先日のK−1ビューティーマックスで香理奈が優勝し、紀華に祝福されK−1ベルトまで手にしたのだが、そんな香理奈の栄光に納得していない女優がいた。
その女優とは石河亜沙美である。
亜沙美はトーナメントで不運な反則負けで準決勝で敗退したのだが、まだ納得していないようだ。
「あそこで反則じゃなかったら私が勝ってそのまま決勝も香里奈をボコボコにしてたわよ。あんな生意気な小娘がチャンピオンなんて。太郎もそう思うわよね〜」
亜沙美は恨み節を言うが、息子には優しい目を向ける。
「私がそのことを証明するためにベルトを奪って見せるわ」
 
『石河亜沙美、K−1ベルト挑戦!』このニュースが芸能界に駆け巡ると今度は香理奈がヒートアップする。
「何言ってるのよ!優勝した私が負けるわけないでしょ。でも、挑戦してくれるなら叩き潰せるいい機会だわ」
 
その後も、二人の舌戦は面白おかしく捻じ曲げられた形で報じられ連日ファンを賑わせた。
そして、調印式の日が来た。
亜沙美:あんな安い挑発に乗るなんてよっぽどこの前私にボコボコにされたのが悔しかったのね。
香理奈:反則しないと私に勝てないじゃない。正々堂々とやってみなさいよ
亜沙美:だから今日は真正面からぶつかって勝ってやるわよ。
香理奈:なるほどね〜。それから私がチャンピオンよ!頭を下げて「挑戦させて下さい」って言いなさい。
亜沙美:馬鹿は叩き潰されないと治らないようね。
激高する亜沙美は立ち上がって香理奈を睨み付けると、香理奈も立ち上がった。
互いに歩み寄ると亜沙美が香理奈の胸ぐらを掴んだ。香理奈も掴み返すと取っ組み合いになる。
慌てて止めに入る黒服だが、そう簡単には離れない。
今度は互いの髪の毛を掴み合って顔を擦り合せる。
亜沙美:覚悟しなさい。真の実力の差を見せつけてあげるわ。
亜沙美はそう言い放つと帰って行った。香理奈は亜沙美を睨み返す。
 
 
いよいよ試合の日が訪れた。
2人とも気合十分で早目に会場に到着し控室で汗を流している。香理奈はセコンドに入る先輩の田中麗菜に手伝ってもらいながら入念な準備を行っている。
一方の亜沙美は可愛い愛息子の太郎をあやしながら用意を進める。
「太郎ちゃん。ママはこれから悪者をやっつけてくるから見ててね〜」
笑顔で亜沙美を癒す太郎に亜沙美はうっとりしている。
早くから臨戦態勢に入っている香理奈とリラックスムードの亜沙美。どちらが勝つのか?
 
試合会場は試合前から大盛り上がりだ。
最近昇り調子で先日のK−1ビューティーマックスで優勝し、すっかりファンも増えた香理奈への声援の方がヒールの亜沙美よりも遥かに多い。
悲しい事に亜沙美の心優しさを知るファンは少ないようだ。
『赤コーナー165cm80−57−88、香理奈〜』
『青コーナー178cm、83-63-88、石河亜沙美〜』
選手コールがされると両者リングに入場してきた。香理奈はK−1ビューティーマックスで優勝した時と同様に青のパンツをはいて登場してきた。セコンドに入る先輩の麗菜に連れられての入場だ。
亜沙美は黒のパンツにはいて登場してきた。子供と手を繋いで和やかな雰囲気だ。
目が据わっていて殺伐とした雰囲気の香理奈とは対称的だ。
共にトップレスで綺麗なバストが露わになっていて、ボディーも今日のために鍛えてきたことが伺える。
観客も亜沙美が子供を連れて爽やかに入場してきたので、これまでのラフファイトのイメージから少し戸惑っている。
亜沙美もわざわざ子供連れで来たということは今日はラフファイトはしないという意思表明なのか?
しかし、リングに入って香理奈と相対すると鋭い目つきで睨み付ける。
『カーン』
試合が始まった。
開始早々、香理奈がローキックで亜沙美の脚を潰しにかかる。
亜沙美は痛がるが、すかさず打ち返す。
さらに、亜沙美は踏み込んで右ストレートを打っていくもこれは香理奈にガードされた。
今度は香理奈がミドルキックを打つと、亜沙美はグローブで抱え込むようにしてキャッチすると突き放した。
ここで、一旦距離が離れて試合が落ち着く。
じっくり様子を見る二人。
試合が膠着しているように見えるが、香理奈と亜沙美が睨み合うので緊張感が出ている。
この均衡を破ろうと亜沙美が前に出てパンチを打っていくが、これは不用意だった。ガードをしっかり固めた香理奈のカウンターが亜沙美の顔面にヒットした。
バキ、頬に香理奈のパンチがクリーンヒットするとふらつく亜沙美。
以前対戦した時よりも香理奈のパンチが重たくなっているのに驚く亜沙美。それでも亜沙美は持ちこたえた。
香理奈はバランスを崩しかけている亜沙美に畳み掛けようとテンポ良くパンチ、キックを繰り出す。
しかし、長身の亜沙美を倒すのは容易では無く、逆に、亜沙美が応戦してきた。
リング中央で激しくぶつかり合う両者。
ドン、バキ、ドカ、
亜沙美のハイキックが香理奈の側頭部にヒット。
すると今度は香理奈のパンチが亜沙美の顔面を捉える。
「ふぎゃー」亜沙美は鼻を強打され涙目になるが、すぐさまパンチを打ち返す。
ドス、「うぐぅぅ〜」
亜沙美のアッパー気味のパンチが香理奈のボディーにクリーンヒットした。
お腹を抱え込むようにして苦しむ香理奈。
ここは一旦堪えた香理奈だが、亜沙美が香理奈のボディーにフック気味にワンツーを打ってコーナーに追い込むと強引に抱え込むようにしてボディーに膝蹴りを打ち込んでいく。
ドス、香理奈のボディーが串刺しになり、マウスピースを吐き出して涎を垂らしながらも腹筋を入れて耐える。
亜沙美がこのエグい膝蹴りを飛び込むようにして香理奈のボディーに連打してきた。
「あうぅぅぅぅー」股を拡げてコーナーにもたれかかるようにして香理奈がダウンした。
香理奈は苦悶の表情を浮かべながら悔しそうに亜沙美を見上げる。
亜沙美はダウンした相手に攻撃を加えて反則負けを喰らったこともあったが、ここは子供の方にガッツポーズをしてアピールするだけでコーナーに戻った。
カウントが進むが、香理奈は立ち上がってファイティングポーズを取った。
亜沙美は試合が再開されるや否やすぐさま香理奈のボディーを狙っていくが、香理奈が冷静に前蹴りで距離を取って追撃を許さない。
亜沙美は長い脚を生かしてミドルキックでボディーを狙うが、香理奈もミドルキックを打ってきた。
ここは香理奈が打ち勝ったのか、亜沙美が、ややバランスを崩した。
すると香理奈は亜沙美のバスト目掛けて飛び蹴りを放った。
ボシュ、香理奈の足の裏が亜沙美の美乳に食い込むようにヒットすると亜沙美は勢いに押されてダウンした。
「ママー、ママー、大丈夫」セコンドから子供が叫ぶが、亜沙美は悲痛な表情を浮かべて喘いでいる。
「ひーひー、いたぁい」足をばたつかせて痛がる亜沙美だが、子供の前で無様な姿は見せられないと懸命に立ち上がる。
まだダメージはあるようで胸をさすっているが、それでも起き上がった。
「痛いじゃないの!今に見てなさい」亜沙美が怒鳴る。
亜沙美は怒りのあまりパンチを大振りに振り回していく。
香理奈はガードして落ち着いて対応しようとするが、ガードしきれず亜沙美のパンチが何発が当たったので、香理奈もヒートアップして打ち合いに応じる。
再び、リング中央でぶつかり合う両者。
なりふり構わず相手を倒そうと打撃をノーガードで打ち込んでいく。
汗が飛び、鍛えたボディーが妖艶に光り、いい展開になってきたが、ここで1ラウンドの終了を告げるゴングが鳴った。
『カーン』
ゴングが鳴った後も両者は少しの間打ち合うが、反則を恐れたセコンドから指示が飛ぶと両者すぐに離れた。
1ラウンドは両者一回ずつダウンする激しい展開となった。香理奈は腹、亜沙美は胸を痛めているが、このインターバルでセコンドから手当を受けている。痛々しさが残るものの2人は対角線のコーナーにいる相手を睨み合っていて緊張の糸が切れない。
『カーン』
2ラウンドが始まった。
1ラウンド終盤のような攻防が期待されたが、まずは静かな立ち上がりだ。
香理奈がジャブを打って前に出ると亜沙美はガードを固めてしのぐ。
亜沙美の固いガードを崩せず、仕方なく後退する香理奈。やはり身長差を埋めるのは容易では無い。
亜沙美がローキックを打ってくるが、香理奈は躱してローキックを返す。
ヒットはしたもののジャストミートではなく効果は薄そうだ。
互いに有効打を出せないまま時間だけが過ぎていく・・・・・・。
この展開を破ったのは亜沙美の強烈なミドルキックだ。
バキッ、香理奈の脇腹にクリーンヒットすると香理奈は苦悶の表情を浮かべている。
さらに亜沙美はバランスを崩した香理奈の顔面に豪快な右ストレートを見舞った。
ドカ、亜沙美のグローブが香理奈の顔面にめり込むようにヒットすると香理奈は大の字になって倒れこんだ。
香理奈は目を虚ろにさせながら、仰向けに倒れている。出血こそないものの頬に大きな痣が出来てしまった。
香理奈はフラフラになりながらも立ち上がってファイティングポーズを取る。
亜沙美は一気に勝負を決めようと猛然と香理奈に向かっていった。
体格差を生かして香理奈を一気にコーナーに追い詰めようとする亜沙美だが、今度は香理奈のミドルキックが待っていた。
バキ、ノーガードで喰らった亜沙美は”しまった”という表情を浮かべる。
亜沙美がふらついているが、香理奈も先程のダメージが大きくすぐには攻勢に出れない。
両者共に息が上がっているが、それでもまだまだ戦いは続く。
香理奈が仕掛けると亜沙美がそれに応えて打撃戦となる。
リング中央で己のプライドを賭けてぶつかり合う両者。
香理奈がハイキックで亜沙美の頭を狙うが、亜沙美は躱すと接近戦でコンバクトなワンツーで1ラウンドに痛めつけた香理奈のボディーを叩いた。
「う、う、」香理奈は喘いで亜沙美にもたれかかるようになるが、もうダウンは許されない。
亜沙美は自分にもたれかかった香理奈のボディーを膝蹴りで突き上げようとするが、香理奈が先に亜沙美のバストにパンチを入れて制した。
香理奈はまたしてもハイキックを打っていった。亜沙美は躱すが、ハイキックに拘る香理奈がすぐさま態勢を立て直してハイキックを打つ。
ドン、亜沙美の側頭部にヒットすると亜沙美はふらついている。
そこに畳み掛けるように香理奈はハイキックを豪快に撃ち抜いた。
バァーン、うつ伏せに倒れこむ亜沙美。亜沙美も2度目のダウンだ。
香理奈は現在K−1ルールでは4戦4勝4KOだが、ほとんどのダウンを奪っているのがハイキックだ。
香理奈もハイキックには絶対の信頼を置いているのかこの厳しい場面でハイキック一本で勝負してきて打撃戦を制した。
勝利を確信する香理奈だが、亜沙美もこの勝負は負けられないと鬼のような形相で起き上がってきた。
あまりに怖い顔をしてるので亜沙美側のセコンドが子供の目を覆った程だ。
亜沙美が怒りの形相で突っ込んでくるが、香理奈も気迫を出して応戦する。
亜沙美が前のめりになりながらパンチを打っていくと香理奈もミドルキックで応戦する。
今度は香理奈がパンチを亜沙美の顔面を目掛けて打つが、亜沙美は膝蹴りで香理奈のボディーを抉っていく。
『カーン』
2ラウンドが終了した。両者共にフラフラでコーナーに戻るとバタリと座り込んだ。呼吸も荒くセコンドに滴る汗を拭いてもらいながら最終ラウンドに備える。
香理奈:ハァハァハァ、きつい。
麗菜:これで最後よ。頑張るのよ!
香理奈:ハイ!絶対やってやるわよ。
香理奈は威勢良く先輩の檄に応えると闘志をさらに燃やしてリングへ向かった。
亜沙美:はぁはぁはぁ、ママ、もう限界よ。
太郎:頑張ってー、ママー
亜沙美:ありがとう
亜沙美は子供の声援にうっとりする。疲れも取れたのか?再び戦いの場へ向かった。
『カーン』
勝負の最終ラウンドが始まった。両者共にダウンを喫した時点で負けとなる。
先に出て行ったのは香理奈。
ジャブで前進して攻撃の糸口を探っている。
亜沙美は引き付けて膝蹴りで香理奈のボディーを抉った。
ヒットするが、香理奈は持ちこたえて左ストレートを亜沙美のバストへ打っていった。
この時間で香理奈にこれだけ体力が残っている事に驚く亜沙美。
観客から香理奈コールが沸き起こると香理奈が乗ってきた。
香理奈が打撃を打って激しく亜沙美を攻めたてていく。
亜沙美も反撃しようとするが、もはや体力があまり残ってないのかキレが無く、なんとかガードして凌いでいる。
香理奈はドンドン攻めるが、流石に決定打を打ち出せるほどの威力のある打撃は打てず、倒せない。
亜沙美は手数は出せないので香理奈のボディーに的を絞ってパンチを打っていく。
亜沙美の攻撃は香理奈のフットワークですべて躱されてしまう。
香理奈はセコンドからの指示なのかこのラウンドはフットワークを使い、動き回って主導権を握っている。
一方の亜沙美は動きが鈍くなってきて動き回る香理奈に対応しきれない。
年齢の差がスタミナの差となって出てきてしまっている。
攻撃を受けなくても喘ぐように呼吸をして苦しそうな表情を浮かべる両者。
亜沙美はこのままでは分が悪いと最後の力を振り絞って前に出てきた。
かなり強引な策だが、体格差を生かして香理奈を捉えてロープ際に押し込めそうだ。
しかし、香理奈も最後の力を振り絞って打撃戦に応じる。
リング中央でパンチとキックと汗が飛ぶ。
バシ、香理奈の左ストレートが亜沙美の頬を捉えるが、亜沙美は堪える。
ドス、今度は亜沙美の膝が香理奈のボディーを打つが、香理奈は踏ん張った。
死力を尽くして打ち合う香理奈と亜沙美。
互角に打ち合っていたが、手数で上回る香理奈が徐々に亜沙美を押し始めた。
バン、香理奈のミドルキックが亜沙美のボディーにヒットすると一瞬動けなくなる亜沙美。
さらに、香理奈の打撃が2,3発当たると亜沙美は後退を余儀なくされコーナーに追い詰められる。
香理奈が追い打ちをかけていくと亜沙美も必死に反撃する。
香理奈は激しく亜沙美を攻めたてるが、亜沙美も懸命のガードで防いでいる。
亜沙美はガードを固めてからのカウンターを狙っていくが、香理奈の勢いは止まらずドンドン押し込んでいく。
『カーンカーンカーン』
試合終了を告げるゴングが鳴った。
ゴングが鳴った後も我を忘れて両者が殴りあうので慌てて止めに入るセコンド。
試合の行方は判定に持ち込まれる事となった。
まだ、リング上は熱気が凄いものの2人とも冷静さを取り戻して運命の判定を待っている。
共にダウンを2回ずつ喫しておりほぼ互角の戦いだ。ただ、3ラウンドはダウンは奪えなかったものの香理奈優勢で試合が進んだことと、観客が香理奈寄りであったことを考えると香理奈が有利か?
いよいよ判定が発表される。
試合前は強気だった両者もこの時ばかりは祈るような思いで判定を聞いている。
『一人目、26−25、赤、香理奈』一人目は香理奈に入った。互いにダウンを2度喫してるのでロースコアだ。
一人目のジャッジが終わった時点で笑みを見せる香理奈と落胆の色を隠せない亜沙美の対照的な表情が印象に残る。
『二人目、26−24、赤、香理奈』この時点で勝利が確定し喜びを爆発させる香理奈。一方の亜沙美はふてくされた顔で明らかに判定に不満顔だが、子供の目があるので感情が爆発するのを堪えている。
『三人目、25−24、赤、香理奈』3−0で香理奈の初防衛が決まった。
香理奈はふらつきながらもセコンドに肩車をしてもらうと歓声に応えてガッツポーズをしている。
香理奈はベルトを巻いて一通りリング内を回ると、香理奈は健闘を讃え合おうと亜沙美に握手を求めた。
この試合は3ラウンドを戦い抜きKO決着とはいかなかったものの4度のダウンシーンがあり試合展開も非常に盛り上がりを見せた。何よりも反則が一度もなくクリーンな試合展開だった。
にもかかわらず、試合に負けた事がよほど悔しかったのか、それとも判定に不安があるのか試合後に香理奈に握手を求められても振り払ってリングを去って行った。
香理奈は亜沙美の応対にムッとするが、やはり勝利はそれほど気分の良いものなのか?気を取り直して再び観客にアピールしてリングを去った。
 
 
《香理奈サイドの控室》
香理奈の控え室は歓喜に沸いている。
セコンドに入った麗菜に加えて、香理奈にK−1ベルトを託した藤原紀華も祝福に駆け付けてお祭り騒ぎとなている。
何といっても初防衛を果たしただけでなく、試練の5番勝負で敗れた亜沙美相手に真っ向からぶつかって勝利したことに、香理奈は一番満足している。
「ヤッタわ。やっとあの女を倒してやったわよ」
香理奈は充実した表情で、そう言うと紀華が口を開いた。
「よくやったわよ。完全に勝ってたわ。今日のファイトは凄かったわよ。」
同じくK−1を専門とする憧れの先輩からべた褒めされて表情が緩む香理奈は幸せそうな表情を浮かべながら麗菜のマッサージを気持ち良さそうに受けている。
 
 
《亜沙美サイドの控室》
セコンドに肩を貸してもらいながらフラフラになりながら控室に戻る亜沙美。
「くっそー、負けるなんて情けないわ。太郎ちゃん、弱いママでごめんね」
ボロボロの母の姿に圧倒される太郎。
「ママ、控室で着替えたらすぐに帰るから先に車に乗っといて」
亜沙美はそういうと太郎に車の鍵を渡して先に帰らした。
そして、亜沙美が控室に戻ると亜沙美の予想通り、椅子にふんぞり返って座る主催者と主催者の膝の上で寝そべる米蔵涼子が待っていた。
主催者:亜沙美、今日の試合は何だったんだ?契約と違うぞ!
亜沙美:私だってヒールじゃなくて正統派のファイトをしたいわ!
主催者:馬鹿野郎。今日のお前との契約はラフファイトで香理奈をボコボコにしてベルトを取ることだろ。それから自分の立場を考えろ!女優としては衰えてきてるのに長身でパワ             ーがあるってだけでリングで使ってやってるんだぞ。
抗議を聞き入れられず、涙ぐむ亜沙美。
涼子:まあ、私が亜沙美を使いなさいって言ったんだけどね〜
主催者:そうだったな。可愛い涼子の頼みなら逆らえんな。
主催者はそう言うと涼子の体を触りだした。
涼子:私の身体はどうかしら?
主催者:最高だ。お前の体は最高にいいぞ。
涼子:可愛がって頂いてどうも。でもちょっと衰えたでしょ。もう前みたいにフル回転で試合をこなして観客を満足させれないわ。疲れた身体で戦って無様にも負けるなんて恥ずかしいわ。
主催者:試合で負けてダウンする涼子も可愛いよ。
涼子は少しイラッとするが、気を取り直した。
涼子:馬鹿ね〜。興行を見に来たお客さんの反応の事を言ってるのよ。これまでは紀華と私で盛り上げてきたでしょ。でも最近は二人とも衰えてきたし、カードもマンネリだわ。これはムカつくけど紀華も珍しく私と同意見よ。
主催者:イヤ、紀華に挑んで悉く負ける涼子はいつの時代でも可愛い。
涼子:いい加減にしないと怒るわよ。
しかし、涼子は発言とは反対に主催者に体を支配されていく。
主催者:これだけ体を支配されて私に刃向えるのはお前だけだ、涼子。試合では紀華に勝てなかったが、私の評価では涼子の方が上だ。
涼子:それは光栄だわ。でもね、前も言ったように新しいエースが必要だわ。そのために香理奈の試合をたくさん組んでるんでしょ?香理奈がエースに育てば、試合は香理奈に任せて私は今までよりもたくさんアナタの相手をすることができるわ。
主催者:おぉ〜、そうだったな。
亜沙美:私はどうなるのよ!
涼子:もちろんあなたのためにも考えて上げてるわよ。亜沙美は子供がいるけど、最近女優業が不調でしょ?だからたくさん試合を組んであげてるのよ。そうすればファイトマネーは入るでしょ。私だって女だからね、やっぱり母親が子供を育てるのにお金の事で悩むのは不憫だわ。でも今日は契約違反だからファイトマネーはお預けね。
主催者:そうだな。今日は二人で飲みに行こうか。
亜沙美:待ちなさいよ。そんなの聞いてないわよ。
主催者:黙れ!
主催者は泣きながら縋り付く亜沙美を蹴り飛ばすと涼子を連れて夜の街に消えた。
涼子:心配しないで、亜沙美のために次のカードはちゃんと考えて上げるから。
 
2人が去った控室で茫然とする亜沙美。
「なんなのよ!!涼子もあのオヤジも絶対に許さないからね。ぶっ殺してやるわ!もちろん香理奈なんて叩き潰してエースになんかさせないわ」
亜沙美は怒り狂っている。今後のバトルで亜沙美が爆発しそうな予感がする。
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