女優・アイドルで争われるクイーンベルトが創設された。このクイーンベルトを持っていれば、それだけで億単位の金が得られるとあって女優たちが血眼になってベルトを取りにくる事が予想される。ルールは王者側が設定(プロレス、K-1,総合など)し、それを協会が受理すれば試合となる。本日は初代クイーンベルト女王決定戦なので、協会側が決定しプロレスルールとなった。対戦カードは米蔵涼子×天海祐季のベテラン同士の対決となった。初代女王はどちらになるのか注目が集まるところだ。すでに両コーナーにそれぞれ涼子と祐季はウォーミングアップをしながら試合開始を待っている。身長168cmの涼子に対して173cmの祐季はやや有利と言えるが、先日行われた香理奈とのシリーズでは両者とも勝利を収めたものの、試合内容は涼子の方が良かったのは確かだ。『カーン』今、試合が始まった。まずは、両者相手の様子を見合っている。しびれを切らしたのか祐季が組み付いてロープ際まで押し込んでいった。バシィィ、ロープブレイクの際、祐季がチョップを涼子の胸に打ち込むと涼子の胸がプルプルと振動するが、涼子の目が鋭い目つきに変わった。今度は涼子が張り手を打った。祐季も張り手で返すと、張り手の打ち合いになった。大柄な2人の張り手合戦に興奮する観客。序盤からこれでは持たないと祐季が膝蹴りを入れるとたまらず涼子は場外にエスケープした。祐季も追いかけていくと鉄柵に振ろうとするが、逆に返されて祐季が鉄柵に打ち付けられた。ガシャーン、涼子は続けざまにDDTで祐季の頭を打ち付けて、涼子は先にリングに戻った。祐季がリングに戻ってくると、涼子は祐季の髪の毛を掴んでコーナーに打ち付けた。涼子は座り込んだ祐季の顔面を蹴っていった。これには祐季が怒って立ち上がった。2人は額を付き合わせながら睨みあっている。お互い髪の毛をつかみ合うと額と額を付き合わせたまま押し合っていく。もみ合ったままロープにもたれかかると倒そうと足をかけあうと、ここは身長差がものを言ったのか祐季が大外刈りのようにして涼子を倒した。祐季はサーフボードストレッチをかけていく。涼子は歯を食いしばって耐える。祐季はさらに足を背中から涼子の後頭部に切り替えると涼子はさらに前のめりになって、尚且つ屈辱的な格好になっている。しかし、バランスを保ちにくくなって崩れてしまった。すぐさま祐季は腕ひしぎに入った。「いやー、いたぁいぃ」足をじたばたしながら暴れる涼子。涼子はロープに手を伸ばすが、祐季もロープブレイクさせまいと必死に体勢を維持しようとする。だが、涼子の手がなんとかロープに届くと祐季は渋々技を解いた。祐季は涼子を起き上がらせてロープに振るとドロップキックを狙うが、涼子がロープに捕まって止まったため自爆させられた。涼子は祐季の腹をスタンピングで踏みつけると、バックドロップを打った。涼子はフォールに入る「ワン、ツー」祐季は2カウントで返した。リング中央で涼子は四の字固めをかけると祐季はひっくり返そうとするが、涼子もそうはさせないと踏ん張る。祐季は苦しそうな表情を浮かべるが徐々に技が外れかかっていく。涼子は技が外れかかってると見るや、自らわざを解いて祐季の足を掴んで極めようとするが、祐季に蹴られて失敗した。涼子は喧嘩キックを打つも、これも祐季にかわされ、逆に祐季がラリアットで涼子を倒した。祐季は涼子をリフトアップするとロープに涼子の腹が当たるように放り投げた。「ぐわぁぁぁぁ」ロープが涼子の腹に食い込んで抉ると悲鳴を上げながら場外に転がり落ちた。祐季は涼子を追いかけて場外に出ると、涼子の顔面を鉄柱に叩きつけた。さらに場外のマットを剥がしてコンクリートが剥き出しの状態にさせると祐季はDDTを打っていった。涼子は額を押さえて苦しんでいる。祐季はさらにパワーボムを打とうとするが、涼子はこれは喰らってはいけないと祐季の太ももを掴んでそのまま鉄柵まで押し込んでいった。祐季は涼子に肘うちを打つと涼子は涙目になると、祐季は涼子を突き放した。立ち上がろうとする涼子に祐季はタイミングを見計らってジャンピングニーを打っていった。ガツン、涼子は受身が取れず頭を強くコンクリートに打ち付けてしまった。涼子は頭を押さえて場外でのた打ち回る。祐季は先にリングに戻って余裕を持って涼子の姿を見つめている。場外カウントが10まで進むもまだ起き上がる様子は無い。『サーティーン』ここで涼子の右手がエプロンサイドにかかった。『セブンティーン』涼子はなんとか身体をリングに転がして戻った。祐季は涼子をすぐに捕まえるとフロントヘッドロックで涼子の頭を痛めつけていく。祐季の腕を掴んでもがく涼子だが、なかなか抜け出す事が出来ない。涼子は切り替えて祐季のボディーを拳で殴ると祐季は苦しそうな表情を浮かべると技を解いてしまった。「グーで殴るのは反則でしょ、なんとかしなさいよ」レフリーに抗議する祐季だが、認められない。その隙をついて涼子は祐季のバックを取った。「卑怯よ、根性腐ってるわ」「この前、鉄パイプで私を殴ったのをお返ししてあげるわ」涼子は大技ジャーマンスープレックスホールドを放った。綺麗な弧を描くと祐季は後頭部をリングに叩きつけられた。そのままカウントが入る。「ワン、ツー、ス」3カウント入りかけたが、涼子の体勢が崩れてしまった。祐季は尚もぐったりしてるため、体勢が崩れなければ3カウントは入っていたと悔しがる涼子。しかし、祐季はまともに大技を喰らって起き上がる様子も無く倒れてるので、涼子はチャンスとばかりにキャメルクラッチの体勢に入った。祐季は抵抗しようとするも涼子ががっちり重心を低く保って安定させてるので簡単には逃れられない。涼子が揺さぶっていくと祐季は目が虚ろになってきた。「ほらほら、何よそのマヌケ面は。みっともないわよ」涼子はそう言うと、祐季の鼻の穴に指を突っ込んだ。嫌がる祐季だが、涼子はグイグイ突っ込んでいく。祐季は気丈なイメージが崩れてしまうと振りほどこうと必死だ。祐季はやっとの思いでロープに辿り着くもジャーマンが効いていてふらついている。涼子はコーナーに登ると祐季目掛けてドロップキックを打った。大の字に倒れる祐季を涼子はフォールする。『ワン、ツー、スリー、カーンカーンカーン』カウント3つ入ってしまった。涼子と祐季の実力者同士の対決ということで白熱した熱戦が繰り広げられるかと思いきや意外とあっさり勝負がついた。期待外れの戦いに場内からブーイングが起こる。涼子はゆっくり起き上がると勝者のコールを受けた『勝者:米蔵涼子』涼子は片手を上げてコールを受けるとベルトを巻いて女王の貫禄を示した。鳴り止まないブーイングに涼子はマイクをアピールした。「みんな聞いて」涼子が一声かけると少しブーイングが収まった。「今日の試合には私もがっかりしたわよ。私は嫌だったんだけど、協会が勝手に対戦カードを決めちゃったからこんな相手としなきゃならなかったのよ。でも今度は私が対戦相手を指名するから大丈夫よ、期待しててね」涼子は一気に言うとざわめく観客に手を振りながら花道を通って会場を後にした。一方、祐季にとっては予想外の展開になったと言わざるをえない。すべては不意をつかれ受身も取れずまともにジャーマンを喰らってしまった事につきる。祐季は足元もおぼつかないが、なんとか立ち上がると歩いてリングを後にした。観客は不甲斐無い試合をした祐季に盛大なブーイングを送る。祐季はジャーマンを喰らった後もキャメルクラッチを逃れる等意地を見せたが、到底及ばなかった。こうしてクイーンベルト初代女王は米蔵涼子に決定した。
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