本日はクイーンベルトのタイトルマッチが予定されている。女王、米蔵涼子にとっては最初の防衛戦になる。対戦相手は先日のクイーンカップの優勝者瀧沢沙織が大会規定により挑戦者となった。そして今から調印式に入った。やり取りは以下の通り。
 
司会:今回の試合は女王涼子にクイーンカップチャンピオンの沙織が挑戦するという豪華カードになりました。まずは女王の涼子からタイトルマッチの抱負をお願いします。
涼子:普通にやれば勝てるので、普通にやるだけです。以上。
司会、報道陣冷や汗。
司会:では挑戦者の沙織に抱負を
沙織:一回戦負けの女に現実を教えたいと思います。『お前の時代は終わった』
涼子:生意気ね、ベルトの重みをリングで教えてあげるわ
沙織:トーナメント優勝の誇りを見せ付けてやるわよ。
 
ここからさらにヒートアップする事無く比較的穏やかにやりとりがあると互いに席を立って調印式は終わった。両者控え室に行くと着替えてウォーミングアップを初めて試合に備えている。
 
いよいよ試合時刻になった。まずはコールを受けて挑戦者の沙織が出てきた。白のビキニを纏って長い脚を伸ばして優雅に登場してきた。続いて涼子が登場してきた。黒のビキニに栄光のチャンピオンベルトを巻いてゆっくり歩いてリングへ向かった。『青コーナー174cm80-58-84、瀧沢沙織〜』コールされると一礼して応えた。『赤コーナー168cm80-58-83、米蔵涼子〜』涼子はコールされてもコーナーにもたれかかったまま特に反応は示さない。尚、沙織がクイーンカッププロレス大会の女王という事で、プロレスルールが選択されている。『カーン』今、試合開始のゴングが鳴った。沙織が勢い良く飛び出して、喧嘩キックで涼子を串刺しにしようとするが、かわされた。涼子は沙織の長い足は危険と判断したのか、ローキックで削っていく作戦に出た。涼子は前に出てローキックを打っていくと、嫌がる沙織。涼子のローキックが数発決まるが、沙織は打開しようと思い切ってミドルキックを打っていった。バシィィ、このミドルキックがクリーンヒットした。動きが止まる涼子。沙織は助走をつけると飛び膝蹴りを打っていった。沙織の膝が顔面に入って堪らず場外へエスケープする涼子。沙織は追いかけていくと、涼子を捕まえて鉄柱に頭をぶつけていった。ガツーン「ああぁぁぁー」鉄柱にしがみつきながら痛がる涼子。更に沙織は追い討ちをかけるかのように涼子の後頭部を蹴り飛ばした。涼子の額は鉄柱に張り付いており衝撃の逃げ場が無くダメージが頭に吸収されてしまった。膝から崩れ落ちる涼子。かなりぐったりしてるので少し心配だ。沙織は手を緩めようとせず、場外のマットを剥がしてコンクリートが剥き出しの状態にした。沙織は涼子の髪の毛を引っ張って連れてくると、リフトアップしようとするが涼子が踏ん張るのでなかなか持ち上がらない。逆に涼子が隙を狙って沙織の頭をDDTで打ち付けていった。ゴツン、のた打ち回る沙織を尻目に涼子はリングへ戻った。涼子もダメージが大きいようでなかなか動けない。しばらく間が空くと沙織がリングへ戻ってきて、試合再開となった。涼子は再び沙織の足を狙ってローキックを打っていくが、沙織も距離を取る。涼子は自らをロープに振るとラリアットを打とうとするが、沙織のドロップキックに阻まれた。すると素早く沙織が涼子の足を極めにかかった。沙織は涼子のやりたい事を自分がして主導権を握っている。涼子はロープを目指すが沙織も踏ん張る。沙織は涼子がロープに辿り着く前に足を離すと腰を掴んでジャーマンの体勢に入る。しかし、涼子はロープを掴んで踏ん張ると、沙織は諦めきれず涼子を押したりするが、涼子はロープを離さない。ここでロープブレイクとなった。一旦離れた二人だが、すぐに組み合った。相手の腕を制しあいながら、攻撃のチャンスを窺っている。涼子が沙織の腰に手を回すと、そのまま強引に投げていった。涼子はすぐに沙織を起き上がらせると、今度は完璧なブレーンバスターを放った。フォールに入る涼子『ワン、ツー』沙織は返すが、ペースは完全に涼子だ。涼子はコーナーに登ると起き上がってきた沙織の胸にドロップキックを命中させた。続けて腕をとって腕ひしぎをかけていった。沙織は足をばたつかせるが、涼子ががっちり極めていてなかなか動けない。「ギブアップしなさいよ。じゃないと腕をへし折るわよ」「誰があんたなんかに・・・・」痛がる沙織は幸運にも長い脚のおかげで足を上手く伸ばすとロープに逃れれた。涼子は少し計算が狂ったようだが、それでも次の攻撃に移行しようと立ち上がる。しかし、沙織が先に立ち上がっていた。起き上がりかけた涼子の顔面を鮮やかに足の裏で蹴りつけていった。パァーン、快音が響きわたると涼子は仰向けに倒れた。沙織は涼子をリング中央まで引きずってくると、長い脚で涼子の首を締め付けていった。沙織の足がチョーク気味に涼子の首に入ると、涼子は相当苦しそうにするが、ロープまではほど遠い。沙織は太ももに力を入れると、涼子も必死に沙織の足にしがみついてダメージを軽減させようとしている。「あう、あうぅぅぅ」呻き声をあげる涼子。沙織も挑発する余裕など無く懸命に締め上げる。沙織は自分の足を掴んでる涼子の両手を掴んで防げないようにした。「ぐえぇぇ」さらに苦しむ涼子、沙織の足がもろに首に巻きつけられている。「痛いっ」なんと涼子が沙織の足に噛み付いた。沙織はたまらず技を解いてしまった。「くそ、反則じゃないの?」沙織はレフリーに詰め寄るが、プロレスはいかなる反則も5秒までは取らないので有効とした。この間に涼子は咳き込んで苦しんでいたが、少しは回復したようだ。沙織はコーナーに寄りかかる涼子を踏みつけていくと、涼子をコーナーに据え付けた。沙織は反対側のコーナーから走りこんでいくが、涼子がかわすと沙織はコーナーに叩きつけられた。涼子はバックに回り込むと、バックドロップを放った。涼子はロープに自らの身体を振ると、助走をつけて沙織の頭にニーバットを浴びせていった。前のめりに倒れこむ沙織にガッツポーズでアピールする涼子。完全に涼子がペースを取り戻した。勢いに乗る涼子はエビ固めをかけていった。沙織の長身が綺麗に折れ曲げられている。「ひぃぃ〜」沙織は必死の思いでロープに手を伸ばすが、涼子が上手くバランスを取って全く動けない。「おらおらおら、トーナメント優勝の誇りはどこに行ったんだよ」涼子は体重をかけて痛めつけていく。遂に涼子の尻が沙織の頭の上に乗った。屈辱的な姿勢に涙を流す沙織だが、まだ勝負は捨ててない。身体を揺さぶって涼子のバランスを崩しにかかる。涼子はヒップに体重をかけて沙織の顔を地面に這い蹲らせていく。「これがベルトの重みよ。思い知りなさい」沙織は自分の頭の上にある涼子の尻を手で払いのけてなんとか逃れた。その際、沙織は顔をリングに擦り付けられる事になり、女優にとってはかなり屈辱的だ。涼子は起き上がろうとする沙織の背中を踏みつけていくと、コーナーに登った。「決めるわよ」涼子はそう言うと、うつ伏せに倒れてる沙織の後頭部にニードロップを落としていった。フォールに入る涼子。『ワン、ツー、ス』沙織も頭を抱えながらも返す。涼子は沙織の髪の毛を引っ張って起こすと、沙織の顔面にグーパンチを入れていく。「反則だ、涼子」レフリーの注意が入ると止めるが、また、ナックルで沙織の顔面を打っていく。フラフラする沙織に俄然勢いづく涼子。沙織が流れを変えようと渾身のミドルキックを打つと涼子のどて腹にクリーンヒットした。「おえぇぇぇ」蹲って苦しむ涼子。相当苦しそうだ。沙織も頭のダメージですぐには動けない。双方を応援する歓声が飛び惑うと、両者ほぼ同じタイミングで立ち上がる。両者走ってボディーアタックにいくと対等で両者共に倒れない。睨み合うと両者ロープに走って助走をつけて再びぶつかり合った。すると、体格に勝る沙織が涼子を倒していった。しかし、涼子もすぐさま起き上がると、取っ組み合いになる。互いに相手を倒そうと揺さぶり、足を引っ掛けあうと2人とも倒れてしまった。倒れても転げまわりながら主導権を握ろうとするが、2人とも場外に落ちてしまった。場外で投げ技を放とうと互いに相手を掴んで投げようとするが、同時に互いに踏ん張りあう。ここで、涼子が沙織の腹に膝蹴りを入れて崩しにかかると、沙織が一瞬緩んだ隙に涼子がリフトアップした。沙織は懸命に足をばたつかせるが、涼子は沙織の腰をエプロンサイドにぶつけて投げていった。エビ固めで痛めつけられた腰を強打して沙織は場外で動けない。涼子はそれを見ると沙織をリングに戻して自らも戻ってきた。すると涼子は再びエビ固めをかけて、沙織の腰を痛めつけると、沙織は危険を感じたのかギブアップした。「ギブアップ〜」涼子は納得の表情で技を解いた。『カーンカーンカーン』ここでゴングが鳴った。『勝者:米蔵涼子』涼子はは初防衛に成功し腰にベルトが巻かれる。観客の拍手に応えると、沙織に一言声をかけると沙織も頷いて応えた。涼子がまさに女王の貫禄を見せ付けた試合となった。
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