5日目
いよいよ五番勝負の最終日となった。今日の香理奈の対戦相手は身長178cmの石河亜沙美だ。実はこの2人は過去に対戦したことがあり、1回目は亜沙美が香理奈の顔面をボコボコに殴り快勝も2回目は香理奈がリベンジを果たした(すいませんMFマニアさん。地下リングの展開使わせてもらいます)。そしていよいよ今日が三度目の対戦となるわけだが、亜沙美側が何を発表するかは定かでは無いのだが共同記者会見を試合の3時間前に開きたいと言い出した。香理奈側も受け入れ共同会見が実現することになり、その時を迎えた。長テーブルの真ん中に主催者が座りその右側に亜沙美、左側に香理奈が座った。さっそく亜沙美が切り出した。「単刀直入に言うけど、あんたはそんな身体で私と戦えるの?」「余計なお世話よ。この前は私が勝ったでしょ」香理奈も言い返すが、亜沙美の言うとおり香理奈の身体は目に見える所だけでもかなり痣がある。「強がってんじゃないわよ。どう考えてもまともに試合なんかできないだろ、それともしょうもない試合をさせて私に恥をかかせるつもり?それからこの前は勝ったって言うけどあれは私が妊娠明けでスタミナ不足だったからよ」亜沙美が香理奈を完全に馬鹿にしたような口調で言うと、さらに続けた。「私に考えがあるわ。あなたのコンディションが良くなるように1週間待って上げるわ」亜沙美は意外にも配慮ある提案してきた。しかし「別に待ってもらわなくても結構よ。コンディションが悪くて負けたとかいう言い訳するのはあなただけよ」香理奈は拒否するとさらに亜沙美を挑発していった。これにはさすがに亜沙美がキレた「せっかく私が救いの手を差し伸べてやったのに、何様のつもりよ。今度こそあんたの顔面を叩き潰してやるわ。覚えときなさい」亜沙美が吠えると香理奈も言い返す。「あんたこそ気をつけなさいよ、子どもに見せられないような顔にして上げるわ」両者立ち上がって睨み合う。
緊張感が走るが、とりあえずその場はそれ以上何事も起こらず収まった。そして試合開始の時刻になった。青コーナーから黒のスポーツビキニ身に纏って香理奈が現れた。セコンドの米蔵涼子も一緒だ。そして赤コーナーから石河亜沙美が登場してきた。亜沙美も黒のスポーツビキニだ。面白い事に亜沙美のセコンドに涼子と後日ベルトをかけて対戦予定の天海祐季がつくようで、亜沙美と一緒に出てきた。リング中央で香理奈と亜沙美、涼子と祐季が睨みあう。「香理奈、絶対勝つのよ。私も全力でサポートするわ」「亜沙美、叩き潰してあげなさい」『カーン』ゴングが鳴った。激しいやり取りから開始早々殴りあいが始まると思いきや、意外にも静かな立ち上がりだ。亜沙美はリング中央で構えるが、香理奈は亜沙美の回りを回りながら様子をうかがっている。香理奈はタックルで倒しに行こうとするが、亜沙美はローキックで牽制するので踏み込めない。しかし埒が明かないと香理奈が強引にタックルに行った。これは強引すぎた。亜沙美は落ち着いて潰すとうつぶせになった香理奈の上に覆いかぶさった。亜沙美は香理奈の脇腹にパンチを打っていく。亜沙美は優位な体勢からパンチを打つが香理奈が下から揺さぶりをかけるので押さえつけて体勢を維持するのが精一杯だ。次第に亜沙美の手数が少なくなってきた。ここでレフリーがスタンディングから始めるよう指示した。亜沙美は苛立ち気味だ。亜沙美が踏み込んで大振りなパンチを打ってきた。香理奈はかわすとカウンターを亜沙美の顔面に当てた。「痛い。やってくれたわね」亜沙美も殴り返す。バシッ、「ぐっ、痛い」香理奈も意地になって殴り返す。両者ともに相手の顔面を破壊しようと殴りつけていく。「この前私に顔面ボコボコにされたのを忘れたのかしら」「うるさい。今度はあんたの顔面をボコボコにしてあげるわよ」リング中央でほぼ互角に殴りあう両者。亜沙美がパンチ一辺倒なのに対して、香理奈はパンチに時折キックを打つなどして変化をつけている。徐々に香理奈は亜沙美のパンチを見切り始めた。香理奈は亜沙美のパンチをかわして自分の打撃を亜沙美に当てていく。香理奈のテンポのいい攻撃に亜沙美は段々コーナーに追い込まれていった。「馬鹿ねぇ、そんな単調な攻撃当たらないわよ」香理奈は亜沙美をコーナーに追い詰めると亜沙美の両肩を掴んで膝蹴りを入れた。ボシュ、苦悶の表情を浮かべる亜沙美を見てニンマリする香理奈だが、大柄な亜沙美を掴んだのは裏目に出た。亜沙美は苦しそうにしながらも香理奈の両肩を掴むと膝蹴りを打った。「うぅ〜、おえー」亜沙美の体格で膝蹴りを打つと凶器も同然で香理奈は涙目になりながらうずくまる。尚も立て続けに亜沙美は香理奈のボディーに膝を入れていく。「おらおら、どうした?さっきまでの元気はどこにいったのよ」このままでは身体が持たないと香理奈は亜沙美を倒しにかかる。激しく2人は互いの身体をぶつけあうが、亜沙美にがっちり組み付いた香理奈に亜沙美は時折膝蹴りを入れると香理奈は苦しそうに嗚咽を漏らす。亜沙美は主導権を握ると香理奈の身体を揺さぶり始めると、香理奈も懸命についていくが亜沙美のパワーの前に倒れてしまった。亜沙美は力づくで押さえつけるとマウントポジションを奪った。「くそー、馬鹿力なんだから。あんた本当に女なの?本当は男なんじゃない」「負け惜しみかしら。立派な女よ、覚悟しなさい今からあんたの顔面を潰してあげるわ」亜沙美は香理奈の顔を殴ろうとするが、香理奈は亜沙美の両手を掴んで防いでいる。亜沙美は力の差を誇示するかのように香理奈の両手をリングに押し付ける。亜沙美は痛めつけようと手に力を入れていく。香理奈もバンザイの体勢で不利ではあるが負けじと力を入れて応戦する。押さえつける亜沙美に香理奈は起き上がろうと全力で力と力の真っ向勝負を挑む。香理奈は鼻息が荒くなってきたのに対して亜沙美はしっかり香理奈を押さえつけて上から高笑いする「おーほっほっほ、無理に決まってるじゃない」亜沙美は香理奈の手を押さえつけたまま身体を浮かせてヒップを香理奈のボディーに落としていく。「何してるのよそんなの全然効かないわよ」香理奈は挑発していく。「生意気言うわね。お望みどおりやってやるわよ」亜沙美がさっきよりも高くヒップを上げるとその隙に香理奈は亜沙美の尻を蹴り上げた。「ひっ」亜沙美は驚いて無防備な体勢になると香理奈は亜沙美の股間を下から突き上げるように殴った。亜沙美は悶絶しながら倒れこむ。ここで一旦レフリーが試合を中断した。チャンスとばかりに攻撃に行こうとしていた香理奈は不満そうだ。亜沙美も中断は要らないと言わんばかりにすぐにファイティングポーズを取った。香理奈が素早く亜沙美に向かっていった。打撃戦に持ち込もうと積極的にパンチを亜沙美の顔面に浴びせていく。亜沙美も応戦すると激しい打撃戦になった。得意の打撃戦になった香理奈だが、連戦の疲労からか早くも疲れてきているようで、亜沙美のパワーに押されている。香理奈の打撃が精彩を欠いているのに対して、亜沙美の伸びるようなパンチが香理奈の顔面を捉えていく。香理奈はガードしてカウンターを狙うが、亜沙美のパンチはやや大振り気味も的確にダメージを与えてくるのでなかなかカウンターのチャンスが来ない。そうこうしてるうちに亜沙美のパンチが香理奈を消耗させていく。「ガードばっかりじゃ勝てないわよ。ちょっとは打ってきなさいよ」亜沙美の挑発にも香理奈は身体が消耗してきて返す気力もない。ドン、疲労で集中力を欠き始めてガードが甘くなった香理奈の顔面をまともに捉えた。香理奈は大きくのけぞるとコーナーにもたれかかってダウンを防いでいる、そこを亜沙美は見逃すはずも無く追いかけてラッシュをかけていく。亜沙美は試合前の宣言通り香理奈の顔面に的を絞ったようだ。ダウン寸前の香理奈は意地でも負けまいと必死にパンチを返すが、あまりにも弱弱しいので亜沙美はガードすることなく香理奈の顔面にパンチを打ち続ける。香理奈の頬は赤く腫れてきて、鼻血も出てきた。香理奈は亜沙美の前にひれ伏すかのように崩れ落ちた。カウントが始まった「ワン、ツー、スリー、・・・・シックス」亜沙美はリング中央で両手を突き上げてガッツポーズをしている。しかし、香理奈はなんとか立ち上がった。香理奈は頬は真っ赤に腫れ上がり、目は回りが腫れ上がって黒くなっており、口からは血が滲み出て、おびただしい量の鼻血が出ているが、ボロボロになりながらもファイティングポーズを取って亜沙美を睨みつけた。またしても激しくリング中央で二人はぶつかり合った。亜沙美は再び香理奈の顔面にパンチを浴びせていく、香理奈も一歩も引かずに立ち向かっていく。香理奈は執念を見せるが、亜沙美との力の差は歴然だった。亜沙美は気持ちだけで向かってくる香理奈を殴り飛ばすようにして倒すと、香理奈の腹の上に尻をどっかりすえて簡単にマウントポジションをとった。スタンディングでもこれだけダメージがあるのに上から拳を振り落とされたら、女優業を続けられない顔になってしまうと、香理奈は亜沙美の手を必死の思いで掴んでこれ以上顔を破壊されないようにしている。亜沙美は香理奈の手を強く握り締めると、リングに香理奈の手を押し付けた。ここまでは先ほどと同じパターンだが、今度は香理奈は疲弊して握り返す事ができないようで、為すがままに押さえつけられている。「ここからがお祭りよ。本当の恐怖を味わいなさい」亜沙美はそう言うと、左手で香理奈の右手を押さえたまま、右足で香理奈の左腕を押さえにかかった。香理奈は亜沙美がなにをしようとしてるのかわかり抵抗する。香理奈の抵抗も虚しく亜沙美の長い脚が香理奈の左腕を巻きつくようにして抑えた。香理奈は恐怖で顔がひきつるが、亜沙美はその香理奈の顔をフリーになった右手で上から殴りつけた。ドンッ、香理奈の右手は亜沙美の左手で、香理奈の左手は亜沙美の右足で押さえられていてガードすることすらできない。「あんたの顔面、本当にグチャグチャにしてあげるからね」躍動感溢れる亜沙美のパンチを無防備な状態で顔面に受けて香理奈の顔を無惨にも破壊されていく。香理奈は必死に左手でガードしようとするが、依然として亜沙美の右足がしっかり巻きついているのでガードできず、むしろ哀れに見えてくるだけだ。亜沙美は容赦なく香理奈の顔面を殴っていく。香理奈の顔は頬がさらに腫れあがり、目が虚ろになり口がだらしなく半開きになっている。ボシュ、亜沙美のパンチが香理奈の顔面にめり込むように入るとそれまで耐えてきた香理奈が悲鳴を上げながら泣き出した。「やめて〜、顔はもうやめて」あまりに残酷なのでここでレフリーがゴングを要請した。『カーンカーンカーン。勝者:石河亜沙美』ゴングが鳴って勝者のコールを受けても尚も泣き叫ぶ香理奈の顔を殴り続ける。それどころかオープンフィンガーグローブを脱ぎ捨てて香理奈の顔をとにかく殴り続ける。セコンドの涼子が止めようとリングに出てきた。「もうやめなさいよ。勝負は着いてるじゃない」「うるさいわね。私はこの女の顔をグチャグチャにするまでやめないわよ」涼子は亜沙美を蹴り飛ばした。ドカッ、亜沙美を止めようとした涼子の後頭部を祐季が香理奈を逝かした鉄パイプで殴打した。頭を抱えてリング外に転げ落ちる涼子を追いかけていく祐季。涼子は頭から血を流しながらも香理奈を助けようとリングに戻ろうとするが、祐季に捕まってしまった。「タイトルマッチの前哨戦といこうかしら」「今はあんたにかまってる暇は無いわ。どいてよ」強引に振り払おうとするが、祐季は涼子にスリーパーをかけた。香理奈はふらふらななりながらもロープに寄りかかりながら起き上がるが、亜沙美がすぐさま捕まえた。亜沙美は香理奈の髪の毛を引っ張りながら花道に出た。花道で観客にアピールしながら亜沙美は香理奈のビキニを脱がしていった。香理奈は調子に乗って観客にアピールする亜沙美を後ろから蹴り飛ばすと、香理奈もオープンフィンガーグローブを外した。観客席に落ちた亜沙美は怒り心頭で花道に上ると香理奈の顔面を殴った。香理奈も殴り返すが、勝負はすぐについた。亜沙美のパンチが香理奈の顔面に入ると、香理奈は泣きそうになりながら顔をおさえている。「いくら可愛い子ぶってもだめよ」亜沙美は香理奈の首を抱えながら登場ゲートの所までいくと香理奈を顔から壁に叩きつけた。コンクリートの壁に顔をぶつけられ足をばたつかせながら顔をおさえて苦しむ香理奈。「そうだわ。あなたのためにスペシャルマッチを用意したんだけどどうかしら」パチン、亜沙美が指を鳴らすとリングが解体され、下から金網のリングが出てきた。金網というよりは動物園で猛獣を入れている鉄格子の檻のようだ。亜沙美は鉄格子の中に香理奈を入れると鍵を閉めた。「どうするのよ。このデカ女」「決まってるわよ。今からここで私達の大好きな殴り合いをどちらかが倒れるまでやるのよ。それとも逃げ出そうって言うの」「上等よ。やってやるわよ」亜沙美が左手で香理奈の髪の毛を掴むと、香理奈も左手で亜沙美の髪の毛を掴んで、両者が顔と顔とを向かい合わせて睨みあっている。「始めるわよ。あなたから殴りなさい」亜沙美が言うと、香理奈が一発殴った。「うっ、やるわね」亜沙美も一発殴った。香理奈の顔はすでにボロボロになっているがそれでも耐えた。その後も香理奈と亜沙美は交互に殴り合っていく。身長差からか香理奈が亜沙美に上向きにパンチを打つのに対して、亜沙美は下に叩きつけるように打てるのに加えて、香理奈の方が元々相当ダメージを負っていた事もあり次第に香理奈の動きが鈍くなってきた。亜沙美は香理奈の顔を左手でひきつけて右手で伸びるようなパンチで香理奈の顔面を破壊していく。香理奈は段々手数が少なくなってきた。「もう終わりかしら。たいした事なかったわね」「うるさい!」香理奈は渾身の一撃を打つが、亜沙美は耐えると香理奈の顔面に強烈な一発を打つと、香理奈は白目を剥いて失神してしまた。香理奈は最後に意地を見せたが力尽きて亜沙美の頭を掴んでいる左手を離して両腕を後ろにぶらぶら垂らして、頭は亜沙美に掴まれているので立っているが、それはただ亜差美にとって殴りやすくなるだけだ。亜沙美は無抵抗の香理奈を尚も殴り続ける。ドカ、今まででも一番強烈な音がすると香理奈もかろうじて意識があるのかそれとも本能からか顔を押さえるような仕草をするが、亜沙美はかまわず殴り倒した。仰向けに力無く倒れている香理奈の顔面を踏みつけてアピールすると、失神している香理奈がなんとも悔しそうな表情を浮かべているように見える。「私に逆らう女はみんなこうなるのよ。覚えときなさい」会場に視察に来ていた女優・アイドル陣は凍りついた。亜沙美は鉄格子から出ると祐季と一緒に花道を通って帰っていった。涼子は額から血を流しながらも香理奈にかけよった。「頑張ったわよ、よく耐えたわ。今日は負けたけど強くなったわよ」涼子は香理奈を励ますと、香理奈を背負って控え室へ帰っていった。こうして香理奈五番勝負は幕を閉じた。最終成績は2勝3敗と負け越すも第二戦以外はどの試合も白熱した試合となり、香理奈にとってはいい経験をつめたのではないでしょうか。幸いにも亜沙美にボコボコにされた香理奈の顔も優れたドクターのおかげで、女優業にすぐに戻れるようになった。これからも一皮向けた香理奈に期待したい。
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