを取った。
「ルイ!格好だけだ、気にせずにやれ!」
リング下から早織が気合いを入れるが、当の明日香はあさ美のスキの無い構えに攻撃を仕掛ける事が出来なく
なっていた。
「キェーーー!」
再度、気合いを入れたあさ美がその構えのまま前進し、両手からの突きを仕掛ける。
その意外なまでのスピードに、明日香は後退するしかなかった。
「クッソー!」
コーナーを背負う形となった明日香が、反撃に出た。
両手のパンチを振り回して襲い掛かるが、あさ美は軽いフットワークと上半身の動きで交わすと、逆にローキックを
明日香の太ももに的確に命中させていた。
更に明日香の意識が下半身に集中した所で、右のストレートをその胸元に叩き込んだ。
「グッ!」
その場に倒れ込んだ明日香は転がる様にリング下へエスケープする。
深追いせずにリング上で型を披露するあさ美に、観客からの大歓声が起きる。
そこで、同期の愛が気付いた。
「そう言えば、あさ美ちゃんのプロフィールに特技:空手って書いてあったわ。」
そう、あさ美はオーディションに受かり上京する直前まで地元で空手を習っており、その実力は黒帯寸前であった。
今回の対戦が決まってからは、他のメンバーには黙って同流派の道場に通っており、トレーニングに遅れてきて
いたのもその為だったのだ。
意外な伏兵の登場に朝娘。達が盛上がる中、突きを受けた胸元を押さえながら、明日香がリング上に戻ってきた。
それを見て、再度構えを取るあさ美。
明日香がタックルの様に身体ごとぶつかっていこうとするが、それを軽く交わしたあさ美は明日香の側面へ回り込み、
ローキックを叩き込む。
何とか正対して捕まえたい明日香であったが、あさ美のスピードは早く、的確なローキックに足へのダメージを
重ねていった。
「コノヤロー!」
明日香の大振りなパンチはあさ美に見切られて空を切り、捕まえようと前進しても軽快なステップで交わされ続ける。
打つ手が無くなりますます焦る明日香。
"落着け、落着いて動きを見るんだ。"
前の絵里との試合を思い出し、冷静に相手の動きを読もうとする明日香であったが、挑発してはただ逃げ回っていた
絵里とは異なり、あさ美は的確なキックで明日香にダメージを与え続けていた。
このままではやられると感じた明日香は無意味に動く事を諦め、自らコーナーを背にした。
あさ美の動きを限定することで、何とか捕まえようとしたのであった。
コーナーを背にした明日香に対し、あさ美は焦らずに腰を落とし明日香の動きをじっくりと見る。
しばし牽制しあった両者であったが、ここでもまた、待ち切れない、とばかりに明日香が手を出した。
コーナーを背にしたままパンチを繰り出す明日香であったが、あさ美のガードは固く決定打を繰り出す事は
出来なかった。
一方、明日香のパンチをかいくぐって繰り出されるあさ美のパンチが、明日香のボディや胸元に決まり出していた。
"ボスッ!"
鈍い音と共に、あさ美のアッパー気味のパンチが明日香のボディにクリーンヒットした。
「グッ!」
お腹を押さえてその場へ崩れ落ちる明日香。
ダウンしたまま、逆流する胃液に咳込む明日香の目には涙が浮かんでいた。
「ワン、ツー、スリー…」
レフリーのカウントを遮るように立上がった明日香は、必死にファイティングポーズを取る。
"クソッ!どうすれば…"
立上がりはしたものの、打つ手の無い明日香。
そこへ構えを決めたままあさ美が襲い掛かるが、その動きはゆっくりで勝利を焦る事は無かった。
上半身をガードする明日香に対してローキックを打ち込み、明日香が攻撃を仕掛けガードが空いた瞬間にパンチを
叩き込む。
この繰り返しで明日香のダメージは蓄積されていった。
その姿はあたかも巨鯨に襲い掛かるシャチのようでもあった。
"ドーン!"
あさ美の度重なるローキックに、ついに明日香の足が耐え切れなくなり崩れ落ちた。
「ワン、ツー、スリー…」
再びレフリーのカウントが始まった。
"タプレンジャーは諦めない!"
真っ赤に腫上がった両足を労わる様に、明日香はゆっくりと立上がる。
"捕まえる事さえ出来れば…"
またしてもゆっくりと近付いてくるあさ美の動きを見詰める明日香。
あさ美は左のミドルキックを仕掛けた。
明日香がその蹴り足を捕まえた。
"ヨシッ!"
一瞬喜ぶ明日香。
しかし、これはあさ美の誘いであった。
次の瞬間、ジャンプしたあさ美の右ハイキックが明日香の側頭部に完璧に炸裂した。
"ガツーーン!"
"ドカーーン!"
もんどりうって倒れる明日香。
"ヨシ、勝った!"
コーナーへ戻ったあさ美は、技の手応えに勝利を確信していた。
「ワン、ツー、スリー」
三度、レフリーのカウントが始まった。
「フォー、ファイブ、シックス」
だが、明日香はまだ立ち上がろうとしていた。必死に上半身を起こす。
"タプレンジャーは負けない!"
「セブン、エイト、ナイン」
何とか立上がろうとした明日香であったが、頭のダメージで平衡感覚を失っている所にローキックのダメージも
重なって、足がもつれる。
倒れそうになった明日香だったが、レフリーにしがみ付きダウンを逃れようとした。
結果、しがみ付かれたレフリー共々リングに倒れたが、レフリーがテンカウントしていないという事で、KOとは
ならなかった。
レフリーに続いて、明日香が立上がった。
しかし明日香の視線はうつろであり、ファイティングポーズも中途半端な物であった。
それでも試合は継続である。
"何で、立ってくるの?"
明日香の様子に恐怖心を感じたあさ美であったが、リング上では非情に徹する覚悟を決めた。
棒立ちでガードの出来ぬ明日香の太ももにローキックを、更にボディに突きを叩き込む。
そして崩れ落ちようとする明日香の側頭部に再度、ハイキックを決める。
"バッシーーン!"
"ドォーーーン!"
崩れ落ちたまま、口から泡を吹き今度はピクリとも動かぬ明日香は、そのままテンカウントを聞くこととなった。
"カーン"
「只今の試合は、KOで紺埜 あさ美選手が勝ちました。続いての選手、リングに上がって下さい。」

「コンコン、凄〜い!」
「やったね、あさ美ちゃん!」
口々にあさ美の勝利を称える朝娘。のメンバー達。
しかし裕子にはポーカーフェイスのあさ美が少し足を引き摺っているのが、気になっていた。

一方、明日香が担架で運ばれたタプレンジャー側には、人数的に再度リードされた事も有り、悪い雰囲気が
漂い始めていた。
その雰囲気を払拭しようと、リーダー早織がリングに上がった。

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