第五試合
トーナメントも一回戦が終わりインターバルとしてエキシビジョンマッチが行われる。対戦カードは瀧沢沙織VS多丸麻紀だ。共に身長170cmを越える長身で長い手足を生かした試合が期待される。女優としても主役などは少ないものの堅実な働きを見せるといった点も共通点だ。沙織はクイーンカップ優勝の実績があり、打力も高い事からK−1でもハイレベルなパフォーマンスが期待される。対する麻紀は格闘技番組の出演経験があり、実力者と見る。尚、エキシビジョンもルールはトーナメントと同様に行われる。『赤コーナー、172cm、84-59-87、多丸麻紀〜』『青コーナー174cm80-58-84、瀧沢沙織〜』コールされると両者速やかにリングへ向かった。麻紀は赤、沙織は水色のパンツをはいている。特に睨み合う事も無く淡々としてるが、集中力を保って試合に備えている。『カーン』ゴングが鳴った。試合は静かな立ち上がりで、双方軽くジャブやローキックを出すも様子を見合っているという感じがする。沙織が時折、少し前に出ようとする仕草を見せるが、牽制程度といったところか?緊張感はあるものの中々試合が動かない。強烈な一撃が出て豪快なKO決着が期待されていたが、今の所は一発も出ずにスピード感の無い退屈な試合になってしまっている。2人ともトーナメントに出場したかったようだが、落選となりモチベーションが低下しているのか?特に沙織はクイーンカップで優勝したのに何故出れないのか不信感を抱いているようだ。麻紀は沙織が気落ちしているのを読んでか肩口にキックを打った。バシィィ、クリーンヒットすると沙織の動きが止まった。麻紀は続けて沙織の顔に右フックを入れると沙織は力無くダウンした。ダウンしたもののダメージ自体は大した事無い様ですぐに立ち上がった。むしろ目が据わって麻紀を睨みつけている。「ファイト」の声と同時に今度は沙織が突っ込んでいった。連打で麻紀を追い詰めていく。麻紀はいきなりの猛攻にガードしきれない。沙織の左ストレートが麻紀の頬を捉えると麻紀はマウスピースを飛ばした。沙織は先程のダウンで闘争心が掻き立てられたようだ。「喰らえー」沙織のハイキックが麻紀の側頭部にヒットすると麻紀は目を虚ろにさせながら倒れた。ようやく期待通りの展開になってきた。このハイキックはかなり効いてるようで麻紀はなかなか立ち上がれない。必死にロープにすがりつきながら立ち上がるとカウントはぎりぎりまで進んでいた。『カーン』1ラウンド終了のゴングが鳴った。麻紀はまだふらついているのでタイミング的にKOかと思った人も少なくないはずだ。そのくらい麻紀はダメージを負っているが、ゴングに救われてラッキーとも言える。沙織はダウンを一度喫したものの麻紀にそれ以上のダメージを負わせて一歩リードといった所か。短くも波乱の1ラウンドとなった。『カーン』さあ、2ラウンドはどうなるのか?開始早々から2人とも真っ向勝負を挑んでいく。1ラウンドとは打って変わって闘志溢れるファイトを見せている。スイッチがONになれば待遇など関係ないのか、女優の本能で相手を叩き潰しにかかる。麻紀のローキックが沙織にヒットすると沙織もローキックを打ち返す。沙織はアッパーで一発を狙うが、麻紀は避けてカウンターのパンチを沙織の鼻にヒットさせた。沙織は顔をしかめるが、堪えて攻撃の手を緩めない。沙織はミドルキックを打っていった。麻紀は攻め込もうと思っていただけに受身がとれずまともに喰らってしまって動きが止まる。沙織は動きが止まった麻紀の頭にまたしてもハイキックを打った。バキ、鈍い音と共に倒れこむ麻紀。この試合2度目のダウンだ。「ワン、ツー」麻紀はまだ起き上がらないものの目は起き上がる意思を示している。「ファイブ、シックス」麻紀は膝をつきながらも立ち上がりかけると沙織はダウン直後に畳み掛けようと前に来て狙っているのをレフリーに静止させられている。沙織も開始直後の怠慢が嘘のように必死になっている。麻紀が起き上がると沙織は畳み掛けようと前に出る。麻紀は前蹴りで間合いを取って凌ごうとするが、沙織のパンチが容赦無く麻紀の顔を襲った。麻紀の顔が大きく仰け反るが耐えると麻紀も殴り返す。沙織は攻め込もうとするが、麻紀が強烈なローキックを打った。バシィィ、身体全体に響き渡るような音がすると麻紀は続けてミドルキックを打っていった。バシ、キックを打ち分けて沙織にガードをさせない。テンポ良く麻紀は攻めていくが、沙織も負けじとミドルキックを打って流れを簡単には渡さない。沙織は麻紀のボディーに膝蹴りを打っていく。ボシュ、「おうっ」呻き声を上げる麻紀。麻紀はボディーを赤くしながらも耐えてパンチを繰り出す。沙織は避けると長い足が伸びてくるようなミドルキックを打っていった。バシィィ、「あうぅぅ」麻紀は顔を苦痛で歪めながらふらついている。沙織はチャンスとばかりに決めにかかると、麻紀の顔にハイキックを叩き込む。しかし、麻紀は読んでいた。麻紀は沙織のハイキックを左腕でなんとかガードすると、カウンターで右ストレートを沙織の顔面に当てていった。沙織はノーガードでまともに喰らってしまい何がなんだかわからないうちにダウンしてしまった。ダメージそのものよりも困惑する沙織。割とすぐに立ち上がったが、表情は痛さよりも戸惑いを表している。麻紀の方はリズムを取り戻せたようで闘志を滾らせている。沙織がファイティングポーズを取ると試合が再開された。麻紀は再び右ストレートを出すが、沙織はガードしてローキックを打つ。麻紀は足を蹴られるのを嫌がる素振りを見せるが、積極的にパンチを打っていく。沙織はどう攻めるのか慎重になって距離を取ってから組み立てようとするが、消極的と言わざるをえない。気付いたら沙織はコーナーを背にして戦っている。今度は麻紀のハイキックが沙織の側頭部を襲う。なんとかガードが間に合った沙織だが、集中力を欠いている。沙織がふらつくと麻紀は左アッパーをヒットさせた。ガァーン、麻紀の渾身の一撃を喰らった沙織はコーナーにもたれかかるようにしてダウンを喫した。『カーンカーンカーン』沙織は呆然としてる。麻紀はエキシビジョンとはいえクイーンカップ優勝者の沙織にKO勝ちと言うことで喜んでいる。『勝者:多丸麻紀』麻紀は手を上げてリングを軽く一周すると沙織に手を差し伸べた。沙織も応えて握手して健闘を讃えあった。
 
 
エキシビジョンの前に抽選が行われ結果が場内のスクリーンに掲示された。
準決勝第一試合保田美沙子×香理奈
    第二試合石河亜沙美×左藤江梨子
に決まった。香理奈は連戦となりインターバルの少なさが心配される。美沙子も判定での勝利だったため体力面での不公平感はやや解消されてはいるのか?正直第一試合の方が決勝の事を考えると良かった気もするが、亜沙美は最も休養十分で準決勝に望める。那奈に続く江梨子との大型女優同士の戦いは楽しみだ。
 
 
第六試合
準決勝の第一試合が始まる。第一試合を死闘の末に制した香理奈はKO勝ちとは言え3ラウンド戦っており、かなり厳しそうだ。しかし対戦相手で言うと亜沙美や江梨子と言った大型女優よりも美沙子の方が組し易いのは事実でそういう意味では不運な籤とは言えないだろう。一方の美沙子は打撃に一発は無いもののフルマラソンを走りきる程のスタミナを生かして長期戦に持ち込みたい所。美沙子は早く試合を始めたいのかコール前に出てきた。一試合目と同じくピンクのパンツをはいてグラビアNO1とも言われる美乳を惜しげもなくさらけ出している。『赤コーナー、162cm、82-60-85、保田美沙子〜』ようやくコールされた。続けて『青コーナー165cm80−57−88、香理奈〜』香理奈はコールされてもすぐには出てこない。やはりダメージが抜けてないのか?試合開始を少しでも遅らせたいのか?しかし、香理奈は程無くしてリングに姿を現した。香理奈も第一試合と同様に青のパンツをはいている。美沙子が割と早くにでてきたもののこの辺りにギリギリの駆け引きが見られる。『カーン』今、1ラウンドが始まった。香理奈は軽くジャブを出して動きを出しているが、まだ探っている感じだ。美沙子は素早い動きで香理奈に的を絞らせず、疲労を誘う作戦に出た。香理奈は第一試合の疲労を考慮してかあまり激しく前に出ないが、本来なら疲労を考えて早く決めたいはず。セコンドからもそのような指示が出てるのか。香理奈はハイキックを打っていった。美沙子は避けるとカウンターの左フックを打っていく。香理奈の頬にヒットする。香理奈も右ストレートで応戦するが、美沙子は避ける。香理奈の打撃を美沙子はスピードを生かして避けている。香理奈は苛立ちを募らせてスタミナが消費されていくだけになる。美沙子はガードを固めながらも香理奈にパンチを浴びせていく。香理奈はじりじりと追い詰められる。香理奈は苦し紛れにミドルキックを打つと、クリーンヒットした。バシィィ、「あうぅぅ」喘ぎ声を上げる美沙子だが、ガードを固めて必死に守る。逆に香理奈はチャンスと一気に攻勢に転じた。一発逆転とはこの事か、香理奈は鋭い打撃を美沙子に浴びせていく。バキ、ドス、バシィ、美沙子は香理奈にしがみつくようにしてクリンチしてなんとか逃れた。美沙子は息が荒くなって目の上が腫れ上がっている。「ファイト」試合が再開された。美沙子は身体に汗を滴らせて頑張っている。香理奈はバランス良くミドルキックとパンチを織り交ぜて攻めていく。美沙子はガードを固めるもコーナーに追い詰められてきた。香理奈は足を高く上げて足の裏で美沙子の顔面を蹴っていった。威力はそれ程ないものの美沙子は避けきれず喰らってしまい苦しくなってきた。香理奈の足が美沙子の顔面を串刺しにしているが、美沙子は香理奈の足を振り払ってボディーブローを打った。ボシュ、香理奈は表情を歪めるが、ここが勝負と我慢してさらにコーナーに追い詰めた美沙子を攻め込んでいく。美沙子はフラフラになって、香理奈にもたれ掛かるようにしてクリンチするのが精一杯だ。「ハア、ハア、ハア、ハア」美沙子は喘ぎ声を上げている。ファイティングポーズを取る美沙子だが、頬は赤くなって、脇腹も紫色に変色して涙目になってきてる。香理奈はなんとここに来て涼しい顔をしている。香理奈にとっては肉体的な疲労よりも精神的な余裕が勝っているのか?香理奈のパンチが美沙子の顔面を襲うと美沙子は弱音を吐き始めた。「もうやめてよ〜」「これが勝負なのよ!」香理奈はそう言い放つと、ラッシュをかけて最後は豪快なハイキックを撃ち込んで試合を決めた。『カーンカーンカーン』美沙子は大の字に倒れて起き上がる気配さえ無い。序盤こそペースが掴めず厳しい展開となったが、一旦流れを掴むとそこからは力で押し切って香理奈の完勝となった。初戦では苦戦し危ぶまれたが、準決勝は圧巻の瞬殺KOで仕留めて決勝に向けて視界良好だ。美沙子はイレギュラーに喰らったミドルキックに上手く対応出来なかったのがすべてだった。序盤は自慢のスタミナを生かして優位に進めていただけに残念な結果になってしまった。試合時間はかなり短くなってしまったが、K−1ルールならではと言ったところか。
 
 
第七試合
準決勝の第二試合は長身女優対決となった。身長178cmの石河亜沙美と173cmの左藤江梨子だ。亜沙美は一回戦の肩瀬那奈戦に続いて今大会2度目の長身対決となった。亜沙美の方が5cm高いとあって、自慢のパワーで一回戦の様に押し切れるのか?江梨子は当然初戦の戦いを見てるので対策を練っているはずだ。一回戦が思ったよりも早く終わったので準備が整っているのかも気になる所。『赤コーナー、178cm、83-63-88、石河亜沙美〜』亜沙美は黒のパンツで登場してきた。長身に堂々たる風格を漂わせている。『青コーナー、173cm、90-56-91、左藤江梨子〜』江梨子は青のパンツだ。江梨子は亜沙美の今までの戦いぶりから警戒しているのか緊張感を漂わせている。試練の五番勝負で香理奈の顔面にパンチの雨を降らせて失神させ、明らかな体格差から抵抗できない岩左真悠子を弄んだりと凶悪なファイトを恐れているようだ。しかし、それと同時に自分が倒してやろうという闘争心も感じられる。『カーン』試合が始まった。亜沙美、江梨子ともローキックを打ち合うも間合いを遠くに取りながら様子を見合っている。江梨子はガードを固めながら前に出て、フックで亜沙美のボディーを抉ろうとする。亜沙美は嫌がって前蹴りで距離を取った。長身同士ということで距離が遠い方が組み立てやすいのか、それとも互いの攻撃力を恐れているのかは定かではないが、今の所は距離を取って試合が進んでいる。思い切って亜沙美がハイキックを打っていった。江梨子は避けるもバランスを崩してしまった。178cmの亜沙美のハイキックは江梨子の頭を捉えることは無かったものの流石に打点が高く大きく弧を描いた。亜沙美もハイキックの後体勢を立て直すのでその間に江梨子も体勢を立て直した。ダメージは与えられなかったものの、これで勢いづいたのか亜沙美はテンポよくパンチを打っていく。江梨子はガードしてカウンターで応戦する。バシィィ、亜沙美の左ストレートが江梨子の頬に伸びてきた。江梨子は『やったわね』と言う目つきで睨みつけると右ストレートを打つ。しかし、亜沙美も右ストレートを打ってきた。拳と拳が交錯し合うと両者のパンチが相手の顔を捉えあっていた。亜沙美の方がリーチが長かったのか、亜沙美のパンチの方が深く江梨子の顔を殴っていた。仰け反って倒れる江梨子。江梨子は悔しげに亜沙美を見つめるとゆっくりではあるが、起き上がった。一方の亜沙美もダウンしてないとはいえダメージはあるようで江梨子がダウンしてる間、コーナーにもたれ掛かって体力を回復させていた。それでもまず最初のダウンは亜沙美が奪った。試合が再開されると亜沙美がパンチで攻め立てていく。ラッシュをかけていく亜沙美だが、江梨子のカウンターが待っていた。ボシュ、江梨子のミドルキックが亜沙美のボディーにヒット。「ぐっ」動きを止められる亜沙美。江梨子は押し返してなんとか形勢をひっくり返そうとするが、亜沙美もそう簡単には流れを渡さない。左フックを江梨子の顔面に打っていった。江梨子は右ストレートで応戦する。激しく打ち合う両者。お互いに身体をぶつけあうようにしながらパンチを打っていく。亜沙美は接近する江梨子のボディーを突き上げるように膝蹴りを打った。ドス、江梨子は苦悶の表情を浮かべながら亜沙美の身体にすがりつくようにしながらクリンチした。江梨子は足元がややふらついて長い脚を内股にさせながら踏ん張った。亜沙美は振り払うとすでにファイティングポーズを取っている。江梨子も口からよだれを垂らしながらもファイティングポーズを取った。亜沙美は中央に陣取ってローキックで攻めていく。一方の江梨子はリングを回りながら亜沙美のローキックから避けて攻撃の機会を伺う。亜沙美は勝負に出た。ジャブを打ちながら江梨子を押していくとミドルキックを江梨子のボディーに叩き込んだ。「おえー」江梨子は呼吸が苦しそうだが、ガードを固める。亜沙美は一気に勝負を決めようとパンチを打っていくが、江梨子のガードを破ることができない。いつもなら体格差で一気に相手を攻め落とせるのだが、今日の相手も長身の江梨子と言う事でそうはいかない。徐々にイライラが募る亜沙美は膝蹴りで江梨子の股間を強打した。ボコ、「ぎゃああぁぁぁ〜」股間を押さえながら座り込んで悶絶する江梨子。「亜沙美、反則だ」レフリーは亜沙美を引き離そとすると、亜沙美はやっちまったよ〜という表情で自陣のコーナーに戻った。「ひー、ひー、ひー」江梨子は涙を流しながら痛がっている。反則のため江梨子の十分な回復を待って試合が再開されるが、江梨子は股間を両手で抑えて女豹のポーズになって痛がっている。それでもなんとか立ち上がると試合続行の意思を示した。卑劣な反則を受けても戦う江梨子に賞賛の拍手が送られるが、休養十分の亜沙美が待ち構えていた。亜沙美は試合が再開されるや否や江梨子にパンチを浴びせていく。江梨子は懸命にガードを固めて防ぐ。江梨子がこのラウンドでもう一度ダウンすれば試合終了となってしまう。亜沙美のパンチが江梨子の顔を捉えて江梨子は左右に振られていくが、耐える。『カーン』1ラウンド終了のゴングが鳴った。亜沙美はダウンを一度奪っているものの反則を犯しているのでスコアはほぼ五分か。しかし、ダメージでは雲泥の差がある。亜沙美は余裕の表情でコーナーに座っているが、江梨子はダウンを一回喫しているし、反則で受けたダメージもまだ残っているようで股間をしきりに気にしている。それでもインターバルの時間は決まっている。まもなく2ラウンドが始まる。『カーン』2ラウンドが始まった。休養十分の亜沙美はいきなりハイキックを打っていくが、江梨子は躱した。亜沙美としてはいきなり狙っていったが、江梨子は集中力を保っていた。とは言っても江梨子はまだダメージが残っているのか動きは少なく元気がない。亜沙美もどんどん仕掛けていきたいが、先ほどはハイキックを躱されて攻め手を迷っている。しばらく均衡状態が続くが、体力が回復したのか江梨子がジャブを打ちながら前進してくる。しかし、亜沙美も打たれて目が覚めたのか打ち返していく。江梨子はストレート、亜沙美はフックで相手の顔面を打ち付けていく。バシ、ボコ、互いに頬を赤く腫らしながらも殴り合う。亜沙美のフックが江梨子を揺さぶらせるが、江梨子のストレートが亜沙美の顔面を打ち抜いた。バシィィ、亜沙美の鼻っ柱がへし折るかのように江梨子の右ストレートがヒットした。亜沙美はダウンこそ免れたものの鼻血を流して呼吸が苦しそうだ。江梨子は少しずつだがリズムに乗って動きが出てきた。亜沙美は焦り始めるが、江梨子はミドルキックを亜沙美のボディーに打ち込んだ。ボシュ、「ううぅぅぅ」亜沙美は動きが一瞬止まって苦しんでいる。江梨子は一気に攻めたてようとするも亜沙美がガードを固めてなんとか集中打は許さない。すると今度は亜沙美がミドルキックを江梨子のボディーに叩き込んだ。バシィィ、勢いに乗りかけていた江梨子を止めるには十分な一撃だ。連打こそなかなか出ないものの一発一発が重く消耗戦になってきた。亜沙美は畳み掛けたい所だが、先ほど受けたダメージで動けない。次第に両者動きが少なくなってきた。「ブレーク」ここでこのままでは試合が動かないとレフリーが一旦試合を止めた。レフリーが2人に注意を与える。「いいか、試合をしないんなら2人ともファイトマネーは減額することになるぞ」注意を受けると目の色を変える2人「何なのよ、ちょっと攻め方を考えてただけよ」「そんなに言うんならやってやるわよ」試合が再開されると打って変わって、激しく打ち合う2人。観客は何があったかは知らないが、試合展開が面白くなったので盛り上がっている。互いに先ほどまでとは違い、一発ではなく小さく連打で相手を痛めつけようとしている。バキ、亜沙美のショートレンジのフックが江梨子の顎にクリーンヒットした。目が虚ろになりながらふらつく江梨子。亜沙美はこのチャンスを今度は逃さずに攻め込んでいく。「ふぐっ、あぁー」江梨子は顔面を殴られながらロープ際に追い込まれる苦しい展開になった。バキ、ドカ、亜沙美は徐々に振りを大きくして試合を決めにかかる。江梨子は為すがままにやられてだらしなく口が開いて表情がボーっとしてきた。江梨子はこのままKOされるのかと思いきや最後の最後になりふり構わず右フックを一発打っていった。すると江梨子の右が亜沙美のバストにヒットした。「くっ」亜沙美は思わず仰け反る。「よくもやってくれたわね〜」亜沙美は怒りに満ちた表情を見せると江梨子の両肩を強引に抑え込んで江梨子のボディーを膝で抉っていった。しかし、亜沙美の膝は本人の意図とは異なり江梨子の股間にクリーンヒットしてしまった。ボコ、「うぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー」股間を抑えながら悶絶してうつ伏せに倒れこむ江梨子。グローブで股間を抑える江梨子だが、股間のあたりが血で真っ赤に染まっている。『カーンカーンカーン。ただ今の試合左藤江梨子の反則勝ちとします』どよめく会場。審判団は亜沙美の2度の股間への反則を重く見て亜沙美を反則負けとした。亜沙美は判定にブチ切れてレフリーに詰め寄るが、判定は覆らない。「ふざんけんじゃないわよ〜。こんな寝てるやつを決勝に行かせてもどうせ戦えないでしょ。私にさせなさい!」亜沙美は不満をぶちまけるが、黒服に掴まれて退場させられた。勝って決勝進出を決めた江梨子だが、到底『勝者』とは程遠い姿だ。しかし、一試合のエキシビジョンを挟んで決勝を戦わなければならない。江梨子は血で染まった股間をタオルで押さえながらセコンドの肩を借りて退場した。
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